本文
知事記者会見録・令和5年11月8日実施分
発表項目
知事
本日、私からは、令和6年度国の予算編成等に向けた政府要望についてご説明させていただきます。
政府においては、年末に向けて「こども未来戦略方針」の具体化が進められており、「次元の異なる少子化対策」に必要とされる財源確保に向けた議論を加速するとともに、本年10月には、急速な人口減少社会への対応として、新たに「デジタル行財政改革会議」を設置し、デジタルを最大限に活用して、社会変革の実現に取り組むこととされているところです。
本県においても、こうした国の動きに呼応し、一段と厳しさを増す人口減少の克服に重点的に取り組むとともに、デジタル化・脱炭素化等の社会環境の変化にもしっかりと対応しながら、コロナ前よりも経済や暮らしを、より高いレベルに引き上げていく「発展的再生」を着実に実現していきたいと考えています。
こうしたことから、本県では、「やまぐち未来維新プラン」に掲げた維新プロジェクトを戦略的に進めており、これを着実に実行し、大きな成果に繋げていくため、国の政策の方向性が定まるこの時期を捉え、国の政策との連携、あるいは国の予算措置等の支援が必要なものにつきまして、関係府省庁への提案・要望を実施します。
要望活動は、明日9日(木曜日)に、県議会の柳居議長とともに、関係府省庁に対して行います。
それでは、要望内容につきまして、概要をご説明いたします。
モニターにありますように、この度の要望では、国の制度の拡充や財政支援等を特に求める35項目を「超重点要望」として要望いたします。
また、「国策関連要望」といたしまして、「岩国基地関連の安心・安全対策の推進と地域振興策の実施」について要望を行います。
このほか、継続的に国の支援を求めるものや、予算編成に向けた事業採択等に係る35項目については、「重点要望」として、関係部局で要望を行います。
以上、この度の要望項目は、計71項目となります。
まず、超重点要望につきまして、新規要望の7項目を中心に説明いたします。
はじめに、「産業維新」に関する要望についてです。
まず、「カーボンニュートラルコンビナート」の実現に向けた取り組みの強化についてです。本県の経済を牽引しているコンビナートは、脱炭素社会に必要な新しいエネルギーや素材を供給する「カーボンニュートラルコンビナート」への変革を目指しており、それぞれの地域において、アンモニア等の供給や利用の検討が進められています。
こうした取り組みを加速させるため、アンモニアなどの次世代燃料の供給拠点の整備に向けた支援や、企業間連携による大規模サプライチェーン構築に向けた、独占禁止法の特例措置の創設などを要望するものです。
また、コンビナートにおいては、CO₂の排出削減、利活用、回収・貯留のプロセスを組み合わせることによる、炭素循環フローの構築を目指しています。
そのためには、企業間の連携が不可欠であり、現在、県内で取り組まれている、CO₂等を原燃料化する各種リサイクル技術や、CO₂ 排出削減に繋がるCO₂の分離・回収技術の開発などに対する支援を要望します。
併せて、CO₂を利活用・貯留する「CCUS」の取り組みの促進に向け、CO₂の輸送網整備に対する経済的支援や、国内の「CCS」事業のポテンシャルの把握を目指した、国主導による山陰沖の適地調査などを要望します。
次に、半導体・蓄電池関連産業の集積促進に向けた取り組みの強化についてです。
半導体・蓄電池関連分野は、飛躍的な市場拡大が見込まれる中、国内での安定供給に向け、原材料を含むサプライチェーン全体の強靭化が進められています。
本県においては、半導体の素材や、製造用装置などの生産に必要な高い技術を有する企業が多数立地しており、設備投資も活発化しているところです。
そのため、これらの関連産業の設備投資に対する支援の拡充や、税制優遇の継続・拡充に加え、進出企業の受け皿ともなる「産業団地」の整備促進を図るための支援制度の創設や、専門人材の派遣等による技術的な支援を要望するものです。
次に、次世代型CAR-T細胞療法等を核とした地域イノベーション推進拠点の形成についてです。
山口大学では、先月、「細胞デザイン医科学研究所」を新たに設置し、次世代型の「CAR-T細胞療法」をはじめとする、革新的な細胞治療、遺伝子治療等の研究シーズの創出等を推進することとされています。
これらの研究開発を促進し、医療関連産業のさらなる育成・集積に繋げるため、同研究所を核としたイノベーション推進拠点の形成に対する支援に加え、そこから生み出される再生医療、細胞治療、遺伝子治療などの実用化・産業化を目指す革新的なプロジェクトに対する支援を要望するものです。
このほか、農林水産物等の輸出拡大や、コンビナートの国際競争力強化に向けた港湾の整備、産業力の強化等に向けた基盤整備などを継続要望します。
次に、「大交流維新」に関する要望についてです。
転出超過の改善に向けた若者・女性の地方移住への支援強化についてです。本県では、コロナ禍を契機に、地方移住への関心が高まったこと等から、転出超過は縮小していますが、依然として、若者・女性の県外流出が顕著となっています。
また、東京圏への転入超過は、コロナの感染状況が落ち着くにつれ、再び拡大しており、この反転の動きを食い止めなければなりません。
そのため、東京一極集中の是正に向けた取り組みの推進や、地方で若者・女性の雇用の拡大に取り組む企業への支援、地方移住を希望する若者を強力に後押しする支援などを要望するものです。
このほか、山陰道の建設促進、下関北九州道路の早期実現なども継続要望します。
次に、「生活維新」に関する要望についてです。
まず、JR美祢線及びJR山陰本線の早期完全復旧についてです。
本年6月30日からの大雨により被災したJR美祢線及び山陰本線は、通勤・通学や通院等の県民生活などに不可欠な交通手段でありますが、4カ月以上も運休が続いています。
このため、先月の26日に、JR西日本に対し、改めて早期復旧を要望したところであり、今回、国に対して、被災を契機として、路線の存廃の議論を進めることがないよう、JR西日本に対する指導の徹底とともにJR西日本による早期完全復旧に向けた支援の拡充などを要望するものです。
次に、再度災害を防止するための厚狭川の河川改修の推進についてです。
厚狭川については、平成22年7月の豪雨災害を踏まえ、下流側から河川改修を実施してきたところです。
このたびの令和5年の梅雨前線豪雨では、河川改修済の下流域では浸水被害を大幅に減少させることができましたが、上流側については、家屋、道路等の浸水や、JR美祢線の橋梁流失など、甚大な浸水被害が発生しており、再度災害を防止するための河川の改修が不可欠です。
このため、厚狭川の河川改修の推進に必要な予算の確保について要望するものです。
次に、医療・福祉サービス提供体制の充実に向けた診療報酬等の大幅改定の実現についてです。
国内産業全体では高い水準の賃上げが実施される一方で、医療・福祉分野では、国が定める報酬や公定価格により各事業所の収入が決定され、経済成長や民間企業の賃上げに連動した仕組みとなっていないこと等から、他の分野に比べ賃上げが進んでおらず、必要な人材の流出が懸念されます。
こうした中、現在、国においては、来年春の診療報酬等の改定に向けた議論が進められており、この機をとらえ、医療・福祉・保育関係従事者の給与の適正な引き上げにつなげるための、診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬及び保育等の公定価格の大幅改定を要望します。
このほか、デジタルの活用による行政改革の推進や、教育人材の確保に向けた取り組みの強化、子ども・子育て支援施策の充実、防災・減災対策の推進などを継続要望します。
最後に、「国策関連要望」です。
岩国基地につき ましては、空母艦載機移駐後の状況を踏まえ、集中的な飛行訓練の緩和など騒音軽減措置の実施や、住民の不安解消に向けた航空機の運用に係る事前の十分な情報提供など、安心・安全対策の推進と、艦載機移駐等により増加した負担の継続や我が国の平和と安全への協力・貢献に見合う地域振興策の確実な実施を、引き続き要望するものです。
また、再編関連特別地域整備事業、いわゆる県交付金については、令和9年度に交付終了予定となっていますが、空母艦載機の移駐等により増加した負担を今後も抱え続けていくことを踏まえると、令和10年度以降も必要不可欠ですので、制度の継続について要望することとしています。
私からは以上です。
NHK
初めに政府要望に関連してお伺いします。スライドの9番で示されていた「転出超過の改善に向けた若者・女性の地方移住」のところで、3番のところに「県外に進学あるいは就職した若者や女性のふるさと回帰を促進する支援策の創設等」というのがあるんですが、もちろんこれとても大事なテーマだと思うんですが、一方で国の方で考えてくれというふうに投げても、なかなか具体案というのは出てこないのかなという気もします。知事として、この県内、山口県で育ったのに進学や就職で県外へ出てしまった人たちを県内に戻すために、どういう制度あるいは仕組みがあればいいなというか、そういった具体案というのは何かお持ちなんでしょうか。
知事
はい。大きくいうと二つあると思っていまして、一つはきちんとした情報提供。山口に帰ってきて住む、働く。そうした場、その可能性なり、選択肢について、きちんとした情報提供を行うこと。魅力的な企業、成長している企業はたくさんありますし、発展可能性の大いにある、そうした企業や働く場がたくさんありますし、山口に住むことの魅力も含めて、きちんとその情報をお届けしていくことがまず一つ。
それからもう一つは、きちんと財政面、経済面等で支えるインセンティブといいますか、そうした後押しというものも必要だと思います。これらはいずれも県としても単独でも行ってきているところでありますけれども、さまざま、今も移住の関係でも非常に相談の仕方も実際に場を設けてやるだけではなくて、リモートで、昼休み時間を使ってリモートで相談を受けたりとかも今もやっていますが、さまざま、いろんなチャンネルを、技術の進展等も踏まえて拡大もしながら、ニーズに合うような形でしっかりと届けていくということが、まずきめ細かくいるだろうと思いますし、またそれから市町との連携をしながら、移住先であり、働く場所、それから空き家等も含めて住宅関係のマッチング、さまざま、きめ細かく対応していくこととそれに必要な情報がきちんと、分かりやすく届けられるということが重要だと思いますし、また支援措置については、お試し移住ですとか、そうしたものについて県の単独の助成制度もありますし、そうしたものについても、さらにニーズ等も踏まえながら充実等もしていかなければいけないと思っております。
国の方でも地方創生という、これはもう、安倍内閣のときからの取り組みといたしまして、例えば東京23区から地方に引っ越す場合に補助金が出るとか、そういった制度を設けられていまして、拡充も図られていますけれども、さらなる後押しを国の方でも、より大胆にしていただきたい。というのは、特にコロナ禍が明けてからと言いますか、社会経済が戻って来始めてから、東京への転入超過というのがまた増加していくという傾向が明らかに見てとれていますので、せっかくこのところ数年間、地方への関心も高まり、東京の転入超過も減り、逆に23区が転出超過となった時期もありますけれども、そうした流れをしっかり続けていくということを、われわれとしては求めていきたいと思っておりますので、そのために大胆な施策を改めて打っていただきたいと、そうした思いは強く持っております。
NHK
それからスライドの11にある「JR美祢線とJR山陰本線」なんですけれども、これからJR側が、今後線路の復旧費用等を算出することになるかと思うんですが、JRの都合ももちろんあると思うんですけど、知事がおっしゃっているこの早期復旧の早期というのは、だいたいいつ頃のことをイメージされているんでしょうか。そのイメージに対して今の動きというのは遅いと思っているのか、どういったお考えでしょうか。
知事
もちろん工事の中身ですとか、そうしたどれだけの工事をやるのかというところが分からないところがありますので、それなしにいつということは申し上げられませんけれども、基本的な認識としては、やはり元々鉄道があり、そこで通勤や通学や通院、地域の皆さんの生活がそれをベースに成り立っていたわけですね。それが今、鉄道が運休して失われていると。もちろん代替のバスは出ており、それについて使われる方のニーズも踏まえて、JR側も修正もしてくれて、対応いただいているところでありますけれども、やはり元通りにはなってないわけですね。これは交通事業者として、やはり元に戻すということは基本的な考え方として持って対応していただきたいと思っております。
ですので、今の調査も速やかに進めていただきたいですし、費用の算出であったり、その工事について、そうしたこともやはり鉄道事業者として基本的に運営しているわけですから、そこを一刻も早く戻すのだという、そういった姿勢で取り組んでいただきたいという思いは強く持っております。4カ月たっておりますので、もっともっと、この調査も急いでやっていただきたかったなという思いはありますけれども、いずれにいたしましても、地域の皆さんの暮らしが元に戻っていけるような形でわれわれとしては取り組んでいきたいと思いますし、JRに対しても、また今回国に対しても、さまざまな制度の拡充ですとか、そうしたことを求めていきたいと思います。
NHK
話題変わりまして、中間貯蔵施設に関連してお伺いしたいと思います。昨日、中国電力の社長と面会されましたけれども、改めて内容について教えていただきたいと思います。特に、中間貯蔵施設の部分については、やりとりを詳しく教えていただけないでしょうか。
知事
昨日は、趣旨とすれば就任の挨拶に来られたものです。これまで、いろんなカルテルの問題等で対応があり、ここまで遅れてしまったことについてのお詫びがまずありました。そうした中で、カルテル問題の対応等の報告、それから中間貯蔵施設についての現状についての説明がありました。
まず、私の方からはカルテルの問題については、県民の皆さんの電力事業に対する信頼を大きく損なったものであって大変遺憾であると、こうしたことが二度と起きないように、きちんと適切な、適正な事業運営をしていただきたいということを申し上げました。社長の方からは、お詫びとともに十分それは理解をして、二度と起きないように対応していきますというお話でありました。
中間貯蔵施設については、特段新しい話ということはありませんで、これまでの経過の説明です。上関町から求められて、それに対する地域振興策として自分たちとしてはそれを提示したと。そのことについて、上関町の方から立地可能性調査についての理解が得られたので、それを現在進めているところです、ということでありました。ただ、スケジュール等については聞きましたが、今のところ具体的にいつまでということは言えないということで、言えないけれども進めていると、そういった説明でありましたので、特段何か新しい情報というか、そういったものではありませんでしたが、今進めていることですので報告に来ました、というところでありました。
それで私の方からは、私としては基本的に従来から言っていますとおり、安心安全の確保、それから周辺市町の理解というところが私の重要な関心事項ですということを申し上げておりますし、また、特に地元の方で、周辺の市町の方で丁寧な説明を求める、そうした声が多く上がっていますので、それについてはきちんと情報提供ですとか、必要な説明ということをぜひきちんと行っていただきたいと、対応していただきたいと、その検討を要請いたしました。
昨日、中国電力の中川社長のぶら下がりの中で、社長の発言の中で「周辺の市町の理解を説明を行うことで、しっかり理解を得るようにというご指示をいただきました」と書いてありますけれども、私は理解を得るようにという指示はしておりません。これについて、私は先ほど言いましたように、中国電力に対しては周辺の市町の方でいろんな懸念の声とか、丁寧な対応、説明を求めるという、そういう声があるので、それについてはちゃんとした情報提供とか、説明については十分行っていただきたいということは申し上げましたが、理解を得るようにしてくれということは、申し上げておりません。これはちょっと言われた趣旨は分かりませんけれども、あたかも県が進める側の立場で考えているようにとられかねないミスリードだと思いますので、ここは私の基本的な姿勢に大きく関わってくるところでありますので、明確にしておきたいと思います。そうした発言はしておりません。
NHK
昨日のやりとりの中では、中電側から中間貯蔵施設っていうのはこういうもので、こういうふうに安全なんですよみたいな、そういったプレゼンみたいなもの特になかったんでしょうか。
知事
それはないですね。
NHK
周辺市町の理解も当然大事ですけれども、同じように県の理解というのも極めて大事であるかと思うんですけれども、昨日のその面会を受けて、知事としては理解が進んだというか、何か思いに変化はあるんでしょうか。
知事
いえ。そこは、私も私のスタンスをお伝えしましたので、まず安心安全というのが最大の関心時でありますし、また周辺市町の理解というのは重要な要素ですよということは言いました。ただ、それは本件について総論的な私の問題意識でありまして、また各論といいますか、個別の私の問題意識については、それはこの調査が進み、仮にその建設ということに向けての計画ができて、またそれが示されれば、その段階で改めてそちらには私の問題意識はぶつけさせていただきますよ、ということはお伝えをしておりますので。ですから今言っているのは総論的なものであって、個別にはまたその進んだ段階において、私の方から質していくということは伝えました。
NHK
明日、政府要望で上京するのに合わせて、この中間貯蔵施設について経産省(経済産業省)やあるいはエネ庁(資源エネルギー庁)と話し合う予定はあるんでしょうか。
知事
いえ、この件については、今回要望の説明の中でも入ってないと思いますけれども、経産省には行くとしても、カーボンニュートラルですとか、そうした関係でありまして、中間貯蔵施設について話をするという予定はありません。
NHK
話題変わりまして、来年度の税制改正について質問したいんですが、これから年末にかけて税制改正大綱の取りまとめに向けて与党内の議論が本格化していきます。このうち所得税を減税する期間を巡っていろんな声が報じられていますが、所得税を減税する期間について、知事は1年とすべきか、あるいはより柔軟にすべきか、どういったお考えをお持ちでしょうか。
知事
そこは政府が、この所得税の減税は何を目的にやり、どうすればその目的が達成できたのかということによるというふうに思います。もちろん財源的な話をすれば、もちろん減税されればその分の効果というのは国民に行き渡るでしょうが、一方で財政を毀損するということにもなるわけですね。今回、個人住民税の減税もセットですが、ここについては減る分というのはきちんと国が手当をするということになっています。細かい議論をすると所得税が減るので、その分の一定割合が交付税、地方交付税として地方に配られるのですが、そこについてどのようにそれがカバーされるのか、それが減りますので、カバーされるのかというところは明確ではないので、そこはきちんとした手当てを求めていくということをしていかなければいけないと思っております。なので、財源的に言うと、もしやるのだったら地方の方の手当はきちんとしてくださいということは、われわれとしてはまず基本的な認識として持っております。
ただ、対策としてこれは何を狙いにしてやっていくのか、物価高騰等への対応なり、そういったことであるならば、もちろんこれから政府としてどれだけ対策をこれからも継続をしていくのか、その中のオプションとして減税というのはどう組み込むのかというところに関わってくると思いますので、そこだけを抜き出していつまでというのは、なかなか議論がしずらいのではないかなと思います。
NHK
関連で、少子化対策の一環で、児童手当の支給対象を高校生まで拡充するということに伴って、高校生の扶養控除を縮小するという案が報道されています。ネット上とかでは批判的な声も多く見られるんですが、この高校生の扶養控除を縮小するということについて知事はどうお考えでしょうか。
知事
そこは、パッケージでどう説明していくのかということだと思いますね。考え方としては分からなくはないです。当然、手当がありますので、それに見合うものとしての見直しを一方でするということは、これは制度論としては考えられるものだと思いますけれど、それが国民の理解が得られるのかどうかというところについては、きちんとした説明が、分かりやすい説明がいるというところだろうというふうに思いますので、それはこれからより年末に向けて制度の詳細等が決まり、少子化対策全体についてのパッケージで、また政府の方からのお示しがあると思いますので、その中でいかに理解を得られるような説明ができるのかとではないかと思います。
山口新聞
JRの関係でいくつか伺いますが、まず超重点要望でしたかね。その中にある「美祢線の早期再開復旧」の中にある「鉄道事業者に対する指導の徹底」とあるんですが、これは具体的に国にどういったその指導の徹底というのを求められているのかというのを教えていただけますか。
知事
これ、前回も大臣に美祢線が被災した直後に言ったのですけれども、要は鉄道の復旧とあり方の議論というのは分けてやるべきだということです。基本的に鉄道というのは、今、実際に各路線が運行されており、先ほども言いましたけれども、それによって、皆さんの生活が成り立っているわけですね。当然、事業者としては、それが被災したのであれば一日も早く戻すということを、基本的な姿勢として持っていくべきですし、あり方の議論をそこで一緒にすると、だから復旧できないということではなくて、あくまでも今あるものは今あるものとして戻すと、あり方はあり方としてこれはやはり関係者がきちんと腰を据えて、将来について考えると、それは否定はもちろんしませんし、必要なことでもあると思います。ですけれども、それを復旧というものをせずに、いわばそれを、言葉は悪いですけどそれを人質にとってこれからのあり方を議論するということは、やっぱり市民の皆さんの生活をある意味ないがしろにしているということにもなりますし、やっぱりそれは交通事業者の責任として、基本的には戻すということを責務としてこれは行うべきだし、あり方の議論と分けるべきだと思っています。そのことを国交大臣(国土交通大臣)にも申し上げました。それで大臣の方からも、当然そうだということで、そこは復旧とあり方の議論を分けるべきだということは、JRに対しても指導するという話がありましたので、われわれも心を強くした、気持ちを強くしたわけですけれども。そういったことをまた求めていく必要があるかなと思います。
今30区間、30路線、輸送密度の関係で、議論の検討対象になっておりますけれども、要はちょっと被災したら全部それを止めてあり方の議論しなければ復旧できないとなると、もう、あらゆる鉄道みんなそんな懸念を抱え、住民の皆さんもみんなそんな心配を抱えながら過ごしていくというのは、あまりにも負担が大きいですし、あまりにも気の毒なことだと思います。
やはり何か被災があったら、よほど全部流されたとしたら別ですけれども、基本的には戻すという姿勢で取り組むべきだと思いますので、そこはきちんと国に求めていかないと、これから美祢線だけではなくて、県内もそうですし、他にも、全国にもそうした懸念を持っている路線は非常にあるわけですね。そういったところが常に災害に怯え、何かあったらそれがもう復旧もしてもらえずにあり方の議論の方に移行するというところを、本当にそれを認めるのですかという話は、国に対しても言っていかなければいけないと思います。
山口新聞
結局、国に対して求めたいことっていうのは、結局どこですか。
知事
JRに対して、やはり復旧とかとあり方の議論というのは一緒くたにするのではなくて、やはりきちんと分けてやるというのは、基本にすべきだということを求めたいと思いますし、とはいえJRは民間企業でもあるわけでありますから、復旧についても補助制度があるんですね。それについてもやっぱり充実を図っていくべきだと思います。より、要件の緩和ですとか、そうしたものも当然、併せて求めていく、そういうふうにしていきたいと思います。
山口新聞
復旧とあり方の議論を一緒にしないようにということを、国は鉄道事業者側に強く指導してもらいたいということになるんですかね。
知事
そうですね。
山口新聞
先般、広島支社に知事、要望行かれた際に、応対した支社長の、私直接行ってないんであれなんですが、河川改修は長い期間を要すると、工事費の算出と並行して地域の公共交通としてどういった形がふさわしいのかといったところも議論したいというふうなコメントをしているんですけれども、要はさっきの、知事のお話と少し関連しますけれども、河川改修をしても、一方で公共交通としてどういった形がふさわしいのかといったところも議論したいっていうのは、ちょっとJR側の真意っていうのがどこにあるのかなっていうのがよく分からないですけれども、知事はJR側のコメントをどのように受け止められますか。
知事
あり方の議論がしたいということなのだと思いますけどね。われわれとすれば、早期復旧ということは、被災直後からJRに対しても国に対しても求め、また河川の改修が必要ということですから、そこについては速やかに計画を作り、先般、JRにも示したところです。一刻も早く復旧をしていただきたい。これは地元、それから地域に住む皆さんの切実な声を反映して、そうしたことを言っているわけです。
なので、その一方で、JRの方はまだそこまで明確に言っていませんけど、あり方の議論が要るということを、それは復旧の前にということなのか、そういうことなのかなというふうに理解をしますけれども、そこは認識がかなり開いていると思います。
山口新聞
それとJRの関係で、山口駅の利便性が大きく低下しているのではないかという指摘があって、構内にあった売店がなくなったりであるとか、コインロッカーが撤去されたりとか、何かトイレットペーパーも消えたんじゃないかっていう話もあって、山口県の玄関口の駅が、山口駅なのか、新山口なのか、下関なのかいろいろ議論があるかもしれませんけれども、いずれにしても県都の中核となるような駅で、こういった動きがあるっていうのはあまりいい状態ではないのかなというふうに思うんですが、どのように受け止められていますか。
知事
そうですね、やはり利便性ですとかそうしたことを考えると、残念な感じはいたしますので、山口線に限らず地元の市も利用促進等で頑張っていると思いますが、それをさらに強力にしていかなければいけないのかなというふうに思います。
山口新聞
具体的に何か、山口市側と協議して、JRに働きかけるとか、そういったことは考えられてないですか。
知事
利用促進ということについて言いますと、山口線の利用促進協議会で、今年度は山口市が中心になって、県の補助制度もありますが、それも使ってJRの山口線の各駅、それから駅周辺の現状ですとか課題の調査分析等を行うということになっています。
われわれ、「やまぐちローカル線応援団」という取り組みも始めていますけれども、そうしたものですとか、利用促進協議会が行う取り組みへの支援等を通じまして、市、また関係団体と一体となって、利活用、ローカル線の活性化を図っていくように取り組んできたいと思います。
山口新聞
最後に中間貯蔵施設の関係で伺いますが、昨日、中川社長の報道陣のぶら下がりの中で、周辺市町の理解が必ずしも進んでいない部分について質問があって、調査をするということを公表した後に、周辺市町に説明するという形で進めているので、そこの説明をしっかりしていきたいというふうな話があって、要は、この中間貯蔵施設を建設するときの手順というのが実際、どういうのが適当なのかよく分からないんですが、根回しが、周辺市町も含めて、必ずしも十分でなかったからこそ今のような状態になっているんじゃないかなっていうふうに思うんですが、その辺りは知事はどのようにご覧になられていますか。
知事
そこは事前に説明していたら理解されたのかどうかというのはちょっと分からないところはありますけどね。会社としては、会社としての方針を決めて、外に出していくのにどの程度事前に広いエリアに対して言っていけるのかという、情報の管理という面もあると思いますし、なかなか難しいところではないかなと思いますね。
いずれにしても、正しい情報なり、説明というのは、やはり周辺の市町も求めているところですから、これにはきっちり対応していただきたいと思います。
山口新聞
今の中電側の、市町に対してはこれから丁寧な説明をしていきたいというお話でしたけれども、まだ、市町に対しては中電側の説明がないというか、理解を求める取り組みっていうのは十分でないっていうご認識ですか。
知事
今のところまだ何も個別には説明してないというところだと思いますので、そこはいつ、どのようなタイミングで、どのような説明をするのかというところは、中電が判断されることだと思いますので、私の方から個別にどうしてくださいということはありませんけれども。ただそういった声があがっているから、そのことはきちんと踏まえて、丁寧に対応してほしいということは伝えました。
日本経済新聞
政府要望のスライド7についてお伺いします。CAR-T細胞をもとにしてエコシステムを作るということですけど、これかなり本気でやろうとしたらおそらく10年、20年のスパンでかかるようなことだと思うんですけど、この辺り、どこまでやられるというか、本気でやられるかどうかその辺りの気持ちといいますか、その辺りを伺いしたいのと、あともう1点、これを成功させるにはかなり人材、ノウハウを持った人材が必要だと思うんですけど、これはどういう形で獲得されていくのか、その辺り含めて国に要望されていこうとするのか、その辺りをお願いします。
知事
これ自体は非常に画期的な研究でありますし、さまざまな医療、特に再生医療とか細胞治療とか、遺伝子治療ですとか、そうした面で非常に大きな成果に繋がることを期待しています。大学の方でも、その可能性を大いに感じて今回細胞デザイン医科学研究所という新しい組織を作って、そこにいろんな資源も集中していくということなのだろうと思います。ぜひ期待をしたいと思っています。
基本的には、どういった研究をして、どのようなとこまで続けていくのかっていうのは山口大学の方で考えられることですので、われわれがそこを差配するわけではありませんけれども、ただ側面的な支援として、国庫補助ですとかそうした研究等を行っていく上で、国の財源的な支援というものが獲得をしていくというところでは、われわれがお手伝いできるところはあるだろうと思っておりますので、今回、政府要望の主な観点はそういった補助金等、あるいは資金的な面でそうした部分についての支援を求めていくということをやっていきたいと思います。
日本経済新聞
その後、人材といいますか、一番多分キーになるのは人材だと思うんですけど、その辺りについて今後、県として独自でその確保について考えていくと、かなりこの辺りって、今、山口県の強みであるもの作りとは全く180度違うと言っていいほど違う分野なので、かなりやり切るのはかなり大変だと思うんですけど、その辺り知見を持った人を何か呼び込んだりとかっていうそういう施策を、今後考えるとその辺りはありますでしょうか。
知事
そうですね。これ自体は山口大学の方で、当然人をどのように集めていくかというところもやっていく話だと思いますので、われわれにこういった分野に知見があるわけでは必ずしもないので、そこは山口大学の方で頑張ってもらうしかないと思いますが、われわれはこれを実際に事業に移していく上で、例えば県の産技(産業技術)センターとか、あるいはそういった関連する企業とか、そういったところと結びつけるということは、役割としてできることがあるのかもしれません。
今ここにも資料に書いていますけれども、宇部市の方で、宇部市も入って、これ県も入ってますけども、UBEとか和同会とか入って、こうしたさまざまな実際にその事業化をしていくためのプロジェクトを進めようと思うと、当然、大学だけでは無理で、関係する研究機関だったりとか、企業だったりとか、自治体等との連携が必要になってまいりますので、そうした部分で貢献できるところがまたいずれ出て来るかなというふうに思いますけれども、今の段階ではまだそこまで至ってなくて、大学の方でまずしっかり頑張ってもらうということで、人材と資金確保とあると思いますが、特に資金面は国の方での財政的な支援を求めていくところは、われわれとしても最大限応援していきたいなと思っております。
防府日報
3点お伺いします。まず1点目、中間貯蔵施設の関係ですけれども、先ほど知事が言われた中川社長の発言があったと思うんですけれども、理解を得るようにとは指示していないというふうな発言ですけれども、これは知事が従前言われているように、自治体、周辺の市町への情報提供や丁寧な説明対応はする必要があるけれども、理解を求めることが計画を進める前提ではないということをおっしゃりたいということでよろしいんですか。
知事
私としては、今の質問を十分理解できたかどうか分かりませんけれども、自治体の方から今、不安とか懸念とかあるわけですね、周辺住民も含めて。そこに対して、首長さんもそれを受けてどうしたものかと考えている中で、やはり説明とか情報提供とか、そこは丁寧にしてほしいという声がありますので、それはしっかりとやっていただきたいということを申し上げたということです。
それで理解を得るようにというのは、それでちゃんと首長を説得してねと言い方と取られかねないわけですね。それは捉え方によっては、私が推進の立場でそうしてくれなきゃ困りますよという、そうしてくださいねというふうに言っていると捉えられかねないので、これは大変な誤解だと思います。私は正しく市町等が判断をしていく上でも必要な情報提供、説明というのがいりますよねということを言っただけであって、それを良いと思うかどうか、理解するかどうかは各市町がそれぞれ判断することでありますから。私がそれを得られるようにということは、私の基本的な姿勢とも全く相容れませんので、そのことは先ほど、明らかにしておきたいということで申し上げたということです。
防府日報
つまりは、知事としては中川社長に対しては従来通り、現時点ではどちらでもないということで具体的な計画ができた段階で、安心安全の観点であるとか、そういったことから判断していくというスタンスを伝えたんだけれども、向こうにはそのようにとられたんではないかという懸念があるということなんですか。
知事
そこはちょっとどういう意図でそう言われたのかは分からないですね。ただ非常にミスリードしかねないところですので、遺憾であると思っております。そこは私の、何度も言いますけれども、基本的な姿勢に関わるところですので、細かいようですけど基本的な姿勢に関わるところですので、明らかにしておきたいと思います。
防府日報
分かりました。それから次が美祢線等の復旧の話なんですけれども、こちら詳しい方の45ページのところに補助制度の変えてほしいところというのが具体的に書いてあると思うんですが、今、JR西日本のような黒字会社の赤字路線というのが、ここにあるように長期的な運行の確保、つまり要はちゃんと人が復旧後に乗るのかという計画を立てなければなかなか補助がおりるのが難しいという、ここを撤廃するっていうことが今回の要望の一つの肝じゃないかと思うんですけれども、現実問題として、やはり今輸送密度がかなり低い、JR西日本管内でも、路線の下から数えた方が早い路線の中で、こういった計画を仮に作らないにしても、JR側がそこに完全復旧という形に傾くかどうかというのは極めて、一企業の判断としては難しいところだと思うんですけれども、知事としてはこの要件を撤廃することによって一つ突破口が開けるというふうにお考えなんでしょうか。
知事
そうですね。ちょっと正確な表現は「長期的な運行の確保」ですかね、これは黒字会社の方だけに条件として課されていて、赤字会社にはそうではない、ということになっておりますが、それは基本的に同じにすべきではないかと思いますね。今、美祢線の議論をしていますけれども、本体が赤字かどうかというのは全然議論になってないわけですから。路線についてどうするか、収支とかそういった問題あるにせよ、それは本体が赤字かどうかというところはこの議論には全然関わってないわけですので、そこについて制度が異なっているというのは、私は直すべきところではないかと思います。
しかも、だいたい長期運行の確保とはどういったもので、それが満たされるのかどうかというのがよく分からないところでありますが、いずれにしても路線自体は、どこも赤字なわけで、基本的にローカル線というのはですね。会社自体が黒字であろうと赤字だろうと。それは新幹線で儲かっているのであって、ローカル線というのは赤字なわけです。それは赤字だと言われてしまえば何もできなくなってしまう、何も戻せなくなってしまう、そうではないと思うのですね。やはり幹線があって、細かい路線があって、ネットワークをどう考えるかというところを基本的に考えるべきであり、そうした議論で再編についても本来はやるべきだと思います。個別個別の路線についてここは赤字だからと言うと、多分全部廃止しなければならなくなってくると思います。新幹線だけ、儲かる新幹線だけ残っている。それが本当にあるべき公共交通、鉄道の形なのかというと、それは違うだろうと思います。やはりそれは全体の、本来は国の方でもっと指導して、鉄道ネットワークというのは本来どうあるべきなのかというところをやるべきだと思います。そうせずに、各路線ごとにここは持続可能性あるのかどうかってやっていたら全部やられちゃうと思います。
防府日報
美祢線を復旧させるためにはもう一つ項目になっている厚狭川の災害対策っていうのが肝になってくると思うんですけれども、このあたりの先日JRの方にも行かれたと思いますけれども、例えばJRとの費用の負担割合とか美祢線の今後の見通しっていうのは今知事としてはどいうふうに見ていらっしゃいますか。
知事
河川の方は県の責任ですから、これは速やかにやっていきたいですし、今回のような豪雨災害、また平成22年のときと同じような災害が起きても川が越水しないようにやっていく、これはJRのためだけではなくて、周辺の住民の方々の暮らしの安心・安全を守るためのものです。これは、早急に取り掛かって、スピーディーにやっていきたいと思っております。その上で、鉄道についてはまたJRの方でどれだけ復旧の費用がかかるのかということは、今回のわれわれが示した河川の改修計画をもとに積算をしていくということになると思いますので、その作業が円滑に進むようにわれわれもいろんな細かい情報を求められればどんどん出していきたいと思っております。それを出した上で、JRの方がどう判断するのかということだと思います。
鉄道は基本的には事業者の責任で復旧すべきものですし、国庫補助制度がありますから、そうしたものも活用してやっていくということをまず、原則で考えるべきだと思いますが、その上でJRがそれではなかなか難しいようであれば、また話があるのではないかと思います。
防府日報
最後なんですけれども、10月の終わりに、県立総合医療センターの基本構想が策定されました。その中では具体的な費用とか、それからスケジュール、今後のスケジュールについてはまだ余りはっきり示されていなかったんですけれども、防府市は今、建設の候補地になっている、隣の広域防災広場ですね、これを令和7年度末までに完成させるというふうに話しておりますけれども、こういったことも踏まえて建て替えのスケジュール感、今後のスケジュール感と、あと事業費の規模感、今どのように見ていらっしゃいますでしょうか。
知事
ちょっとすいません。それは今分からないので。誰か言える人いますか。いないですか。今日はいないのですみません、急いでやります。
TYS(テレビ山口)
超重点要望の新規項目、7項目あってどれも大事だとは思うんですけれども、知事として、今回これは特に力を入れていきたいというものがあったら教えていただきたいのと、その実現によって山口県をどう変えていきたいのか、教えていただければと思います。
知事
将来に大きく影響してくると、県全体が影響してくるということでいうと、最初に書いてあるカーボンニュートラルコンビナートについて円滑に移行していくということは大変重要になってきます。何といっても山口県の産業を支える屋台骨は瀬戸内のコンビナート企業でありますので、これが2050年カーボンニュートラル、これを乗り越えて、引き続き成長力を維持できるのかどうかというのは山口県全体の活力に大きく影響してきますので、これは大事な点だと思っています。
それに向けた検討を今、各企業もしておりますけれども、そのための国の支援ですとか、あるいはさまざまな規制の見直しですとか、そうしたものがまだまだ足りていないし、もっとスピード感をもってやっていただきたいと思っています。
一つはアンモニアとか水素とか、そうした次世代のエネルギーと言われている部分に向かって各コンビナートの企業、関連の企業も、自分たちの得意分野等も考えながら将来の姿を考えているわけでありますけれども、それをしっかり進めていくとなると、やはり財政的な面での支援ですとか、あるいは将来に向けてきちんとこれだけの、財政面だけではなくて、きちんと水素とかアンモニアとか、海外からも安定的に、どれだけの値段でちゃんと本当に供給してもらえるかどうかというところが分からないと、投資計画も立てられないわけですよね。そうしたさまざまな不確定な要素というのをできるだけなくすように、国の方でしっかりとしたビジョンなり、見通しを示して欲しいですし、それを実現するための財政的な後押し、かなり大規模な投資については国の方も基金をつくり支援をしますけれども、少し規模が小さいものですとか、あるいはもうちょっと研究が必要な分野ですとか、初期的な段階のもの、そうしたものについては支援の措置がないので、そこについても拡充をしていただきたいと思います。これはわれわれ県独自に今、基金を作って、先般、UBE(UBE三菱セメント)がセメントを作る過程でアンモニアを石炭だけではなくて、アンモニアを混焼するという実証を世界で初めて始めますけれども、これも県が単独で補助をしているわけですよね。そういうふうな、やはりチャレンジをして、これ本当に日本の産業の根幹にかかわる、成長力に関わるところですので、もっとこう大胆な投資、きめ細かいところとか、もっと研究開発の少し手前の段階まで広くやっていくということを、国としてもやっていくべきだと思います。
それから、あともう一つは規制緩和のところでいうと、コンビナート企業同士が将来自分たちのこのエリアをどうしていくかと考えると、当然企業同士が情報交換しながら、こういうことを共同でやっていこうということを話し合っていかなければいけないんですけれども、そうしたことを進めようとするといちいち独禁法(独占禁止法)にかかわる恐れがあるということで、それが非常に、スピーディーに物事を進めていく、合意形成をして物事を進めていくという上で支障になっているという声を直接現地に行き、企業の皆さんからもかなりこれは優先度の高いものとして聞いております。ここはやはり規制の緩和なり、或いはそうしたものがすぐスムーズにできるような、こんな情報は共有してもいいとか、そういったところがいちいち公取(公正取引委員会)に聞いてまた時間をかけて、その結果、回答待ちでとかいうことではなくて、あらかじめ判断できるような形にするとか、大胆に規制を緩和するとか、そうした形で円滑にいくようにするということは、基本的に必要だと思います。2030年ってもうすぐやってきますので、そこに向けて、早く将来像を描き、コンセンサスを得て一緒に投資等もしながら、将来目指す形に変えていかなければいけないのに、一つ一つ全部国に確認しなければ法律に違反するかもしれないという、それは非常に大きなボトルネックになっているという切実な声がありますので、そこもあわせて伝えていければと思います。
朝日新聞
先ほどの中電の社長のミスリードの発言の件なんですけれども、これ、中電に対して訂正とか取り消しを求めるようなお考えはあるんでしょうか。
知事
それは何らか対応は考えていきたいと思います。こちらとしての認識は伝えたいと思います。
朝日新聞
今のところはまだ中電さんとやりとりはされてないという感じでしょうか。
知事
そうですね。私が今朝見て、いや違うなと思って今、ここで言っているんです。
朝日新聞
今後、そういった何かしら対応を先方に求めていくというような。
知事
こちらとして、そこは違いますよ、そんなことは言っていませんよということは伝えたいと思います。その上で向こうがどう判断するかは、それは先方の対応だと思います。
朝日新聞
分かりました。ありがとうございました。
中国新聞
一点、お聞きしたいんですけど、超重点要望の中の「山口きらら博記念公園の機能強化」があるんですけども、先週末とかの大きなイベントやられて、実際、実証実験も数多くやられていると思うんですけど、改めて、その中を踏まえてこういう公園にしていきたいという知事の思いを聞かせてください。
知事
そうですね、今さまざまなイベントであったり、社会実験も、例えば夜泊まってキャンプをして、そこで焚き火をしてみるですとか、あるいは今言ったような交通、130ヘクタールの広い土地ですから、そこを楽しむためにはやはり移動も円滑にできなければいけませんけれども、自転車も何もないところなので、いろんな自転車だったりモビリティを使ってあちこち行きやすくするという、快適に過ごす、楽しむための実証ですとか、そうしたことを行っています。
基本的に私の認識は、非常にアクセスも県外からもいい、県内からもいい、またこれまでもさまざまな県としてイベントも行ってきて、県民の皆さんも非常に良いイメージを持っている場所だと思っています。
そうした場所をもっと、このアフターコロナで県民の皆さんが本当に子供たちも思いっきり遊べて、家族連れもくつろげて、高齢者も心安らかになるというような心が満たされるような、そうした公園に大きく変えていきたいですし、そのためのポテンシャルを持っていると思います。そのためにはさまざまな機能、インフラですとか、機能、施設とかいうものがいると思いますので、それについては今年度中に基本構想をまとめることにしています。
今、各地域でもワークショップ等を開き、私も下関には参加しましたけれども、山口の公園ですが、場所は山口市にある公園ですけど、下関の方も非常にこういう公園になってほしいとか、いろんな夢を持たれていて大変嬉しく思ったのですけれども、そうした皆さんの声も最大限取り入れながら構想を作っていき、それを実際に形にしていきたいと思います。
中国新聞
イベントに来ていらっしゃった方もとにかく早く、スピード感を持って進めてほしいという方が大勢いらっしゃったわけですけれども、その辺はどう受け止めを。
知事
そうですね、今年度中に、今言った県民の皆さんの意見とか、あとサウンディング調査というか、民間からもどんな展開できるかという、われわれの調査等も並行してやっていますので、そうしたことを含めてその絵姿を描きたいと思います。それで、来年度以降できるところから着手していくということをしていきたいと思います。
朝日新聞
先日、知事は韓国の方に行かれたと思います。その際に、インバウンドの誘致などについて、あちらの方の自治体のトップの方とお話されたのかということについてと、今後、韓国からのインバウンドを増やすことが県のインバウンド客の誘致の課題の一つになると思うんですけど、チャーター機などは計画されていると思いますが、今後どのようにしてもっと韓国からのインバウンド客を誘致しようと思ってらっしゃいますでしょうか。
知事
先般の日韓海峡沿岸県市道(交流)知事会議で、さまざまなテーマについてこの会議で議論をしてきているのですけれども、今回特に、観光といいますか、インバウンドについてお互い今の取り組み等情報共有しながら、お互いの行き来をもっと活性化させて、われわれの地域の経済も元気にしていこうと、そうした狙いで意見交換をしました。
山口県の方でも、今、これは山口に限らず他の県もみんなそうなのですけれど、外国からのお客さんは韓国人が一番多いんですね。今現時点においても。そこに向けてどんなアピールをしているかですとか、あるいはわれわれであれば海外、韓国もプロモーターを配置して、韓国の方々のニーズに合った形での情報提供なり、誘致の、航空便等の誘致の取り組み等も進めています。
来年の1月からチャーター便が就航というのが、連続チャーターの就航が決まっております。ここで、希望とすれば多くの方に来てもらい、山口の魅力を感じてもらって、そのニーズをしっかりと、需要をしっかりと、きちんとしたものにしていって、それが継続されるような形での展開を目指していきたいと思っております。
やはり非常に近いエリアでありますし、また特に温泉とかゴルフ場、ゴルフとか、それだけではないのですけれども、韓国の方が求められているところで結構、そこの割合も大きいんですけれども、そうしたものを満たせる山口県の魅力がありますので、コロナの間というのは数年間止まっていましたけれども、改めて直接来てもらって、そうした魅力を感じてもらいたいと思いますし、われわれもニーズ等も踏まえ、より効果的なPR等もしながら、より継続発展していけるような取り組みにつなげていきたいと思っています。
時事通信社
中川社長の発言のところに戻るんですけれども、今、知事としては中間貯蔵施設に対して推進でも反対でもない立場だとは思うんですけれども、一応改めて現時点での知事の中間貯蔵施設に対してのスタンスを改めてご説明ください。
知事
私とすれば、今は立地可能性調査の段階でありますので、これはこれで進められていることだと思っております。現時点での基本姿勢として言えるのは、まず何よりも安心安全の確保というのが重要であるということ、それから上関町の意向で今回、この調査は進められておりますけれども、周辺の市町の理解、これは大変重要な要素だというふうに思っております。その上でまた、現時点においては、具体的な計画も示されていない段階でありますので、私としては賛成でも反対でもないという、ニュートラルな立場で、この件に対処していきたいと思っております。
具体的に立地可能性調査が終わり、それで立地可能性ありといいますか、大丈夫となれば、その次に建設計画というのが示されてきて、より具体的な運用、その施設なり、運用なり、どのような安全対策なり講じられるのかというのが示されてくるのだろうと思いますので。その段階で私としての問題意識は、相手方にしっかりとぶつけていくといいますか、必要な確認なり、そうしたことをしていく、そういった姿勢でおります。今の段階では、何といいましても、まだ計画も何もありませんので、私の考えということは、これからまさにその具体の計画を示されてからということになりますけれども。ただ、言いましたけど、周辺の市町における懸念とか、丁寧な説明を求める声がありますので、それについてはしっかりと中電の方に対応していただきたいということは昨日申したところです。
時事通信社
もう1点、全く話題変わるんですけど、今政府の規制改革検討会議の方でライドシェアについての議論を進められれていると思うんですけれども、県内でもタクシー不足している地域とかあると思うんですが、村岡知事としてのライドシェアに対しての考え方をお聞かせください。
知事
既存のタクシーの業界の方々との調整とか、政府としてはそういった部分も当然必要なのだと思いますけど、私としては基本的には検討を進めるべきだと思います。
やはり、移動手段というのが鉄道も今ありますけれども、バスも運転士が不足したりですとか、タクシーの業界でもなかなかなり手が少なくて、結構私も最近聞きますけれども、タクシーがなかなかつかまらないとか、山口市はまだましな方でしょうけど、他の地域、人口の少ない地域に行くとなかなかもう、つかまらないので夜の会合も行かないと、行ったところで帰れない、という声も聞くことも多くなりました。
そうした意味でいうと、やはりいろんな移動の仕方というものが、多様な選択肢があるというのはやはり目指すべき方向だろうと思います。なので、ライドシェアというものも、ぜひ政府の方で検討をこれからしっかりとしていただきたいですし、それによって特に、これから担い手もどんどん減っていくわけですね、やはり交通、移動手段がないというのは、やはり生活していく上では本当に致命的な部分になってくると思いますので、そうしたところを緩和するという意味では多様な移動の手段のあり方というのは、ぜひ、検討していただきたいと思います。
自動運転とかもっと進めていただきたいと思いますけどね。本当に担い手不足で運転手がいないわけですから。
※広報広聴課編集
[ ]の箇所は当課で修正しています。
作成:山口県総合企画部広報広聴課