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知事記者会見録・令和6年2月20日実施分

ページ番号:0245961 更新日:2024年2月22日更新

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日時 令和6年(2024年)2月20日(火曜日)

11時30分~13時13分

場所 県庁2階 記者会見室

発表項目

〇令和6年度当初予算(案)について (PDF:6.66MB)

 

知事 

 本日、私からは、令和6年度の当初予算案につきましてご説明させていただきます。

 本県では、山口県の新たな未来に向けて、「やまぐち未来維新プラン」に掲げました維新プロジェクト、これを戦略的に進めてまいりました。

 こうした取り組みによりまして、昨年の企業誘致に係る投資額は過去最高となりました。そのほか、農林水産物等の輸出商品数の拡大、またY―BASEの活用による各地域のデジタル実装に向けた取り組みが加速するなど、さまざまな分野で目に見える成果が表れています。

 その一方で、本県の人口は、昨年の8月に130万人を割り込み、人口減少のスピードも加速しております。

 また、昨年末に、国立社会保障・人口問題研究所が発表した将来推計では、2045年には100万人を割り込み、2050年には約93万人、高齢化率42.3%に達するとされており、大変強い危機感を持っております。

 人口減少は、本県の活力を損ない、経済活動や地域社会等に深刻な影響を及ぼす県政の最重要課題です。

 来年度の当初予算におきましては、「その克服と本県のさらなる発展に確かな道筋を付けていく予算」、そうした位置付けを行い、少子化対策をはじめとするさまざまな困難な課題に積極果敢に挑戦していきたいと考えております。

 まず、令和6年度の一般会計の当初予算の規模ですけれども7440億円ということで、令和5年度の当初予算と比べまして500億円、6.3%の減少というふうになりました。

 主な歳出予算では、施策的経費は、448億円減の2043億円となります。

 これは、コロナ対策関連経費の大幅な減少によるものでありまして、コロナ関連経費の影響を除いた場合は、25億円の増加ということになります。

 また、公共事業費は18億円増の676億円、人件費は、定年の引き上げや給与改定等の影響によって91億円増の1675億円となっております。

 一方、主な歳入予算といたしましては、県税は、法人二税が非製造業を中心に増収が見込まれるものの、地方消費税が、輸入額の減少の影響で大幅な減収を見込み、135億円減の1873億円となっています。

 また、県債発行額を公債費以下とするプライマリーバランスの黒字に着目した財政運営を継続し、県債全体で平成24年度以降13年連続の黒字となる予算案を編成できました。

 このため、令和6年度末県債残高については、減少を見込んでおり、平成25年度以降、減少基調を維持しているところです。

 それでは、予算編成の2つの柱に沿ってご説明いたします。

 1つ目の柱は、「人口減少の克服と本県の成長に向けた「3つの維新」の進化」です。

 人口減少につきましては、冒頭申し上げました通り、深刻度を増してきております。

 その要因は、加速する少子化、それと女性を中心とする若者の県外流出であります。これに何としても歯止めを掛けていかなければなりません。

 このため、当事者である若者や女性の意識、ニーズにしっかりと応えられる、より効果的な施策を展開していきます。

 具体的には、大学生や子育て世代といった若い方から就職や子育て等に関する意見等を伺ってきました。これを踏まえ、現状・課題において強化すべきポイントを整理し、人口減少の克服に向けた少子化対策、社会減対策などの新たな施策の構築を行いました。

 また、既存事業につきましても、社会環境の変化に対応するため、必要な見直しを図り、「3つの維新」をさらに進化させていきます。

 まず最初に、「少子化対策の抜本強化」についてであります。

 前提条件として、今起きていることですけれども、これは合計特殊出生率、オレンジが全国平均の数字です。山口県はこの上の水準で、今は1.47ということで全国11位ということで上位にあります。かつ、この傾向としてはどんどん下がっているわけですね、平成27年あたりをいったんの山として下がっています。全国は約2[0.2]ポイント下がっていますが、山口は1.3[0.13]ポイントということで減少も少し抑えられています。これまでも第3子の保育料の無償化とかをやってきたり、各市町でもそれぞれ少子化対策の取り組みを進めています。そうした影響も効いている面もあると思いますが、率としては上位の方にあるということでありますが、その一方、出生数はどんどんと減ってきています。平成27年が1万人でしたけれども、それを超えてきていまして、今は7800人程度ということでありまして、減少がどんどんと進んできております。5年前と比べると2割程度出生数が減っているということでありまして、減少のペースも加速化しております。全国もそうですけど、山口県でも減少ペースが加速しているという状況がありますので、非常に危機感を持っています。

 そういう中で、この度、意見聴取をしたと先ほど申し上げました。若者ですとか子育て世代からいろんな意見をお聞きして、声を聞いてきましたけれども、やはり「経済的な負担感、それから子育て環境への不安を感じる」という意見、また「夫婦共働きを前提にしたライフプランをイメージしている」といった声があったところであります。

 こうしたことを踏まえて、若い世代が結婚・子育てに対して将来の展望を描き、安心して子どもを産み育てることができる社会環境をつくっていく。そして、男性の育休取得が当たり前となるキャリア形成と育児・家事の両立を可能とする共育て社会の実現に向けて、「少子化対策の抜本強化」を図っていきます。

 まず、本県独自の取り組みについてです。

 本県では、先ほど言いましたように、これまで、3歳未満児の保育料軽減策といたしまして、国(制度)の対象とならない第3子以降の保育料について、支援を行ってきました。

 今回、その(支援)対象を、今、申し上げた強い危機感の下で、所得制限を設けないかたちで、第2子以降まで拡大することといたしまして、第2子以降の子どもがいる世帯における保育料の無償化を実現することといたしました。

 ここに書いてあります、一番最初の取り組みでありますけれども、特にこうした全県域において、所得制限がない制度を実施する都道府県は、現時点で、3都県のみであります。全国的に見てもかなり踏み込んだ取り組みであると考えています。

 少子化の大きな要因である経済的負担を軽減することによりまして、2人以上の子どもを育てやすい環境の整備を強力に進めていきたいと考えています。

 今後、市町と調整した上で、9月からの制度開始を目指してまいります。

 また、保育の質の向上策として、国において、75年ぶりに4歳5歳児の保育士の配置基準が改善されることとなっております。

 本県におきましては、県独自のさらなる保育の質の向上、これを目指す取り組みといたしまして、3才未満児クラスにおいて国の配置基準を上回る保育士を配置できるように補助制度を新たに創設することにします。

 これによりまして、子育て世帯が、より安心して子どもを預けられる、そうした体制整備を進めてまいります。

 また、これらの施策を進めていく上で重要となります保育の担い手の確保策といたしまして、県外保育士養成施設へ進学した学生の県内就職を促進していく、そのために県外養成施設の学生を対象とした修学資金の貸付制度を創設し、人材確保の取り組みを強化していきます。

 また、幼稚園教諭の処遇改善や一種免許状の取得促進により、幼児教育の質の向上を図っていきます。

 また、不妊治療につきましても「費用の助成を手厚くしてほしい」という声がございます。そうした声に応えまして、体外受精等の生殖補助医療に係る自己負担分と先進医療に係る経費に対する支援制度を創設いたしまして、全国トップ水準の支援を行ってまいります。

 次に、結婚支援につきましては、結婚の気運を高め、出会いの場を提供するため、大規模な婚活イベント「やまコンin海響館」の開催をはじめ、圏域ごとにもマッチングイベントを開催するなど、「出逢いませ山口大作戦」を実施します。

 加えて、「こどもや子育てにやさしい休み方改革」といたしまして、子どものために休暇を取得する、平日に子どもと一緒に過ごす時間をつくるなど、子どもと親の双方が一緒に休め、親子で楽しめる環境づくりを推進していきます。

 次に、国の「こども未来戦略」の関連についてです。

 国におきましては、次元の異なる少子化対策の実現に向けて、昨年末に「こども未来戦略」等を決定し、「こども・子育て支援加速化プラン」に基づいて、今後3年間を集中取り組み期間として、少子化対策を強力に前に進めていくこととしています。

 本県においても、この動きに呼応し、新生児マススクリーニング検査の対象疾患を拡充する実証を行うなど、先ほど説明しました本県の独自対策とあわせて、国制度を活用した支援の強化を図ってまいります。

 次に、「共育て社会を実現させる取り組みの推進」についてであります。

 こちらも、前提条件として年頭の記者会見で言いましたが、男性の家事・育児にかかる時間が増えると第2子以降の出生率がぐっと上がるということが国のデータでも明らかになっておりますが、山口県についていうと、非常にいわゆるワンオペがかなり深刻だという実態があります。ご覧いただいている通り、夫の家事・育児にかかる時間の中で育児時間は全国46位という、ワースト2位という状況であります。一方で、妻の家事・育児時間は全国4位ということで、この家事・育児時間の差は46位、ここもワースト2位ということであります。これは、山口県の少子化を考えていく上で、特にわれわれがウィークポイントと思っているところであります。県庁ですとか、県内の市町にも賛同を得て、県として、あるいは市町として、行政としては育児休業の取得をかなり思い切って全国トップレベルに引き上げていこうという取り組みをスタートさせました。これは、行政だけの問題ではなくて、県全体の問題でありますので、民間企業の方にも、ぜひこの取り組みを広げていきたいと思っております。

 夫婦の共働き・共育て、これを定着させるための第一歩といたしまして、男性育休、これの取得を促進させていく、「男性育休が当たり前」となる社会を実現していかなければならないと考えています。

 そのため、県内企業を対象として、男性社員が育児休業を取得した場合に、その実績に応じて最大約180万円となる「山口県もっと育休奨励金」を支給する制度を新たに創設します。

 また、県内企業の経営者や管理職の意識改革を図るなど、男性が育休を取得しやすい職場風土づくりを推進します。

 併せて、テレワークに必要な機器整備や授乳室、キッズスペースの設置等の子育てしやすい職場環境づくりに対する補助金ですとか、子連れコワーキングスペースなどの共育てをサポートするサービスを新たに提供する事業者を創出するための補助金を創設いたします。

 また、県庁が率先して男性育休の取得を進め、やまぐちワークスタイルシフトの一環として、職員が育休を取得しやすい職場環境づくりを推進し、それを市町や、企業に対して広げてまいります。

 次に、社会減対策についてであります。

 女性を中心とした若者の県外流出は、出生数の減少を引き起こし、少子化を加速させ、結果としてさらなる人口減少につながっていきます。

 したがって、その当事者である若者や女性に焦点を当て、本県への定着や移住等を促進するため、若者の価値観にあった労働環境の整備や魅力のある雇用の場の創出、若者や子育て世代をターゲットとした移住支援策等の取り組みを強化してまいります。

 まず、若者の定着、移住の促進についてです。

 今回の意見聴取におきましては、大学生や就職支援機関等からは、「若者は県内企業を知らない」、「就職先を選ぶ上で、福利厚生などのワーク・ライフ・バランスを重視している」などの意見があったところです。

 こうした声や、現下の賃上げの状況等も踏まえた、県内企業の魅力向上策として、若い世代の所得を向上させ、将来に対して見通しを持てるよう、初任給や若年層の賃金引き上げを実施する企業に対し、最大100万円の奨励金を支給します。

 また、人事評価制度や賃金体系の見直し等を通じて、従業員の将来設計やスキルアップを図るモデル事業所を創出してまいります。

 加えて、企業の魅力向上と併せ、経済的負担の軽減により、若者が結婚や子育て等をためらうことなく選択できるよう、新たに奨学金返還支援制度を創設する企業に対して奨励金を支給することといたします。

 このほか、学生の視点による企業の魅力向上を図るトップセミナーや企業紹介イベントの開催、企業・大学等と連携しながら、県内企業の情報や魅力を発信する取り組みを進めてまいります。

 加えて、建設産業が若者・女性にとってより働きやすい職場となるよう、建設ディレクターの導入など、建設産業に特化した新たな働き方の取り組みを推進します。

 また、高校生の県内進学、就職を促進するため、県内大学と連携した授業や、学部の研究等について理解を深める取り組みを実施するとともに、高校1年生の段階から生徒のキャリアデザインを支援する相談体制の構築や、県内企業を知る機会の増加により、県内就職率90%以上を目指していきます。

 次に移住の促進についてです。

 本県への移住者数は、5年間で倍増するなど一定の成果が表れておりますが、若者や子育て世代をターゲットとして、さらに取り組みを強化していかなければなりません。

 そのための新たな取り組みとして、移住希望者の「住まい」に関する要望が多様化していることを踏まえ、「住まいのコンシェルジュ」を配置し、相談体制を充実させるとともに、若者・子育て世帯向けの「お試し暮らし住宅」を整備します。

 加えて、就業及び創業に係る移住支援金の対象について、現在、東京23区内に限定していた対象区域を、東京圏に拡大するとともに、新たに近畿圏、中京圏の一部を対象に加え、本県への移住を強力に呼び掛けてまいります。

 また、首都圏において本県に関心・興味を抱く層を新たに掘り起こすため、「おいでませ山口館」を関係人口の入口拠点と位置づけ、リアルとオンラインの両面からアプローチを行ってまいります。

 次に、産業力の強化による魅力ある雇用の場の創出についてです。

 世界的に市場の拡大が見込まれる半導体・蓄電池分野や再生医療分野について、関連産業の育成・集積につながる研究開発等への支援を行うとともに、優良企業の誘致を推進してまいります。

 また、複雑・専門化する中小企業の課題に対して、経営と金融の両面から一体的に支援できるプラットフォームを形成し、中小企業の経営基盤を強化します。

 また、新規就農者等が、営農開始時に中古のトラクターやパイプハウス等を利活用できる仕組みを構築し、初期投資のハードルを下げることにより、県内外からの新規就農や新規参入の加速化につなげていきます。

 加えて、「やまぐち和牛燦」の増産に向けた対策強化、林業事業体の収益拡大を図るための新たな施業連携モデルの構築、先進技術を搭載した漁船により、生産性の高い操業への転換を図る漁業経営モデルの実証などを支援し、成長産業としての力強い農林水産業を構築していきます。

 次に、インバウンド需要を取り込む観光力の強化についてです。

 先日のニューヨークタイムズの記事掲載等により、海外からの注目度が高まる中で、令和6年度は、山口市はもとより、山口県全体の魅力を世界に発信していく絶好の機会となる年であると、そのように考え、インバウンドの誘客促進策を強化することといたしました。

 具体的には、まず、欧米豪市場において影響力のある海外メディア等への働き掛けにより、本県観光地の認知度向上を図ってまいります。

 また、訪日旅行中に訪れる可能性の高い、成田空港や羽田空港、東京駅など首都圏等の主要交通拠点において、デジタルサイネージによる情報発信を行うとともに、北米市場に向けてターゲティング広告を展開するなど、効果的なプロモーションを強力に進めてまいります。

 また、山口市を起点として、角島、秋吉台、萩市内などを周遊する2つのルートや、人気観光地の宮島を起点とし、岩国・柳井地域を周遊するルートの観光バスの実証運行等により県内周遊を促進していきます。

 さらに、既存の二次交通手段の情報発信を強化するとともに、航空系・鉄道系MaaSサービスに未接続のバスや乗り合いタクシー、レンタカー等の情報掲載を促進し、山口宇部空港と山口市間をはじめとする県内各地域へのアクセス性の向上を図ってまいります。

 加えて、国内外に向けて、新たな観光キャッチフレーズ「おいでませ ふくの国、山口」の下、「幸福(ふく)に満たされる旅」を強力にアピールし、本県への誘客を促進します。

 こうした取り組みにより、山口の魅力を国内外に発信し、受け入れ環境を充実するなど、本県の観光力の強化につなげてまいります。

 次に、次代を担う人づくりの推進についてです。

 まず、ウェルビーイングの観点を取り入れた人づくりを推進することにより、子どもや若者たちの自己肯定感や多様性の理解等の育成・向上を図ってまいります。

 また、県内の専門分野で活躍している大人との対話を通じたワークショップを開催することにより、ふるさと山口への誇りと愛着を高め、自らのキャリアを構築する力を育成していきます。

 また、子どもたちの「主体的に学習に取り組む姿勢」や「思考力・判断力・表現力」を育成していくため、生成AIを活用し、家庭と学校の学びの好循環を創出してまいります。

 具体的には、子どもたちの質問に対して、直ぐに答えを教えるのではなくて、徐々にヒントを示したり、分かりやすく解説してくれるなど、子どもたち自身が答えにたどり着くことを支援する学習アシスタントアプリを導入します。

 来年度、中学校2、3年生を対象に、モデル校7校で実証し、全公立中学校への普及に向けた効果的な活用方法を検証してまいります。

 また、将来の山口県を担うグローバル・リーダーの育成に向け、志ある高校生の学習意欲を後押しするため、スタンフォード大学と連携し、全て英語による講義をオンラインにより実施します。

 次に持続可能な地域社会の実現についてです。

 人口減少の流れを変えるのは容易ではなく、当面の人口減少下においても成長しつづけ、県民の皆さまが豊かで幸せに暮らせる社会を創っていくことが重要です。

 このため、デジタル実装の効果を県民の皆さまに早期に実感していただけるよう、Y-BASEの機能を最大限に活かし、デジタルを活用した生活サービスの提供をはじめ、県内各地域、各分野におけるDXの支援をするなど、全県的なDXの実現に向けた取り組みを加速していきます。

 また、若者にとって魅力的なスマート社会の実現に向け、国の補助制度を活用し、自動運転技術の実装に向けたプロジェクトを進めてまいります。

 さらに、日々、開発・技術革新が進み、活用領域が急速に拡大している生成AIについて、県内企業等が安全に実証できる環境を提供するとともに、これからのAI活用を担う中核人材の育成に取り組みます。

 併せて、さらなるDXの進展に伴う通信容量の大幅な増加等を見据え、やまぐち情報スーパーネットワークの機能強化を図ります。

 また、これまで、「シビックテックチャレンジ山口」としてスタートアップ等企業と県民、行政が協働して、デジタル技術を活用した地域課題や行政課題を解決していくプロジェクトを進めてまいりました。

 そのうち、県行政に関わるものとして、観光情報の効果的な発信、子どもたちが作成する安全マップのデジタル化、AIを活用した災害情報等の集約システムについて、実装に向けた事業化を図っていきます。

 次に、将来にわたり安心して暮らせる地域づくりについてです。

 コロナ禍の経験を踏まえ、県民の命と健康を守るため、本県の医療提供体制を一層強化しなければならないと考えています。

 このため、県立総合医療センターについては、将来にわたって本県の医療の中核的役割をしっかりと果たしていけるよう、現在、基本計画の策定を進めておりますが、来年度は、新病院に必要となる用地の取得等に着手することとしており、機能強化に向けた取り組みを着実に進めてまいります。

 また、へき地においては、民間の診療所等が地域の患者の重要な受け皿となっている場合があり、こうした診療所等の医業承継を支援することにより、へき地における医療提供体制を維持していきます。

 併せて、へき地等、薬局が近くにない「薬局空白地域」における医薬品等の提供体制を構築するため、郵便局や公民館等において、オンラインによる服薬指導や医薬品の購入ができる仕組みづくりを推進します。

 また、在宅医療支援の要である訪問看護については、高齢化や一人世帯の増加に伴い、ニーズが増加しています。安定的な訪問看護サービスの提供体制を整備するため、事業所の運営についての相談や人材確保・育成の機能を持った「訪問看護総合支援センター」を設置します。

 加えて、路線バスやタクシー等の地域公共交通は、地域住民の日常生活に欠かせない重要な基盤であり、運転士不足という喫緊の課題に対応するため、官民一体となって取り組む協議会を設置し、県内外向けの就職フェアや採用力の強化を図るセミナー等の人材確保策を強力に進めてまいります。

 次に交流拠点の整備等による活力の創出についてです。

 私は、山口きらら博記念公園を、その高いポテンシャルを活かし、幅広い世代の県民が集い、交流する「交流拠点」、県外の人に訪れていただける「集客拠点」とし、県内に元気と活力を創出する拠点として整備していきたいと考えています。

 そのため、今年度、公園に期待する役割や活用方法等についてのアンケートやワークショップを実施するとともに、民間事業者に対する事業参画に係るサウンディング調査や公園におけるキャンプやアーバンスポーツの利活用に向けた実証実験を実施しました。

 幅広い世代の県民の皆さまからいただいたご意見、ご提案等を踏まえ、今年度中に「山口きらら博記念公園みらいビジョン」を策定することとしており、県民の皆さまが愛着を持ち、誇りに思え、そして、ウェルビーイングを向上させる公園となるように再整備を行ってまいります。

 来年度は、四季折々の花を楽しむことができる、中国地方最大級となるフラワーガーデンの整備、多様な人々が一緒に遊ぶことができる大型複合遊具等の設置、新たな魅力創出に向けた2050年の森の育成、昆虫・鳥などの観察や森林体験学習ができる施設の整備等を進めていきます。

 加えて、公園内では、現在も、民間による利用をはじめ、年間を通じて、さまざまなイベントが開催されているところです。

 県としても、新たな大規模イベントを誘致するとともに、スポーツ、文化・芸術活動等が体験できる各種イベントを開催してまいります。

 次に、アウトドアツーリズムの推進による活力創出として、本県誘客の起爆剤となる自然とアクティビティを効果的に融合した「山口ならではの魅力的なコンテンツ」の創出に向け、引き続き、補助上限を1億円とする開発支援を行います。

 また、県外からの誘客促進と併せ、県民の方々にも本県の自然やアウトドアの魅力を再発見していただくため、株式会社モンベル等と連携し、環境スポーツイベントとして人気の高い『SEA TO SUMMIT』の開催に向けた取り組みやサイクルスポーツの環境整備など「スポーツフィールドやまぐち」の取り組みを推進していきます。

 続いて、社会経済情勢の変化への対応についてです。

 「令和6年能登半島地震」については、北陸地方を中心に甚大な被害が発生し、犠牲となられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災された皆さまに心からお見舞いを申し上げます。

 この度のような大規模な地震や、近年頻発化、激甚化する大雨等の自然災害から、県民の生命を守り、被害を最小限に抑えるためには、事前の備えをしっかりと進めていくことが重要であると改めて認識したところです。

 県としては、引き続き、市町及び関係機関が一体となって、地震などの大きな災害に備え、ハード・ソフトの両面から防災・減災対策に取り組んでまいります。

 来年度においては、防災・減災対策として、緊急輸送道路の防災対策等に係る経費を増額しており、橋りょうの耐震補強工事や法面対策工事を前倒して着手するほか、緊急時の交通・物流等の多重性・代替性の確保に資する山陰道の整備促進、下関北九州道路の早期事業化等に取り組んでまいります。

 また、昨年の梅雨前線豪雨により大きな被害が発生した厚狭川について、川幅の拡幅や堤防の整備などの抜本的な河川改修を実施するとともに、橋梁等のインフラの老朽化対策や港湾、漁港等の高潮対策等について着実に推進してまいります。

 ソフト面の対策としては、平時から県民ひとりひとりの防災意識の高揚を図るため、地震、津波等の災害を疑似体験できるVR機器を整備するなど、市町や自主防災組織等を通じて防災に係る普及啓発を一層促進していきます。

 また、災害発生時における福祉支援体制を強化するため、DWAT(災害派遣福祉チーム)の派遣調整や災害ボランティアセンターの運営支援等、県域における災害福祉支援活動の調整役となる「災害福祉支援センター」を設置します。

 加えて、本県における地震・津波による被害想定及び国土強靱化地域計画の見直しを行い、この度の能登半島地震において検証される課題等も踏まえ、必要な防災・減災対策に取り組んでいきます。

 次に、新たな感染症危機への備えについてです。

 令和6年4月から施行される改正感染症法に基づき、新興・再興感染症の発生・まん延に備え、国や医療機関等との連携の下、入院・外来医療や自宅療養者の支援等の体制整備など、感染初期から迅速に立ち上がり、確実に機能する保健・医療提供体制を整備してまいります。

 次に、現下の物価高・賃上げへの対応についてです。

 本県では、これまでも、国の物価高騰対策に呼応し、光熱費の高騰や給食等の材料費の高騰に対する支援を実施してきましたが、現下の物価の推移等を踏まえ、来年度においても、本県の実情に即した追加対策を講じることにしました。

 とりわけ、本県における経済の好循環を図るため、先ほどご説明した初任給など賃上げを実施する企業に対し、奨励金を支給するなど、中小企業の賃上げを後押しするほか、価格転嫁が進んでいない運送事業者に対し、収益力を向上させる取り組みに対する支援を強化してまいります。

 次に、持続可能な財政運営の推進についてです。

 これまでご説明した通り、来年度は、人口減少の克服に向けた取り組みを積極的に施策展開するとともに、持続可能な財政運営との両立を図ってまいります。

 具体的には、行政DXの推進として、生成AIやデジタルツールの利活用等により業務を効率化していくとともに、事業のスクラップ・アンド・ビルドの徹底や、4つの政策目的基金を活用するほか、県債についても、プライマリーバランスを黒字としたところです。

 今後も引き続き、持続可能な財政運営を行ってまいります。

 次に、財源不足及び財源調整用基金の状況についてです。

 令和6年度の地方財政計画においては、国の少子化対策に係る地方負担の増に対する財政措置に加え、地方独自のこども・子育て施策を実施するための財政措置も計上されました。

 こうしたことから、本県においても、少子化対策をはじめとした人口減少の克服に向けた本県独自の新規施策を積極的に構築した一方、予算編成過程における歳出削減、歳入確保等の取り組みにより、財源不足額は33億円となりました。

 これに、年度間調整により基金を取り崩して対応する額を合わせ、107億円を取り崩し、6年度末の基金残高は、117億円となる見込みです。

 なお、現在凍結しています「行財政構造改革」の取扱いについては、本日午後の行財政改革統括本部会議でお示しいたします。

 以上、当初予算案の概要をご説明いたしました。 

 人口減少は、県政の最重要課題であり、これまでもさまざまな対策を講じてきましたが、コロナ禍の影響もあり、出生数の減少ペースは速まり、また、依然として、女性を中心とした若者の県外流出が続くなど、一層、深刻度を増しています。

 そうした中で、この困難に真正面から立ち向かい、何としてもこれに歯止めを掛ける、そういう強い決意で、今回の当初予算においては、第2子以降の保育料の無償化や、男性育休への奨励金など、若者や女性から聴取した意見等も踏まえ、これまでにない、思い切った対策を講じることといたしました。

 人口減少を克服し、若者や女性をはじめ、県民誰もが、山口ならではの豊かさと幸福を感じながら未来に希望を持って暮らせる「安心で希望と活力に満ちた山口県」を実現させるため、全力で取り組んでまいります。

 私からの説明は以上です。

 

NHK

 冒頭、人口減少に対する危機感をお話しいただきましたけれども、今回の予算編成は知事の思っていらっしゃる人口減少への危機感を解消するのに十分なものができたというふうにお考えなのか、その手応えのほど、どうお考えなのか教えてください。

 

知事

 言いましたように人口減少がずっと続いている、これは山口県にとって最大の課題であります。言うまでもなく、これからの県の活力に大きく影響するわけであります。コロナが5類に引き下げられて、いろいろと経済活動も元に戻ってきておりますが、その中でいろいろと深刻化していった課題に対してしっかり対処していかなければいけないと思っています。その中でも、特に人口減少がこの間、加速しているという実態があります。全国もそうなのですけれども、山口県においても人口減少が加速をしているという実態があります。そういう中で、この人口減少に何としても歯止めを掛けていく、このことに強い決意を持って臨んでいかなければいけないと思っております。

 国の方でも、異次元の少子化対策ということで、さまざまこれまでにない取り組みが進められているところでありますけれども、それだけではなくて、やはり県としてもここはしっかり、独自に措置を拡充して、重点的な対応をしていきたいと考えています。少 子化のグラフがあると思いますけれども。さっき言いました、山口県は合計特殊出生率が全国11位ということで、決して、少子化対策といいますか、合計特殊出生率でいうと低いわけではなくて、むしろ優れている方にありますけれども、ただやはり、人口をしっかりと維持していくということを考えた際には、この1.47という数字は低い水準でありますし、実際にその数も減っていると、出生数も年々減っていますし、これも加速化しているという状況があります。

 ですので、これに対してしっかりと手当てを行っていくということが必要です。その上では、やはり若い人たちとか女性ですとか、当事者の意識、ニーズ、これをしっかりと踏まえてやっていかなければいけません。これまで、今年度、かなり細かく聞き取り調査等も行ってきました。そういう中で、一つはやはり経済的な負担、それから安心して子育てできる環境、このことをぜひ整えてほしいという声が多くございます。そういったことを踏まえ、今回の予算は、そうしたニーズをしっかりと叶えられるように、それによって子どもをもっと自分は生みたい、育てたい、そうした希望が叶えられる、そうした山口県にしていく、その環境整備をしっかり進めていかなければいけないと考えて取り組んでいます。

 そういう中で今回、新規の事業として、第2子の保育料無償化、これは先ほども言いましたが、全国でやっているのは東京と他2県だけ、3(都)県のみであります。もちろん財政負担も大きいものがありますから、財政的にはかなり思い切ったことをしていかなければいけないということになるわけでありますけれども、ここもやはりしっかりと、この山口県の今の少子化の危機を克服していく、食い止めていく上ではやっていかなければいけないことである、重要な取り組みとして今回、行うことにいたしました。 

 それから、不妊治療についても、経済的な、かなり保険も適用されてきたのですけれども、やはり自己負担が3割ある、かつ単純にその保険適用だけではなくて、実際にはその先の先端[先進]医療というところまでやるのが一般的でありますので、ここも含めて、負担がかからないようにしていこうということを、県独自に行うことにしました。これも全国トップの水準の施策となります。

 それから、年明けから繰り返し言っています男性育休も、特に山口県のウィークポイントだと思っています。男性が育児に参加する時間が極端に少ないということがあります。やはりこれは、男性の育児・家事の入口となる男性育休、ここをしっかりと増やしていくということをまず県が率先してやり、そして市町や民間の方にもこれを広げていくということをやっていかなければいけないと思っています。

 再来年度、令和7年度に2週間以上の男性育休の取得率100%という目標を掲げました。これは政府は85%という目標を令和12年度までということにする目標を新たに立てたのですけれども、今の少子化の状況、危機的な状況からすると、これは6年かけてやるというよりは、もう急いでやっていかなければいけないし、そのことを県が先頭に立って旗を振っていかなければいけないと思っています。そうしたことを行いながら、民間企業に対しても、最大(約)180万円となる育休の奨励金をつくることにいたしました。

 そうした「共育て」という意識、これは若い人たちにとってはもう当たり前になっていますが、働き方ですとか、少しシニアの認識がそれに追いついていないという状態がありますので、これを大きく変えていくということも、予算だけではなくてしっかりと意識啓発も含めて進めていかなければいけないと思いますし、当然予算がそれを後押しをしていくものにしていきたいと思っております。

 そういった少子化対策が一つと、あとはやはり若い人たちの県内への定着、あるいは還流、これを進めていく。そのために、やはり今どんどんと、社会減のグラフはないのですけれど、ずっと社会減という、転入転出で言うと、もちろん山口県は転出超過なのですが、転出超過というのがこの数年、4年間ぐらいずっと減っていたのですが、直近ではそれがさらに拡大するということになっています。これも全国と同じ傾向ですけれども、東京圏等に再び人が集中し始めたという実態があります。

 やはり、働く場所を選ぶ際に、いかにして山口に残ってもらう、あるいは帰ってきてもらう、そうしたことを進める上では、魅力ある職場、また若い人たちの声からすると、福利厚生の面、そうしたところを充実していく必要があります。なので、初任給等の賃上げを行う企業に対する100万円の助成等も新たに行いますし、また今、奨学金を持って働いていると、奨学金を抱えて社会人になる人が多いですから、それを返済するのを支援する、そうした場合には県として支援するということも行います。また首都圏ですとか、大都市部から入ってくる、移住をするということに対する支援金も、今回新たに拡充も行いましたし、それから、「お試し(暮らし)住宅」という、公営住宅を使って試しに住んでもらうということも県として新たに行うことにいたしました。

 さまざま、山口県に若者、女性が留まって、あるいは帰ってくる、そうした施策についてこれまでにない措置を今回、講じることにいたしました。何としても人口減少、少子化や社会減、これを食い止めるために県としてしっかりとそこに資源を投入しながら、この克服を図っていきたいと考えております。

 

NHK

 それから、行財政構造改革なんですが、先ほど午後に考えを示すというお話いただきました。午後、副知事を本部長とする会議があるかと思うんですが、もし可能なら、この行財政構造改革の必要性、知事としてどうお考えなのかというのを一言、いただけたらと思うんですが。

 

知事

 正式には午後からの会議なのですが、ここできっと私の認識は聞かれると思っていますので、少し前に示す感じになるかもしれませんけれども。これまで、2017年度から行財政構造改革ということで、取り組みを進めてきました。その問題意識は山口県においては、財政構造的に歳入歳出のギャップが非常にあって、常に多額の基金を取り崩していかなければ、財政運営が成り立たないという構造があったからです。

 これは、考えれば分かる通り、基金があればいいのですけれども、なくなって、枯渇してしまえば、財政が立ち行かなくなってしまうと、そうした状況に至るわけでありまして、そうならないように、収支不足の状況、その構造的な状況を改善していく、これを極力ゼロにしていくということを目指していかなければいけないと、そうした問題意識のもとで多額の財源不足の解消、それから基金も100億円というのを切っている状態であったものを、100億円というのは一つの線として確保しなければいけないということを進めてきました。

 そういう中で、このたび、また予算も組み、また今後の推計も行いましたけれども、財政の収支の48(ページ)、まず多額の財源不足の解消と、それから財政調整基金も100億円以上確保すると、そうした改革の目標が概ね今年度の予算で達成できたかと思っております。6年度基金残高、今年度は117億円という金額が確保できました。それから今後の財政運営を見ていっても、要調整額というのは、要は歳入歳出のギャップですね。これが非常にでかかったのを抑えなくてはということをずっとやってきたわけなのですけれども、これが今年度は33億円ということですね。今後の推計をみても、この辺りの水準で推移していくということになります。それをどう解消するかというと、ここ、執行段階での節減等って、ちょっと技術的になるのですが、予算を執行していく段階で、予算が足りなくなってはいけないので、少し余裕を持ってやっている部分があります。当然執行していくと、ここはここまでいらなかったというふうなものが出てきて、だいたい37億円とかそのぐらい出てくるわけですね。なので、予算段階では足りないように見えるのですけれども、トータル、最後執行する段階になってくるとトントンになると、そういったことが実態としてありますので、そうしたことも頭に入れて考えると、収支というのは、ほぼほぼ今、均衡できている状態が達成できたということであります。ですので、これまでに取り組んできた収支ギャップをとにかく解消しようということは、これについては一定の成果を上げることができた、概ね改革に掲げた目標を達成することができたと考えています。

 基金残高についても100億(円)を上回るこの推計、このページの一番下に書いていますけれども、そこでも100億(円)を確保するという水準が見込まれるということであります。なので、今やっている行革(行財政構造改革)については一旦、ここで目標を達成したという形で終了するのですけれども、ただ一方で財政状況が楽になっているかというとそうではないわけでありますし、また人口減少問題ですとか、脱炭素とか、デジタルですとか、今起きているいろいろな課題に対してしっかり対応していかなければいけません。ですので、財政としてはやはり、複雑化する、多様化するさまざまな行政ニーズに対して臨機応変に、常に対応できるようにしていかなければいけません。そうした必要な行政サービスを継続的に、安定的に行っていけるような、そういう財政の状態でなければいけないということがありますので、そうしたさまざまな行政課題に的確に、また機動的に対応していくための行財政基盤の強化を目指した、新たな行財政改革に移行することにいたしたいと考えております。

 内容については、午後の行財政改革統括本部でお示しをしたいというふうに思っております。いずれにしても、これまでのようにこの数値目標といいますか、そうしたところでギャップを解消していくということではなくて、機動的に柔軟に対応できるようにするにはどのような改革をすればいいのかという、そういった観点に立って、新しい改革をスタートさせていくということにしていきたいと考えています。

 

NHK

 今のに少し関連するんですが、財源調整用基金の残高の水準というものを今100億円を一つの目安ということをお話しいただきましたけれども、これが今、十分な水準だとお考えなのか、その辺をちょっとお聞きしたいと思っています。というのも、個人的な話で、私、先週ちょっと1週間ずっと石川県の方に出張に行っておりまして、ちょうど石川県の当初予算案の発表というのも取材をさせてもらいました。で、石川県、財政調整基金が144億円ぐらいあったんですけれども、今回の能登半島地震を受けて一気に110億円をはき出して、残り34億円しかないということで、馳知事ですね、非常に財政的に厳しいというお話があって、それが非常に印象に残っています。

 あの規模の災害が山口県で来ないとも言えないわけで、そうなったときに、今、100億円目途というのがちょっと、やや心もとないのではないかということを私、疑問に思ったんですが、その辺の知事のお考えをお聞かせください。

 

知事

 もちろん、いろんな備えという意味では、財政調整基金はあればあるほど、あるに越したことはないわけですね。あればあるほど、いろんな危機に対して、安心して対応できるという面があると思います。そこをどの水準に設定するかというところは、いろんな考え方があると思うのですけれども。基本的にわれわれは、これまでの災害等も踏まえて100億円という規模があれば、一定の対応できるだろうと考えています。というのは、災害が起きたときには、実際には一般財源で当面は対応することもあるかもしれませんけれども、地方債ですとか、いろんな国の方の補助制度ですとか、そういった手厚い財政措置が実際にはありますので、この基金でもって全て対応するというわけではない、やはり災害に応じた、補助率のかさ上げであったり、地方債についても、相当発行できるという、実際の制度はそうなっているところがありますので、そういったことからすると、100億円を持っておけばかなりの部分を対応できるだろうというふうには実際には思っております。

 もちろん、常に災害に対する備えという意識、ものではさまざまな備えもしていかなければいけないと思っておりますけれども、今回はそこを増やすということではなくて、実際には、今回問題となっている緊急輸送道路について、この防災対策をしっかりやっていく、そのための前倒しをするですとか、あるいはソフト対策をしっかりやるですとか、災害への対応力を高めていくという取り組みもしっかりやっていくということにしております。

 

NHK

 次で最後の質問にします。すいません、予算ちょっと離れるんですけれども、まもなく知事就任から10年になるかと思うんですが、これまでのご自身の県政運営を振り返っていただいて、自身で考えている成果であったり、あるいはできていない部分、それから改めてそのご自身の県政運営、点数付けるのであればどれぐらいかということを教えてください。

 

知事

 なかなか点数というのは難しいと思いますので、皆さんの評価を真摯に受け止めなければいけないと思っております。10年というのが、確かにおっしゃる通りで、ちょうど数日すると10年になるのだと思うのですけれども、私自身はもともと総務省というところで働いていました。そこで働いた思いは、日本の地方を元気にしたいと、そういう思いです。やはり東京、一部の大都市にどんどんと人が集まり、活力も吸収されていく一方で、日本の地方というのはどんどんと人口も減り、活力を失っていくということに危機感を持っています。

 そういう中でお話をいただいて、知事になる機会を急遽得たわけでありますけれども、そういう問題意識の中で、山口県の持てる力をしっかりと生かして伸ばしていくということをやることによって、県を元気に、活力を高めていきたいとそういう思いでやってきました。

 特に、やはり山口県を活性化させる上で重要なのは、この山口県の持てる産業力、これまで長年培われてきた製造業を中心とする産業力をしっかりと未来に向けて伸ばしていくということ、いろんな取り組みがある中でそこが一番重要なセンターピンだと私は思っておりますので、ここを外しては、山口県の将来、その活性化はありえないと思っております。

 そういった意味で既存の産業を伸ばしていくこと、また企業誘致等の取り組みも進めてきました。企業誘致につきましては、私もいろんなトップセールスもやりますが、職員の方も大変頑張ってもらい、また山口県は、産業インフラが整っているとか、災害が少ないですとかさまざまな優位性もあり、また補助制度も充実して、かなりうまくいってきていると思っております。昨年は全部で280件、この10年間で。雇用については、6600人だったかな、7000人弱の新たな雇用がこれによって創出をされているということであります。昨年は過去最多の投資額にもなりまして、日立ハイテクも決まりました。今は特に半導体とか蓄電池ですとか、これからの成長分野、また医療、そうした分野について、やはり山口県にもこれまでも集積がありますし、これをさらに伸ばしていくということを進めていきたいし、このことも着々と進んでいるというふうに感じております。

 それとともに、あとは山口県の素晴らしいものも県内だけじゃなくて、県外や海外に展開をしていくということで、例えば農林水産物の輸出等についても、農林水産物等、加工品とかも含めて、輸出についても、今は3百数十商品あると思うのですが、私が就任したときには7商品しかなかったのですけど、45倍ぐらい増やしていくことができました。これもさまざま、海外へのセールスですとか、ネットワークをつくったり、そうしたことを重ね、事業者の皆さんの努力も後押しをして進めてきました。

 そういったようなことで、山口県の活性化に繋がる取り組みをいろいろな面でできたかなと思いますし、またそれと、それをしながら人口減少対策、これについては少子化対策もこれまで言いました第3子の保育料の無償化[軽減]、これもその当時、思い切ってやろうということでやったものでありますし、また移住対策としてもこの5年間で移住者数は倍に増えてきました。こちらも東京や大阪に拠点を置き、いろんなその魅力の発信もしながら成果を上げてこれたのかなと思っております。

 そういったことをやってきつつも、人口自体は全体的に減って行き、また少子化も深刻な状況が続いているということ、さらにこれがコロナの間特に加速をしてきているという状況がありますので、ここでさらに踏み込んだ措置をしていかなければいけないと考えています。何とかこの少子化も最大限、県としてできることは行いながら食い止めていき、また一方で、経済・産業の活力を高めていく上では、今言った半導体・蓄電池や医療といった成長分野についてしっかりと山口県に取り込み、またネットワークも作り、伸ばしていくということをしっかりやっていかなければいけないと思っております。そうしたことが、これからさらに力を入れてやっていかなければいけないことだというふうに思います。

 財政の話を今しましたけれども、本当に県の職員にもいろんな厳しい中で我慢してもらいながら、いろんな削減もやってきてもらいました。一定の、今回、節目といいますか、収支が均衡する、そういった構造にはもっていくことができたと思っています。そうした中でこれからさまざま、生じる課題に対して機動的に対応していかなければいけませんし、そのための財政的には環境はある程度整えてこれたのかなと思っております。いろんな課題に対してこれから検討して、これを克服できるような、そうした取り組みをしっかりと進めていきたいと思います。

 

防府日報

 財政の話をお伺いしますけれども、ようやく収支の均衡が立ったということですけれども、本当に一番厳しいときはもう予算を組むのも難しいんじゃないのかというような話まであって、どうするかという話をここでしたこともあると思うんですけれども、数字を見てると、やはり公債費がピークから比べて300億円ぐらい減っているということで、こういった部分がかなり収支を均衡する上でプラスになっているのかなというふうに見受けられるんですけれども、知事としては、今回収支を均衡することができた要因というのを具体的にどのあたりが大きいかなというふうに考えておられますでしょうか。

 

知事

 あらゆる経費について見直しをしてきましたので、厳しいシーリングを課したり、既存の事業見直しをしたりということもやってきました。おっしゃる通り、公債費についても、これは、借金残高そのものを減らすには、借金を返していくしかないので返していくわけなのですけれども、その返し方を少し平準化するということもやったということはあります。

 借金自体も残高としてはだんだんと減ってきております。私が就任した時は1兆3000億円あったと思うのですが、今1兆1000億円ぐらいになってきましたので、この間2000億円ぐらいは減ってきていると思うのですけれども。そうした年度間の調整をしながら、借金としても減らしてこれたと思ってます。

 それから、あとはやっぱり定員を減らしていったという、職員の削減というところは、これもいろいろと仕事がある中で減らしていくというのは大変なことなのですけれども、ここも経費としてはかなりウエートを占めていますし、固定的な経費でありますので、そこについても見直しをして、下げてこれたというところは、要素としては大きかったのかと思います。

 

防府日報

 2017年度からやった行革に関してはですね、秋吉台国際芸術村のようにですね、廃止するか、市町に移管するかというような、かなり厳しいことも出てきたと思うんですけれども、知事としてですね、改めて2017年以降取り組んだ行革、ご自身としては、一部ではやり方が厳しいんじゃないのかというような声もあったと思うんですけれども、知事としてはどのように評価されますでしょうか。

 

知事

 行革をしなくて済むならやらない方がいいというか、要はやはり見直す分だけ何らかのものを抑えたり我慢しなければいけないということになりますし、新しいものもなかなかやりづらいということはあります。行革とかをして、既存のものを削減しなくてはいけない中で、その中から新しいものを生み出していくというのは、非常にそういう環境の中ではやりづらいというか、そういう環境があり、新しい事業もなかなか、金額等も含めて大きいものをやりづらいという、そういうことが環境としてあるというふうに思います。

 ですが、やはり行政課題は多岐にわたりますし、これからますます増えていくと思います。現実に今も人口減少もそうですし、産業構造も大きく変わっていく中で、これからの山口県の産業をどのように維持して、強めていくのかということについては、非常にさまざまな取り組みを県としてもやっていかなければいけないと思います。

 そういった意味では、やはり財政に柔軟性がなければ、そうしたものに対して的確な対応ができませんので、やはり少し辛抱しながら財政的にはいろんなものに対応できるような形の構造、体質をつくっていくということはやっていかなければいけなかったことだというふうに思います。

 そうした意味では、本当に職員の皆さんもそうですけれども、いろんな関係の皆さんにもいろいろと辛抱をお願いしながら、こうした今の収支がある程度均衡している状態に至れたということは感謝を申し上げたいと思います。やはりその分、しっかりこれから機動的にさまざまな課題に対して対応していくということも、今までよりはできたのかなと思っているのは、今回の予算でも、第2子の保育料の無償化、これは本当は、私はもっと早くやりたいという議論を前にしたことが中ではあったのですが、やはり財政的にとても難しいということがあって、その時は辛抱したということもありました。そういったことも、これも決して楽なものではないのですけれども、やはりやらなければいけないという、そうした危機感と、財政的にそれができないわけではないと、そういった状況に至れたというところは大きかったのかなと思います。

 

読売新聞

 ちょっと話が戻るのと少しかぶる部分もあると思うんですけど、今回の予算編成ですね、先ほどおっしゃられたように保育料の無償化とか新しい人口減対策いろいろ打って、予算規模がある程度大きいものになっている一方で、財源調整用基金が100億円を超える見通しになってますし、施策への支出と収入とでうまくバランスがとれた編成だったのかなと感じるんですけれども、こういった点を踏まえた手応えとか予算編成の総括をお願いします。

 

知事

 私としては、これまで非常に財政健全化を進めなければいけないという、大きく歳出を減らしていくという大きな方針の中で作らざるを得なかった、またコロナの間はコロナ対応に全力を挙げてやっていって、それ以外の施策というのはなかなか前に進められないという状態が続いてきましたけれども、今年度の予算、本当にこれまでの積み重ね、また職員の努力によってある程度、私として必要だと思うことについて予算を投入できた、そうした予算だと思います。これまでの中では一番、自分としては思ったような形の予算が組めたなというふうに思っていまして、そのことは県の職員や財政課の職員にも本当に感謝をしたいと思っております。

 やはり課題が非常に多くありますので、人口減少も加速化をしています。何度も言いますように、少子化もこれまでよりも厳しいペースで、全国的にもそうですし、山口県でも進んでおります。これをしっかりと食い止めていくということに対して、これまでにない踏み込んだ措置をしていかなければいけないと思っております。そうした意味では、これがもちろん全部十分だというふうには思いません。もちろん少子化対策を行っていく上ではもっと経済的な負担ですとか、子育てしやすい環境づくりというのを、これは山口県だけではなくて、もっと全国でより踏み込んでやっていかなければこの危機を克服できないと思いますが、現状、山口県としてできることとしては最大限のことはやったと思っています。保育料の無償化も、全国で、今言ったように財政的に余裕のある東京と他2県しかやっていないわけですし、不妊治療の方も全国トップ水準の、ほぼその負担がかからない形で実現ができたというところでありますけれども、そうしたところに財源を振り向けることができたという点では、かなり自分としては、現状において必要な対応については、かなり措置ができたのかなと思っております。

 

読売新聞

 先ほど、今までの中で一番やれたみたいなものはそれは就任以来、ということですか。

 

知事

 そうですね。やはり就任のときから、財政的には非常にギャップがあって、これは何とかしなければいけないという中ですぐ後に財政構造改革ということで、取り組んできましたので、自由にどんどん予算を新規のものをやっていくっていう環境にはなかったというところはあると感じながらやっています。

 

読売新聞

 あと、就任から10年というところに関連してなんですけれども、2015年に結婚子育て支援とかですね、6分野で日本一を目指すというふうに掲げられたというふうに伺っています。こちらの目標ですね、どういう形でどういう内容を掲げたのか、そして、例えば結婚子育て日本一であれば、成婚率とか出生率、人口の減少率などの数字の変化をどう受け止めるか、そのあたり6つの分野の現状の受け止めを教えてください。

 

知事

 いくつかの取り組みをやったと思います。少子化については、その時点では例えば第3子の保育料の無償化[軽減]、これも思い切った措置としてやりましたし、また男性の不妊治療、これも全国でやっていない中でトップ水準でやったという、そうしたことを掲げながら日本一の取り組みということを言ったと、その当時はしたはずです。

 それも、その後また制度が追い付いてきたりとか、男性の不妊治療も国の(補助の)対象になったりですとか、さまざまな変遷があったわけでありますけれども、そうした取り組みをしてきて少子化については成果として十分ではないにしても、今、全国11位でありますし、減少率もさっき言いましたように、全国とか東京都は、この間に2ポイント位落ちているところ1.3ポイント、あまり落ちていないという状態が維持できているというのはそうした施策も効いている面があるのではないかというふうに思っています。

 それから、あとは例えば農林業の例えば担い手支援日本一とか、確か言ってたと思うのですけど、これも就業後に国の制度では2年間だけ所得補償されるのは、それだと2年後に辞めてしまう人が多いので技術がしっかり身につかない、そのうちに国の所得の支援の期間が切れて、自分でやっていけなくて辞めてしまうという実態がありましたので、ここを5年間にすると。プラス3年間、県独自で拡充をしてやるという、これはその当時、今もそうだと思いますが全国トップの水準だと思います。

 おかげでといいますか、新たな新規就農者というのも増えてきました。それから、あとはその技術の支援であったりとか、住まいの確保とか、そういったところもセットにしたパッケージで充実した支援を行って、その成果も上がってきていると思います。

 それから後、教育力日本一とか、これはコミュニティスクール、県内全ての公立の小中学校でコミュニティスクールという学校の活動、あるいはその子どもの教育に関する取り組みについて地域が皆で応援をしていくっていう枠組み、国が旗を振って、文科省が旗を振っておりますけれども、全国でなかなか進まないのですが、山口県はこれ全て100%、私も日本一を掲げて達成することができました。今、県内全ての公立の小中学校でコミュニティスクールはできて、さまざま子どもたちの学びや育ちの支援が地域の方々の力を借りながらできているというのは、これは山口県が大変誇れる、もともとそういう土壌もあったというところもありますし、そういう施策での後押しもできたと思います。そういったことで、取り組みとそれから成果についても一定のものがあると思っておりますが、ただそれは成果をあげて、それでもう良かった良かったっていうんじゃなくて、さらに人口減少も加速化しておりますし、新しい産業構造の中でも、脱炭素ですとか、デジタルにも対応しながら、山口県の強みもしっかりとこれから伸ばしていかなければいけませんし、課題はたくさんありますので、これからさらに力を入れてやっていかなければいけないと感じております。

 

読売新聞

 ちょっと厳しい言い方かもですけど、日本一というところに関しては達成できたかどうかっていうところはいかがでしょうか。

 

知事

 施策の全てについて日本一というわけではなくて、ものによっては日本で最高の水準のものというのは、その都度その都度、やってきたと思います。結果において、全てが日本一になっているかというと、そうではなくて、例えば成果としても出生率も別に全国一位なわけではないのですけれども、かなりそれの成果というのはできたと思います。その意気込みを込めてそうしたことをやっていくぞということは、その掛け声とともにまた施策もしっかりやって、成果をあげていくという意味でも、そうしたスローガンというのは、重要だと思いますし、それによる成果も一定、生まれてきているとは感じています。

 

読売新聞

 最後にちょっと話は変わるんですけれども、27日から始まる今議会で10年来続いてきた知事、特別職の給料カットについて定めた条例の改正案が出ないことになっていると伺っています。これについての説明と、そこの意図を教えてください。

 

知事

 これまさに、私が毎年毎年条例出して、財政構造改革の期間中で歳出削減に取り組んでいる中ですので、そうしたことと連動してやっていたということです。今言いましたように、今回、財政構造改革としては一旦区切りをつけるということになりますので、それとあわせて、今回は提出をしないということにしています。

 

日本経済新聞

 予算関連二点と、ちょっと予算関連外二点お願いします。まず予算関連なんですけど、人口減の歯止めというふうにおっしゃっていますけれども、どうなれば人口減の歯止めになったっていうふうなふうに受け取ればいいのか。例えば、今転出超過の状態を転入超過になったらとか、そういったものはあると思うんですけど、その辺どうお考えですかということと、あともう1点は、かなり子ども、子育て政策関連事業をつくるに当たっていろいろ調査をされたということで、要は結構だいたい自治体の予算って普通プロダクトアウトというか、自分たちがやりたいやつをやっていくのを、いわゆるちょっとマーケティング用語になりますが、マーケットインの発想でちょっとやったのかなという、一部だとは思うんですけど、マーケットインのやり方を一部導入したというふうな理解でよろしいでしょうか。

 

知事

 そうですね。今の後段の方で言いますと、まさにマーケットインというか、当事者が求めているものに対してしっかり応えていかなければいけないと、そういった意識で今回組むことにしました。

 やはり、特に私は思うのはコロナの間、いろんな環境変化がしてるのですね。結婚がぐっと減っているとか、出生数も減っているのですけれども。やはりこの間の意識の変化というのは、いろんな面であるのではないかなと。コロナは本当に感染症、それに対する対応ということで世界中が大変だったわけですけれども、それに伴っていろんな意識が変わったりとかしている面がある、あるいはそのコロナだけではなくて働き方ですとか、いろんなものがデジタルが進む中で変わってきています。そういう環境の変化とともに、当然若い世代もどんどんと新しい世代に成り代わっていくわけでありますので、そういう方たちが本当に求めているものをどのように満たせるのかと。

 前段の方の質問にも関連しますけれども、希望出生率という考え方を日本が地方創生を始めるときに使い出したのですけれども、要は、本当はこれだけ子供が産みたいと、そういった数字をデータとして整理した出生率ということですね。みんなの希望がかなえばこれだけの出生率になりますよと。1.9という数字があって、今少し下がっているのかもしれませんけれども、そうした希望をかなえられるような形での施策というのを組んでいこうということです。

 そういった意味では、やはり若い人たちが希望しているのだけれども、何が障害になって、それができないのかというところをしっかりと受け止めて、それに合ったまさにマーケットインで、それに合った形で県の施策を組み立てていかなければ、いくらわれわれの思いだったり、予算を使っても、その効果というものが成果として結びついていかないだろうと、そうした観点から、より今のまさに現役の方たちのニーズ、あるいは何が障害になっているのか、そうしたことを取り除く、ニーズを叶える、そうしたものにしていかなければいけないと、そういうところは特に意識をしてやったところであります。

 それから目標の達成については、また、まち・ひと・しごと創生、県の総合戦略等もあって、その中でそれぞれ数字があったりとか、あるいは(やまぐち未来)維新プランの中でもKPI(重要業績評価指標)を定めておりますが、少子化については1つは希望出生率を1.7、一応それが目標になっているということ。あと社会減目標とかあるのですか。

 

政策企画課長

 まず希望出生率につきましては、今本県の希望出生率1.7ということになっておりますので、それを目指すということになっております。それから社会減については、現在の総合戦略におきましては、社会減を総合戦略の終期までに半減させるということでございますけれども、トータル的には令和12年までに本県の転入転出を均衡させるというのを目標に掲げておりますので、それに向けて今、目標を掲げているというところでございます。

 

日本経済新聞

 希望出生率、すみません勉強不足で恐縮ですが、今何%ですか。もうすでに達成されているということですか。

 

知事

 いや、(希望出生率は)1.7なので、今はさっき言った、出生率は1.4(1.47)。

 

政策企画課長

 本県の希望出生率は1.7ということになっております。

 

知事

 ここの1.47が、1.7。希望がみんな叶えば、これが1.7になるということです。

 

日本経済新聞

 1.47を1.7まで引き上げるということですね。で、社会増減については均衡させるってことはプラマイゼロにするということですか。

 

政策企画課長

 はい。均衡させるということで転出超過をゼロにするということになります。

 

日本経済新聞

 1.7になって転出超過が解消されれば、人口減に歯止めがかかったという。

 

知事

 歯止めを掛けるのだったら2.0なんぼか、要するに2人プラスちょっとくらい生まないと、少子化は止まらない、ただ、それは希望している以上のものとなりますので、そこをどうやってやるのかというのは、希望してないけど生むっていう状態になってくるということになるんですね。それはまたその次にどうそれを考えるのかというのはあるのですけれども、まずは希望しているのにできないというところは解消していきましょうというところが当面の目標ということになると思います。

 あと、転入転出ゼロというのもかなり意欲的な目標と思われるかもしれませんが、これ実は政府が掲げている目標なのですよね。東京一極集中をなくしていこうというのを地方創生始めて、あれ最初の2020年だったっけ、ゼロにするって言ってたの。東京の転入超過をゼロにしますという目標を掲げたのですね。これはなかなか、そのために例えば政府機関の地方移転とか、山口にもJAXAが来たりとか、あるいは水産の研究所が来たりとか、防衛施設庁の艦艇装備研究所、岩国も政府機関の地方移転の一環として、山口県に3つ来たわけですが、あのときもいろいろと旗を振って、政府が地方機関移転を進めていこうですとか、あるいは移住について、今の支援制度とか、いろんなものを国が作ってたりとかいろんなことやっていたのですが、結局国全体でそれが達成できてないというところがあります。ただ、その目標自体は多分まだ東京の転入超過ゼロは一応、政府もまだ掲げているのですよね。年度は、掲げていないのかな。そういった中でやっておりますので、ここは、県としてできる部分、もちろん最大限やっていかなければいけませんけれども、国の構造も変えてやはりいかなければいけないと思っています。

 これ常に知事会でも議論になるのですけれども、やはり全てのものがどんどんと東京に集中するような形で、国の機関の配置もそうですし、もっと言えば税制だってもっと変えるべきではないかとか、いろんな議論はあります。これは何も山口県だけで起きているわけではなくて、全国で同じように起きているわけでありますので、県の取り組みに加えてというか、国の方でのさらなる人口、特にさっき言ったように、いつもこれ言いますが東京は1.04ですからもう1切りそうなのですよ。1.24だったのが今1.04ですから、こういう全国で極端に出生率が低いところにみんなどんどん人が集まっているっていう、人口減少がもうどんどん加速していくような、そういう構造にあるわけですよね。だからここを変えるというのは、やはり国全体として問題意識を持ってもっと大きく、人口問題、あるいは一部の都市、大都市への集中というものをどう考えるのかということを正面からやっていただくことが必要かなと思います。

 

日本経済新聞

 要は転出超過が解消され、希望出生率1.7が実現できたら、知事がおっしゃっている、要は人口減少に歯止めがかかったというか、そこのその成果が出てるっていうというふうに考えればいいということでいいんでしょうか。

 

知事

 その途中段階でも、そうならなければ成果でないというよりは、そこに向かっていくということをやっていかなければいけないと思います。そのためには、やはり何度も言いますが、ニーズ、今の現役世代がここが壁だと考えているところに対してしっかり手当てをしていくということが一番の近道だと思います。

 

日本経済新聞

 少なくとも、先ほど言った水準には向かって、今の施策を組み立てているっていうことですかね。

 

知事

 そうですね。

 

日本経済新聞

 直接予算については関係ないんですけれども、JRが、やっと山陰線については、復旧に向けて検討するっていうことを方針を発表しましたけど、これについてのまず受け止めをお伺いできればと思います。

 

知事

 まず山陰線の方について今、お話がありました、昨年の6月末に豪雨によって被災をして、その後運休が続いております。復旧の見通しが全く立たないという状況が続いてきたわけですけれども、地元も大きな不安とかがあり、いろんな影響が生じておりました。

 そういう中で、今回のJRの発表は早期完全復旧に向けた第一歩となるものであるというふうに受け止めています。また、併せまして、これは昨年10月にJR西日本の広島支社を訪問した際にも特にお願いをしていた部分ですけれども、区間の部分的な運行再開の検討方針も示されたところです。早期の工事の着手、それから復旧に向けて取り組んでいただけるものと期待しています。

 

日本経済新聞

 あともう一点なんですが、最後にしますけど、要はJR側は発表の中で河川工事、通年でできるようであれば、これはもうかなりやれると、やれなかったらかなり厳しいのでということをおっしゃったんですけど、要は許可を出すといいますか、それは県との同意がないと通年工事っていうのはできないというふうにおっしゃったんですけど、JRの方から通年工事を求められた場合の県の対応としては、どんなふうにされようというふうにお考えでしょうか。

 

知事

 もちろん、われわれも早期な復旧を願っておりますし、ぜひそういう方向で進めていただきたいと思っていますので、JRが通年で工事ができるように、われわれとしても知恵を出してやっていかなければいけないと思っています。いろんな相談もこれまでも受けてきたところでありまして、その際にこちらからもいろんな話をしながら、どのようにすればそれはできるのかということは、知恵を出しながらやっています。

 きちんと河川自体は安全に管理をしながら、当然、支障がないようにしながら、工事を行わなければいけませんので、そこをうまく両立できるように、われわれとしても知恵を出したり、JRができるような形でどのようなことができるのかというのはよく考えて、工事が速やかに円滑にできるように支援をしていきたいと思います。

 

中国新聞

 新年度で何か組織改編みたいなのがあれば教えていただきたいんですけれども。

 

知事

 組織は、また改めてそのタイミングで説明をしたいと思います。そう大きなものは今予定しているものはありませんけれども、既存の体制の基本的には中でしっかりやっていきたいというふうに思っております。またそれは改めての機会に説明します。

 

朝日新聞

 こちらの資料の22ページのですね、山口きらら博記念公園整備関連事業についてちょっと質問がございます。こちらの方ではですね、交流拠点化事業といたしまして中国地方最大級のフラワーガーデンの整備というところが掲げられていると思うんですが、一方で、本県では、柳井市の方にやまぐちフラワーランドという施設がございまして、同じような綺麗なフラワーガーデンだと思うんですけど、きらら博記念公園の方に新しい中国最大級のフラワーガーデンが整備されてしまうと、柳井の方にある既存の施設の方にお客さんが集まらなくなってしまうという危惧があると思うんですけど、その辺について知事はどのようなご認識でしょうか。

 

知事

 そこはまた、よくそれぞれどのようなものを、魅力を出していくのかということは、検討していかなければいけないと思います。

 このきらら(山口きらら博記念公園)の整備については、基本的な考え方をまとめつつありまして、そういう中でいろんなワークショップもやってきました。私も下関の会場に行って参加をしましたが、県内各地で開いてきましたが、非常にこうしたものを作って欲しいっていう、いろんな声が上がってきております。その中に一つ大きかったのは、フラワーガーデンについても、ぜひ整備をしてほしいというのがありました。「山口ゆめ花博」というのをやりました。その際にこのドームの周りにフラワーガーデンの整備をして、これ非常に老若男女問わずというか、特に高齢者の方から非常に評価が高かったところです。山口の花関係の皆さんとかボランティアの方々も大変喜ばれていらっしゃいましたが、当然、それはそのイベントが終わって終了となったわけですけれども、やはり特にその公園に癒しですとか安らぎですとか、そうしたものを求める声も非常に多くありますし、そのときのゆめ花博の時のあの素晴らしいものについても、ぜひコンスタントにできてほしいという声もありました。そうしたことも踏まえて、今回整備を行うことにしました。

 もちろん場所的には離れていますので、どれだけ流れてくるかとかそういうところはどの程度影響かというのは限定的なものがあるのかなというふうには思いますが、ただいずれにしましても、これで目指したいのはやはり公園という場所が与える価値ですよね。この素晴らしい場所があり、県外からも県内からもアクセスが良くて、広くて気持ちが良い場所。いろんなイベントもこれまで重ねてやってきて、県民の皆さまからも、この場所についてはいいイメージをもたれている方が非常に多くて、ワークショップをやっても、非常に多くの方がこの公園で、例えば今示している花で、気持ちよく癒しを得られるようにしてほしいですとか、子どもたちが思い切り遊べるようなフィールドにしてほしいとか、夜も使えるようにキャンプができるようにして欲しいですとか、あるいはアーバンスポーツみたいなものができるようにして欲しいですとか、いろんな声があります。そうした願いをしっかり形にできたらなというふうに思っています。

 また県内のいろいろな施設との分担なり何なりっていうことは、またそんな中でも検討しながら、形作っていかなければいけないと思っておりますけれども、そうした価値をこの公園で提供できるように整備を進めていきたいと思います。

 

朝日新聞

 知事としては、県の東部の方と県央部の両施設の方でうまくすみ分けできるというふうなお考えなんですか。

 

知事

 そこについては一定の考え方については整理をしていかなければいけないと思いますが、私は二つあっても全然いいと思います。山口県、広いですから。隣接していますとどうかとは思いますけれども、そうではありませんし、また違うものをそれぞれ整備をしたりですとか、ということもあるかと思います。

 

中国新聞

 行革に関してなんですけども、公の施設の見直し、11施設、特にあったと思うんですけど、これは市町の協議は中止されたままなんですけども、これも完全に無くなるっていうことでいいんですか。

 

知事

 また午後の会議で、そこも含めて、考えていくということになると思います。しかかった状態で、止まっている状態でありますので、今後の行革の中でそこをどのように考えていくのかっていうことは、午後の会で結論というよりは、そこをまた含めて検討しようということにする予定です。

 

中国新聞

 ということは、まだ完全に白紙とかそういうのでなくて。

 

知事

 そうですね。その部分についてどのようにするかということは、検討していくということになります。

 

中国新聞

 知事の給与カットなんですけれども、職員課[人事課]さんの方から聞いたら、2002年度から、山口県の知事の給与カットされているとお聞きしたのですが、今回、改めてカットをやらないっていう、そう思うと一応カットした方が、引き締めであったり、知事としてはアピールになるのかなと逆に思ってしまうんですが、あえて今回、繰り返しになるかもしれないんですけども、延長しなかった理由をもう1回教えてください。

 

知事

 そこは、確かにその前からしてきて、その都度、東日本大震災の対応だったりとか、国からの要請があったりとか、いろんなことで給与カットってやってきた歴史があるんですね。私が就任してから、続いていたのでやっていたのと、あとはすぐに行革が始まったので、そうした中でやってきたということです。

 私としては、基本的にはこの行革を進めていく中で、自らそうしたものをやっていくということの考え方で結びつけてやっておりますので、それがいったん区切りというところでは、1回これは整理をしようということであります。もちろん、これからさらにカットということは、これから県として財政問題ですとか、いろんな改革の中で、その必要があれば自らやるということは、当然ありうると思っておりますし、その都度何のためにそれをやるのかということは、きちんと整えた上でやっていくことが必要かなと思います。

 

中国新聞

 予算なんですけども。今ちょっと話題になっているスタンフォード大学と連携した講義を実施されるということなんです。かなりタイムリーかなと思ったのですが。

 

知事

 狙っているわけではない。スタンフォード、そこは野球の話、全然たまたまではありますけれども。やはり海外に対する特に国際化といいますか、やはり日本もどんどん国際化もこれから進めていかなければいけませんし、実際進んでいますし。そういった中でやはり都市部、大都市部等においては、さまざまいろんな機会があって海外との交流、あるいは海外の大学との交流というのは、しやすい面があるかもしれませんけれども、やはり山口県の子どもたちにも、未来に向かって自らの力を伸ばしていくときにぜひ世界に目を見開いていただきたいなという思いはあります。どうしても、山口県もそうですが、日本全体も人口減少をしていく、そういう中で、やはり世界とも、交流といいますか、世界の活力をしっかり山口県の活力に結び付けていく、日本の活力に結びつけていく、そうしたことを目指してやっていかなければいけませんし、国際化もどんどんとこれから進めていかなければいけないし、進んでいくと思います。そうした中で、未来に向かってやっていく子どもたちを育てていくという上で、こうした海外の大学、アメリカのスタンフォード大学との連携した取り組みというのをスタートすることにしました。実際、向こうの大学の方で日本の高校と結びついて行うプログラムを用意をしておりまして、そうしたものをやり始めている自治体もありますので、先方の方からも、こういうのをやりませんかという提案もあったことも受けて、それではぜひということで今回行うことにしたものです。

 

中国新聞

 たまたまかもしれないですけど、タイムリーだと感じました。

 

知事

 そうですね。そうしたところで関心を持ってもらって、海外に対して直接自分が海外の大学から何か学びを得たいですとか、これから向かっていく方向として、そうしたことを考えていくという契機になればいいかなと思います。

 

NHK

 予算の関係で、人口減少対策について私からも1点だけ伺いたいと思います。ちょっと抽象的な形になってしまうんですけれども、国も異次元の少子化対策を掲げている中で、やはりそれぞれの自治体が独自というか、差を出そうという形でいろいろな施策を打っているかと思うんですよ。そういった他の自治体の施策だったりもある程度想定というか、そこと差を出す、あるいはそれに同じ水準のものを立てなきゃいけない、そういうことをイメージされながら施策というは今回作られたんでしょうか。

 

知事

 他と比べてということよりも、まずは危機的な状況にありますので、国の方でも、児童手当の拡充ですとか、さまざまな措置をしていますけれども、それでいいというのではなくて、もっとやはり県として踏み込んでやっていかないと、この危機に対する対応としては、なかなか大変ではないかというふうに思っております。なので、まずは県として何ができるのかということ、財政状況もちろんありますけれども、そういった中で最大限できることを考えていこうというこというのが基本です。

 全国で他にやってないというのは、これをいかに踏み込んでやっているかということを説明するためにわかりやすく言っているのであって、そこを目指してということではなくて、やはり今起きている危機というのは、これは並大抵のことでは克服できないと思いますし、一方で、必ず克服していかなければ、将来的な明るい見通しは描けないものでありますので、今、さまざまな方が抱えている希望が叶わない現実、現状に対して、そこに対する改善とか打開とか、そうしたことを県としては思い切ってやっていかなければいけないと、そうした思いで予算を今回組みました。

 

山口新聞

 予算の関係でちょっと何点か伺いますが、さっきどなたかの質問の中で回答されてましたけれども、財政が厳しい中でやりたいことがちょっと思うようにできなかったけれども、保育料の無償化についてはご自身念願だったということなんですけれども、他に何かご自身やりたいけれどもそうした事情があってできなくて、今回、予算化にこぎつけたっていうものがあったら、ちょっとご紹介いただきたいんですけれども。

 

知事

 基本的に、今回やっているような措置、例えば、不妊治療の拡充も、これも当初やったのです。男性不妊治療というのは他はあまりやっていなかった中で、県としてそこも一つ大きな原因なので男性不妊治療の拡充というのをやって、その後、国の制度も拡充されてきたのですけれども、やはりここも大きな課題、ここはまさに希望が叶わない、希望しているのだけれどもなかなか思うように、妊娠に至らなくてというところは、ぜひそうした思いを持っている方々が、経済的な面で、断念するということがないように、かなりやはりお金もかかりますのでね。そういったところは、しっかりと応援をしていこうと、支えていこうということも、やりたかったということではあります。その他も移住の支援金もそうですね。やはり社会減が非常に進んでいますので、移住についても、より経済的な面での後押しができればと思いますし、あとはその、そこは(東京)23区だけに限っていたものを、首都圏、それから大阪、関西圏や中京圏の一部にも拡大したということですけれども、そうしたものも財政的な負担を伴うものでありますけれども、新たに今回できたかなというふうに思っております。

 

山口新聞

 ちょっとどなたかの質問とかぶりますけれども、まず、県として何ができるのか考えてやらないといけないことをやっていくっていう話だったんですけれども、この奨励金の支給にしても、こうした保育料の無償化にしても、いずれも費用がかかる話で、少子化が劇的に改善しない限りは、なかなか財政が厳しい地方同士のですね、人口の奪い合いというか、地方間競争がどんどん一方ではこういうことをやる、一方ではこういう政策で人を呼び込もうとするとなると、なかなか将来を見据えたときに、しんどくなっていくのではないかなと思うんですけれども。さっき国に対しても、東京の合計特殊出生率の数字もさっき提示されてましたけれども、地方は地方で取り組みつつ、一方で中央の方でもう少し全体を見渡した取り組みっていうものを、どういうところを求めていかれたいというふうに思いますか。

 

知事

 一つは少子化対策についても、今、これまでにない措置がされているのは事実であると思いますし、ぜひこれはしっかりと実行していただきたいと思いますけれども、やはりそれで少子化が止まるかというと、そこには至らないだろうと思います。やはりもっと踏み込んだ措置、特に経済的な支援の充実ですとか、そういったところはやはり、今回は県も第2子の保育料やりますけれども、やっぱり子育てというのはもっともっとお金かかるわけでありますので、そうしたことについてさらに安心できるような環境を整えていくことが、これは国全体でぜひさらに、やっていただきたいなというふうに思います。

 それからあと人口の移動についても、今またやはり改めて首都圏等への一極集中が加速をしています。最初、地方創生をやり始めたときには、とにかくそれを転入転出をゼロにすると、東京の転入超過をなくすというのが大きな目標で大変素晴らしい目標だし、われわれ、それをとても知事会でも大歓迎をしていたわけでありますけれども、実態はなかなかそうなっていないという状況があります。そういう中で人を呼び込むために、また公費をいろいろとかけてということをそれぞれの自治体がやっていくということになっております。それはやはりそうしていかないと、本当に人が不足している中で、今も企業の方々もお会いすると、必ず人手不足のことを言われます。数字でもそう表れていますけれども。そういった意味ではやはり、山口県に育った方が定着をして、また県外へ出ても、また帰ってこようと思えるような県にしていかなければいけない。そういった意味では、産業の魅力も上げていくこともありますけれども、帰ってくることに対するようなインセンティブっていうのは現実問題としてつけていかなければいけないというところもありますから、そうしたことは、やるようにしているわけですけれども、そういうことの競い合いをやるということは、トータルで本当にお金の使い方としてどうなのかということは、一方でそれは論点として、大いにあると思います。

 そういった意味では、国の方がまず各自治体の努力ということももちろんやるのですけれども、構造的に、この人口が大都市部に集中する。本当に日本とか韓国とか、極端な世界の中でも、極端な例が、われわれ日本なわけですよね。他の国、主要国というのはそんなに大都市部に人口がどんどん集中していくというわけではない実態があるわけですね。それは何かお金で一生懸命とどめているわけではなくて、そのあたりをやはり社会の仕組みというか、国の形みたいなものをもう1回考え直して、国の方で抜本的な人口の安定化といいますか、そういったことに取り組んでいかなければいけないと思います。

 少子化が進んでいって人が少なくなってきたというのは、まさに経済の面でも大きな制約要因になっています。いろんなところで人手不足があって、担い手がいないからいろいろサービスは止まってしまうってことが現に起きてきております。少子化が進むとそれがさらに深刻化をするわけです。この深刻な問題が表れるのは、また20年後とかになってくるわけであって、今年子供が数減ったからといってすぐに国の活力が落ちるわけではないですけれども、20年後には確実にそれが影響してくるわけでありますので、そういう長期的な視点に立って、今何をすべきかということを、しっかり国の方でさらに踏み込んだ措置を行っていただきたいと思います。

 

山口新聞

 今回、予算編成されるに当たって若い人とか女性のニーズの調査をされて、それに基づいて、それに応えるような形で予算案作られたということですけれども、作られて事業を展開されて、またその若い人や女性のこの思いっていうのがどう変化したのかっていうのを、改めて何か調べたりするとかっていう機会っていうのがあるんでしょうか。

 また、若い人や女性のニーズっていうのもいろいろ変化する機会、これからもどんどん変化すると思うので、それに見合った事業を常に展開していく、時代に取り残されないように、していかないといけないと思うので、調査、県政に対する調査というのはできるだけした方がいいと思うんですけれども、それを今後も定期的にされていくお考えがあるのか、お聞かせいただけますか。

 

知事

 もちろん県民の皆さんがどういったものを求めているのかといういろんなニーズは、例えば県政世論調査ですとか、そういったことで行っておりますけれども、そうしたことは行いながら、一方で今、さまざまデジタルの技術も進んできておりますから、意識の調査を少し、そうした技術も活用しながら、スムーズに把握できたり、あるいはもっとリアルに把握できたりということはできるのだろうと思いますので、今回、いろいろと聞き取りを、SNSだとかではなくて実際のヒアリングみたいな感じでやったわけですけれども、そうした手法については、今の新しいその技術もうまく活用しながら、できるだけ直近のものが、そしてできるだけ本当にリアルな声が分かるようなことというのは、工夫がいろいろできるだろうと思いますので、そうしたことは今回引き続き、どのようにできるのかということは考えていかなければいけないなということは私自身も思っているところでありますので、今後の施策展開において、いろんな手法について検討はしていきたいと思います。

 

山口新聞

 今回の予算に対する受け止めというものも、その中で聞かれていきたいということになるんでしょうか。

 

知事

 そこをただちに予定しているわけではありませんけれども、いろんなことについて県の取り組みなり、これから求めることについて把握をするということは多様な形でできるようになっているのではないかと思いますので、そこはやり方はまた考えていきたいと思います。

 

 

※広報広聴課編集

[ ]の箇所は当課で修正しています。

 

 

作成:山口県総合企画部広報広聴課

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