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知事記者会見録・令和6年6月11日実施分

ページ番号:0261028 更新日:2024年6月13日更新

知事記者会見録一覧へ

日時 令和6年(2024年)6月11日(火曜日)

11時00分~12時05分

場所 県庁2階 記者会見室

発表項目

〇政府要望について (PDF:2.82MB)

 

 

知事

 それでは、本日、私の方からは、令和7年度の国の予算編成等に向けた政府要望について、ご説明させていただきます。

 政府におきましては、我が国の人口減少を食い止めるために、こども・子育て支援の抜本的な強化を図るとともに、経済の再生に向けた、きめ細かい賃上げへの支援や中小企業の人手不足対策などの強化、さらには、デジタル田園都市国家構想の下、地方への人の流れを強化するなど、地方創生に向けた取り組みを進められています。

 本県におきましても、人口減少は一段と深刻化しております。これまで以上に強い危機感を持って、こうした国の動きに呼応しながら、その克服に挑戦していくこととしています。

 また、人口減少下においても、本県の更なる発展を目指すため、デジタル化・脱炭素化等の社会変革を新たな推進力にしながら、県づくりの取り組みをさらに進化させていきたいと考えています。

 こうしたことから、本県では、「やまぐち未来維新プラン」に掲げた維新プロジェクトを戦略的に進めており、これを着実に実行し、大きな成果につなげていくために、国の政策の方向性が定まるこの時期を捉え、国の政策との連携、あるいは国の予算措置等の支援が必要なものにつきまして、関係府省庁への提案・要望を実施します。

 要望活動は、明後日13日(木曜日)に、県議会の柳居議長とともに、関係府省庁に対して行います。

 それでは、要望内容につきまして、概要をご説明いたします。

 モニターにもあります通り、この度の要望では、国の制度の拡充や財政支援等を求める36項目を「超重点要望」として要望します。

 また、「国策関連要望」として、「岩国基地関連の安心・安全対策の推進と地域振興策の実施」について要望を行います。

 このほか、継続的に国の支援を求めるものや、予算編成に向けた事業採択等に係る39項目については、「重点要望」として、関係部局で要望を行います。

 以上、この度の要望項目は、計76項目となります。

 それでは、超重点要望につきまして、新規要望の項目を中心にご説明いたします。

 はじめに、「産業維新」に関する要望についてです。

 まず、カーボンニュートラルコンビナートの実現に向けた取り組みの強化についてです。

 本県経済を牽引しているコンビナートは、脱炭素社会に必要な新しいエネルギーや素材を供給する「カーボンニュートラルコンビナート」への変革を目指しており、アンモニアサプライチェーン構築に向けた挑戦など、全国に先駆けた取り 組みが進められています。

 こうした取り組みをしっかりと軌道に乗せていくためには、経済的支援をはじめ、国による大胆な対策が不可欠であることから、先月成立した、水素社会推進法に基づく、アンモニア等の供給拠点整備に向けた支援や、既存原燃料との「価格差に着目した支援」等について、企業の整備計画や需要規模に合わせた支援を要望するものであります。

 次に、コンビナートのスマート化による生産性・安全性向上に向けた取り組みの推進についてです。

 人手不足や物流の2024年問題への対応など、生産性・安全性向上の観点から、コンビナート企業におけるデジタル技術の導入は、一層重視される状況にありますが、企業間のシステム連携や高速・大容量の通信環境の整備などが課題となっています。

 このため、デジタル化・スマート技術の導入や各種システムの機能統合、物流改革等によるモデル事業創出への支援、また、電波利用環境の整備、防爆に関する規制等の見直しなどを要望するものです。

 次に、若者・女性等の地元就職・定着の推進についてです。

 若者の多くが共働きを前提とした人生設計を考えており、若者の希望に適う就業環境を実現するためには、仕事と子育てを両立できる環境づくりが不可欠であります。

 そのため、県としては、「共働き・共育て」を定着させるための第一歩である男性の育休取得を促進するなど、共育てしやすい職場環境づくりに取り組む企業の支援を進めています。

 国においても、「出生後休業支援給付金」の創設や、「こども未来戦略」に示された育児期を通じた柔軟な働き方を実現するための措置が拡充されたところです。

 今後、こうした取り組みによる育休取得の大幅な増加を見据え、安定的な財源の確保や拡充された制度の周知・啓発の推進等を要望するものです。

 次に、産業の持続的発展に向けた産業人材の育成・確保の推進についてです。

 大企業を中心に、人材を資本として捉え、その価値を最大限引き出す「人的資本経営」の導入が進んでいます。

 こうした中、深刻な人手不足が続く中小企業において、大企業との間で、採用力等の格差拡大が懸念されていることから、県内中小企業における人的資本経営の導入に向けた取り組みに対する支援等を要望するものです。

 また、都市部からの人材還流の加速化に向け、移住支援金などの財政的支援の充実や、今後開始される育成就労制度について、都市部への外国人材の流出を防ぐ措置の創設等を要望するものです。

 次に、食料安全保障の実現についてです。

 本県は、中山間地域など条件不利地域が多く、全国平均よりも生産コストが高くなっており、また、近年の燃料・肥料等の生産資材価格の高騰分について、農産物の販売価格に転嫁できない状況です。

 こうした中、現在、国においては、生産費を転嫁した適正な価格形成に向けた検討が進められていることから、本県の実情を踏まえ、持続的な農業経営を可能とする仕組みの構築と関係者の理解促進を要望するものです。

 また、農産物を供給する担い手の減少・高齢化についても深刻な状況にあることから、担い手の確保・育成への支援やスマート農業の推進による生産性の向上など、食料の安定供給に向けた生産体制強化への支援についても要望するものです。

 このほか、半導体・蓄電池関連産業の集積促進や、コンビナートの国際競争力強化に向けた港湾の整備、産業力の強化等に向けた基盤整備などを継続要望します。

 次に「大交流維新」に関する要望についてです。

 まず、若者・子育て世代をターゲットにした新たな人の流れの創出・拡大についてです。

 コロナ禍後、東京圏の転入超過が以前の水準に戻りつつあり、東京一極集中が再加速する中、本県では、若者を中心とした県外流出が拡大に転じています。

 この流れを変えるためには、東京圏に大企業や大学が集中し、若年層が進学や就職に伴って東京圏へ流入するという構造的な課題の解消に向けて、若者の地方への定着や還流を促す取り組みをさらに強化していかなければなりません。

 このため、若者や子育て世代のふるさとへの回帰に向けた移住支援金制度の拡充をはじめ、大都市圏等に集中する企業の地方分散や、若者の県内就業を促進する取り組みの創設・拡充、地方大学における授業料等の引き下げ等を要望するものです。

 次に、新たな需要を地方誘客につなぐ戦略的なインバウンドの推進についてです。

 全国的にインバウンドが急速に回復している一方、訪日外国人宿泊客の約7割、とりわけ欧米豪に至っては、8割以上が、三大都市圏に集中しています。

 このため、欧米豪をはじめとした旺盛なインバウンド需要を広く地方へ波及させていくため、大都市圏等から地方への周遊促進を図る取り組みや、魅力的な観光地域づくり、観光二次交通の定着・高度化等に対する支援を要望するものです。

 また、外国人観光客を地方に直接呼び込む国際チャーター便やクルーズ船等の誘致に向けて、航空・船舶関連事業者への支援や、受入体制の強化につながる取り組みに対する支援の充実を要望します。

 次に、ユネスコ世界ジオパークの認定等に向けた支援についてです。

 Mine秋吉台ジオパークについては、平成27年から日本ジオパークの認定を受けています。

 山口県のシンボル的存在である秋吉台や秋芳洞などの、国際的にも価値の高い資源があり、地域においてその保全や、これらを活用した地域振興などの取り組みを進めてまいりました。

 こうした取り組みをこれまで以上に進め、知名度の一層の向上を図りながら、地域の持続的な発展・活性化につなげていくため、この度、Mine秋吉台ジオパーク推進協議会において、ユネスコ世界ジオパークの認定を目指し、国内推薦の申請をされたところであり、専門的・技術的な助言などを要望するものです。

 このほか、山陰道や下関北九州道路の早期実現なども継続要望します。

 次に「生活維新」に関する要望についてです。

 まず、戦略的・総合的な人口減少対策の推進についてです。

 昨年の全国における合計特殊出生率が過去最低となるなど、人口減少は危機的な状況にあり、我が国最大の課題として捉える必要があります。

 人口減少は、地方の取り組みだけで解決できる問題ではなく、その克服に向けては、国のリーダーシップによる強力な対策が不可欠であることから、人口減少対策を戦略的・総合的に推進する司令塔となる組織・体制の整備や東京一極集中からの脱却に向けた社会減対策の強力な推進、子育てに係る基幹的な経済的支援の全国一律での制度化等を要望するものです。

 次に、子育ての幸せが実感できる社会の実現についてです。

 国においては、「こども未来戦略」などで、こども施策の大きな道筋を示すとともに、こども・子育て政策の抜本的な強化を図られたところであり、本県においても、国と連携しながら、若者や子育て世代に寄り添った少子化対策を強力に進めていかなければなりません。

 このため、子どもと子育てにやさしい社会づくりに向けて、本県独自の少子化対策等への支援やその全国展開、保育施設等の計画的な整備に向けた財源の確実な確保などについて要望するものです。

 また、安心して子どもを生み育てることができる環境づくりに必要な母子保健医療や子育て家庭を支える環境の充実に向けた支援、すべての子どもが健やかに生まれ育つために必要な児童虐待の防止対策などへの支援についても要望します。

 次に、性の多様性に関する理解増進施策への支援についてです。

 昨年6月に「LGBT理解増進法」が施行され、地方自治体においては、国と連携を図りつつ、地域の実情を踏まえた理解増進施策の推進が求められています。

 こうした中、本県においても、性の多様性が認められ、誰もが安心して暮らせる社会の実現に向けて、パートナーシップ宣誓制度の施行をはじめ、相談体制を充実するなど、さらに取り組みを強化していくこととしており、これらの取り組みを継続的に実施するために必要な財政的支援や、国の基本計画等の早期策定を要望するものです。

 このほか、美祢線及び山陰線の早期復旧や防災・減災対策の推進、デジタルの活用による行財政改革の推進、教育人材の確保に向けた取り組みの強化などを継続要望します。

 最後に、「国策関連要望」です。

 岩国基地につきましては、空母艦載機移駐後の状況を踏まえ、集中的な飛行訓練の緩和など騒音軽減措置の実施や、住民の不安解消に向けた航空機の運用に係る事前の十分な情報提供など、安心・安全対策の推進について要望するものです。

 また、令和9年度に終了予定となっている県交付金の制度継続など、艦載機移駐等により増加した負担の継続や我が国の平和と安全への協力・貢献に見合う地域振興策の確実な実施についても、引き続き要望してまいります。

 私からの説明は以上です。

 

NHK

 初めに、政府要望に関連していくつか質問します。

今回の項目の中で今、知事からお話しいただいたように、人口減少対策の推進というものが盛り込まれております。そういう中で、先日、山口県の去年の合計特殊出生率が1.40になったという発表もありました。まずこの数字に対する受け止めをお願いできますでしょうか。

 

知事

 合計特殊出生率が全国で、全都道府県で下がりました。山口県においても下がりまして1.40ということであります。全国の順位でいけば、上位10位ということで、全国的に比較すると悪いわけではなくて、徐々に順位は上がってはいるのですが、ただ数字が下がっているという全体の大きな流れの中で、山口県も下がっているということで、大変強い危機感を持っております。

 われわれの方でも今年度は特に、さまざまな若者への意識調査等もしながら、特に第二子の壁と言われることもありますけれども、第二子を生みやすいような第二子の保育料を完全に無償化をするとか、あるいはやはり高齢化をして、結婚年齢とか出産年齢が上がっているところもあって、なかなか思うように子どもが持てないという方々もいらっしゃいます。そういう中で不妊治療についても、自己負担を基本的にはなくすという形の、いずれも全国トップレベルの措置を講じることにいたしました。

 また、子どもを産み育てやすい職場環境づくりですとか、さまざまな環境整備を行い、とにかくさまざまな施策を動員して、子育てがしやすいような、そうした山口県をしっかり作っていきたいと考えております。

 ただ、これは県としてはそういった形で施策としても特に最重要課題ということで、施策の柱としても最重要に位置付けて行っているものでありますが、これはやはり国全体でもそうした大きな柱立て、また、こうした人口問題を正面から捉えて、これを抜本的に改善すると、そうした体制づくり、司令塔となる組織、そうしたものをぜひ作って、大きく旗を振って取り組みを進めていただきたいし、そうしていかなければいけないと思っております。

 全国的にも過去最低となりましたけれども、東京都は特に1を切ったということでありまして、非常に大きな衝撃を持って受け止めております。これを本当に一つの大きなターニングポイントとして、人口問題に正面から国全体で取り組んでいくと、そしてそれでこうした構造転換、これは人口減少もそうですし、東京の一極集中も、これも構造としては同じような悪循環を生み出している、そうした人口減少を加速する、そうした東京一極集中も含め改善していくということを本腰を入れて取り組んでいくと、そういった転機にしていかなければいけないと考えます。

 

NHK

 関連で、今、表示していただいているスライドの3番目に「子育てに係る基幹的な経済的支援の全国一律での制度化」というのが盛り込まれているんですが、例えば子どもの医療費というのは自治体によって中学生まで無料だったり高校生まで無料だったり差があったり、あるいは最近でいうと高校の無償化も東京都が一部無償化、私立も含めて所得制限撤廃したりというふうに、自治体によって差があるのが現状だと思います。ここで挙げられている全国一律での制度化というのは、例えば、高校無償化をもう、全国一律でやってほしいというようなことなのか、あるいは、子どもの医療費を18歳まで無料にしてほしいとか、どういったところまで求めるんでしょうか。

 

知事

 数字について具体的にここで書いているわけではありませんけれども、ただいずれにしても今、経済的な負担というのが子育て、子どもを本当は持ちたいけれども持てないというところの最大の理由になっているわけですね。それは保育のレベルですとか、教育のレベル、あるいは高等教育のレベル、さまざまなレベルがあります。そこを各自治体が、それぞれ何とか手当をして頑張っていこうということでやっておりますので、全体的にはでこぼこがあるわけですよね。ただ、全体の水準をやはり上げていかなければいけないというふうに思います。揃えるということが目的というよりも、やはりもっと高い水準でしっかり国の方がもっとより強力な措置をしていかなければ、この少子化の流れは止められないと思います。

 ですので、国の方も待ったなしであると、それはラストチャンスということで言われているわけでありますし、ぜひそうした認識を持って、より高いレベルで一律の制度というのをより大きく打ち出していただきたい、そうした思いを持っております。

 

NHK

 質問変わります。政府要望の中にもあるんですけれども、JR美祢線の関係をお聞きしたいと思います。去年の大雨から間もなく1年となります。この1年の県内の復旧状況を知事はどのように見ていらっしゃるかということと、先日、JR西日本の広島支社の支社長が単独での復旧は非常に難しいということを述べられております。先日、コメントをいただいていますけれども、改めて受け止めをお願いできればと思います。

 

知事

 昨年の6月末の大雨災害で美祢線、また山陰線が大きく被災し、間もなく1年が経つということになっております。われわれ、速やかな復旧を求め、地元自治体ともJRに対して強い働きかけを速やかに行ったところであります。復旧工事等については今、山陰線の方はいろんな調整が進みまして、めどが立ってきたところでありますけれども、美祢線については全く動きがないという状況に変わりはないわけであります。

 われわれとしては河川改修については、これはJRの話を抜きにしても、やはり河川が氾濫をしているという状況に対して、これを改善しなければいけないということで、この工事を急いで行うことにしております。かなり前倒しをし、早急に最大限、早く工事を終わらせようという取り組みをしているところであります。

 そうした中で、JRについても基本的には運行しているものが止まったということでありますので、これは原則として事業者の方で速やかな復旧をするということは、私は原則だと思っておりますので、そのことを強く訴えてきたわけでありますが、JRとしてはやはり被災の規模の問題ですとか、あるいは今後の災害の問題ですとか、あるいは利用状況の問題によって、なかなか自ら単独では復旧は難しいといったことを言われているわけですね。今回、初めて単独での復旧は困難であると、そうした旨を表明されたわけであります。そういった中で新しい部会を作り、その中でJRとしても鉄道で復旧するとした場合の復旧費や工期等について示したいということも示されております。

 1年経って大きく動きがない中で、このJRのローカル線の問題は全国といいますか、特に中国地方も各路線についていろんな議論がありますけれども、われわれ非常にハンデなのは、今、止まってるということですね。動いてるところで議論するわけではなくて、止まっているところで議論する、JRがいいと思わなければ何も動かないという状況でありますので、非常に不利な状況なわけであります。そういう中で、しかしわれわれとしてはしっかりと地域の足が確保されると、安心して暮らせるということが必ず達成していかなければいけませんので、そのための話し合い、協議というのはしっかりしていかなければいけないと思っております。

 そうしたことの中で、今回、新たな部会についての提案がありました。さまざまな地域の声等も地元の自治体の方でもあると思いますので、そうした沿線自治体とも相談をしながら、今後の対応について検討していきたいと思います。

 

NHK

 関連でお伺いします。今回、JR側は単独での復旧は非常に難しいということまでしか言ってないので、その先を、言ってないんですけれども、仮にJR単独で復旧させるのは難しいので、県の方に復旧費用の一部を負担してほしいと、そういった声が寄せられた場合には、県として予算措置を行う考えがあるのか、あるいはあくまでもJR側が自分のお金で直すというのが原則だとお考えなのか、その辺いかがでしょうか。

 

知事

 そこはまだ具体的にJRから示されておりませんので、仮定のものに対して県としての考え方を示すというのは控えたいというふうに思います。いずれにしても状況を皆さんで共有をするというところがスタートだと思いますので、そういった意味ではJRの方で復旧にどれだけかかるのか、やるとしたら工期はどうなのかということですとか、そうしたさまざまな情報をまず見せてもらって、その中で考えていくということになるのではないかと思います。

 

NHK

 話題変わりまして、先日、保育施設の整備や改修を補助する国の交付金、就学前教育保育施設整備交付金を巡って、2024年度分の申請が1回目で打ち切られてしまって、施設整備が遅れかねない事態となっていたかと思うんですが、この件、その後解決されたんでしょうか、あるいは今回、政府要望に合わせてその件また言いに行ったりすることはあるんでしょうか。

 

知事

 保育所の整備の予算ですね。従来、これまで例年、要望したものはいくつかの協議を重ねて、基本的には全て措置がされていたというところなのですけれども、今年度、出したものが一次協議の途中で打ち切られまして、もう予算的にないので、あとはできませんというような話でありました。端的に言うと。

 しかし、われわれとしては、さまざまの保育施設を整備する、今実際に事業をしようという動きがあり、中には、待機児童が生じているところは保育所定員を増やすというところもありますので、これが止まってしまっては大変ですので、ぜひしっかりと予算措置をして、今年度措置をして欲しいという要望を、その通知が示された直後に、私自身、関係部局と一緒に上がりまして、(こども家庭庁関係府大臣)政務官に話をしました。

 実情はよく分かっていただいて、どういったことができるか考えていくということでありましたが、その後、国から通知がありました。内容はちょっと細かいんですけれども、令和6年度創設等の単独の整備事業、または令和8年4月1日以前の開園予定の整備事業であって本年12月までに着手、あるいは契約予定の事業ですとか、熱中症対策のための冷房設備に係る整備事業については二次協議を受ける旨、通知がありました。

 前回一次協議の途中で打ち切りと、今後もうありませんという話だったのですが、そうした協議を受け付けるということでありました。特に、中には来年の4月、定員を増やして開業予定しているところがありますので、それについては今の要件に合致しますので、協議が行われるようになったということであります。

 ただ、予算的には自ずとやっぱり枠があるので、それが全部できるわけではないということは留意事項として示されていますので、国としても、こども家庭庁ですけれども、必要な追加財源の確保に向けて全力で取り組むということも示されております。

 今回の要望でも、そういったことで打ち切りの状況は一定改善されて、本当にクリティカルなところについては話を聞くということになったところは一歩前進だと思いますが、基本的に予算が足りていないという状況でありますので、そこについては、われわれの方もしっかりと今回の要望の中でも声を上げて必要な予算はしっかり確保してもらわなければいけないと思っています。

 本当にこれだけ少子化対策、国としても、異次元の対策をしていくということで力を入れてやっていて、それの方向自体は心強いわけですけれども、個別のこういった事業で予算が足りないということが起きないように、ぜひしっかりとした予算の確保をしていただきたいと思いますし、そのことを強く求めていきたいと思います。

 

NHK

 また話題変わりまして、先日、大手自動車メーカーなど5社で、国の認証試験の不正行為が相次いで見つかった問題で、マツダの防府工場でも2車種が出荷停止の指示を受けました。このことに対する受け止めと、また地域経済への影響をどのように考えるか教えてください。

 

知事

 まず、マツダの関係を含め不正行為について明らかになったわけであります。本県に工場が所在するマツダにおきましても不正行為が行われていたことにつきまして大変残念に思いますし、ぜひ、今、国の方の調査といいますか、指導も入っておりますけれども、しっかりと再発防止に取り組んでいただきたいと思います。

 その上で、一方で生産が止まってしまうというところについて、地域経済の影響が懸念をされるわけでありますが、マツダの方では他車種の発注を増やすなどして協力会社への影響が及ばないように対応していくということでありますので、影響を極力減らされるというふうに伺っております。ぜひそうした形で、もちろん再発防止、こうしたことが二度と起きないようにする、そのために改善するということが最優先でありますが、そうした中で地域経済、雇用等への影響もないようにできるだけお願いしたいというふうに思ってます。

 

NHK

 また質問変わります。中国電力なんですけれども、先日、一部の料金プランで従来プランよりも高くなる場合があるにもかかわらず、安くなるかのように表示していたのは景品表示法違反だとして課徴金が命じられました。この件に関する受け止めをお願いいたします。

 

知事

 電力供給というのは産業面もそうですし、生活面でも大変不可欠なインフラであります。そうしたものについて、やはり信頼をしっかり確保していくということが大変重要であると思います。とりわけ、さまざまな企業ありますけれども、社会的には大きな責務を負っていると思いますので、そうした不正に対しては起きないように、違反行為等については起きないように、しっかりと対策を講じていただきたい、再発防止を図っていただきたいと思います。

 

NHK

 次で最後にします。政治資金規正法の改正案が今、衆院を通過して参議院で審議が始まりました。知事は今出ている案、もしかしたらこれから変わるかもしれませんが、現状出ている案について国民の政治不信を払拭するのに十分な案ができているというふうに思われるのか、今の政治資金を巡る動きについてご所見をお願いできたらと思います。

 

知事

 これまでにないような見直しが行われているところは事実だと思いますし、そうした見直しをする中で、政治への信頼を確保していこうということの思いの表れなんだろうと思います。

 ただこの間、非常に長くこの問題というのが取り上げられ、また国民の皆さんも政治に対する信頼を大きく損なっているという状況が続いておりますので、これそのもので何か大きく改善するというよりは、やはりいろんな信頼確保の努力というのがさまざまな場面で必要なんだというふうに思います。そうしたことも合わせて、政治の信頼を回復していくということが必要だろうと言うふうに思います。

 

中国新聞

 私から1点、来年開かれる予定の大阪・関西万博の関連なんですが、先日発表いただきました山口県の出展される来年6月10日まで、今日時点で1年を切ったわけじゃないですか。先日知事の会見で、先日の時点ではまだその詳細が決まっていないので対応がなかなか取りづらいという状況があったんですが、1年を切った今、状況がどうなっているかちょっと教えてください。

 

知事

 その後、詳細なものについて連絡があったということは聞いておりませんが、特に動きはないですね。動きがありませんので、前も言いましたように、われわれその場で何ができるのかということですね、できることできないことを示してもらわないと、なかなかどういったふうに組み立ててますかというところがスタートできませんし、関係者にも話がしづらいというところがありますので、引き続き、万博も迫っていろいろと忙しいのだと思いますけれども、ぜひそういったところはさまざまな主体がこれ、出すわけでありますので、円滑に進むようにぜひ進捗を図っていただきたいと思います。

 

防府日報

 美祢線のことについていくつかお伺いします。まず前回の先日、利用促進協議会でJR側が新しい部会を立ち上げるという話がありました。知事、先ほど沿線自治体と相談して対応を検討するということでありましたけれども、県として、新しい部会を立ち上げられるということになれば、参加するという意向をお持ちなのでしょうか。現時点でいかがでしょうか。

 

知事

 これは本体の会議に県が入っておりますので、当然部会ができれば、そこにも入ることとなると思いますけれども。

 

交通政策課長

 総会の中で、一旦持ち帰って検討ということになっておりますので、先ほど知事が申しましたように、現在、沿線自治体とも協議しながら検討しているという状態でございます。

 

知事

 あまり先走って言えないということですね。

 

防府日報

 あまり先走ってはないですけど、どちらかと言えばそういうものができれば参加する方向で、今、関係の自治体とかと調整しているというようなニュアンスなんでしょうか。

 

知事

 そこまでのまだ段階ではないと思いますけれども、そもそもどうするかというところですね、その後どういったメンバーでとか、どういった内容で進めていくのかとか、その辺りはその次のステップだと思いますので、今の段階でメンバーどうこうという話ではないと思います。そもそもどう受け止めていくかというところの話をしているという段階と認識してます。

 

防府日報

 それから、この部会が仮に立ち上げられたらという話になると、発言しにくいかもしれませんけれども、こういった話し合いが進められていくとなると、当然、その廃線の可能性っていうのも出てくるわけですけれども、知事はこういった部会、今回JRが提案した部会が立ち上げられた場合には、これは廃線前提の議論であるかどうかっていうのはどういうふうに捉えていらっしゃいますか。

 

知事

 そこは、われわれとしては復旧を求めていくというスタンスは、従来から変わってないわけです。そうした下で、JRがどのようにそこに対して受け止めて、彼らなりの考え方を示すかということになってきますので、そこがまずどうするかというところの話し合いの一つ大きなポイントなんだろうというふうに思います。なので、その先のことについて、前提にはなかなかお話ができないですけど。

 

防府日報

 それから、これで最後にしますが、協議会でこの話が出てきたときの知事コメントの中に、JRに対して鉄道での復旧を求めていく観点から、という一言がありました。先ほど来おっしゃっていらっしゃいますように、鉄道での復旧というのが大前提になってくると思うんですが、ただ最近の災害から復旧する事例においては、福島県の只見線であるとか、熊本県の肥薩線であるとか、上下分離方式の採用による復旧というのがもう定着しているような流れになっております。鉄路を維持する場合に、県としてそういった上下分離方式とかを取り入れる可能性っていうのは、現時点でどういうふうにお考えでしょうか。

 

知事

 鉄道のあり方として、この美祢線に限らずローカル線の見直しの中でさまざまな手法があります。JRはもちろん、単独で維持してくれれば一番いいのですけれども、そうでなければ、上下分離という方法があったり、あるいはBRTという方法があったり、さまざまな交通モードがあると思います。JRとしてはそういったものを幅広く議論したいということなのかもしれませんけれども、われわれとしてはまだそこに行っているわけではなくて、基本的には運行しているものが止まったものであれば、事業者の責任でまずしっかりそれは復旧してほしいというのが基本的なスタンスでありますし。そこを事業者側の本来やるべきものということは、しっかりと事業者の責任として受け止めてほしいという思いも持っております。そこをいろいろとあり方の議論とまぜこぜにするというのは、こちらは本来ではないというふうに思っております。ローカル線はどこも皆、赤字なわけですよね。そういった中でたまたま被災したところが、たまたま止まっているから、JRとしては有利な状況を活用してそこをなくしていくというのは、本当にネットワークとして考えたときにそういった形ででき上がるものが本当に正しい適切なものかどうなのかというところについては強い疑念を持っております。

 復旧は、基本的にはまず原則として事業者が戻すべきですし、あり方の議論が必要であれば、それはそれとして、全体としてどういう考えでやるのかというところをきちんと整えて、それに応じて将来像を作っていくということはあるべき姿だと思いますので。たまたま被災したところが割りを食うといいますか、非常に不利な状況の中でJRの見直しの中に引きずり込まれていくというのは、本来ではないというふうに思っております。

 そうした思いを持っておりますけれども、いずれにしても、現状の中で最終的に地域の方々が困らないような形にしていくということは、これは最後、必ず達成しなければいけないことでありますので、今後の地元市の意向もよく確認をしながら、どのように対応するかということをしっかり検討していきたいと思います。

 

山口新聞

 JRの関係でまずお伺いしますけれども、先ほど状況共有、今後設置されるであろう部会の中で状況共有することがスタートで、さまざまな情報をJR側に示してもらいたいというふうなご発言があったのですが、例えば今の時点でJR側にどんな情報の提示を求めていきたいかとかっていうのが、イメージがございますでしょうか。

 

知事

 まず、今被災の状況であったりとか、それで復旧するとしたらどのぐらいコストなり期間がかかるのかという情報が全くない状況でありますので、それがなければ議論がスタートしないというふうに思います。もちろんJRが全部自らやるというのであれば、それはわれわれとしては関知しなくてもいいわけなのですけれども、JR単独での復旧は困難であるということを言っているので、それはどんな規模のもので、どのぐらいかかるということなのか、あるいはそれ以外にどんなネックがあるのか、そうしたものは、提示をしてもらうということにその次のステップではなるということではないかと思います。JRとしてはそういったことを部会を作れば、そこで提示をしていくということでありますので、こちらとしてはそれを拒否するのか、あるいは今後のことを考えて地元とも協議しながら進めていくのか、そこは地元の方でまず沿線自治体の皆さんがどう思われるのかというところが最も重要なところでありますので、県としては沿線自治体の方とよく相談をしながら対応を考えていきたいと思います。

 

山口新聞

 それから少子化の話の中で、冒頭のご発言の中で、人口問題、人口減少問題を検討する司令塔的な、司令塔となる組織を作ってほしいというふうな、国側に対してご発言がありましたが、これ例えば、今、こども家庭庁とかありますけれども、具体的に知事の頭の中では、例えば省庁、庁を作るとか、人口問題について専門的に取り扱う、そのあたりを考えてらっしゃるのか、それとももう省庁を横断的に俯瞰するような組織体制を敷いてほしいと思っていらっしゃるのか、司令塔っていうのは具体的にどういったものをイメージしていらっしゃいますか。

 

知事

 人口減少の問題というのを解決するときに、特定の省庁の枠には収まらないと思うのですね。今のこども家庭庁のように子育て家庭に焦点が、直接子育て、まさに子どもを産み育てる子育て家庭に焦点を当てた施策を講じるということもあると思うのですけれども、当然労働施策ですとか、あるいは国と地方の格差の問題ですとか、要はさまざまな社会全体の関わりの中で、今の少子化問題というのはかなり複雑な構造の中で少子化と、それから東京一極集中もそうですけれども、起きているわけでありますので、やはりここを何とかしようと正面から捉えてやろうとすると、特定の省庁に収まらないと思います。そうしたことをまず進めるということを旗に掲げて、そのために施策を各省庁の組織であったり、そうしたものを動員しながらやってくということをやっていかないとこれは解決できる問題ではないと思っておりますので。形ということを、具体的にこの形でということではありませんけれども、いずれにしても取り組みとしては省庁横断的なものでなければ実効あるものにできないと思います。

 

山口新聞

 それから、今日挙がった話ではないんですけれども、山口県の人権推進指針のちょっと関係でお伺いをしたいと思うのですが、これ今去年の1月から改定作業を始められていて、来月ぐらいにパブリックコメントを実施されて、来年の3月ぐらいに改定が策定されるということなんですけれども、ちょっと取材をしていた中で、性同一性障害っていうのが医学的治療の対象になっているっていう記述が非常に引っかかっていて、それが今も県の人権指針の中で生きた状態になっている。県としては当然今見直し作業を進めておられるわけなんですけれども、一方でさっき冒頭にご発言があったように、パートナーシップ制度の施行について、9月から県は取り組みをされて、これを全県的な取り組みとして波及をされようとしているわけで、パートナーシップ制度が導入されながらも、一方で人権指針が少なくとも来年3月までは生きた状態で、この記述が残っているっていうことについてのまず受け止めをお聞かせいただけますでしょうか。

 

知事

 今の指針の中での記載、平成24年の指針改定当時の法律等に基づいて記載があって、現状と齟齬(そご)しているということは承知をしております。当然制度が変わっておりますので、そこは今のものに改めるべきだと思いますし、それを可能な限り早急にやるべきだと思います。

 一方で、今他のいろんな制度改正ですとか、状況の変化等も社会情勢等の変化等もあり、指針自体全体を見直す作業をしておりますので、これ、昨年1月から具体的な改定作業に取り組んでいるところであります。その他のものも含め、改定を行っていくということにしておりますけれども、いずれにしても可能な限り早急に改定できるように努めていきたいと思います。

 

山口新聞

 その可能な限り早急にされるということなんですけれども、例えばこの記述部分について、県の方が少し違和感を持ったのであれば、この部分については、例えばこの秋のパートナーシップ制度の導入のタイミングで改定できるようにスケジュールを事前に逆算をして、計算をして、委員会か審議会かの中で立ち上げをしたり、これ知事の諮問機関というふうに伺っているんですけれども、何かその作業っていうのがあってもよかったのではないかと思うのですが、そのあたりはいかがですか。

 

知事

 これ、若干本編の資料編でこういう制度ですというところですので、県の方針として書いてあるわけではなくて、今こういう制度ですというところが時点が古くなっているという問題ですね。なんですが、他も例えば結構制度改正はいろいろありまして、労働施策総合推進法、パワハラ防止法が改正されたりですとか、ビジネスと人権に係る行動計画の策定があったりですとか、今おっしゃったLGBTの理解増進法ができたりですとか、さまざまありますので、そういうのはまとめてやるということで全体で検討しているということですね。違和感があるというのは私もよく分かります。できるだけ早く直すべきだというふうに思いますけれども、全体を審議会の中で今ご議論いただいておりますので、その中できっちりと改定をしていきたいと思います。

 

山口新聞

 それから最後、今、カスタマーハラスメントの話がいろいろと自治体とか民間企業での動きが出ているんですけれども、企業とか自治体によってはネームカードの取り扱い、苗字だけにしたりとか、そういったものを日常的にぶら下げなかったりとか、そういったような取り組みがあったりとか、近県でもこのカスタマーハラスメントについて検討していくプロジェクトチームみたいなもの、プロジェクト会議かもしれませんがちょっと正確には分かりませんけれども、設置している県もあるようなんですけれども、県としてカスハラ対策について、今後、何か取り組みを予定されていたりとかあれば教えていただければと思います。

 

知事

 今、具体的にこういうスケジュールでやりましょうというものはないのですけれども、ただやはり社会全体で、官庁もそうですし、企業においても大きく問題視されている。それに対してしっかりと守らなければいけないものを、われわれとしてどのように組み立てていけるのかということは考えていく必要があると思いますので、他の自治体の例ですとか取り組みについてもよく研究をしながら、どういったことができるのかということを考えていくことは必要だと思います。

 

山口新聞

 その研究しなければならないという話でしたけれども、その県は今、特に若い職員に退職をせずに居ついてもらおうということで、いろいろ去年から若手職員のアイデアを実際に県政運営に生かされたりとか取り組みをされているわけで、若い職員にとっては、いわれのない言葉であったりとかがなかなか耐性が中高年の方と比べると取れてない部分も一方であると思うんですけれども、そういった若い職員を守る上でも、取り組みっていうのを早期にしていくことが求められるのではないかと個人的に思うんですけれども、そのあたりはいかがでしょうか。

 

知事

 それは重要なことだというふうに私も思います。現状の課題について、よくまず把握をするということは大切だと思いますが。特に若い職員の意見を聞いて、それも含めて今、県庁で働く上で自分たちはどうすればやりがいをもって働けるのかとか、あるいはもっと業務を生産的にできるのかとか、そうした意見を幅広く聞いておりますので、そうした中でまたそういったことも含め、上がってきた声に対してしっかりと組織としてどのように、特に若い職員がやりがいを持ってまた働きやすい、そうした職場になるようにできるのかということは考えていきたいと思います。

 

日本経済新聞

 3点伺います。まず1点目なんですけど、今回の政府要望の中で、コンビナート関連が超重点新規で二つあります。何度か伺っているんですが、ここまで石油化学コンビナートについて、県として力を入れられる理由といいますか、背景といいますか、まずお願いします。

 

知事

 やはりコンビナート、瀬戸内のコンビナート企業というのは、本県の経済産業の屋台骨でありますし、ここがしっかりと強固なものでなければ、山口県全体が大きく伸びていけないだろうと思っています。人口減少等の問題もありますが、地域間競争を勝ち抜いていく上で、やはり山口県の強みをしっかりと保ち、伸ばしていなかければならいけないと考えたときに、やはり瀬戸内の産業の集積というのは本県が他県に勝る素晴らしい力だと思います。これを今後もより大きくしていくということが、これから地域間競争を勝ち抜いていく上で重要なところになってくるとも思っています。

 そうした中で、一方でコンビナートはどれもカーボンニュートラルという大きな変革の波の中にあり、ここをどう乗り越えていけるのかというところが、とてもこれから先において、引き続き強い産業基盤となるかどうかにおいて重要なポイントだと思っております。それぞれが今ある現状を踏まえてどのような改善、カーボンニュートラルの取り組みをしていくのかというところは、いろんな議論もそれぞれのエリアで行われ、県も加わっていますけれども、進めていく方向性というのが出ております。これを国の方にしっかり後押しをしていただかなければいけないと思っています。

 カーボンニュートラルの社会がどのようにこれからやってくるのかというところ、それはスケジュールも含めてなかなか見通せないところが多いんですけれども、企業としてはやはり会社としてとても大きな判断をし、前に進んでいくという中で後押しをできる、できるだけ安心してそこに進んでいけるような環境というのがいると思います。さまざまな研究開発等についての支援もそうですし、石炭からアンモニアや水素に替えるのであればその値差支援という部分もとても重要になっていきます。非常に高いコストの中で切り替えるというのは、これはもう自殺行為ですので、そうではなくてやはりその今と変わらない、むしろメリットがあるような形で転換をしていくということを国全体としてそういう環境を整えていかなければなかなかそこに踏み出してはいけませんので、これは山口の課題でもありますが、当然、国全体の国力に関わる課題でもありますので、国としてしっかりと今、取り組みを進めていこうとしているところの現状を見て、強力な後押しをしていただきたいと思っております。

 

日本経済新聞

 2点目なんですけれども、これも超重点の中に入っている再生医療についてなんですけれども、このあたり再生医療とか細胞治療、遺伝子いわゆる創薬分野なのですが、このあたりうまくいけば非常に山口県の産業構造を変えることができるぐらい多分、うまくいく可能性がある一方、かなりこの分野って相当、山口県が得意であるこの石油化学とか、自動車とか全く違うビジネスモデルです。おそらく多分成果が出るのは10年、20年できくかどうかです。かなりやってる最中で医薬品候補が全部駄目になっちゃったりとか、製薬会社とのライセンス切られちゃったりとかって、非常にリスクが高い。それをそのあたりのリスクもきちんと踏まえた上で、この再生医療といいますか、創薬分野に取り組まれていくお考え、そのあたりいかがなんでしょう。

 結構このあたりってあんまりうまくいかないで補助金出してると、議会からもこんなのやめた方がいいんじゃないかっていう声というのが出てくると思うんですけど、そのことが出てきたときにきちんと対応する気があるのか、それともよくあるもう成果が出ないのでやめちゃいますっていうふうにするのか、そのあたりどうお考えでしょうか。

 

知事

 今回、政府要望ということでありますから、国に対してしっかりと重要なものとして、重点的な支援をいただきたいというのがあります。これはもちろん県、地域としてもそうですけれども、国全体にとっても大きなプラスになると思いますので、国としてもここの可能性をしっかりと見てもらって、応援してもらえたらなということであります。

 コンビナート企業と医薬とか医療との関係ということでありますけれども、ただコンビナート企業も医薬とか原薬とかそういったところを作っていたりというところもありますし、素材産業でいろんなところに関わりが可能性がありますし、いろんな化学的なノウハウというか、技術を持っておりますから、そういったところが活きてくる面もあるのではないかと思います。それだけではなくて、例えば医療とか医薬の関係というのは県内でも集積がかなりありますし、医薬関係でも原薬の生産は日本のトップになっていることもあるわけでありますので、そういった意味で県として強みを持ってるところの一つであると思います。なので、企業誘致でも、医薬、医療の関係は、これまでも一つ重点にしておりますけれど、そういった面で産業の集積も図りたいと思いますし、一方でまだこのお話はかなり手前の話でありますけれども、それはそれで山口大学に非常に優れた知見があり、将来の発展可能性があるということであれば、そこはしっかりと伸ばしていく、チャレンジをしていくということは価値のあることだと思います。できるだけ進捗がされるように期待しながら、国の応援も得るようにしていきたいなと思います。

 

日本経済新聞

 おそらく川下の部分というか、製造の部分でいうとかなり山口県とは親和性が高いと思うし、集積もあるっていうのは分かるんですけど、かなり川上の部分に行くと、大学だけでもできない、研究の分野は分かるけどそれを医薬品の開発に持っていって、なおかつ、それをちゃんとパテントで評価して製薬会社と交渉してっていうところまでの人材がいないとかなりこの分野って難しいと思うんですけど、そのあたり、人材を求めるといいますか、何かアドバイザー的なものとか、そういったことのお考えはあるんでしょうか。

 

知事

 まず、大学の方でかなり進んだ知見をお持ちでありますので、そこといろんな企業が話をしながらやってるというところですね。行政としてできる部分はもちろんサポートしていきたいと思うし、今回のように国の方からしっかりと支援をしてもらうというところもわれわれが果たせる役割なのかなというふうに思っておりますので、いろんなネックがある部分についてはまた状況を聞きながら、われわれはサポートできるところはしていきたいという考えであります。

 

日本経済新聞

 最後に1点ちょっと美祢線について確認なんですけど、これはあくまでもJRの方には単独の復旧をまずは求めていくということと、新部会については、設置するかどうかも含めて、沿線自治体と今検討中という、この理解でよろしいでしょうか。

 

知事

 そうですね。基本的には鉄道の復旧を求めていくというのは、われわれ当初から変わっていないスタンスであります。ただJRはそれはできないということなので、そこをこれからどう話をしていくかということですね。その中で今回部会という提案があったので、そこでJRとしては復旧費用なり、いろんなものを示していきたいということでありますから、地元の市ともよく話をしながら対応を検討していきたいと思います。

 

日本経済新聞

 JR単独での復旧ではなくて、鉄道としての復旧っていうことを求めていくっていう理解でいいでしょうか。それともあくまでも現状では単独を求めていく。

 

知事

 われわれは原理原則として、基本的には鉄道の復旧は事業者が責任を持ってやるべきだということ、運行事業者が責任をもってやるというのが原則だと思いますし、そのことを従来から言っているわけですね。それではできないとなったときに、JRはどういうふうに、なぜできないのかというところとその状況をちゃんと説明をしてもらい、またではどうするのかというところは、JRがまずはその話を持ってくるべき話だと思います。

 

日本経済新聞

 あくまでも原則としては、鉄道をJRとして単独で復旧してほしいということが原則であり、新部会については、設置を含めて検討していくということでよろしいでしょうか。

 

知事

 そうですね。もちろん設置ということもその中に、検討の中に入っているということですね。提案があったのでそれをどうするか検討していくということですね。

 

KRY(山口放送)

 2点お聞きします。政府の方が地方創生10年という節目で、「取り組みの成果が一定数あると評価できる、国全体で見たときには」という文言を話されてるんですけれど、山口県からの視点で見たときにこの10年総括するとどんな言葉になるのかなと。知事のお考えを教えてください。

 

知事

 地方創生という柱自体は、とてもわれわれとしては願っていたものでありますし、その方向は素晴らしいものがあると思いますが、ただ取り組みとしては非常に不十分な部分が多いと思います。

 県に対するいろんな支援措置もこの間あり、それによってさまざまな、われわれも少子化対策、子育て支援、また移住の関係を進めることができました。成果として分かりやすいのは移住の関係は、山口県もそうですが、この間2、3倍ぐらい移住者も、県内の移住者も増えてきました。もちろんこれはわれわれも努力し、いろんなところに移住を促進するための体制も整え、またPRですとかきめ細かなサポートも市町とも連携しながらやってきた、その成果でもあると思いますが、国全体でそういった大きな流れを作ってくれたというところもあろうかというふうに思います。

 ただ、それが例えば東京一極集中が止まったのかというと、止まってないわけですね。むしろコロナが明けて、今、さらにかつてないぐらい拡大をしているという状況が起きておりますし、少子化に歯止めがかかってないという状況です。

 ですので、これ10年経ってやはり一つ地方の旗を振り、地方の取り組みを後押しをするということ、これはわれわれとしてもいろんな財源措置ですとかいろんなことも含めてありがたく活用させてもらいましたし、そのことの成果も出ておりますけれども、一方で全体的な基調としては東京一極集中はさらに進んでいますし、また人口減少も歯止めがかからず、さらに今年は非常に大きく落ちたということがこれ、地方トータル全てにおいて起きているわけでありますので、さらに地方の取り組みを後押してもらうだけではなくて、国の方がしっかりとこの人口減少とか東京一極集中、そうしたものを自分たちが構造的にどう解決するかというところを捉えて、この東京、1を出生率を切ったこれを機に、これをターニングポイントとして大きく施策を自分たち主導でこの構造を変えていくということをやっていただきたいと思います。

 

KRY(山口放送)

 話が変わりまして、今月、沖縄先島諸島の避難計画について、来年2月ごろまでに県が計画をまとめる予定ということを聞いておるんですが。これについては、県の方から、例えば民間とか、県民とかにも協力を何か求めるようなことが今後発生しうるのかな、と思うんですけれども、そのあたりいかがでしょうか。

 

知事

 今年度中に、初動的[初期的]な計画を作るということになっておりますので、山口県としてもこれを作っていくということになります。

 また具体的な、どういう前提の下で作るのかということについては、国の方から示されるものを踏まえて行っていくことになりますけれども、当然、行政だけで完結せずに、いろんな受入れのための体制等は整えていかなければいけませんので、必要に応じて民間とも協議調整しながら進めていくという部分が出てくるというふうに思います。

 ただ、現時点でどの程度詳細なものを作る必要があるのかというところも分からないところがありますので、どの範囲で協力を求めていくということは申し上げられませんけれども、ただやはり一定期間、こちらで多くの方が避難するとなりますと、当然民間の方にも影響する、お力を借りるところも出てくると思いますので、そのあたりよく見極めをしながら、今年度内にきちんとした計画を作れるように取り組んでいきたいと思います。

 

KRY(山口放送)

 あまり詳細聞いてもあれなんですけれど、沖縄県とか、例えば石垣市の方から山口県にはどのぐらいの方が避難する計画ですといった、そういう詳細なものっていうのは、今後山口県にどんなスケジュールで入って来る予定なんでしょうか。

 

知事

 山口県は石垣市からの避難住民の受け入れということを設定されたわけですけれども、どの地区ですとか何人程度といったものは具体的に示されておりません。

 それをいつということは今のところ、分からないんですけれども、それがやはりスタートになると思いますので、そこはできるだけ早く示される必要があるかなというふうには思っております。

 

朝日新聞

 県選出だった安倍元首相がお亡くなりになられてから来月で2年という節目を迎えられるかと思うんですけれども、この2年という節目を前にしまして、改めまして知事のご所見をお伺いしたいと思うんですけれども。

 

知事

 どんな理由があるにせよ、許しがたい暴挙によって安倍元総理の命が奪われたということは、大変残念なことであります。

 県政、特に地方創生の話もありましたけれども、さまざまな国政の大きな課題をやられる中で、地方創生の旗を振られたのも、安倍総理が振られたわけであります。そうした中で、さまざまな取り組みも前に進んできている面もありますけれども、そうしたことを、2年という節目も迎える中でということでありましたけれども、改めてこれまでのご功績に、心から敬意と感謝を申し上げたいというふうに思っております。

 安倍(元)総理は、山口県のこともいろいろご心配されておりました。私もいろいろなご助言もいただきました。やはり山口県が、もっともっと未来に向けて明るい、そうした県になってほしいという思いも強くお持ちで、いろんなアドバイスもいただきました。そうしたことも心に留めながら、しっかり頑張っていきたいと思います。

 

朝日新聞

 いわゆる県として、亡くなられてから2年ということで、追悼とか、そういった行事ですとか、そういったことをご予定されていらっしゃるんでしょうか。

 

知事

 いえ、それは今のところ予定はございません。

 

朝日新聞

 改めてなんですけど、知事ご自身、東京の安倍邸をご訪問されるとかそういったご予定はお考えでしょうか。

 

知事

 今のところ予定はありません。

 

読売新聞  

 下関北九州道路の関連なんですけれども、5月末から6月の頭にかけて地元の説明会があって、そこで計画のルート素案が示されたと思います。具体的には下関市内に2カ所のインターチェンジがあったりだとか、接続道路が4車線化したりとか結構詳細なものがあったと思うんですけれども、県も作成者側になると思うんですけれども、知事はこのルート図についてどのように評価されているか、受け止めを教えてください。

 

知事

 今説明会を行っている[行った]ところでありまして、計6回、行わさせてもらいました。整備についていろいろと期待の声も寄せていただいておりますし、さまざま、ご質問をいただいたというふうにお聞きをしております。引き続き、国、また関係県市と連携協力しながら、事業化に向けて地域の合意形成を図って、都市計画の手続をしっかりと進めていきたいというふうに思っております。

 ルート帯等については当初、A案、B案、C案とか、いろいろありました。そういう中で、最も時間短縮効果ですとか、効果があると見込まれた形で今のルート帯ができているということですね。もう少し具体的な設計になって、どこで接続するとかいうことになってきて、今それをまさに、説明会[説明]をしているというところでありますので、全体としては地元としては非常に期待が大きい道路でありますから、円滑に調整を進め、一日も早い実現に向けて取り組んでいきたいと思います。

 

 

※広報広聴課編集

[ ]の箇所は当課で修正しています。

 

 

作成:山口県総合企画部広報広聴課

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