本文
知事記者会見録・令和6年11月13日実施分
発表項目
知事
それでは本日、私からは、令和7年度の国の予算編成等に向けた政府要望について、ご説明をさせていただきます。
我が国では、少子化が急速に進んでおります。さらに、東京圏への転入超過が続き、若年層を中心に再拡大しています。このことが、われわれ地方に大きな影響を及ぼしておりますし、これまでに類のない我が国の人口減少、これにも拍車をかけているところです。
そうした中で、国におきましては、若者・女性に選ばれる地方、そして多様性のある地域分散型社会を作っていく、そのために「新しい地方経済・生活環境創生本部」、これを創設し、地方創生を強力に進めるための取り組みを検討されているところです。
本県におきましても、人口減少は待ったなしの課題であります。この克服に向けまして、若者・子育て世代のニーズに沿った独自の少子化対策、また都市部からの新たな人の流れを創出する施策を進めていくとともに、地域経済の担い手となる人材の確保・育成などに積極的に取り組んでいるところです。
また、人口減少下においても、地域の活力を創出し、本県のさらなる発展が図られるように、デジタル化・脱炭素化等の社会変革を新たな推進力にしながら、県づくりの取り組みをさらに進化させていきたいと考えています。
こうしたことから、本県では、「やまぐち未来維新プラン」に掲げた維新プロジェクトを戦略的に進めています。これを着実に実行し、そして大きな成果に繋げていく、このためには国の政策の方向性が定まるこの時期を捉えて、国の政策との連携、あるいは国の予算措置等の支援が必要なものにつきまして、関係府省庁への提案や要望を行っていきます。
要望活動は、明日14日・木曜日に、県議会の柳居議長とともに、関係府省庁に対して行います。
それでは、要望内容につきまして、概要をご説明いたします。
このモニターにありますように、この度の要望では、国の制度の拡充や財政支援等を特に求める37項目を「超重点要望」としています。
また、「国策関連要望」として、「岩国基地関連の安心・安全対策の推進と地域振興策の実施」の要望を行います。
このほか、継続的に国の支援を求めるものですとか、予算編成に向けた事業採択等に係る39項目については、「重点要望」として、関係部局で要望を行います。
以上、この度の要望項目は、77項目となります。
それでは、超重点要望につきまして、新規要望の項目を中心にご説明いたします。
まず、「産業維新」に関する要望です。
最初に、「カーボンニュートラルコンビナート」の実現に向けた取り組みの強化です。
本県の経済を牽引しているコンビナートは、脱炭素社会に必要な新しいエネルギーや素材を供給するカーボンニュートラルコンビナートへの変革を目指しています。脱炭素エネルギーへの転換に向けた具体的な取り組みが進められています。
とりわけ、周南コンビナートにおける燃料アンモニアサプライチェーンの構築に向けた取り組み、これについては国内のみならず、世界に先駆けた果敢な挑戦であります。実現に向けましては、既存の燃料との「価格差に着目した支援」などの国による大規模な経済的支援等が不可欠になります。
このため、こうした国の支援を受けるために必要となる、水素社会推進法に基づく事業計画の認定を求めるとともに、県内のコンビナートにおけるサプライチェーンの拡大に繋がるアンモニア等の利用促進に向けた取り組みへの支援などを要望を行うものです。
次に、地方における人手不足対策の抜本強化についてです。
人口減少や少子高齢化が進行し、生産年齢人口の減少が続く中、地域を支える産業が持続的に成長・発展していくためには、その基礎となる企業における人材の確保・定着に向けた取り組みをさらに強化していくことが必要です。
このため、地方企業への就職率の高い大学に対する支援制度や、地方と都市部との賃金格差の解消に向けた地方企業への助成制度など、若者の県内就職・定着を促進するための強力なインセンティブの創設等を要望します。
このほか、半導体・蓄電池関連産業の集積の促進や、コンビナートの国際競争力強化に向けた港湾の整備、産業力の強化等に向けた基盤整備などを継続要望します。
次に「大交流維新」に関する要望についてです。
まず、「錦帯橋」の世界文化遺産登録についてです。
この世界文化遺産の登録に向けましては、まずは、国内の推薦候補となる暫定一覧表に記載されることが必要となってきます。国におきまして、今年度から、新たな資産の暫定一覧表への追加の記載に向けた具体的な検討が行われているところです。
錦帯橋は昨年、創建350年という大きな節目の年を迎えました。歴史的・国際的価値の高い貴重な文化財であります。これを人類共通の財産として次世代に継承していくために、この機会を逃すことなく、世界遺産登録への大きな前進となるこの暫定一覧表への追加記載と、そして世界遺産の登録に向けた取り組みをさらに推進していくための支援を要望するものです。
なお、この要望は、翌日の15日に京都の文化庁に対しても要望活動を行います。
次に、Mine秋吉台ジオパークのユネスコ世界ジオパーク認定に向けた支援についてです。
先月、国内最大級のカルスト台地や鍾乳洞等からなるMine秋吉台ジオパークが、世界ジオパークの国内候補地として、ユネスコに推薦されることが決定されました。
この国際的にも価値の高い資源を、国内外へPRし、知名度の一層の向上を図りながら、地域の持続的な発展・活性化に繋げていくため、世界ジオパークの認定に向けた、専門的・技術的な助言や地元の取り組みへの財政的支援の強化などを要望するものです。
次に、自然公園の保護と利用の好循環の実現に向けた支援についてです。
Mine秋吉台ジオパークのユネスコ世界ジオパーク認定に向けた国内推薦の決定などを追い風に、自然豊かな本県の強みを最大限に活かし、新たな人の流れと活力を創出していきたいと考えています。
このため、本県の魅力あふれる自然公園の来訪者増加に向けて、自然景観の改善や自然公園の特徴に応じた県ビジターセンターの機能強化等への支援を要望するものです。
このほか、山陰道や下関北九州道路の早期実現なども継続要望します。
次に「生活維新」に関する要望です。
まず、東京一極集中の是正のための抜本対策についてです。
地方では、進学や就職時に若者が東京に転出し、これが少子化をさらに進め、人口減少に拍車をかけております。地方の人材不足の深刻度は一層増大しています。
一方、東京は、地方からの転入によって人口を維持しており、地方の若者が減少し、東京への人口の供給力が低下すれば、現在有している機能を果たすことが不可能となります。地方と東京、そして日本全体が発展していくためには、我が国の構造的課題である東京一極集中の是正、これが不可欠であります。
地方には、半導体等の成長産業が集積するなどの我が国のこれからの経済を牽引していく、そうした強いポテンシャルがあります。これを最大限に活かしていくため、地域の産業の特性、そして強みを踏まえた、国内外から地方へ人材・投資を呼び込む支援措置の創設をはじめ、政府関係機関や企業の本社機能、大学等の地方移転の推進を要望するものです。
次に、自動運転の社会実装の推進についてです。
県内各地域において、バス・タクシー等の運転手が不足し、若者から移動の不便さの解消を求める声があがるなど、交通手段の確保は、喫緊の課題となっています。
その解決に向けて、今月1日からは、周南市において、自動運転EVバスの実証運行を行っています。これを着実にステップアップさせ、さらに、この成果を中山間地域等へ横展開していくために、国の自動運転に係る計画の着実な推進、そして国主導による 社会受容性の向上、予算の十分な確保等を要望するものです。
このほか、子どもと子育てにやさしい社会づくりの強力な推進や、美祢線の早期復旧、教育人材の確保に向けた取り組みの強化、防災・減災対策の推進などを継続要望します。
最後に、「国策関連要望」です。
岩国基地については、空母艦載機移駐後の状況や配備機の機種更新等を踏まえ、集中的な飛行訓練の緩和など騒音軽減措置の実施や、住民の不安解消に向けた、航空機の安全対策の徹底、新たな配備機の運用や配置に関する迅速かつ適切な情報提供など、安心・安全対策の推進について要望するものです。
また、令和9年度に終了予定となっている県交付金の制度継続など、艦載機移駐等により増加した負担や、我が国の平和と安全への協力・貢献に見合う地域振興策の確実な実施についても、引き続き要望してまいります。
私からの説明は以上です。
NHK
今、政府要望の説明の中で、新規項目ということで、地方における人手不足対策というところの中で、いろいろ女性や高齢者など多様な人材の活躍というところが、資料の4ページのところにありました。この中に、年収の壁を意識せずに、女性が働き方やライフスタイルを選択できる社会保障制度等の確立というところがあるかと思います。
今、まさにこれに関しては、国の方で103万円の壁の見直しとか、あとそれから生活のところの支援ということで、ガソリン税のトリガー条項の凍結解除とか、そういった話が議論に上がってるかと思うんですけれども、一方でこういった予算を確保していくっていう中で、そういった見直しが行われた際に、減収ということになってなかなか予算の確保等というところに影響が出てくるということが懸念されます。
実際、全国の知事の方からもいろいろな意見が出ていますが、そこのところを村岡知事はどのようにお考えでしょうか。
知事
まずこの趣旨というのは、年収の壁を意識せずに女性が働き方・ライフスタイルを選択できる社会保障制度の確立と書いていますけれども、もちろんこれは働き手にとっても大きな課題でありますし、また事業者の方も特に賃金を上げたりすると、この壁を越えないような範囲に、むしろ逆に労働を抑えるというような動きがあったりですとか、これは働き手にとっても、事業主の方にとっても、この壁というのが大きく影響しているというところは現実問題、あろうと思いますし、今、働き手が非常に不足している中で、やはり壁というのはいろんな工夫をしながら、これを取っ払っていくということを制度検討をしっかりしていただきたいという思いはありますし、そうした趣旨の要望であります。
そうした中で、今まさに議論がされている103万円、103万円だけでなく130万円とかいろいろ壁がありますけれども、これについては、今俎上(そじょう)にあがっているのは基礎控除を178万(円)に引き上げるということがあります。
これについては、これによる減収というのが非常に大きいものがありまして、国と地方合わせて7兆6000億(円)と言われてます。その内訳は国が3.6兆(円)で、地方が4兆(円)、地方の方が大きいわけですね。住民税の減に響いてくるということです。これは山口県に当てはめてみますと、住民税が県税でいいますと160億円の減収ということになります。ちなみにこれは市町村民税も、住民税は県民税と市町村民税ありますから、税率が4%と6%いうふうに分かれてますけれども、市町村の方が6%ですね。市町村が240億(円)ということですので、県と市町村を合わせると、400億円の減収ということになります。この規模はどんな規模かといいますと、住民税の35%に当たるいうことで、住民税の三分の一以上の規模ということになります。それだけの減ということになりますので、非常に大きな影響額ということになります。
もし、これが減ってあとそれを地方で何とかするといっても、これはできる規模ではありませんので。何と言いましても住民税の三分の一を超えるぐらいの規模ですので、ちょっとした工夫で、それを埋めれるものでは到底ありませんから、もしこれをやるとなると、国の方にしっかりと財源措置はしていただくことが必要だと、そのことは強く思います。
一方で国の方も、国税分も含め、どのようにその財源を手当てするのかというのは、非常に大きな課題だというふうに思います。これに見合う財源がすぐに出てくるわけではないでしょうから。といって、それを借金にしてやって、将来に送るということも本当にそれでいいのかということもありますので、この問題は財源問題というのがまさに大きな課題ですし、ここをどのように解決するのかというところになってくると思います。
それなくして、この話は前に進められないだろうと思いますが、なかなかその規模が非常に大きいので、すぐに解決策が出るというのも、なかなか難しいのではないかというふうに思います。そこは、しっかり国の方で議論をされるべきところだと思います。
ただ、その方法としては、いろんなやり方があると思いますので。年収の壁ですとか、あるいは本来賃上げというか、手取りを増やすというのも本来的には経済を回していって、経済活発化しておのずと上がっていくというのが本来目指すべき形でありますので、税を減らして、その分が浮きましたねということだとすると、そこはどう手当てするのかという問題が常について回りますので、本来的には壁についてもいろんな制度の工夫で壁をなだらかにするようにするとか、あるいは賃金もおのずと上がるように経済をどう活性化するかというのが、本来目指すべき形だというふうには思っています。
NHK
地方への影響が大きいということで、今ちょっと回答の中でもあったんですけれども、改めて国の方には、どう議論して欲しいとか、地方にどう考えてとかあれば一言いただけますか。
知事
もちろん、経済活性化とそれから働き控えがなくなるような形での制度改正というのは、ここは国の方でしっかり議論して答えを出してほしいなというふうに思います。そうした中で、大きく税収を減らして、それは地方の方に負担でそれを賄うというのは、俎上に上がってるものというのは、規模的に何度も言いますけど住民税の三分の一以上がなくなるというものですので、これを地方で賄うというのは非常に難しいです。住民サービスを相当な削減をしなければこれは難しいので。
しかし、それはやはりわれわれ地方の方は住民に身近なサービス、これは市町村も含め行っているところは地方ですので、ここは安定的に財政運営が行えるように、もしそれをやるのであれば、国の方がしっかりと補てんをしていただくということは欠かせないと思います。
日本経済新聞
カーボンニュートラルコンビナートについてお伺いします。今、国の方でもいろいろと価格差に着目した支援とか、拠点整備とか、いろんな支援策はやってるところだと思うんですけど、特に価格差については15年で3兆円とかという額も出てますけど、このあたりの額といいますか、この支援策でいろいろと取材してみると、企業の中にはまだちょっとこれは足りないんじゃないかという声もあるが、そのあたりについてはどう考えでしょうか。
知事
コンビナート企業の方々の話を聞くと、まずこのカーボンニュートラルを進めていく上で、壁は大きくいうと二つあって、一つはそのために設備、今やっている石炭火力からアンモニア、最終的にはアンモニアを専焼ということを目指して進めているということになってくるんでしょうけれども、当面は混焼ですね。
いずれにしても、さまざまな設備を変えていかなければいけないという、ここの投資が非常に大きいということ。それから今度は移った後に石炭から、例えばアンモニアに変えるとなってくると、今、価格差は非常に3倍とか4倍とかあるわけですね。そこが下がってこないと、3倍4倍のコストのものでやっていくというのは、これは成り立っていかないので、この価格差補てんというのは、これはランニングといいますか、その後も継続する課題として乗り越えていかなければいけないということですね。この二つが大きくあるということです。
今回この二つ、両方ともしっかりと支援を求めていかなければいけない。そういう認識でいますけれども、後者の方についても、今、国の方ではそこを埋める手当ということで、一定の予算が組まれておりますけれども、非常に、例えば周南だけ見ても、それでは足りないぐらいの規模のものしか国の方は予算措置が今ないので、ここは抜本的に国の方でも、カーボンニュートラル、これ切り替えていかなければ、日本がさまざまな国際競争力を持っている分野で力を失うというか、立ち行かなくなってまいりますので、ここは乗り越えていかなければいけない。
そのためには、やはり企業が安心してそちらに向かっていける環境というのは、国が責任をもって整える必要があると思います。そのためには、設備投資もそうですが、価格差の補てんについても、これだけこうやってちゃんとやるから大丈夫なんだということ、国の方から企業の方が安心できるような形で示してもらわないと、なかなかこれをさらに進めていくということは、企業の判断では難しい面が出てくるだろうと思いますので、そこはしかし乗り越えていかなければいけませんから、国の方でしっかりと対処、財源的な措置をしていただきたいと、このことを強く求めていきたいと思います。
日本経済新聞
要はもうちょっと充実させてほしいと言いますか、そのあたりの要望していく感じなんでしょうか。
知事
そうですね。価格差補てんという考え方は、それはぜひそういった形で進めてもらわないと。将来的にだんだんと近づいてくるのかもしれませんけれども。今は非常にアンモニアというものも、製造用の原料として使われているわけでして、燃料用には作られてないので、新しく燃料用というのをこれから生み出していかなければいけないわけですね。そうすると、莫大(ばくだい)、世界的な投資がかかってくるから、当然料金というのは高い状態というのがしばらく続くわけですよね。これが、一定の支援はするけど、後は高いままで何とかそれを使ってやってくれということになると、おそらくものが売れなくなってしまう。原料費があまりにも高くなりすぎて。それであると、そちらに向かっていけないということになってきますので、そこについての懸念は非常に危惧を強くもっています。ですので、そこをしっかり受け止め、国の方に制度の充実を求めていきたいと思います。
防府日報
政府要望に関して、ちょっと何点かお伺いします。まず先の衆院選の結果を受けて、今、自民公明が少数与党という状況になっております。政権運営も、これから103万円の話も含めてですけれども、非常に不透明になっておりますが、そうした中で政府要望に今回、毎年のこととはいえ出向かれるということで、衆院選の結果を踏まえて今後、政府とどのように知事として向き合っていかれるのかっていうところをお聞かせいただきますでしょうか。
知事
明日からの要望の中で、いろいろと回って、これからどういうふうに物事を意思決定していくのかということも確認しなくてはいけないなと思っているのですけれども、なかなかそれは今、答えがないのだと思います、実際には。
今までは与党というのが多数派を占めていたので、例えば役所の方から政策を作るにしても、与党手続きというのがあって、どんな中身にせよ、この手続きをとっていって、最後政府の案として決めていくんだと。それをすれば、国会も通っていくという、そういう流れがあったわけですけれども、それだけだといかないわけですよね。だから、そのときにどうやって調整をしながら、要は与党だけで決めて国会に出してあとはそこでもう一発勝負だというわけに行くのか行かないのか、それは非常にリスクが高いと思うのですね。要するに、賛成されなければ通らないわけなので。そういった意思決定をどのようにするのかというところは、これは私もともと役所の出身だから、そっちの方の立場で考えるのですけれど、どうやって意思決定するのかなと思いますね。決めて与党だけでやって済まないので、反対されたらそれで通らないので。そこをどのように意思決定するのか、その誰と話をすればいいかとか、その辺たぶん全然まだ混沌としているのだろうと思います。
でも、もう11月ですから、税の話も先ほどのようにあるし、予算の話もあるので、どのようにそれを決めるのかというのは、非常に決め方が難しいのだろうなと思いますね。国会でバチバチとやると言えばかっこいい感じがしますけれども、実際にはなかなか議論って整理していかないといい議論にならないのでですね。ですし、まずその少数与党であって、本当にいろんな国民のための議論が活発化すればいいなと思うのですけれども。党利党略みたいな形に陥って、ぐちゃぐちゃになってしまうと。その被害というのは国民が、あるいは将来世代が受けるので、そうした形にはなってはいけないということは懸念しています。
防府日報
これまで、おそらく知事が就任されて以降は、基本的には自民党が非常に強いというふうに言われていた時代の中でやられていたと思うんですけれども、そういう意味では、今のこういった不安定な状況っていうのは、知事としてはやっぱりいろんな政策を、県としての政策を実現していく中で、不安な部分っていうのはやっぱりおありなのでしょうか。
知事
要するに、議論が分かれるようなことってのは、本当にちゃんと議論されて進んでいくのかなというところですよね。皆さんがうんと言うことは前に進むのでしょうけれども、異論なくですね。ちょっと大事なことって割と議論がしっかりいったりしますから、賛否が分かれるものだったりとかしますからね。そういったところが結局話がつかないから、全然進まないということになってしまうと、やはり今大事な時期だと思うのですね、地方にとっても非常に人口減少も深刻ですし、人手不足も深刻です。一方で、さまざま、投資環境は整っていますから、産業インフラとかね。そういった意味では、半導体とか蓄電池とかいろんな産業の立地が今、かつてない進んでいるわけなのですよね。伸びるチャンスが非常にあるわけです。
ここでやはり人手不足対策ですとか、少子化対策ですとか、とにかく人の部分がネックになっているので、ここについて大胆な施策をとっていただかなければ、地方が衰退をするのもそうなのですが、むしろもったいないのは、伸びるチャンスをみすみす損なってしまうということになっているわけですね。厳しい状況の中で、チャンスというのはそうめったにあるものではないのに、そのチャンスをつかみ損ねるということを懸念します。
石破内閣で、地方創生の方は再度、地方創生2.0としてやるんだということなのですけれども、その中身は漠としていますし、軸足としてやはり地方の活性化というところで、それぞれの地域が持っている産業、山口県であれば、もちろん農林水産業とか観光というのは今、政府の方、石破総理も言われて、地方の活性化というときに、農業とか観光とかよく出てくるのですけれども、それだけではない、製造業ですとかそういう本当に地域にとって、あるいは日本にとってこれからの成長に大きく繋がる、その芽が伸びていけるような後押しというのを思い切ってやっていただきたいと思うのですね。半導体とか蓄電池というのも、政府がこれから重点的な戦略分野だというのであれば、それをやっているのは地方なので、そこに思い切って投資をするということをぜひ、大胆に進めてほしいなという思いを持っています。
しかし、そういう大きな政策を進めていくということは、本当にできるのかなというところですね。どうしても、そういった議論ではなく、何かつまずかずに進んでいくようなところにエネルギーが大幅に割かれていくのではないかという懸念を持っていますので、そうではなくて、やはり日本の将来に向けて、いい議論をしてむしろ前に進めるという、そうした場にしていかなければいけないと思いますが。それができるのかどうかというところは、よく注視をしていきたいし、懸念しているとこですね。
防府日報
あと、政府要望、ちょっと具体的な中身の件なんですけれども。
自動運転の社会実装ですけれども、今、周南で行ってきて順調にいっているようですけれども、町なかと、多分山口県の中で大きいのはその3番目の中山間地域、そういったところへ展開していくというところなんですけれども、知事としてこの自動運転というところ、先ほどちょっとありましたけれども、若い人が意外と移動手段を求めているということで、昔は公共交通というのはどっちかというと高齢者の方の移動確保というような視点がありましたけれども、その辺、今の情勢を踏まえて、この自動運転に期待されることっていうところを改めてお聞かせ願えますか。
知事
私は非常に期待しているというか、どんどん前に進めてほしいなと思っているのですね。バスの実証運行していますが、非常に乗車率というか、乗られていて、むしろどんどん広げて、もっとスピーディーに広げてやってほしいという声も上がっている、そういう状況ですし、ぜひそういうふうになってほしいなというか、国の方でもっと後押しをして欲しいなと思います。
今スピード的には20キロ以内なので19キロぐらい、18とか19キロまで走っているというふうに思いますのと、やはりこれ、ルートを作るときにだいぶ国の方ともいろんな交渉、調整をしなければいけないので、実証運行等で手順を踏んで、安全確認しながらやっていくという、これはもちろん安全確認は大事なところなんですけれども、一方で実は昨日デジタル行財政改革会議というのがあって、これ石破総理なり、各閣僚が入っている会議で、デジタルでさまざまな改革をスピーディに進めていこうという会議です。
私有識者として入って、昨日初めて会議、Webで参加をしたんですけども、そこでもこの自動運転の話はしました。言ったのは、自動運転も今この周南で実証事業をやっていると、これをとにかくもっと早く進めるようにしてほしい、というのが地方の人材不足が非常に深刻でありまして、運転士不足はこれ全体的な問題ですけれども、特に地方の方でも非常に深刻さがより顕著に出ていると。バスの運行が止まると、バス路線が運転手がいなくて休止してしまうということが現実に起きている。そういう中でやはり、この運転士がなくてもバスがちゃんと動いて、地域の皆さんの暮らしを支える足というのがしっかり機能する。その上でこの自動運転というのは非常に画期的なサービスだと考えていますので、そうした中で、もちろん安全確認しながらなのですけど、もっとスピーディーにこれは進むようにしてほしいということを訴えました。
特に地方の人手不足の深刻さというのは、なかなか東京に伝わりにくいところがあると感じていまして、東京どんどん人が集まっていますから、人手不足というのがあまり切実な問題というふうな感じではないのですけれども、われわれ現実に人手不足というものがさまざまな産業の維持もそうですし、こうしたわれわれの生活を支えていくサービスにおいても実際に影響が出始めていますので、こうした課題が深刻化していくスピードに追いつくように、ちゃんとDXでこの自動運転も含め、DXの改革というのをその課題にちゃんと追いつくような形でやって欲しいということを強く訴えました。
もちろん、これもさらにステップを上げて、継続して実証を進めていきたいと思っていますけれども、これも国のスピード感とあとはその財源的な措置も結構予定通りつかなかったりとか、予算が足りていないので、進められることについて、懸念を持っているからこそ今回要望するのですけれども、スピード感とあと財源的な措置としっかりやってもらわないと地方の課題の深刻さのこのスピードに追いつかないと思います。
防府日報
最後です。美祢線の話なんですけれども、今回の要望では、これまでと同じような早期復旧であるとか制度関係のことについてなってますけれども、今、復旧検討部会で復旧費の話と上下分離をした場合にどれぐらいの費用がかかるかとかっていうような話が出てきています。で、上下分離というのもいろいろあるんですけども、その中で場合によっては制度変更とかっていうことを求めなければいけないという局面も出てくるんじゃないかと思いますけれども、美祢線を上下分離っていう、仮に上下分離という話がまとまったときに、県としても、そういった制度変更であったり、財政的な支援であったりっていうことを求めていくっていうお考えってのはいかがでしょうか。
知事
ちょっとまだ議論が始まったばかりで、いろんな選択肢とそれに対しての財源がどうかっていうことが示されて、これからそれをさらにまた別のパターンなり、われわれでもいろんな確認をしながら議論していくということになりますので、特定の前提に立って何かを話すことは難しいというふうに思います。
ただ、いずれにいたしましても、国の方にもっと全面に出て欲しいなって思いを持っていまして、JRも非常に、ローカル線はもともと赤字ですから、どこもですね。それを言い出すと、全ての路線、持続可能性がないわけですね。しかしそれを新幹線の黒字ですとか、非常にドル箱の新幹線のプラスでもってカバーしてネットワークを維持するというのは基本的に国鉄改革の考え方であるわけですので、それはぜひ維持してほしいと思っているわけですね。そうしないと、本当に地域の足は成り立たなくて、幹線のところの儲かる部分だけ、企業がしっかりやっていきますということになってまいります。やはり、国鉄改革のときの考え方というものをしっかりとこれは維持されるべきだと思いますし、そこのところは、やや整理がされないままきているのだろうというふうに思うのですね。個別にこういうふうに災害があったところだけ、ここは持続可能性がないですというところで、復旧は難しいということになってくるということについて、われわれとしてはじくじたる思いを持っていますので、まず国の方で今後の、もちろん企業も企業ですから、当然マイナスの部分というのは、できるだけ減らさなきゃいけないという、そういった原理の下で動いているのはよくよく承知をしております。
一方で公共的な役割を担っていますので、そこについての責任はあるわけですよね。それはしっかり果たしていただきたい、ここの兼ね合いだと思うんですけれども、一方で企業の論理だけで物事は進むということではあってはなりませんので、そうした意味では国の方にもっと前面に出てもらって、今後の鉄道のネットワークのあり方、そうしたものについてきちんとその考え方なり、国としての民間企業と地元の自治体に任せるというのではなくて、国としての考え方なり、対応というものをしっかり示してもらうべきだろうというふうに思います。
そういった意味で、いろんな議論をこれからしていくのですけど、どんな結論になるにせよ、こうした国においてのさまざまな方針なり、考え方を示してもらうというところは、今回もそうですけれどもしっかり求めていかなければいけないと思っています。
KRY(山口放送)
年収の壁の件で、税収減が県内でトータル400億(円)ということなんですかね、これ逆から見たら県民の懐には400億円残るのかなという視点なんですけれど、長い目で見た場合、県民の懐プラスさらなる働き方というか、労働、長い目で見て、経済より活性化して長い目では今後、400億円を超える税収減というのは難しいものなんでしょうか。
知事
もちろん税が減った分、懐に入ってくるので、経済が回っていくというのはあると思います。ただ経済の回る効果とそこからその生まれてくる税収というのはまた別の話でして、そこはまた一定の試算があるのだと思いますけれども、通常その減った分以上に税収が増えるということはなかなか期待できないんだろうと思いますね。
もちろん、それは消費をすればその消費税が一定上がったりとかします。純粋に経済理論的に言うと、7兆円を国民のみなさんの懐に入ってそれで経済が回る部分と、7兆円がもともと何かの歳出に当たっていれば、その歳出によってまた動いている部分があるわけですよ。だからその7兆(円)がどこから出るかということだと思うのですね。政府の歳出を通じて回していく部分もあって、それが国民の懐に行って回る部分もあるから、単純に歳出を減らして収入を増やすのであれば、経済的にはたぶん変わらないというか、むしろたぶん乗数理論から言えば政府が出した方が経済は回るのです。
懐に入ると貯蓄に回る部分が最初からあるので、経済理論的には、多分、われわれ経済学で習う教科書的には、歳出でやった方が経済も回るはずなんですよね、理論的には。それで政府の歳出というのは誰かのそれは収入になって、そこからまた回っていく部分もあるわけですよね。そのときは100が100、また一旦出て、そこから一定貯蓄があって、だんだんだんだんこの効果というのは、回っていくたびに減っていくのですけど、乗数効果、それがだから減税でやる部分もあるし、その歳出を維持して回っていく世界もあるしということなので、純粋にその分だけプラスアルファー経済が回りだすかっていうとそれはやり方によると思いますね。借金であればもちろんその分回るのだと思いますよ。純粋にその、どうあるべきかという話を置いておいて、純粋に理論的にどうかというと、7兆円というのを歳出減でやったのだったら多分、経済への効果はあまり変わらないと思います。借金だったら純粋に回るお金も増えるのでいいですけど、それは将来に全部つけを回してあとは野となれ山となれでいいのですかということがでてくるのですよね。
それと、また負債が大きくなり過ぎたら、そういうことに対して本当に日本は大丈夫かということで、いろんな株が下がったりとかそういったこともあるので、単純にそういうわけになかなかいかないんだろうと思いますけどね。
KRY(山口放送)
山口県でこれまでの知事のお話でも、事あるごとに人口減少とかですね、働き手不足って言われていて、今回の議論で働き手不足の解消にどのぐらい影響というか、寄与するとお考えでしょうか。
知事
そこちょっとなかなか数字的に測りづらいところはありますが、ただやはり働いてる方からも年収の壁があるので、少しそこでセーブしていると話しを聞くことも多いですし、あとは特に最近経済団体の方、事業者の方々とかから、やっぱり働き手がいないから、年収の壁でもって雇用調整する人が多いし、かつ賃金も今上げているから、上げることによって、労働時間減らさないと壁が変わらないので、単価が上がれば労働時間減らさないといけないので、それで逆に働く労働力が減っているという声、これ何とかしてほしいということはこれは非常に多くありますし、実際非常にもったいない話だと思うのですね。
働きたい、企業の方も働いてほしい、だけども壁があることによって、それがまさに壁となって、前に進んで行くの止めているということですので、この壁自体はいろんな工夫、ちょっと制度的にいろんな工夫をしながらなくしていくということをやっていかないと、われわれ特に人手不足の中で、働きたい、そうした方々に思い切って働いてもらうということが達成して行くべき一番のことですから、それにかかる壁というのは取り払うべきだと思います。ただ、その取り払い方はいろいろありますから。176万円[178万円]に上げるというのを、それ176万[178万円]本当は130万(円)とかの方が実際には効いてるんだと思うのですけれども、それはちょっとその細かい話は置いといて。だから、そのやり方はいろいろあって、そこの壁になっているところに手当てをするということをまず基本に何か考えればいいのかなと思うのですよね。
要は、176万[178万円]に上げるというのはなんでそれだけ税収減があるかと言ったら、全部の層に効くからですよね。お金持ちの人も、みんな基礎控除が上がれば税負担が減るので、収入が高い人ほど、むしろ減る額が大きくなってくるということもありますので、そこまで含めてやるのですかというところはあると思いますので、本当に壁になっているところに何らかの手当をするとかそういったことをまずは考えるべきなのだろうと思うんですけれども、そこはどういった選択肢があるのかということはよく議論をされるべきではないかなと思います。
KRY(山口放送)
この問題、そもそも働く夫と主婦っていう何か前提条件で作られたと聞いてますけれど、山口県では女性活躍もかなり強く訴えていらっしゃるので、そもそもこのシステムというか、理念が現在の山口県の目指している方向と現在のシステムでは違うんじゃないかなと思うんですけれど、そのあたり。
知事
それはそうだと思いますね。やはりその壁になっているところ、特にやはり主婦の方で、この間も女性のママドラフト会議ってやって、女性で子育てしながら、でも自分は働けるし働きたい、社会の中で自分が役立ちたいという思いを持ってる方たくさんいらっしゃるわけですよね。そういった方々が手を挙げて、企業に自分をPRして、そのまま雇ってもらおうということなのですけど、そういった中で、やはり働く時間というのは、自分はちょっとこの範囲で収めたいみたいなのがやはりあって、それを企業の方もどう応じられるかということを話をして、それに実際参加された企業の方にも昨日話も聞いたのですけど、やはりどうしても働く側の方にこういう時間帯でこの範囲で働きたいというところがあって、それはやはりその壁も一つ、年収の壁も一つ大きな制約になっているわけなのですよね。
それがなくなればもっと働きたい、企業の方ももっと働いてほしい、それがやはり今の人手不足ですとか、地域のさまざまなサービスを支えていくところにとってはとても重要ですので、この壁自体を感じないようにするということは、これは本当に検討をしっかり行って欲しいと思っていますので、これは今要望あるようにそういったことを今回の要望でもしっかり求めていきたいと思います。
KRY(山口放送)
最後に話変わるんですが、錦帯橋の暫定リストですか。これ以前お聞きしたときに、ちょっと認識不足でしたらすいません、現在、国内で暫定リストに入っている内の一つが、実質的な活動中止になって、その代わりに山口県が入る可能性が高まっているんじゃないかというふうにお聞きしたんですけれども、何か可能性というか、手応えというか、どのように捉えていらっしゃいますでしょうか。
知事
これ、非常に可能性はあると思っていまして、前回登録リスト、これリストはずっと結構あるのですけれど、そこから順番に世界遺産になっていくので、だんだんこのリストが減っていくわけですよね。それがなくなってきたので、今後、推薦候補にしていくものを一覧表に追加しましょうというのが今回の話です。
前回リストに追加するときに錦帯橋もそのときもチャレンジを、私になる前ですけどもしているんですが、非常に惜しい評価で漏れたということがあります。ここについては、いろいろと世界遺産も登録されるに向けて乗り越えなくてはいけないハードルがあって、例えば一つはオーセンティシティっていって、真実性っていうものなんですけど、昔からこの形でありますかというやつなんですね。錦帯橋は架け替えられているので、昔からこの形、昔からこれそのものではないわけですよね。それだとずっとこれではないではないかという、これはヨーロッパとか石造りだとずっとその石のままなのだけど、木造だから当然これは変わるわけですよね。それについてのネックも一つあったというふうに聞いてます。
ただこれは、イコモスの学者さんとかいろいろと集めて議論をし、これは去年、一昨年だったかな、錦帯橋でもシンポジウムを開きましたけれども、そこでも委員から発言がありましたけれども、実際にその設計図というか、そういったものは残っていて、それ通りに架け替えているのであれば、それはもう同じものだというふうにみなせるし、そういった形で登録されてるものもすでにあるということでしたので、そうしたこともイコモスの専門家、イコモスというのは世界遺産登録をするかどうかを判断するその委員会のメンバーですね。イコモスというのは会議で、そのメンバーの方々からそういった実際の説明もあり、そのあたりもいろいろとネックと思われたものも乗り越えてきているところはありますので、これは非常にわれわれとしては期待をして、また自信を持って登録に向けて働きかけをしていきたいなと思っています。
ちょうど今年議論が行われていますので、このタイミングでしっかり打ち込んでいかなければいけないと思ってますので、非常に重要な時期だと考えています。
朝日新聞
観光に関しまして、先日、都道府県魅力度ランキングというものが発表されて、山口県が43位という結果だったかと思うんですけれども、さまざまな魅力発信に取り組まれている中でこの順位についてはどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。
知事
順位はだいたい30位代の後半から40位代の前半とかその辺にいるので、毎年じくじたる思いを持っていますけど。
ただ、観光そのものは今、非常に回復もしていますし、今度また韓国便も1月に飛びますが、これは今度往復であります。双方向ですね。今まではこの2回やったのは向こうからの便だけだったんです。これも非常に搭乗率が、予約率100%とか、搭乗率が99%とか98%とか非常に高い搭乗率ありますし、リピートしたいという希望も非常に多いので、実際に来られた方々は評価もされてますし、実際の搭乗率としても非常に高いものがありますので、非常にチャンスであろうというふうに思っています。なのでこれは、さらに進めていきたいと思いますし、特に来年は大阪・関西万博があります。また再来年はJRのデスティネーションキャンペーンが、全国のJRが連携して行うキャンペーンが山口に決まりましたので、これも大きくチャンスとして生かしていきたい、このことは観光事業者とか市町の皆さんともこの間共有をし、しっかり頑張っていこう、そういう決意を固めたところです。
いろんな魅力を作って、観光素材も磨き上げをしていきたいと思っておりますので、力を入れてやっていきたいと思います。
魅力度の話、一方で例えば移住とかの話でいうと非常に高い評価があったりするわけですね。移住の相談件数というのも西日本でいうと、福岡に次いで二番目に多いですし。そういった意味で、ランキングそのもので全てと思わずに、われわれ持っているものは非常に魅力があるということを自信を持って、これからも関係者と連携しながらしっかり取り組み進めていきたいと思います。
朝日新聞
上関町で中国電力が進めている中間貯蔵施設計画につきまして、調査開始から半年が経過したということで、遠からず適否の調査結果が示されることになるのかと思うんですけれども、知事におかれましては、これまで現時点で賛成も反対もないというようなお立場を示していらっしゃいましたけれども、この間さまざま議論があった中で、改めまして、現時点でどのようにお考えになっていらっしゃるか。改めて今のお考えをお聞かせください。
知事
今の時点、ボーリング調査は一定の段階に至ったということだと思うのですけれども、これからまた中国電力の方で、内容についてよく検討されるのだと思いますし、その後でまた候補地となり得るのかどうかというところの説明があるんだと思いますので、現時点において何かを判断しているものではありません。現時点では立地可能かどうかというところについて、中国電力の検討が行われているので、またいずれくるその説明があるだろうとそのように認識をしております。
それを踏まえて、またわれわれとしては地元なり周辺の市町そうしたところの、それは仮に可能性ありとなればの話で、その後また具体的な計画ということになってくるんだろうと思いますけれども、その段階でまた関係市町等の考え方ですとか、そうしたことも踏まえながら検討していく必要があると思います。
朝日新聞
この調査段階から出る交付金に関しまして、これまで県としては申請をされないというふうなことでこられたかと思うんですけれども、来年度につきましてはこれ申請される考えはおありなんでしょうか。
知事
今のところそういった考え、予定はないですね。
朝日新聞
もう1点、この間、調査がされている中で、調査の内容というものが示されていないという中で、一部の地元の方から調査がお手盛りではないかという、そういう指摘があるかと思うんですけれども。調査の妥当性につきまして、県として、例えば調査内容について照会するとかそういったお考えはあるのでしょうか。
知事
今まさに、中国電力の方で実際の現地でのボーリング調査であったり、その他もいろんな調査分析をされているのだと思いますので、それはいずれかの段階で説明があると思いますから、それを受けてどうわれわれが考えるかということだと思います。
朝日新聞
最後、1点お願いします。昨年の会見で、原発に関する2001年の知事意見に関しまして、原発本体と中間貯蔵施設が同時に同じエリアに存在することが過大な負担だということで、中電に確認が必要な論点になるというようなお話があったかと思うんですけれども、この論点というのは例えばこれ原発か中間貯蔵かどちらかに絞るとかそういった論点も含むというようなお考えでしょうか。
知事
あまり限定しているものではないです。いずれにしてもですね。問題意識とすれば本体といいますか、原発そのものがそこで立地をするという計画があるわけですね。そこで生み出された使用済みの燃料というものは、そこに貯めるのではなくて外に出してくださいねというのが基本な考え方なわけですね。
そういう中で、その計画がありながら、ということはそれがまた動き出すということを計画として持ちながら、一方で他の地域からの使用済み核燃料を受け入れるということについては、そこは齟齬するところがあるのではないかと思いますし、負担として自分のところでも出しながら外からも受けるというのは、その分余計にかかるわけですから負担として大きいものがあると思いますので、そこについてはよく確認をし、われわれとしても判断をしていかなければいけないと思います。
朝日新聞
いずれにしても原発本体と、外から持ち込まれる使用済み核燃料が併存する事態というのは好ましくないという感じですか。
知事
負担として大きいと思っていますので。そこについてどう考えているのかということは、まず確認をしたいと思います。
NHK
県が推進されているアウトドアツーリズムのことについて、1点お聞きしたいと思います。県の方では、山口の豊かな自然を生かして、アウトドアツーリズム推進されてます。実際、きらら公園でアウトドアフェスとかしてファミリー層を中心にすごく関心も高いのかなと思います。
こうした事業の一環の中で、昨年度から始められている「山口ならではの特別な体験創出支援事業」の補助金に関してちょっと質問がございます。昨年度は県内3つの事業採択されておりますけれども、その中で平生町のサウナ施設とクルージングの事業に関して、9月の定例の議会の中でも一部の議員の方から質問が出ていましたが、平生の事業に関しては、5900万円余りの補助金が出てるかと思うんですが、この採択に関して、議員の方からちょっとまず補助対象になる補助金の交付要綱の中で、いわゆる事業の申請者とその事業を施設等の施工業者っていうのは同一の場合は補助対象経費に含まれないというような要綱になっているにもかかわらず、今回の事業者に関しては、申請者と施工業者が同一なのではないかと。そうした中、これを認めているというのは交付要綱に反しているのではないかというような指摘があったかと思うんですが、この件についてまず知事はどのようにお考えでしょうか。
知事
それについて、9月議会でも質問なり答弁をしたところですけれども、まずこの経費は観光連盟で精査をして、交付要綱別表で、元々は契約の相手方が申請者もしくは申請者が経営する法人云々である場合の経費は補助対象経費に含まれないとなっておるところですけれども、それとは別途、事業実施のために必要と観光連盟が認めた経費について別途協議は認めるというものがあります。そちらの後段の方で補助対象とされた、そういう要綱の中で定められているものに沿って、対象としたというふうに聞いております。
それについては、観光連盟の方で個別に事業者に聞き取りをし、内容とか金額等精査をした上で、適当なものと判断したというふうに報告を受けています。これ自体は要綱というのは県の補助要綱ではなくて、観光連盟の方で作った補助要綱ですね。観光連盟が定めた補助要綱の中で、運用についても当然それは観光連盟に委ねられているところでありますので、観光連盟が要綱に基づいて判断をしているということで、われわれとしてはそこについて問題はないものと思っております。
NHK
補助要綱の中で、補助対象経費にいわゆる申請者と施工業者が一緒の場合は対象にならないという趣旨のものが書かれている一方で、観光連盟が認めれば問題ないというような今、認識だとは思うんですけども、観光連盟が認めれば問題ないということになると、そもそもその補助対象経費に含まれないものっていうところに書かれているものが、全て観光連盟がオーケーと言えば問題ないということになってしまうのではないかなというふうにもとらえられるんですが、そこのあたりというのはどのようにお考えですか。
知事
前提が認識のずれがあるかもしれませんが。県の補助要綱の問題ではないんですね。県としては別にそれは問題にしてないわけです、元々。観光連盟の補助要綱があって観光連盟の補助要綱で対象外に原則はなっている。別に同じ観光連盟の補助要綱で、個別にみて事業者のために必要と認めたものはオーケーとなっているのがあるので、観光連盟の中のルールの中でやってることなわけなので、県自体それそのものに要綱に反しているというわけではないです。
NHK
なるほどですね。
知事
個別に観光連盟の方でも聞き取りして、他の見積もりの水準というか他社の見積もりも出させたりとか、いろんなことやってるみたいですけど、それは適切なものだということで判断をしたというふうに報告を受けています。
NHK
観光連盟も適切なものだと県に報告をしてるというところで、この事業自体がいわゆる観光連盟に委託しているようなものだと思うんですけれども、そうした中で適正な審査をしてるっていう報告があって県としてはそれで問題ないっていうことだとは思うんですけれども、やはり5900万円のお金っていうのが税金というところからいってるっていうところを考えたときに、観光連盟が適正な審査をしてるっていうところは県としても委託をしているとはいえ、そこの中身が本当に適正かっていうのは確認する必要があるんではないのかなと思うんですが、そこの中身でどうしてそれが問題ないと審査されたかっていうところは認識をされてるんでしょうか。
知事
そこは、聞いているのは、事業者から聞き取りをしましたと。具体的には限られた期間で、施工期間がありますので、その間で他の社では実施は困難であることの確認ですとか、あるいは他社の見積もりを出させて、内容的にそれは何か過大になっているとか、普通の水準から見て自分の会社でやるものを大きくしてるとかいうことではなくて他の会社も出させたところ、その内容、見積もり内容も精査をして、その上で判断したという報告を受けているというふうに聞いております。
NHK
いわゆるその他の会社と、今回実際施工した会社でやった場合もそんなに大きな見積もりに差がないとか、そういったことを考慮して判断したと言う。
知事
そうですね。あとは既存の施設との連動の事業なので、デザインというか、統一感とかいろいろあるみたいですけれども。さまざま判断してそこにやらせるのが適当、それ以外にはなかなか難しいということだという理解です。
NHK
昨年度採択されたその3件については、その内2件でですかね、今の平生町の件と山口市の秋穂に関しては、ちょっと当初の計画よりかは遅れてるっていうようなこともこれまで指摘あったかと思うんですけども。実際この平生町のものに関しては、今年の10月からですかね、クルージング事業も開始されているというふうにはお聞きしているんですが、実際その稼働状況とかそういったことっていうのはどういう状況なんでしょうか。
観光政策課長
稼働状況についてなんですけど、こちらについては10月からスタートしましたけど、ちょっと営業に関する情報ですので、今こちらでもまだ完全に把握はできていないですけど、ちょっと今そういったプロモーションとか含めてしっかり宣伝の方をしているところでございます。
NHK
稼働状況をちょっとまだ、営業状況ということで言えないということだったと思うんですけども、ちょっと9月の定例議会の中でも、その議員の質問の中で、やはり事業として採択するときに、評価項目の中で、10年とか15年とか価値を生み続けるものっていうようなものがあるっていうようなことをおっしゃってたというふうに私は認識しているんですけれども、実際ちょっと稼動状況が今どういう状況かはここでは分からないということなんですが、取材の中ではあまり、その、ちょっと言葉は難しいですが、しっかりと稼働しているような状況ではないとみられるようなこともあるとお聞きしてるんですけども、その、実際そういった状況の中で、これがずっと価値を生み続けられるような事業として、審査し選ばれたものなのかっていうところはどのようにお考えでしょう。
知事
地域の資源を生かして、新しい観光のコンテンツを作ろうということで、中の評価の審査の中では非常に高い評価を得て、行われたものです。
ちょっと実施のところで地元の調整とかいろいろあったので、スケジュールどおりに進まなかったところもありましたけれども。目指していた形としては、予定したものができてきているということですので、これがしっかりと多くの方に楽しんでもらって、新たなそのコンテンツになるように期待をしてますし、ちょっとまだ動き出しつつある段階なので、評価についてはこれからだと思います。
NHK
今の段階で県として、観光連盟に改めて審査の中を、また再度調査して本当に問題ないかとかそういうことをするつもりはない。
知事
それはないですね、はい。
NHK
最後、一点だけちょっとお聞きしたいのは、山口市の秋穂のグランピング施設の方に関しては、ちょっと遅れて来年3月に開業予定ということでしたが、これは早まったり遅まったりとか、現状変更はないですか。
観光政策課長
こちらについて、適正に手続きを踏んで事業変更されておられるんですけど、当面、今、来年3月末の開業、完成に向けて進捗しておるところでございます。
それから、先ほどのクルーズ船の関係でちょっと補足でございますけど、今から先ほどプロモーションとか含めていろいろ、10月から始めて間もないんでやってるということでしたけど、例えば、専門家を入れたモニターツアーとかも計画して、しっかりそこは質の高いものにしていこうというふうに事業者さんが努力されているということは聞いております。
山口新聞
国への要望のことで、ちょっと後のレクでお伺いしてもいい事なんですけども、自動運転のやつで、ちょっと私の認識不足だったらあれなんですが、周南のやつで、これ2025年度に一部区間のレベル4通年運航予定って、これは既報でしたっけ。
知事
これは、われわれが元々レベル2でやっていますのを、これをさらにこの実証を踏まえてレベル4をやろうということをしています。
山口新聞
これは新しい話でしたっけ。
知事
前から言っていると思います。もともとこれを、今年度、単年度でなくて、ここまで含めてやるという予定で動き出しているので。あとはこれも予算つけないといけないんで、国の方にしっかりと財源措置はしてもらわないといけないですね。
山口新聞
それからあの全く別の話で、さっきちょっと観光の話いろいろあったんですけど、ちょっと今年の話をまだ総括するのは早いかもしれないですけど、今年に入ってニューヨーク・タイムズの話があって、すごく盛り上がってたと思うんですよね。全県的にも、県としてもですね、山口市側もですね。
それの効果っていうのが、どの程度あったというふうに、数字も感触も含めてですけれども、あったのか、あんまり最近ニューヨーク・タイムズの話をしている人を私はあまりお見かけしなくて。当初と比べるとですね。
さっき(大阪・)関西万博の話とか、DC(デスティネーションキャンペーン)の話とかもされましたけれども、一部の全国紙とかは、去年選ばれた盛岡と比べるとちょっと山口はいまいち盛り上がりに欠けているような感もあるとか、そういう報道されていたり、私もどんなかなっていう感じも正直印象としてあって、せっかくの機会なので、この県とか自治体がしっかりプロモーションして、機運を盛り上げるっていうことが必要だし、それがまたさっき知事おっしゃった、万博とかDCのことにも繋がっていくんだと思うんですが。
ニューヨーク・タイムズの報道っていうのが山口県にとってはすごく成果があった、効果があったっていうふうに、今のところ受け止められていますでしょうか。
知事
そうですね。もちろんインバウンドの回復というか、戻りというのは、国内に比べると多くなっているという数字ですね。1.5倍でしたっけ、去年と比べて、8月まで。そうですね。そういった効果があるということですね。
この盛岡の話を言われるのですけど、その盛岡の何倍というのがあるんですけどね。まあちょっとその、比べてるのはコロナの一番ひどい状態から比べてるので。増えた水準としては、コロナ前と比べるとそこまでではないという話を、他の、ちょっとこう言ってはいけないんですけど、その、比べ方の問題はあると思います。要するに比べてるベースというのが、コロナ前の本当に観光がない時期からの何倍と言ってるのと、戻ってきてからの倍ってまた違うと思いますけども。
それはそれとして、ただそのわれわれも東京とか関西とか人が多く出るところで山口のPRを、かつてなくいろんなデジタルサイネージとか使ってやりましたし、あとはそれが出たことで、今アメリカの旅行サイトのエクスペディアという一番使われてるやつですね、そこで山口特集をやってくれたりですとか。われわれが自分たちでやる部分もありますけれども、そうではないところでも勝手に雑誌とか載ったりとか、PRしてくれるところはたくさんありますので。それはニューヨーク・タイムズに出たからこそ、そういったPRをされたんだというふうに思います。
あとはやはり特に欧米系のところで影響が大きいと思うのですが、やっぱり感じるのは、欧米系というのは、そもそも西の方に全然来てないということがあるのですよね。
これは山口に限らず、例えば九州知事会に行っても中国知事会に行っても、同じ課題が出るのですけれども、インバウンドと言えばアジア系は非常にこちらの方には来るのだけれども、欧米系というのはどうしても関西止まりで、東京とか、関西の間をグーっと回っている。唯一あるのは広島に来ている。原爆ドームとか、平和祈念館とか、厳島神社とかっていうところでの誘客を、もっと西の方に持って来ようということは、これは特に(大阪・)関西万博において、西のゴールデンルートを目指そうという動きがあったりですとか、そのための自治体連合ができたりですとか、そうしたこともあって、みんな共通の課題ではあるのですね。
なので、そういった中で、これからさらに継続的に取り組みをしていかなければいけないというふうに思っております。
山口新聞
ですので、しつこいようですけど、県としては、ニューヨーク・タイムズの報道を受けて、最大限できることをやって、それなりの成果もあったっていうふうに、受け止めていらっしゃるということですね。
知事
そうですね、伸びてるのは伸びてますから、1.5倍という形で伸びております。それが、もっと10倍とか20倍とかなればもちろんいいんでしょうけれども、非常に恵まれたというか、言ってみれば他のところはそんなことないわけですから。
全く何も経費もかけずにニューヨーク・タイムズに取り上げられたことで、他にもいろんな取材があったりとか、旅行商品の企画をしに外国の旅行会社が山口を訪問したりですとか、今言ったようにエクスペディアが特集してくれたりですとかいうことがありますので、それは大きなその後の展開も、おかげさまでさまざまな形での発信というのは、なされてるのかなと思います、はい。
YAB(山口朝日放送)
知事が、全国知事会のデジタル社会推進本部長でいらっしゃる立場から質問するんですが、マイナ保険証が12月2日から始まりまして、今の健康保険証の新規発行が停止されるということになってます。
マイナ保険証、まだなかなか利用率が伸びないことに加えて、医療現場の窓口でなかなか本人確認のトラブルがまだ残っているという状況だと伺ってまして。一つには、新規発行停止を、もう少し後ろ送りする方がいいじゃないかっていう議論もあるそうですが、知事会並びに村岡知事の考え方はいかがでしょうか。
知事
時期について、全体の状況をきちんと国の方で確認をしてもらい、今後の進め方については、よく検討してほしいと思います。
いずれにしても大事なことは、不安とかがなく、スムーズに移行するということが大事ですので、やはりそうした中で、それから漏れ落ちることはあってはいけませんし、取り残されることがあってはいけないというふうに思います。
ですので、その辺は丁寧に行いながら、しかし最終的には安心で利用できる、そういった環境が整うことで自分の医療とか、その薬とかいろんな履歴とか、そうしたものも確認をしやすくなったりとか、サービス的にはできることはたくさんある、あるいは本人としてもさまざまなものがそこで確認できるとなってきますので、目指すサービスというのは、望ましいものだと思っていますが、そこに移っていくところでのさまざまなネックになってるところは、スムーズに、それがないように解消しながら、円滑な移行を進めてほしいと思ってますので、そういう趣旨での要望はこれからもしっかり行っていきたいと思います。
YAB(山口朝日放送)
12月2日ですので、もう本当に今は時間がない中で、なかなかスムーズにいかないんじゃないかという指摘なんですよね。ですから、将来的に安全安心な制度になるとしても、今、このタイミングでやるべきなのかっていう議論だと思うんです。
例えばその新規停止を半年後にしましょうみたいな感じが、知事とか知事会の中にあるかどうかっていうことなんですけど。
知事
その時期について、その各県なりから、知事会として言うべきだというところは、私は把握をしておりませんが、どうなんでしょうかね。あまりその県が絡むというより国の方でもっぱらやられているところでもあるというところがありますので、支障ないようにというところはありますけれども。時期についてとか、そのやり方について、細かくというのは今までは言ってはないし、自治体の方からも、そこまでの声はないですね。
※広報広聴課編集
[ ]の箇所は当課で修正しています。
作成:山口県総合企画部広報広聴課