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知事記者会見録・令和7年2月18日実施分
発表項目
〇令和7年度当初予算(案)について (PDF:7.19MB)
知事
本日、私からは、まず初めに、令和7年度当初予算(案)につきまして、ご説明をさせていただきます。
本県では、人口減少が厳しさを増す中、山口県の新たな未来に向けて、「やまぐち未来維新プラン」に掲げた維新プロジェクトを戦略的に進めてまいりました。
その成果として、半導体や蓄電池関連企業等の設備投資額が2年連続で過去最高になるほか、マツダによる工場進出など、本県の強みである産業集積が着実に進んできております。
またインバウンドの関係では、韓国、台湾との連続チャーター便が運行されるなど、本県の強みやポテンシャルをしっかりと伸ばしながら、さらなる成長・発展に繋がる動きや取り組みが生まれてきています。
一方で、出生数の減少や、東京圏や福岡県への転出超過の増加など、人口減少は少子化、社会減の両面から一層厳しさを増しております。
また、県内の有効求人倍率は昨年12月で1.40と、人手不足が、県内企業をはじめ、保育、医療、介護、公共交通など社会経済を支える分野で、深刻な課題となっております。
国において地方創生の旗が再び掲げられる中、人口減少の加速を何としても歯止めをかけ、そして、県内経済や地域社会の活力を失うことなく、誰もが安心して豊かに暮らせる県づくり、これを進めていくことが大変重要だと考えております。
こうした考えから、来年度の当初予算は、人口減少の克服に向けた施策の一層の充実を図るとともに、未来維新プランの着実な推進により成果をしっかりと積み上げていくことで、県民の皆さんに安心と豊かさの実感を届ける予算として編成し、これにより、社会減・人手不足対策をはじめとするさまざまな課題に、積極果敢に挑戦してまいります。
予算の柱として、1つ目は「安心と豊かさを実感できる県づくりの推進」、次に、施策推進を支える「新たな行財政改革の着実な推進」、そして、足元の課題に対応するため「国の経済対策に呼応した物価高等への対応」の3本で編成を行いました。
「当初予算のポイント」につきまして、まず、令和7年度一般会計の当初予算の規模は、7398億円、令和6年度当初予算に比べまして42億円、0.6%の減となりました。
主な歳出予算では、施策的経費は、153億円の減の1891億円となりますが、これは、主に中小企業制度融資のコロナ関連資金の減によるものであります。
そしてまた、公共事業費は6億円の減の670億円、人件費は定年の引き上げに伴う退職手当の減により、85億円減の1590億円となっております。
一方、主な歳入予算として、県税は、企業収益の増加に伴う法人二税の増収見込みなどによりまして、66億円増の1938億円となっております。
また、県債発行を公債費以下とするプライマリーバランスの黒字に着目しました財政運営を継続して、県債全体で平成24年度以降14年連続の黒字を維持し、そして県債残高につきましても、平成25年度以降減少の基調を維持しているところでございます。
それでは、予算編成の3つの柱に沿って説明いたします。
1つ目の柱は、「安心と豊かさを実感できる県づくりの推進」ということでございます。
大きく「人口減少の克服に向けた取り組みの充実」と「将来に希望をもって暮らし続けられる地域社会づくり」の、2つの方向で施策を推進してまいります。
4ページから、具体的な施策についてお示ししています。
最初に、「人手不足が深刻化する地域産業の人材の確保・育成」についてでございます。
冒頭申しあげました、人手不足に対する現場の深刻な危機感にこたえるため、来年度におきましては、若者の就職・定着などの人手不足対策、これを最優先課題として、取り組みを強化してまいります。
まず、県外から人を呼び込む相談支援や情報発信の拠点として、東京と大阪に「やまぐち暮らし支援センター」、これをすでに設置しているところでありますが、取り組みをさらに強化するため、本県からの転出者が最も多い福岡県におきましても新たな拠点を設けることにいたします。これによりまして、一層の、若者のふるさと回帰、また県内移住の促進に取り組んでまいります。
ここで、この背景を少し説明したいと思うんですけれども、これは山口県の転入・転出超過の状況、直近で発表されましたが転出超過が4357人ということでありますが、この全体としての規模感はそうなのですが、もう少し個別に見ていくとどうなるかというところで、みなさん想像のとおり東京圏とか大阪圏というのは転出超過をしております。山口県の近県でどうかといいますと、この青いところが転出超過でして、この肌色みたいなのが転入超過です。福岡に非常に多いわけですが、まわりを見てみると、例えば広島、四国の各県、大分とか長崎とか、他のエリアは大体山口県の方が転入超過ですから、出ていく方と入っていく方と比べた時に出るよりも入ってくる方が多いということですね。この福岡以外は基本的には転入超過でありまして、広島、愛媛、大分みな100人を超える山口県、転入超過でありまして、合わせると600人を超える転入超過が実はあるのですけれども、その一方で、唯一福岡県は転出超過になっています。1709(人)と非常に大きな規模の転出超過が続いておりますので、これに対してしっかりとピンポイントで、対策をしていかなければいけないと思っています。
今言ったセンターを設けるということなのですけれども、実際この福岡に出ていってなかなか帰ってこないと皆さん思われると思うんですけれども、実際数でいいますと、ざっくり言って福岡県に山口県から年間5200人出てて、来るのが3500人です。ですから、3出て2帰ってくるという感じですね。ですので、半分以上は帰ってきている訳ですので、もう少しそこについてはしっかりとアプローチをしていく、そういった余地は十分あるだろうと思っています。冒頭言いましたように、東京とか大阪の方はセンターを設け、これまでも移住の促進とか、住まいとか、仕事のマッチングとかしてきているのですけれども、逆に近県、特に福岡に対しての対策は個別にはありませんでしたので、センターを置き、山口への仕事を移っていくとか、あるいは就職するとか、引っ越していくとか、そうした面のサポートをしっかりとしていく、このことを新たに始めていきたいと思います。
また、それだけではなくて、広島の方にも人を置いて、広島からの転入も減ってきておりますので、転入転出でいいますと転入超過なのですけれども、減ってきているところがありますので、そういった強化も広島方面の方でもやっていくことにしております。
それ以外も、ベトナムとかインドネシア、海外の方ともしっかりと繋がりも出来つつありますので、外国人材を県内に呼び込むための拠点をベトナム、そしてインドネシアにも設置していくことにしております。
それから、そうした拠点を置くなりして、さらに山口への人の流れをつくっていきたいと思っているのですが、そのために県外の新卒者、あるいは第二新卒者が、県内の企業に例えば見学に来るとか、面接に来る、そうした際の交通費を実質的に全額補助する、そうした制度を新たに創設いたします。そうしたことを通じまして、県内就職の促進を図り、またインターンシップにつきましても支援制度を拡充して、交通費・宿泊費を全額補助を行います。
加えまして、若者の県内定着を促進するため、29歳以下の方が新たな住宅を取得する場合の住宅ローンに係る利子の一部を補助する、こうした制度も新たに創設いたします。
こうした取り組みによりまして、若者の県内就職・定着に向けました支援策を強化し、これらの支援制度や就職情報などを、デジタルマーケティングの手法も活用して、ターゲットとなる若者にしっかりと発信してまいります。
また、「ふるさと回帰に向けた取り組み」として、関係人口の拡大や移住を促進するため、本県への継続的な来訪を促す体験型プログラムを実施するとともに、若者の地域での交流、また活躍の場となる「サードプレイス」のモデルを創出してまいります。
次に、「多様な人材の確保・育成、若者や女性が希望する就労環境の整備」につきましては、賃上げや若者のための職場環境づくりへの支援として、国の重点支援地方交付金を活用し、4%以上の賃上げを実施した中小企業等に、最大100万円の奨励金を支給いたします。
また、女性就業の場をさらに広げるため、専門家をやまぐち働き方改革支援センターに配置して、企業の柔軟な働き方をサポートしていきます。
さらに、若者定着に向けた雇用の場として、デジタル関連企業の誘致や経営力強化に取り組むとともに、県内大学に情報系学部が相次いで開設されています。そうしたことを踏まえまして、企業と学生との交流の場づくり、また企業の情報発信への支援などにより、今後、大学から輩出される人材の県内就職を促進いたします。
加えまして、外国人材の確保のため、先ほども申しましたが県外[海外]への拠点の設置につきまして、昨年、産業人材の送り出しと受入れの協力について合意いたしましたベトナムに、現地サポートデスクを設置し、また同様の取り組みを、経済成長の著しいインドネシアにおいても進め、外国人材の安定的な確保と、円滑な県内就労に繋げてまいります。
また、幼児教育・保育人材の確保につきましては、修学資金貸付制度を拡充するとともに、保育士試験により資格取得を目指す方への受験対策費用を全額補助するなど、重点的に支援を行います。
病院の勤務環境の改善につきましても、他病院をサポートする医師派遣体制等を支援するとともに、人材確保が喫緊の課題となっている介護現場に対しましては、ICTやロボットの導入支援制度を大幅に拡充し、1事業所当たりの補助上限を1千万円まで引き上げて、生産性の向上を推進していきます。
また、運転士不足が深刻でありますバス・タクシーにつきましては、地域の公共交通を支える観点から、事業者が短時間勤務職員の2種免許取得費用を負担する場合に、事業者負担を実質ゼロとする緊急的な支援を行い、担い手の確保を推進していきます。
また、漁業や畜産をはじめとした担い手確保のための取り組みを一層強化していきます。
こうした取り組みによりまして、中小企業をはじめ、社会を支える保育・医療・福祉や公共交通、農林水産業の人手不足対策をしっかりと強化してまいります。
次に、「結婚、妊娠・出産、子育ての希望を叶える環境整備」についてです。
今年度の当初予算におきましては、少子化対策の抜本的な強化策といたしまして、第2子以降の保育料の無償化、また不妊治療への経済的負担の軽減、そして保育士の独自加配支援、そうした本県独自の支援制度をさまざま立ち上げてきたところです。
令和7年度は、こうした制度を基盤として、当事者ニーズに対応した、さらにきめ細かな支援を行ってまいります。
まず、結婚応縁センターにつきましては、昨年の8月から今年の3月まで期間限定で入会金0円キャンペーン、これを実施しておりますが、その成果として入会者数が大きく増加しております。このため、来年度からは通年で会費を無料といたしまして、さらなる会員の増加を目指し、そして大規模婚活イベントの拡充によって、結婚支援の取り組みを強化していきます。
また、出産・子育て支援におきましても、これまでにない新たなサービスとして、産後4か月以上の母子を対象に、宿泊施設を活用した、産後ケアの全県的な提供体制を構築していまいります。
併せて、正常分娩から中リスク分娩まで幅広く妊婦を受け入れている産科医療機関を維持するための支援を行ってまいります。
医療的ケア児の受け入れ拡大に向けまして、障害児通所施設や私立幼稚園の環境整備を支援するとともに、児童虐待の再発防止や児童の家庭復帰を促進するための支援員を、各児童相談所に配置いたします。
この他、子育てファンドを活用し、全ての子ども・若者に多様な体験機会を提供する取り組みや、休み方改革の推進、学校内子育てひろばの開催に取り組む団体を支援します。
また、共家事(ともかじ)・共育児(ともいくじ)を促すため、ドキュメンタリー動画を作成し、SNSなどで発信します。
以上が、人口減少対策の充実に関する主な新規施策です。
次に、「将来に希望をもって暮らし続けられる地域社会づくり」です。
安心と豊かさの実感に向けて、まずは、本県の強みであり、成長のエンジンとなる産業力を、一層強化していくことで、魅力的な雇用の確保を図っていくことが重要です。
このためまず、本県産業の屋台骨であるコンビナートについては、カーボンニュートラルに向けた支援制度を拡充することとし、将来の企業間連携に向けて、単独の企業が行う研究開発・実証試験を支援対象として追加することで、コンビナート企業の取り組みを後押しします。
また、企業の戦略的な海外ビジネス展開については、段階に応じた補助制度を創設するとともに、ヘルスケア関連産業への参入支援や物流効率化モデル構築などにより、本県の経済を支える中小企業の成長に向けた取り組みをしっかりと支えてまいります。
併せまして、企業誘致についても、引き続き、本県の持つ産業インフラの優位性を情報発信し、手厚い支援策を活用して積極的な誘致活動を行うことにより、さらなる産業集積に向けて取り組みます。
農林水産分野については、農業DXの推進や集落営農法人の再編統合の促進などにより、農業の経営基盤を強化するとともに、今後大きな需要が見込まれる県産麦について、高品質化や均質化により生産拡大を図ってまいります。
また、県産材の取引拡大に向けた需給調整体制や、竹の需要に対応する供給体制の構築などにも、新たに取り組みます。
水産分野においても、新たな資源管理に即し、クロマグロやトラフグなどについて、操業転換や種苗放流の高度化により、持続可能な生産体制の構築を図ります。
次に、「活力と魅力にあふれる地域づくりの推進」についてです。
私といたしましては、今進めております山口きらら博記念公園、これを幅広い世代の県民が集い、交流する「交流拠点」、そして県外の人に訪れていただける「集客拠点」として、県内に元気と活力を創出する拠点としていきたいと考えております。ウエルビーイングあふれる公園となるように、再整備を進めてきているところです。
その第1弾として、いよいよこの春、中国地方最大級となるフラワーガーデンのオープンを皮切りに、大型複合遊具も供用開始する予定としています。
また来年度は、親水広場、そしてサイクリング・ジョギングコース、2050年の森やキャノピーウォークなどの整備を、着実に進めてまいります。
ぜひ、県民の皆さんにもご来園いただきまして、リニューアルされていく公園をお楽しみいただきたいと思います。
また、ユネスコ世界ジオパーク認定を目指すMine秋吉台については、拠点施設の機能拡充や情報発信への支援、県有施設の環境整備などにより、県としても市の取り組みをしっかりと後押しするとともに、県ビジターセンターについて、新たな体験プログラムや、展示を更新するなど、アップデートを図ってまいります。
併せて、錦帯橋の世界文化遺産登録に向けては、市と連携し、取り組みを強化してまいります。
また、ニュースポーツやアーバンスポーツなどのライフスタイルスポーツを普及し、県立施設で楽しめるよう環境整備を進めてまいります。
そして、JRと連携したデスティネーションキャンペーンにつきましては、来年度はプレキャンペーンとして取り組みをスタートいたします。
これを契機に、誘客拡大に向けたプロモーションを展開するとともに、その主要企画として、本県が世界に誇る文化財を核とした体験型観光コンテンツ開発を地域と連携して進め、多数の観光客を呼び込める文化ツーリズムの推進を図ります。
また、アウトドアブランド定着に向けた施設整備や人材育成を支援するほか、高校生・大学生と連携した地域観光を活性化する取り組みを進めます。
続きまして、「新たな時代の人づくりの推進」です。
「新たな時代の人づくりの推進」については、教育現場におけるデジタル化の推進や、いじめ・不登校などの課題への対策を強化し、未来を担う次世代の育成にもしっかりと取り組んでまいります。
まず、「やまぐちスマートスクール構想」のさらなる推進を図るため、県立学校のネットワーク環境について、国の学術情報ネットワークSINET(サイネット)への接続などにより、全ての県立学校で高速ネットワーク化を実現します。
これにより、多くの生徒が同時にネットワーク接続して生成AIなどを活用できる、質の高い学習が可能となります。
また、こうした環境を活用し、文理横断的、探究的な学びを、一層充実させるとともに、引き続き、ICT支援員配置や、義務教育段階における1人1台タブレット端末更新に係る市町への補助により、教育現場のICT環境の整備を図ってまいります。
さらに、今年度モデル校で導入している、生成AIを活用した学習アシスタントアプリについては、取り組みを一層推進し、県内全公立中学校に導入します。
喫緊の課題となっている児童生徒のいじめ・不登校等については、未然防止や早期発見・早期対応のため、相談体制の拡充を図るとともに、心の健康観察アプリの導入、校内教育支援センターの設置促進などにより、対策の強化を図ります。
また、子どものスポーツ参加の裾野拡大に向け、各競技団体の取り組みを支援するととともに、次年度は、県内5市を会場にインターハイが実施されることから、高校生の皆さんの活躍を応援し、県全体で大会をしっかりと盛り上げていきたいと思います。
次に、「安心して快適に暮らせ誰もが活躍できる地域社会の実現」についてです。
まずは、暮らしの安心の基盤となる、県立総合医療センター、県環境保健センター、みほり学園など、健康福祉関連施設の建替え等による機能強化を、着実に進めてまいります。
また、デジタル改革については、デジタル技術による豊かさを県民の皆さんに実感してもらえるように、さまざまな分野での取り組みを進めているところです。
来年度はさらに、Y-BASEを核として、高度な業務に対応する生成AIの導入を行う企業等を支援するともに、専門人材の確保やシェアリングにより、市町の行政DXに向けた取り組みを支援します。
また、スマート社会の実現に向けて実証に取り組んでいる自動運転バスについては、来年度は、無人運転の段階であるレベル4に向けて取り組みをステップアップしていきます。
こうした取り組みをはじめ、あらゆる分野でのデジタル実装を着実に進め、県内どこでも便利で快適に暮らせ、若者にとっても魅力的なデジタル社会の実現を図ってまいります。
また、森林づくり県民税については、県民の皆さんに引き続き負担をお願いし、これをしっかりと活用して、荒廃森林や繁茂竹林の整備を拡大するとともに、森林ボランティア活動への支援などについても、着実に進めてまいります。
最後に、「能登半島地震の課題を踏まえた防災・減災対策の強化」についてです。昨年から、現地の被災状況や本県の対応可能性の検証を行い、必要な対策の検討を進めてきたところであり、その結果に基づいた対策を、速やかに実施いたします。
まず、市町の避難所をバックアップする広域避難所や資機材の重点整備を行うとともに、全市町分の衛星インターネット機器導入による広域避難体制の充実・強化に取り組みます。
また、離島や中山間地域の多い本県にとっては、被災時の物資搬送も重要な課題であります。ドローンを活用した緊急物資輸送体制の実証を行ってまいります。
この他、災害派遣精神医療チームの養成、災害支援ナースへの研修、中小企業の緊急事態に備えた計画策定等への支援などを行うとともに、住宅耐震化促進のため、低コストな耐震改修工法の技術者育成を進めます。
さらに、県警の総合指揮室等にデジタル機器を整備し、指揮体制や情報共有環境の強化を図ってまいります。
また、ハード面におきましても、国の「5か年加速化対策」に呼応し、本県の防災・減災、国土強靱化の取り組みを加速してまいります。
次に、2つ目の項目として、「新たな行財政改革の着実な推進」についてです。
人口減少問題をはじめ、デジタル化や脱炭素化など、さまざまな行政課題に的確かつ機動的に対応していくため、新たな行財政改革の検討を進めてまいりました。
その詳細につきましては、今日の午後からの統括本部会議でお示ししますが、公共施設等の計画的な建替・改修に伴う財政負担の平準化や、行政DXの推進など、一定の財政需要を伴う取り組みについて、計画的な予算措置を行うとともに、基金の確保や効果的な活用により、取り組みの計画的な推進と財政の健全性の維持を両立してまいります。
そのうち、「レジリエントな行政体制の強化」に関しまして、予算を伴う主な取り組みとしては、平成[令和]8年度に、オンライン手続き拡大に向けた証紙の廃止と、これに併せて、キャッシュレス決済可能な、新たな手数料収納窓口を設置することとしており、令和7年度から必要な手続きを進めてまいります。
あわせて、公立高校の入試手続きにつきましても、出願から試験料の納付までオンラインで完結できる、ウェブ出願システムを導入するとともに、美術館や博物館などの県民利用施設でのキャッシュレス決済を導入します。
また、職員の働く環境等の整備として、県有施設のトイレ環境につきましては、学校や県民利用施設も含め、和式から洋式への切り替えを今後5年間で行っていくほか、職員からの働き方改革提案により、職場のフリーアドレスの導入を進めてまいります。
同様に、持続可能な財政構造をより確かなものとするため、歳入歳出の両面から改革の取り組みを徹底するとともに、将来の財政需要や政策課題への機動的な対応に備えた財源の確保を図ります。
具体的には、収支均衡した財政構造の維持・向上を図るため、引き続き、プライマリーバランスに着目した財政運営を行い、県債発行のコントロールを図るなど、歳出の最適化や歳入のさらなる確保に取り組みます。
また、行政DXや施設の建替えなどの財政需要に計画的に対応するため、2月補正予算において、今年度の税収の上振れ分等を活用し、安心・安全基盤強化基金とデジタル実装推進基金の積み増しを行います。
その上で、4つの政策目的基金を、来年度以降、財源に充当し施策を着実に推進してまいります。
こうした取り組みにより、積極的な施策推進と、持続可能な財政運営の両立に努めてまいります。
3つ目の柱として「国の経済対策に呼応した物価高等への対応」についてです。
本県では、これまでも、国の対策に呼応し、光熱費や食材料費の高騰に対する支援を実施してきたところであり、現下の物価の推移等を踏まえ、来年度当初予算におきましても、国の重点支援地方交付金も活用し、本県の実情に即した対策を講じることとし、今年度と同水準の約44億円を予算措置いたします。
また、その他の国の経済対策につきましては、福祉施設や医療機関の賃上げ環境整備、産科・小児科医療機関への支援などについて、今年度2月補正で予算措置することといたしました。
国経済対策への対応としては、11月、2月補正、そして来年度当初予算を合わせまして、総額で約350億円の予算措置を行ったところです。
最後に、「財源不足及び財源調整用基金の状況」について、ご説明します。
人口減少対策に係る新規施策などを積極的に構築した一方で、予算編成過程における歳出の削減、基金の活用などにより、財源不足額は、予算編成方針策定時の76億円から35億円に圧縮することができました。
これに、年度間調整により基金を取り崩して対応する額を合わせて、98億円を取り崩すこととし、結果、7年度末の基金残高は、147億円となる見込みです。
以上、当初予算案の概要をご説明いたしました。
人口減少は極めて困難な課題でありますが、その克服に向けまして、限られた財源を可能な限り重点配分を行った、そうした予算を編成いたしました。また同時に、防災・減災対策の強化や、施設改修などを着実に進めることにより、県民の皆さんの安心・安全の確保をしっかり図る予算としたところです。
若者の就職・定着などの人手不足対策をはじめ、安心と豊かさが実感できる、そうした県づくりに向けた来年度の予算、この取り組みを、市町や関係団体、また県民の皆さんと一体となって推進し、県政の目標である「安心で希望と活力に満ちた山口県」の実現に向けまして、引き続き全力で取り組んでまいりますので、ご理解とご協力をよろしくお願いいたします。
次に、令和7年度の組織の概要について、お手元の資料によってご説明いたします。
まず、1点目は、中山間地域づくり推進課の改組です。
人口減少対策、特に社会減対策と持続可能な地域づくりについて、市町と一体となって中山間地域の枠を超えた地域振興の取り組みを強化するため、中山間地域づくり推進課に市町課(地域企画班)所管の地域振興部門業務を移管し、「中山間・地域振興課」に改称します。
2点目は、世界文化遺産推進室の改組です。
国においては、世界遺産の国内候補となる暫定一覧表への追加記載に向けた具体的な検討がなされる中、錦帯橋の世界文化遺産登録に向けて、文化振興課内に設置している「世界文化遺産推進室」を「錦帯橋世界遺産推進室」に改組するとともに、体制を強化することとしております。
世界文化遺産を巡る概況ですが、昨年4月に文化庁の文化審議会世界文化遺産部会の下にワーキンググループが設置され、現在、暫定一覧表への追加記載に向けた具体的な検討が行われている状況です。
世界遺産登録に向けましては、まずは、暫定一覧表に記載されることが重要ですが、記載後も、早期に国からユネスコ推薦されることや、機運醸成、国・市との連携強化の業務が急務となるため、室の目的を錦帯橋に特化するかたちで改組するものでございます。
以上が、令和7年度の組織の概要となります。
私からの説明は以上です。
NHK
新年度の当初予算案ですが、人手不足を最優先課題にして組み立てられれているのかなと思います。今年度は少子化対策、いわゆる自然減のところをしっかりと、第二子以降の保育料無償化等されてきたかと思うんですが、今回は見ると、人手不足対策、いわゆる社会減への対策と言ってもいいかと思うんですけども、新年度、人手不足対策に力を入れようとした思いだとか、理由みたいなものを改めて聞かせていただけますでしょうか。
知事
全国的に地方部での人口の減少が加速化しております。山口県も例外ではなく。特にコロナが明けてから人の動き、経済、どんどんと戻ってきておりますけれども、一方で、人口の大都市部への集中というのがより加速をしているという状況があります。
人口減の要因は、今までも言ったように自然減と、それから社会減とあるわけですね。少子化と人口の転出超過というところが大きいわけであります。
今年度は、特に少子化の関係では全国トップクラスの支援を様々な面でやっていくということで、特に経済的な負担が大きいところを手当てをしてきたところでありますけれども、今、まさに人口減が実際にわれわれの社会、経済活動面でも大変な支障を引き起こしております。
企業、どこに行っても人手不足で、人が取れなくて大変だという声も、本当に切実な声をたくさんお聞きいたします。また、われわれの生活を支えるいろんな子育てですとか、福祉ですとか、あるいはいろんな交通面ですとか、そうした社会生活を支えていく、その基盤となるそのサービスを担う人も非常に厳しい状況がございますので、人口減少というのが単に将来大変だということではなくて、まさに今、大変な状況が起きてきている、これが深刻化しているという現状だと認識してます。そういった上で、少子化対策等も引き続きさらに足りないところを強化しながら、一方で今の人手不足対策、これについて最大限できることをやっていかなければいけないと思っています。
そういった意味で、一つは、実際の転出超過の状況を踏まえて、福岡に新しいセンターを設けたりですとか、あるいはいろんな山口への就職であったり、最近は特に第二新卒という言葉もありますけれども、要は一旦、大都市部で働いたけれども、途中でまた転職をするという人も多いわけですね。そういった方々が山口に帰ってくるという部分も、以前と比べると随分増えてきておりますし、そうしたところにもしっかりとアプローチをしていきたいと思っています。
そういった意味で、やはり山口に来るための情報発信も必要ですし、いろんなそういったサポートもしながら、一方で来るときの費用であったり、インターンにしても、あるいは企業の見学にしても、面接にしても、いろいろ来るためには費用はかかるわけですので、そこについても後押しをすることによって、ちょっとどうしようかなって悩んでいるところをしっかりと背中を押していく、情報を提供して、背中をしっかりと押していくというところをきめ細かくやっていくということは大事だと思っています。
転出超過というのは非常に増えてきて、深刻ではありますが、先ほど言いましたように、例えば福岡でも1702人マイナスですが、5200人出て、3500人は帰って来ているということで、半分以上は来る人がいるわけですね、出てもですね。ですので、そこについてさらに強化をしていくという余地は十分あるだろうと思っていますので。そうしたところをこれまでよりもさらに強力な対策を講じて、しっかりと山口への人の還流を強化していきたいと考えています。
それから、例えば保育とか、あるいは運転をするための免許の取得ですとか、そうしたところも負担になっているところがネックになっているところがあれば、そこはしっかり解消していきたいということで、その費用を助成したりとか、そういったことも新たに行うことにしています。
NHK
もう一点ちょっとお聞かせさせていただきたいことがございまして。資料の8ページである「活力と魅力にあふれる地域づくりの推進」のところなんですが、こちら今年度もされてますが、きらら公園(山口きらら博記念公園)の交流拠点化に向けて、再整備されているかと思います。こちら、新年度も多くの予算を措置されているかと思うんですが、フラワーガーデンとかもオープンするということで非常に楽しみかと思います。
一方で、同じく地域づくりとかの拠点になりうるものとして、県内には私、ちょっと調べましたら、8つの自然公園とか5つの県立都市公園が整備されていて、ただ、これらの中には、老朽化が非常に進んでいるものがあるなと思います。
こうした既存の公園の改修とか再整備に関しては、どのように考えていらっしゃるのかなと、そこをお聞かせていただければと思います。
知事
きらら(山口きらら博記念公園)の整備は、私、特に思いを込めてやっておりますけれども、これだけ130ヘクタールと、非常に大きな、広大な敷地があって、とてもアクセスもよくて、気持ちの良い場所でありますけれども、そこを、この素晴らしさを楽しむだけのいろんな施設であったりとか、そうしたものが不十分だと思っておりますので、そこを、せっかくのこの場所をもっと楽しめるように、そして、また県民がここに来て本当に心が安らぐような、そしてまた元気をもらえるような、そうしたものにできる、そういう大きなポテンシャルを持っていると思っています。
いろんなイベントもここで開かれていますし、またこの夏にもワイルドバンチ(WILD BUNCH FES.)をまたやることも決まりましたけれども、そういった意味で、本当に県内の一つの、県民の皆さん、どこからでもここにアクセスをして、皆さんの心が満たされるような、そうした場所にぜひしていきたいと、これは一つ大きな交流拠点であり、また集客拠点、そういったことにしていきたいと思います。
その上で、県内にはいろんな施設も一方でありますし、これまで整備されてきた中で老朽化等も進んでいる面もございますので、これはそれぞれ課題について、把握をしながら、必要な改修なり、リニューアルというのは当然やっていかなければいけないと思っておりますので、そうしたものも行いながら、こういった、きららが一つ、大きな拠点となって、県内の他のいろいろな公園もそうですけど、いろんな自然ですとか楽しめる場所やコンテンツ、たくさんありますので、そういうところとうまく有機的に繋がって、県全体が本当にこの気持ちよく、自然とか豊かさとかを感じられるような、ウェルビーイングを感じられるような、そうした場所にしていく、そのための大きな拠点にしていきたいと思っています。
NHK
ちょっと今、ご質問させていただいたのが、ちょっと具体的な話で大変恐縮なんですが、ちょっと取材をしている中で、西中国山地国定公園の寂地峡で、いわゆるそこもアウトドアというかキャンプのような施設があるんですけども、そこに入るための橋の高欄、柵が腐食して来場者とかが危ない、転落したりする危険性があるということで、県の方ですかね、補修が行われたっていうのは聞いたんですよ。ただ補修が根本的にこう、土台から何か改善されていないために、その柵がすごくグラグラ動くっていうような話を聞きまして。で、それが危ないので補修したところなんだけど、その前にバリケードみたいなものが置かれていて車の通行ができないというような話をちょっと聞きました。
寂地峡って、夏はキャンプであったり、秋は紅葉で多くの観光客も訪れる場所っていうふうにも聞いてて、地域の交流拠点の一つなのかなと思っています。先週金曜日、ちょうど県の発表もありましたけれども、近隣のところで、(国道434号)須川バイパスが開通して、非常にアクセスも良くなるというようなことも先週知ったんですけども、やはり今、きらら、とても素晴らしいと思いますし、知事、他のところも力を入れて有機的に発展させていくっていうことだったんですけども、こういったものがちょっと長期間にわたって放置されているというような話を聞きましたので、その他の自然公園のところについても、やっぱりしっかりと再整備なり,改修なり進めていくというお考えでよろしいでしょうか。
知事
もちろんそれぞれの施設の目標としている、それぞれのまた魅力がありますので、それが最大限楽しめるようにしていくということは、これからやっていかなきゃいけないことだと思います。
今、おっしゃった、その危ないというのは非常に、最低限のところなので、まずはどういう状況なのかわかりませんし、技術的にどういうことができるのかというところも確認してないので、どういったことができるのかここではコメントできないところがありますけれども。いずれにしても危ないという状況は、それはしっかり対応していかなければいけませんので、よく確認をして取り組んでいく必要があると思います。
TYS(テレビ山口)
今回、社会減対策に力を入れられていますが、今までも似たような取り組みっていうのはずっと継続されていたように思います。そういった中で、その取り組みの振り返り、成果、反省点、いろいろあると思いますが、そのあたりどのように受け止めていらっしゃるのか、お願いします。
知事
転出超過ということは一貫して、これはずっと昔から続いているわけですね。
一方で、自然の、人口自体が昭和60年ぐらいまでずっと増えてきていたところがありましたので、あまりそこを問題視されてこなかったところがありますが、今、本当に人口が社会減だけではなくて自然減、ダブルで人口減少に拍車をかけているという状況です。
そういったことでは対策というのはこれまでもやってきているわけでありますけれども、特にこのところの深刻な状況というのはより加速して、人口、少子化も加速しているし、それから転出超過もさらに拡大しているということですね。
一方で東京なんかは、全国的には東京一極集中がさらに加速しているという状況でございます。これまでも、例えば東京にも大阪にも移住の関係のサポートの場所を設けてきました。そこでかなりサービス的にも充実し、いろんな支援をしてきております。
実際にそれによって相談件数も非常に増えてきていますし、西日本では2番目に多い相談件数、福岡県に次いで山口県が2番目に多いという相談件数でありますし、実際の移住者数も、この5年間で2倍を超える移住者数が増えてきておりますので。やった分の効果といいますか、相談なり、山口への移住というのは増えてきているのは間違いないです。
一方で、これはもう全国的な流れですけれども、大都市部、東京ですとかそういったところへの人口の転出という流れが大きく変わりませんし、それがさらに強くなってきているので、それに対してもう一歩さらに踏み込んだことをやっていかなければいけないというところであります。ですので、今回やるような施策というのは、それに対応したものということですけれども、これをしっかりとやっていきたいと思います。
それだけではなくて、やはり今、地方創生2.0と言われておりますけれども、国全体の構造を変えていかないといけないというふうに思います。本当にこれはもう、東京とかごくごく限られた県だけが、ぐっと人を集めて、ほかのところからはみんな人が転出超過になってきているというような、これは各県市町村もそれぞれ努力をしなければいけないところではありますが、国全体の構造の問題ですね。
これが非常に国にとって良い状態なのかというと、これはそうではないわけですよね。やはり人口が一部のところに偏在するということは、当然、それは持続可能性がないわけでありますし、東京なんか今、少子化が非常に進んでいる、全国で一番子どもが生まれないところになっているわけですよね。そこに人がいっぱい、埋め合わせているから、あんまり東京では危険を感じていないけれども、構造としては非常に危うい構造にあるわけですし、持続可能性がないわけですよね。
また、企業誘致の話も冒頭しましたけれども、いろんな半導体とか蓄電池ですとか、そうした分野で山口県内の企業は世界トップシェアを持ったりとか、オンリーワンの技術を持ったりとかしている、そうした部分も今、順調に誘致は進んでおりますけれども、人がいなければやはりここで立地をするのは難しいということにもなってくるわけなんですよね。
そうすると国全体の競争力も失われていく、東京だけ人が集まれば、日本はうまく回るのかというと、それは全く回らないわけですね。今、食糧の問題も、お米の問題もいろいろと課題が出てきておりますけれども。そうしたところで、食糧、エネルギーあるいはいろんな産業、日本を支えてきたものづくりの産業ですとか、そうした部分について、やはり持続可能なものにしていくためには、構造を大きく、一極集中を変えていくということをやっていかなければいけません。
今、新政権、石破政権のもとで、そうした旗を振られてますし、目指す方向はぜひ、それは進めていただきたいと思いますが、実効ある対策を、抜本的に強化するようなことをぜひやってもらわないと、今のこの地方の人手不足の深刻な状況と、それから将来に対する懸念というのは払拭できないと思いますので。われわれもしっかり努力をしながら、国に対しても抜本的な構造改革、対策、そうしたものを求めていきたいと思います。
TYS(テレビ山口)
あともう一点、財源の関係なんですけれども、基金は2年連続で100億円を確保という状況ですが、一方で県債の残高はまだ1兆円の大台に乗っているような状況かと思います。こういった県の財政状況に関する率直な受け止め、お願いします。
知事
基金につきましては100億円を安定的に確保していきたいと思っておりますので、財政健全化、構造改革を数年間やってまいりまして、そうした中でかなり改善はされてきている状況ではあります。
そういったところで、447[147]億円の基金も確保をでき、またこれからの県立総合医療センターですとか、いろんな安心安全の確保に向けた施設整備のための基金もこの財調(財政調整基金)とは別に積めるというところは、これは財政健全化の取り組みの成果だと思いますし。借金も1兆円残っているということであるんですが、私就任したときには1兆3000億(円)ありましたので、そこからするとずっと毎年毎年、確実に減らしてきております。
まだまだ1兆(円)という規模は、県民一人あたりにするとすごい額になりますけれども、その基調は、これからもプライマリーバランスの黒字基調、これは裏を返せば、県債残高をしっかりと減らしていくということにだいたい一致するのですけれども、そうしたことは、これからも目標に持ってやっていきたいと思いますし、そうしたことが将来に向けてのわれわれの責務だと思います。
朝日新聞
今、財政的なところは話がありましたので、経常収支比率っていうところではちょっと数字見ると、まだ今年、去年はまだ当然決算がないので、まだ数字はないですが、この数年、割とちょっと上昇基調にあるのかなと、ちょっと取材の方で、80パーセント後半くらいですかね。ちょっと最近伸びてるのかなという、そういう認識を受け止めています。このあたり、いかがでしょうか。
知事
経常収支比率というのは、通常かかる経費といいますか、だいたい固定的な経費といっていいと思いますけれども。どのぐらい財政の中で占めているかというところですね。主には人件費であったりとか、公債費ですとか、いろんな社会保障関係の経費ですとか、そうしたところが多いわけですけれども。
やはり、特に、どうしても少子高齢化が進んでいく中で、医療とか福祉ですとか、そうした部分の経費というのはだんだんとボリュームも増えていきますし。また人件費につきましては、財政構造の改革の中で一定、定員の削減というのはかなりやってきましたけれども、一方で、いろんな福祉ですとか、児童相談所ですとか、いろんなニーズが一方で増えてきているわけですね。なので、思い切って削れるというものでもないというところでもあります。
削るだけでいいのだったら削れるのですけど、やはり県民サービスをしっかりと維持していかなければいけないとか、あるいは今のニーズにしっかりこたえていくとなってくると、おのずと人というのは一定のものが必要でありますので、そうしたところが占めているというところだと思います。
一方で、経常収支比率が高いというのは、財政の健全度が少ないということになってきますので、いろんな課題に対して機動的に対応が難しくなってくるというところでもありますから、そこについてはある程度、自由度が増すような形での改善というのはしていかなければいけないと思います。
この財政の改革でありますけど、規模的に減らしていくというのは、収支が概ね均衡していてきているところまできましたので、どんどんと歳出を減らしていこうというところの局面は、今の財政状況からすると、脱しているとは思いながら、一方で柔軟にいろんなことを対応できるような組織、これは予算も含めて組織も、予算だけではなくて組織とかも含めて、いろいろ柔軟に対応できるようにしていかなければいけないと思っていますので、今日午後からまた行財政の改革の、今の取り組みにつきましての会議もありますけれども、そういう中で、県民の皆さんのニーズにしっかりとこたえていくという、これは予算だけではなくて、組織体制も含めてやっていくことが大切だと思います。
読売新聞
予算と直接的な関係はちょっと微妙かもしれないんですけれども、財政の話で、ガソリンの暫定税率の関連で、自民公明国民の三党合意で実施時期は未定となっておりましたけれども、先週末、立民が公表した国の予算の修正案ですかね、それでは廃止が見込まれてたと思ったんですが、何かそれは地方の税収にも影響が出るっていうな話もあったと思うんですが、これは山口で今、どのように見込まれているのかという試算があれば教えてください。
知事
今、揮発油税、ガソリン税ですね、それから軽油引取税に適用されている本則の税率があって、それを超える暫定税率というのがあるわけですね。これを廃止をすべきだという議論があるわけですけど、廃止をされた場合、山口県でいいますと、軽油引取税が65億円。地方揮発油譲与税が4億円。合計で69億円の減収が見込まれます。
今さまざまな物価高ですとか、ガソリン高いとか、いろんな中で議論がされております。国民生活にとっても大きな課題ですし、国民の皆さんも関心が高いところだと思います。財源も含めて、丁寧に議論を進めていただきたいというふうに思っておりますし、仮に廃止されるとなりますと、今言ったような大きな規模になってきますので、これは県、また市町村にとっても大きな穴が開きますので、自治体の財政運営、特に住民に身近なサービスを担う自治体の財政運営に支障がないように、しっかりと対応されるべきであると考えています。
読売新聞
ちなみに、先ほどの69億円っていうのは県と県内市町の合計が69億(円)と。
知事
これは県だけですね。市町は3億円でしたっけ。だから軽油取引税の65億(円)は県だけですね。地方揮発油譲与税というのが配られるんですけど、これが県が4億円で、これ市町3億円というのでいいんですよね。市町は小さいと言ってはいけませんけど、規模的にはそういう感じであります。
読売新聞
ちなみにこれは新年度の予算の修正案になるんで、まだ見通しというのは立てにくい状況ではあると思うんですけれども、実際にそういうふうになった場合っていうのは、今回発表された予算案っていうのにも見直しとか、そういうことも可能性はあるんですか。
知事
そうなっては困りますので、地方財政に穴があかないように、国の方でしっかりそこを対応していただきたいと思います。
今の見込みでは当然、暫定税率込みで入っておりますけれども、穴が開くとなると例えば国から何か交付金を出すとか、一般財源としての交付金を出すとか、そういう手当てが通常考えられると思いますけれども、何らかの措置をしていただかないと、国の方でも来年の地方財政対策はこうですと、これだけの財政の規模を確保するために税収なり地方交付税はこれだけですということをやっている、それをみんな前提に予算を組んでいるわけですので、それに穴が開くとなると、そこを埋めるということはしっかり国の責任でやってもらう必要があると思います。
日本経済新聞
3点お伺いします。今回の予算案を読んだ限り、産業振興と人口減にかなり重点的に配分されているなと思うんだけど、これはやはり山口県の、知事もおっしゃってる強みと人口減なんかは毎回、県政最大の課題だというふうにおっしゃったのですが、要するに強みと強みを伸ばし課題を克服しようとするためにその2分野に重点的に配分しているという認識でいいでしょうか。
知事
そうですね。今、非常に人手不足の一方で、その投資については過去最高2年連続ということでありまして、山口県は特に山口は産業の歴史が古いといいますか、歴史的にも非常に早い時期から工業、ものづくり、そうしたところにエネルギーを注いできて、いろんな産業インフラ、港もこれだけ多くの重要港湾があるところはなかなかないですし、また工業用水も日本一の最大の供給量を誇る。いろんな産業インフラが整い、その中でものづくりの産業というのは非常に集積をしてきておるし、これがさらにこれからの成長産業がますます集積する形で立地が進んでいるということ、これは大きないい流れだと思いますし、これから地域間の競争が激しくなる中で、山口県としての大きな強みだと思いますから、ここはさらに伸ばしていきたいと思うのですね。
その一方でネックとしては人手不足、これが最大のものであります。われわれ今、企業誘致の案件も100件ぐらい毎回常に抱えていろんな相談をしますし、私も直接企業の方とお会いをして、山口への進出を考えていただきたいということも言って、非常に災害も少ないし関心は持たれているんですが、やっぱり言われるのは人手が確保できるかどうかというところがネックなわけですね。
そうしたところで、やはり将来のこれからの成長を支えていくためにも、人材の確保というのは大変重要な要素、最も重要な要素になっておりますし、そうしただけではなくて、今言いましたように、実際に生活を支えるいろんなサービスですよね。バスとかタクシーとか、あるいは保育とか、そうしたところもなかなか担い手がいなくなってくると産業を伸ばしていくことよりも何よりも、そもそも地域で生活をしていくというところが、必要なサービスが維持できなくなるということになってきますので、そうしたところは大変、切実だと思っています。
これらについて、個別に課題のあるところをしっかりとターゲットを捕まえて必要な対策を講じるということが、今回大きな考え方として取り組んでいるということになります。
日本経済新聞
ということで伺いますけれども、その中で産業振興と人口減、社会減、自然減対策それぞれあると思うんですけど、その産業振興対策と人口減、社会減、自然減それぞれ三つの分野で知事が目玉というふうにお考えになられている施策がありましたらそれぞれ教えてください。
知事
まず社会減のところにつきましては、まず拠点をつくるというところと、それから支援策ですよね。山口に外から特に帰ってきて、あるいはIターンでも来て、山口で住んでもいいな、働いてもいいなという方たちについてのサポートをするためのセンターなり助成金、費用についての負担をするというところ、ここは最初に掲げている通りですけれども、一つ大きな取り組みだと思いますし、まさに今手が届いてなかったところ、福岡の拠点もそうですし、第二新卒という、一旦就職した人がもう1回帰ってこようと、われわれ大学へのアプローチはしていましたし、これはこれからもしていくんですけれども、新卒者で、また第二新卒という、一旦働いたけれども、またさらにそこからキャリアを考え直すという、そういう段階の層へのアプローチというところも強化をしていきたいと思っています。ここは実際に移住関係でも、若い世代の移住というのは増えてきてますので、10代20代というのはやはり転出超過なのですけれども、一方でそこから帰ってくるところは30代とかなってくると、帰ってくるとかも非常に増えてきておりますので、それをやるというところですね。
そういうふうなことと、またあとはもちろん県内定着を促進するための住宅支援とかこういったものがありますが、そういう拠点づくりとそれから支援策。
それから少子化の方は、経済的な支援といいますか、一昨年、若い世代、特に子育て世代にいろんな需要、ニーズを把握して、やはり一番大変なのは経済的な負担だということで今年、第2子の保育料の無償化ですとか、不妊治療の助成ですとか、そういう個別の方への経済的な支援というのは今年度、充実をしたところですけれども、今年はそれで足りないところといいますか、特に結婚が非常に減っていますので、結婚応縁センターも会費無料にしてやることにしますけれども、出会いの機会というのを増やしていきたいと。
少子化が進んでいく中で、いろんなネックがあるのですが、結婚が減っているというのもネックですね。今男性50歳未婚率というのが、昔、生涯未婚率と言っていた50歳での未婚率というのが、男性は25%をもう超えておりますので。昭和45年ぐらいは2%だったのですね。女性は1%ですけど、今はそれぞれ25%ぐらい上がっているということで、そもそも結婚が減っている。ただ一方でイベントをやるとかなり多くの方が集まったりするのですね。今年度、昨年度もかなりの人が集まったり、あるいは結婚応縁センターは無料にすることによって会員が増えたりということがありますので、そういう希望する方についての機会をしっかり作っていくっていうところは、まだやれることはたくさんあるだろうということでやるのと、あとは少し個別の話になりますけども産後ケアとか、やはりお母さんがお子さんが生まれてから最初の時期というのは非常に不安定な時期でありますし、いろいろ悩みも多いし、ストレスなり負担も抱えやすい時期ですので、これ基本的には市町村が行うというのが原則なのですけれども、県全体で、特に産後4カ月以上の母子を対象に宿泊施設を活用した産後ケアの全県的な提供体制、これも県としてそこまで踏み込んでやっていこうということでありますし。いろんな医療的ケア児もそうですけど、困難を抱えているところについて、しっかり寄り添ってやっていこうというところが大きく特徴としてあると思います。
それから産業振興の面ですかね。ここは、全体的に県内の企業の成長を促していこうという大きな基調は、全体を通じてあるんですけれども、新規の施策としてはこのコンビナートのカーボンニュートラルに向けた研究開発実証ですね。ここは今までも補助はあるのですけれども、まずこの単体でやるのだけれども、より成熟度が増していけば広域、関連する企業も巻き込んでやっていけるという、そういうたぐいの研究開発もありまして、そういう部分をしっかり支援していこうと。
カーボンニュートラルの関係は、これからの情勢、見通しがなかなか視界不良の面もあるのですけれども、一方で石炭火力をどんどんいつまでも使っていくというわけには多分いかないですから、これに切りかえていくというところが、山口県の産業が持続的に維持され、成長していく上では重要な要素だと思いますので、そのチャレンジを企業任せにするのではなくて、われわれとしても後押しをして、ぜひそうした方向での研究なり開発を進めていただきたいということですね。それが一つ大きな拡大のたまものです。
ちょっといろいろと言ったんで、どれか1つがいいと思いますけど。
日本経済新聞
確認ですけど、4ページで出てる上の二つがまず社会増減の関係で、自然増減で言うと6ページの上の二つで。
知事
まあそうですね。
日本経済新聞
そういう理解でいいですか。
知事
そうですね。概ねその柱と頭に書いてあるやつはそうだと思ってもらって。
日本経済新聞
最後に一点だけ。このいただいた「主な事業の概要」というやつを開いて、3つの維新の産業維新の中で、中堅・中小企業の底力の発揮っていうのがこの中の事業としては一番額としては大きいんですけど、やはりこのあたりは大手企業を引っ張ってくるだけでも弱いし、中堅・中小のやっぱり企業集積がないとやはり。
知事
何ページって言いました。すみません、手元になかった。
日本経済新聞
最初の1ページですね。中堅・中小企業の底力の発揮っていうのが824億(円)って1番大きくなっているんで、要するにこれは大手企業を誘致するだけじゃなくて、ちゃんと中堅・中小企業の集積がないと意味がないということはあると思うんです。
このあたり意識して、中堅・中小もやってることでいいですかという。
知事
多分この金額は制度融資が多いのかな。そうだよね。なので、ちょっと真水といいますか、そういったものではない部分が多いんですけれども。ただやっぱり中堅・中小というところ、今ちょっとコンビナート企業というと、どうしても瀬戸内にある大きな企業を想定しますし、今、取り上げた例はそうだったのですけれども、やはり県内の中堅・中小企業、経営的にも非常に体力的にも弱いところあるのですけども、しかしそれぞれが優れた技術を持ったり、いろんなチャレンジをしていますし、そうした企業がしっかりと伸ばしていけるようにしていくということが、県全体にとって大変大きな力になってまいります。
企業、圧倒的、ほぼ全て中堅・中小企業なわけですから、そこについてのいろんなチャレンジを支援していくということですね。それから効率化とか、人手不足に対応するいろんなチャレンジについても、支援をしていくとか、ここはさまざまなメニューがありますけれども、きめ細かく支援をして、それぞれの企業が描くような、成長なりができるように応援していきたいと思います。
防府日報
まず予算のことなんですけれども、知事は、やまぐち維新プランのときから、3つの維新というのを掲げて続けてこられましたけれども、ここ2年ぐらいはどちらかというと生活維新の分野に対する、新たな事業であったりということが増えてきているように思うんですけれども、そのあたりは、産業であるとか交流であるとかというところについては、ある程度一定の成果が上がっていて、やはり今取り組まなければいけないのはこの生活を、どう向上させていくかっていうところなんでしょうか。
知事
産業、交流、これはどれも県の活性化なり、活力を高めていく上で重要ですので、その年その年でやることが違うというか、一連の目指している中で、そのとき必要なことをやっていくのですけれども。
もちろん例えば産業の集積とか、そうしたところで成果が上がってきているところもありますし、観光とかの面でもいろんなコンテンツが整ってきたりとか、インバウンドが拡大したりですとか、そういう成果が表れてきておりますので、そこはしっかり伸ばしていきたいというのがありますけど。
一方で、いろんな防災とか減災とか、非常に能登半島地震、また南海トラフの懸念があったり、そうした中でより対策を強化していく、あるいはその被災者の支援ももっときめ細かく充実していくということは求められていますし、今回も情報通信の関係でも市町の避難所を支援するようなことを県としてもやっていくということにしておりますけれども。いろんな技術なり、新たな製品ができたりとか、そういったことによって改善できる部分というのも出てきておると思われますけれども、しっかりと対策を強化していく、そういった、逆に背景としては災害が頻発化・激甚化している、リスクが高まっているというところの中でしっかりやっていかなければいけない部分もありますし。あとは安心安全という面では、今度、総合医療センターも建て替えますし、またそれ以外にも、環保セン(山口県環境保健センター)とかいろんなこともやっていきますけれども、これもやはり将来に向けて安心して山口県で住み続けられるような、その環境の整備、もちろん市町もそれぞれ取り組んでいますけれども、県としてしっかり最後を支えていかなければいけないところというのは、しっかり作っていかなければいけないと思いますので、こうしたことについて、力を入れていくということはますます必要になってきているだろうと思います。
防府日報
現在のやまぐち未来維新プランっていうのは、2026年度までの計画になっておりますけれども、知事の任期はあと1年ということで、私、勝手に知事のお気持ちを推察するに、やはりこの計画の最後を見届けたいんじゃないのかなと思うんですけれども。事前にお約束していた質問です。その次のことについて、今の時点で何かお考えになっていらっしゃることでありますでしょうか。
知事
今、年度としては、最終年度にまた入るということになるんですけれども、維新プランといいますか、産業交流、それから皆さんの安心・安全の確保というところで、県のやるべきことはたくさんありますので、これに向けて取り組みを最大限進め、成果も一定表れてきておりますが、まだまだ新しい課題も出てきたり、より深刻化しているものもありますので、来年度の予算でそれにしっかり対応していきたいと思いますし、予算を通しただけではなくて、これをしっかり執行をして、その取り組みが狙った通りの、あるいはそれ以上の成果を上げられるように全力を挙げていくということに注力をしていきたいと思っております。
先のことについては、また改めて考えたいと思います。
中国新聞
観光に関連してお伺いするんですけれども、今回、予算案にも盛り込まれていると思うんですけども、今年から万博やプレDC(デスティネーション・キャンペーン)、であと来年のDCや再来年のアフターDCなどニューヨーク・タイムズの掲載以降、本県の観光にとってもチャンスが続くと思うんですけども、知事はこの先の3年間を見据えた中で、2025年度県の観光にとってどういう年だと位置づけていかれますか。
知事
ステップとすれば、大阪関西万博があり、そしてDCがあるということで、観光全体としてはやはりDCを目指してやっていきたいですし、そのためにDCで一つ大きな観光の流れを作っていく。それはその年だけの取り組みではなくて、その前の年、来年度からいろんなコンテンツを作っていくとか、あるいはそのコンテンツというのは観光だけではなくて、例えば食とかそういったものも含め、取り組みを強化していかなければいけませんし、DCに向けて例えばここに書いてあるような文化財等についても、瑠璃光寺や錦帯橋とか優れた資産がありますけれども、よりその魅力を、あるいは魅力なり、行ってみて良かったなってことが高められるようなコンテンツを作っていくということもやっていきたいと思いますし。アウトドアの関係でも、今、秋吉台、秋芳洞の方でも新しいコンテンツをアウトドアのものを作ろうとしてまして、もうすぐ発表できると思いますけれども、そうしたものもやってきております。
なので、大きく、目標としてはDCをしっかりと置いて、それのための準備といいますか、コンテンツ作りというのを来年度はしっかりやっていかなければいけないと思っておりますので、そのことに全力を挙げていきたいと思いますし、これは県だけではなくて、観光関係の団体、それから市町も一緒になってやっていかなければいけませんので、しっかりとこうした大きな組織の中で、一丸となってDCに向けてステップアップをしていく、DCを成功させるための素材なり、準備をしっかりしていくと、そういう年にしていきたいと思います。
中国新聞
関連でお伺いするんですけども、その中で県は「新たな観光県やまぐち創造プラン」の中で、2026年の年間の延べ宿泊者数を、550万人を目標にされてると思うんですけども、2024年の年間まだ出てなくて、11月までの数値であるんですけども、合計を足し合わせてみると333万5000人[334万人]で、おそらく12月分を足してもおそらく360万人ぐらいになるんではないかなと見込まれるんですが、そのニューヨーク・タイムズ掲載があった2024年であっても前年に比べ逓増の状態の中で、なかなかまだ目標値に比べて開きがあると思うんですけれども、知事としては、そのあたりを現状をどう分析して、改めてそれが今回の予算にどう反映されてきたのかというところもお伺いできますか。
知事
一つは、コンテンツ作りで新年度、いろんなことをやっていこうということですね。やはり来て何をするのか、何が楽しめるのかというところの魅力をもっと増やしていきたいと思うのですね。
山口県は非常に素材といいますか、食も良い素材があり、また観光面でも、瀬戸内海も日本海もあり、秋吉台もありというところなんですけれども、もっとそれを行って楽しめる、特別な体験ができるとか、そうしたところについては、コンテンツをもっと磨き上げるというか、作っていく、そういう余地というのはたくさんあると思っていまして、それをまずやっていく必要があると思いますし。
あとは二次交通ですよね。やはり来たときに、周るのがなかなか不便だというところがありますので、ここは二次交通の強化も、このDCに向けての中で考えていくということにしております。
それから、あとは情報発信ですね。これ本格的にはその年になると思いますけれども、それに向けましてしっかりとプレキャンペーン等、あるいは今年は万博もありますから、そこでの山口県のブースもありますけれども、しっかりと情報発信をしていくというところも強化していく必要がありますし、そのための取り組みも始めることにしております。
中国新聞
私から一点。今回の予算に3ページに「成長のエンジンとなる産業力の強化」というのを掲げていらっしゃいまして、先ほど知事のご発言にもありました、昨年、一昨年と設備投資額は2年連続で1000億円台を超えておりますが、改めて、一方、県内の人手不足が深刻さを増す中で、企業誘致というのはどのように山口県の人手不足解消といいましょうか、プラスになるのか改めてお考えを伺ってもいいですか。
知事
もちろん個々の企業が来て、そこに人が張り付いてという中で、人がとどめられたり、確保できるというのが一番、目の前のことといいますか、直接的な効果だと思いますけれども、そういう個々のものというのもあるのですが、山口県全体としてやはり産業の集積があるというところが大事だと思うのですね。
だから、個々の企業の誘致が単品のものとしてあるわけではなくて、全体としてやはり、特に世界に向けて高い競争力を持って、さまざまな技術や生産ができるというところは、これは他にない強さとして、もっともっと高めていきたいなと思っていますし、こうしたものがある、もちろん全ての産業大事なんですけれども、そうしたものが県を引っ張っていくっていうところが、これからの地域間の競争に勝っていく上でとても大きな山口県の優位性になると思うのですね。
やはり、地域内の経済だけで完結していると、人口減ってると当然そこから縮小していくので、そこに歯止めがかかるような(ものが)、何もないわけですけれども、やはり山口県発で、日本として世界に向けて、大きな例えば価値だったり、オンリーワンの技術だったり、そうしたものをあるということは、これは非常に地域を維持していく、あるいは発展していく上での大きな強みだと思いますし、これからの発展可能性もあるわけですよね。
市場というのは、どんどん日本は人口減少しておりますけれども、世界的には人口増えたり、あるいは今言った半導体とか蓄電池とか、あと医療の関係でもすごい技術はたくさんありますけれども、そうした分野というのは需要が増えていくところですので、将来性という意味では非常にポテンシャルが高い。そういったものの集積が山口に積み重なっていくということは、これは地域間競争をしていく上で大変大きな力だと思いますし、それが人をとどめていく力にもなると思います。
いろんなサービスとかが減っていくというところは、やはり何か悪循環みたいなところがありまして、人が減っていくとますます担い手がいなくなるから暮らしづらくなって、さらに人が出て、さらにサービスが悪くなってという悪循環になるわけですけれども、その一つ、大きな歯止めとして、県の中での県外、国外に向けてしっかりと競争力のある産業が多く存在している、集積をしているというところはそうした動きに歯止めをかけたり、地域を残し発展させていく、大きな力だと思いますので、そういった意味でこの集積を図っていきたいという思いを持ってやっているということですね。
ただ、今言った、周りの方から、例えば周辺、福岡はちょっとすごい取られて、他のところは割と多くの人が来たりということもありますので、山口はそういった意味で働く場所だったりあるいは住みやすさですとか、そうした面で、われわれ、非常に優位性もあると思っておりますので。そうした一方で、人が流出しているところについては対策をしっかり講じ、人をとどめたり、あるいは帰ってくる、Iターンで来る、そうしたことを増やしていくということの努力を他方でやっていく必要もあると思っています。
朝日新聞
ちょっと個別2点、交通、二次交通と一度お話触れていましたので、まずここからお聞きします。
今、JR美祢線の協議会(JR美祢線利用促進協議会)進んで、来年5月に総会という流れで進んでいるかと思うんですけれども、このあたり知事としては、今、鉄道にするか、ないしはBRT(Bus Rapid Transit)かバスかっていう、そういう議論は進んでいますけど、どこかで、どこかのものに着地してそれなりな金額、おそらく県の予算措置というのも避けられないというか、それがないと市町は当然やっていけないっていう、ちょっと一般論的なもう、見立てがあるかと思うんですが。もちろん議論は進んでいますけど、いずれ来る、来たときに、知事はどのような判断、要は県として予算措置、市町にしますか。JR九州の当時の蒲島さんの事例もありました。そういう事例もありますので、決して新しい事案ではない。知事として将来どう見ていらっしゃいますか。
知事
今、復旧検討部会での検討が進められています。われわれとしてはJRが、基本的にはJRの負担で、元通りに戻して欲しいというのが一番の願いでありますけれども、JRの方はそれは受け入れられないというところの中でいろんな代替案といいますか、他の選択肢が示されていて、それぞれもう少し具体的な検討しながら、並べながら議論がされているという状況だと承知をしております。
なので、今の段階でどういった形で、あるいは最終的に県がどういう負担をしてとかというところをお答えできる状況ではないわけでありますが、今後、今実証されている増便とか快速便の実証の実験ですとか、住民アンケートの分析結果含め、復旧検討部会で取りまとめを行われて、5月の利用促進協議会の総会で報告をされるということでありますので、そうした状況ですとか、沿線自治体の意向等を踏まえながら対応を検討していくということになります。
朝日新聞
ちょっと突っ込んだ質問、失礼いたします。そういってももう予定されておりまして、今後、おそらく市町三市、美祢市・山陽小野田・長門ですかね。おそらく県への後押しっていうのはおそらく間違いないと思いますので、このそういうタイミングが来たときに、知事としては先の話ですが、いずれ必ず来る、来るべきときは来ますので、そのときっていうのはどのような対応されるのかなという質問でございました。
知事
そこは、あらかじめこうしますということはお答えする状況にもないと思いますけれども。ただわれわれも当然地元の市町、よく話を聞きながら、県としても広域自治体の立場で関わってきておりますので、そういう中で最終的にJRも含めてコンセンサスを得て結論を出していく必要がありますので、その中でしっかりと役割を果たしていく必要があると思っています。
最終的な形ですとかいろんな負担ですとか、そういう中で、おのずと決まってくる話だと思います。
朝日新聞
二つ目です。県の総合医療センターの件で、お尋ねです。
今、高規格化に向けて整備拠点をされて、予算措置されていると、基金も上げていると思うんですけども、これちょっと話はすごく分かるし、全国的な流れなので拠点にする、高規格化する、おそらく三次救急と思うんですけども、高齢化率はもちろん上がってるんですけど、一方でその実数というのは人口減で下がる、これ数字のどれをとるかってあるんですけども、間違っていたら教えて欲しいんですけど、500床を変わらず500床で高規格化するという計画かと思うんですが、このあたり、高規格化はすごくわかるんですけど、そのサイズ感っていうのはもう維持されるんでしょうか。他の病院とのすみ分け等も含めてですね。このあたりの質問です。
知事
そこも将来的にどれだけ必要かということをよく踏まえて議論をした結果、検討しているということになります。
それぞれの病床、ざっくりと病床どれだけ必要かというところは、地域医療構想ですとか、そういう中でエリアごとにしっかり考えてという中で、最適化を図っていくという流れが一方でありますし、そういう中で県の全体の必要な病床の確保なり、適正化に向けての取り組みというのは県としてもしていくということですね。
一方で、医療センターは医療センターとしての果たすべき機能というのがあって、それにおいて必要なものはどれだけかというところを考えていった結果、今の検討状況になっているというところでありますので、これをしっかりと確保していくということが重要だと思っております。
誰か答えられますか、病床数。
財政課長
512床で現行の病院とほぼ一緒です。
朝日新聞
私の質問はこれを最後にします。ちょっと総論的な、先ほど知事の進退について、前回もそうですけど、先のことについては考えていないと、オフィシャル的にはそうかと思うんですけども。
知事はご趣味がジョギング、フルマラソンも何回か経験されているとお聞きして、私も何回かやっているんですけども、知事の中で今、何キロ地点ぐらいにいらっしゃるという、いかがでしょうか。
知事
よくそういう質問ありますよね。ちょっとまだその質問、まだ早いなと思うんですけど。そうですね。1期1期、しっかりやるべきことをやっていきたいと思っておりますので。
今、4分の3ですからね、この1期はしっかりと残りの40キロを4で割ると残り10kmですからね、大変なところだと思いますけど。しっかりと、狙った成果が出せるように、今回の予算は、これまでの成果の上にも立って、さらに深刻化している課題に対してしっかり取り組んでいこうというところでありますし、非常に難しい課題も多いんですけれども、しっかり成果を上げられるように頑張っていきたいと思います。
朝日新聞
長くなって、これで止めます。もしかしたら、本格予算が、もしかしたら最後になるかもしれないので、あえてこういう聞き方をせざるを得ないんですけど、今回どのような思いで改めて胸の内というか、予算編成、10年余りタクト振るって予算編成して県政運営、首長としてやってきたわけですけど、今回改めてどういう思いで編成されましたでしょうか。これで最後にします。
知事
自分の任期と重ねてということの思いは、ちょっとあんまり無くて、知事になってから、やはり私はもう日本のこの地方が非常に活力を失っていくというところに危機感を持っていて。それは、地方は素晴らしいいろんな人がいて資産があってっていうところもあるのですけれども、日本全体のためにとっても良くないと思うのですね。地方が非常に活力を失っていくっていうのはですね。
そういったところで、山口県で生まれ育ったものとして、ぜひ山口県に貢献したいという思いでおりますけれども。
そういう中で、やっぱりやるべきことは産業の振興と人の減少などを食いとめていくっていうところが、大きくいえばその2点であります。
そういった中で一定、産業の集積であったり、強みという部分を伸ばしてきているとは思っております。このところのさまざまな投資の実現ですとか、そうしたことだったり、あるいは人についても、移住の関係とか、そうしたものを増やしてこれたりですとか、少子化についての寄り添った支援ができたりとか、いろんなことは実現できてきたかなと思っていますが、ただ、大きくこの人口減少や東京一極集中というのが、より大きなアゲインストの風として吹いていますので、これに対してより強力なことをやっていかなければいけないということに至っていると思っておりますので、そうした意味では今回いろいろと分析もしながら、必要な対策をしっかりと行っていくということによって、何とか歯止めをかけていきたいと思っているということです。
何かこの、ハード整備とかそういうのだったらわかりやすい、ここまでがゴールで、そこに向けて達成するんですけど、やっぱりわれわれがやってることっていうのはどちらかというと、非常に厳しい状況がどんどん進行する中で、何とか食いとめていくところなので、なかなか終わりのない世界である面はあると思いますが、しかしよく現状分析し、県としてやるべきところをしっかりターゲットを絞って効果を上げていくというところが大切だと思いますので、そうした思いで今回の予算も組み、施策をしっかりと実行していきたいと思っています。
山口新聞
ちょっと当初予算の話に戻しますけれども、人材不足の話を冒頭から知事おっしゃってるんですが、ちょっと私、昨日、担当課とかに取材をしてみて、人材不足、いろいろ知事も企業からは人手が足らず大変だと切実な声を聞くと冒頭おっしゃっていて、実際そうなんだろうと思うんですけども、その根拠となる裏付けというのがちょっと担当課に聞いてもいまいち私、ストンって出てくるのがなかったんですが。何か労働局がまとめてる有効求人倍率がここ数年高い、これは確かに今日、先に労働局に確認したら実際そうなので、人が足らないんだろうという、一つのデータだろうと思うんですが、県が人材不足に危機感を持って、取り組みをされようとしていく裏付けとなるものっていうのは何かあるんでしょうか。
知事
データ的に言えば、今の有効求人倍率とかになってくると思いますし、実際の人口減と転出超過が拡大しているというところになってくると思います。
それとともに、われわれは経済関係団体、商工会議所とか経営者協会とか、いろんな方々と話をしますし、またそれ以外も福祉の分野とかさまざまな保育の分野とか、いろんな方々とお話をしますと、とにかく皆さん人が確保できない、足りないということをもう一番最優先におっしゃられます。やはりそれだけ人手不足が深刻なんだと思いますし、実際にこれまで就職をしてもらっていた高校とかも、来れなくなったとか、取れなくなったとか、そういったことを非常に聞くわけですね。なので、やはり実際のさまざまな事業活動を行われている方々の声としても、非常に大きいものがございます。
また、例えば運転士不足とか、個別にも施策をやっていますけども、やはり採算が取れないとかいう、非常に経営的な厳しさもあるのでしょうけれども、それだけではなくて、やっぱり人が確保できない、運転士がいないからサービスができないというところが、現実に出てきているわけですよね。
介護ですとか、そういうところの深刻さというのは以前から言われてますが、これもさらに深刻になっていますし、保育の方も、われわれも今回、施策も充実し、保育料無償化にし、また国以上の加配、人員配置をした場合に県独自の補助もしたりしていますけれども、いかんせんその人がそもそも確保できないというところで、そうしたサービスの提供が難しくなってきているというところが現実にあらわれてきておりますので、全体としての人手不足感というのは、数字もそうですけれども、実際の生の声といますか、いろんな所からの声は、ここ1、2年は特に強くなってきていると感じてますので、これに対してはしっかりとこたえていく必要はあると思います。
山口新聞
それから人手不足に限らずなんですけれども、予算編成されるに当たって、今回、知事、担当課、いろいろ部局に政策とかをあげるように準備されていると思うんですけれども、何か予算編成するに当たって、部局に具体的に指示したこと、こういうところに力点を置いてこういうアイデアを出してくださいとか、何かそういったものっていうのがちょっとあれば教えていただければと思うんですけれども。
知事
それはいろいろありますけれども、さっきの福岡の拠点もそうですよね。あれも私が検討の指示をしてというか、それで行っているものですけれども、人手不足対策でしっかりと現状分析をして、足りないところ、やるべきところについて、要は人手不足対策、やればもう果てしなくやることがあるわけですけれども、どういったところに課題があるのかというのは、もう少し解像度を上げて、対策をしっかりと効果のあるところに打っていくというところが必要です。当然、予算も人員も限られているわけですから、限られた資源を意味のあるところにしっかりと入れていくというところでは、課題についての解像度を高めて、そこについてしっかりとターゲットを置いてやっていくということですね。
そういった中で、拠点についても人口の動態の状況から、福岡にしっかりと拠点を置いていこうですとか、あるいは例えばこの若者の住宅ローンの支援、これについてもやっぱり20代までにしっかりと拠点を設けた、住まいの、その暮らしのまさに拠点となる住宅を取得した場合に、県外へのその先の転出というのは非常に防がれるとか、いろんなものもさまざまなデータ等からも分析をして取り組みを行っているということですね。
なので、全体的にはやはり、課題感としては人手不足、それから少子化、それからまた安心安全の確保等もありますけれども、そうしたことについての現状の分析なり足りてないところの把握と、それについて効果的な施策を行うという中でのさまざまな事業化という、新規事業なり拡大の事業に至っていると、そういった認識です。
山口新聞
福岡の拠点、相談支援拠点の新設とかは、これはもう知事のアイデアで。
知事
そうですね、私が最初に言い出して検討を促したものであります。
山口新聞
それから住宅ローンの利子の一部負担軽減も、これは知事のアイデアなんですか。
知事
これは私ではないですね。ただ、もちろん若い人たちへの対策として何がいるのかというところの中で、一つ、住宅への支援というところはこれまでやってなかったところであるし、一方で各市町が結構、いろんな措置をやっていて、そこは実際に人を留めていく、若者を留めていくという上では、いろんなやはり効果が見込まれるということで、各市町の方でも独自の取り組みをしておりますので、そこをさらに県としても協調して、行うことによってより効果を高めていこうと。そういった現状の把握等もしながら、各担当課の方で考えていったというものであります。
山口新聞
それからちょっと最後の質問としますが、いろいろ市町でやっているものもあれば、市町で限界があるので、県がそこをカバーしてやろうっていう事業も、昨日、担当課の方にいろいろ聞くときめ細かに配慮されているなという実感はあったんですが、これ一方で、ちょっと話飛びますけど、総務大臣は何か、将来県庁はなくなるかもしれないとかっていうような話もあったりして、広域自治体としての役割、その人口減少する中で、市町がもちろん市町で努力はされる、国は国で努力はされる。その中にある広域自治体としての役割っていうのは、どんなところにあるっていうふうに思われて、今回も予算編成されてると思うし、これから四期目を出馬されるかどうか分かりませんけれども、広域自治体としての役割っていうのはどこにあるっていうふうに思われていますか。
知事
それはいろいろあると思いますけれども、例えばわれわれ、産業の集積というところでいいますと、県全体を見たときに、例えば企業誘致にしても、いろいろと企業とのネットワークだったり、あるいは適地なりを県内でいろいろと紹介したりつないでいくっていうところは、相当、県として広域をカバーしてやったり、ネットワークをつくるからできるわけですね。
個々の市町村に本当にそれだけの企業といろんなネットワークを作りながら誘致ができるかというとできないし、一つの市町だとなかなか選択肢としてはどこがありますよというところもうまく向こうのニーズに合ったような形でのサポートもできないというふうに思いますので、それ一つとってもやはり県としての役割というのは非常に大きなものがあると思いますし、コンビナートの支援ですとか、そういった規模の大きな企業のやっぱり大きな投資とか研究開発とかはお金がかかりますので、それに対してどんと支援ができるというのは、やはり県ぐらいの規模がないとなかなか難しいだろうなというふうに思います。
あとは例えば災害とかの対応でも、今回、避難所についても環境が整備されるようにというようなことで、備蓄にしても何にしても、県全体ではこれだけのものはしっかりカバーすると。個々の市町では避難所の体制とか、何かあったときの資材とか、そうしたもので、個々の市では対応できないけれども、県全体でそういったものをしっかりと持って、いざ大きな災害が特定の県内の地域に起きたときに、そこをしっかり支援するとか、そうしたことも作っていくわけですね。
あとは医療の面で言いましても、医療センターというのはやはり各市町の1次あるいは2次の世界ではできないところをしっかりと県全体で、高度の医療だったり、周産期だったり、あるいは感染症対策だったり、災害対策だったり、災害医療だったり、そうした部分というのは広域自治体だからこそできるし、調整も円滑に行われるというところはあると思いますので。そうした役割は非常に大きなものがあると思っております。
山口新聞
人口減とかそういう部分に関しては。少子化とか人口減少のところでいう広域自治体とか。
知事
もちろん特に子育て関係というのは、市町村の事務になっているところも多いんですけど。例えば今回で言いますと、産後ケアのところ、宿泊をしてしっかりと休んでもらうというところ、これは各市町が本来やるのですけれども、なかなか各市町ではしっかりと体制が取れない面があります。一方で、このニーズは非常に重要でありまして産後ケア、特に産まれてから大変な不安定な時期にしっかり安心できる場所というのを提供するというのは、必ず必要でありますので、そういったところは県が広域自治体の役割で、県全体としてカバーしていくというところも、もちろんあると思います。
補完的な役割大きいと思いますし、結婚応縁センターとかいうのも、県の大規模な紹介やイベントというのも市町村では難しい面もあるかもしれませんけれども、広域自治体だからこそできる部分というのは多くあるというふうに思います。そういったところですかね。
山口新聞
産後ケアのやつ、まさに昨日、担当課の方にも言われてて、なるほどと思って、今知事もおっしゃったように偏在するし、場所が市町であると。4カ月でしたっけ、の人たちってなかなか医療機関に受け入れがしてもらえないんでしたっけ、というところなので、ちょっと県として全県的に提供体制を作ろうということになったんですって言われて、なるほどと思ったんですけれども。そういうところはきちんと広域自治体としてカバーしてやっていきたいということですね。
知事
基本、大きく言うと産業政策タイプはわりと県が持ってるところが多いと思うんですよね。住民向けのサービスというか、個別の住民サービスが基本は市町村が役割分担上は持っているところが多いですけれども、ただやはり市単独ではできないものとか、なかなかそこまでできないっていうところでも必要な部分というのがあって、そこは県という大きな単位であれば、しっかりとできるというか、やるべき、そういった分野というのはありますので。これが一つ例としてはありますけれども、そのような役割をしっかり県として果たしていくということは、これは大切なことでないかと思います。
山口新聞
私が言い直しては申し訳ないんですけども、要はその地域の偏在とかを解消するために全県的にあまねくサービスが提供できるようにっていうために、県として役割を果たしていきたいっていう。
知事
あまねくというところもありますし、なかなかそこまでできないというところだけど、必要なものというところですね。何かのときに備えておくとか、まさに感染症とかはそうだと思うんですけどね。常に専門性も要りますし、何かあったときにやはり個々の市町でそれぞれ完結的にやるというの難しいけれども、より大きなところではしっかりとカバーをすべきものだというところはありますので、そういうところ、最後の砦といますが、山口県という広いエリアの中での、最後のしっかり支えていくというところは県がやっていくべき、その責務はあるとは思います。
時事通信
前の質問でもおっしゃっていましたが、先日、村上総務相が、市町村の数が300から400に減り、県庁も全部いらないという発言がありましたが、それに対して、国と地方自治体のあり方について知事の見解をお聞かせいただきたいです。
知事
国と自治体、いわゆる統治機構というか、いろんな形がありますけれども、日本は国があって、都道府県があって、市町村がありますといったそういった構造ってわけですよね。今言ったようにそのような役割が県には与えられていて、それはしっかり果たしていく必要があると思います。
村上大臣の発言の趣旨はちょっと私も全部聞いてるわけではなくわかりませんけれども、人口もどんどん減っていくし、市町村も300ぐらいでいいのではないかという話なのかなと思います。そうなったとき県はいらないのではないかという話かなと思います。今世紀末とかって言っているんでしたっけ。今世紀末くらいではなかったかな。そんな話、時間軸ではそんな話。
300というと、山口県って人口、全国の1%ぐらいなんですよね。単純にいうと300というと山口県の三つの自治体になるかもしれませんね。そうすると三つの市なのに一つの県がいるのかっていうと、それはいらないのかもしれないですね。だけど、今言ったような県の機能というのは、どこかが必ず担わなければいけない、一つの市で完結できればいいけどできなければそこは見なければいけないと言われますし、ダイレクトに国ってできるかというとなかなかできない、やはりなかなか目が届かないと思うのですね。私、北海道庁にいるときに市町村課にいましたけど。北海道内212市町村あるのですけど、道庁では全部できないです。それはだから支庁というのを置いてそれなり中央、道の権限を14支庁、14個におろしてですね。それぞれが基本的には市町村の行政のいろんなサポートなり、相談にのるっていうことをやって、全て北海道庁が212市町村全部把握していくということは、とても把握できないわけなんですね。
やはり300、400といっても、それはそれなりに、一定の何かまとまりでそのエリアでの課題というのに対応していくという、きめ細かく対応していくというのは要るのではないかとは思いますけれども。
それよりも何よりも、そうならないようにしっかりと人口減少とかに歯止めをかけていただきたいなというふうに思います。このままいきますと本当に一極集中がさらに進んでいきますし、単に人口が減っていくというだけではなくて、やはり日本の中で担うべき日本が活力を維持したり、伸ばしていく上での大事な要素というのがどんどんと失われていくと思いますので。そうならないようにしっかりと人口減対策なり、一極集中の是正をやっていただきたいなっていうことをまずは思います。もし本当に300市町村になったときに県が要るかと言われたら、今と同じような形では要らないかもしれないですね。ですけど、そういう議論は何の意味が今あるのかなっていう感じはしますけど。
※広報広聴課編集
[ ]の箇所は当課で修正しています。
作成:山口県総合企画部広報広聴課