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知事記者会見録・平成28年10月27日実施分
日時 平成28年(2016年)10月27日(木曜日)
10時02分~11時09分
場所 県庁2階 記者会見室
発表項目
- 平成29年度当初予算編成について
- シンガポール・マレーシアでのトップセールスについて
- JR西日本との連携に基づく取り組みについて
知事
最初に、三笠宮崇仁(たかひと)殿下の薨去(こうきょ)の報が入ってまいりました。三笠宮崇仁親王殿下のご訃報に接し、悲しみの念に堪えません。殿下は、大学講師をされるなど歴史学者としてご活躍され、また、レクリエーションやスポーツの発展にも大いに寄与されてこられたところであり、山口県へは、これまで幾度もご来県をいただいております。
その折には、県内各地で親しく県民に接していただき、そのお人柄に県民の皆さまも深く感銘をいたしたところです。
殿下の安らかなご冥福を心からお祈り申し上げ、深く哀悼の意を表します。
そして、今日、私の方からは、3点ご報告をさせていただきたいと思います。その前に、今月21日に発生しました、鳥取県中部を震源とする地震について一言申し上げます。
本県では、この地震によって被害はありませんでしたけれども、被災地では、住宅等が被害に遭われた方や、避難所での不自由な生活を余儀なくされている方もおられ、心からお見舞いを申し上げます。
県では、発災直後から情報収集を行うとともに、鳥取県の要請に基づきまして、被災建築物・宅地の危険度判定業務や保健所業務を支援するため、市町と協力して職員を派遣したところです。
また、被災者からの入居希望があれば、県営住宅の無償提供をすることとしています。
今後も、中国地方知事会等と連携し、被災地のニーズに応じて、必要な支援に迅速かつ的確に対応してまいります。
それでは、私からの報告の1点目ですが、平成29年度当初予算編成についてです。
先程、今回の予算編成に対する私の考えを職員に訓示いたしました。お聞きになった方もいらっしゃると思いますので、要点のみをお話したいと思います。
県財政は、義務的経費である社会保障費の増大あるいは公債費の高止まりによりまして、恒常的に財源不足が生じる硬直化した財政構造が続いています。財源調整用基金の28年度末残高見込が100億円を下回る中、29年度の予算編成におきましては、現時点で、約180億円もの財源不足が生じる見込みでありまして、予算編成の見通しが立たない極めて厳しい状況にあります。
また、現状の財政構造を改善しない限りは、今後においても同様の状況が続くことが見込まれます。
このような県財政の現状を踏まえて、私は、次に申し上げます2点を基本方針として、予算編成に取り組む考えを先ほど示しました。
まず、財政健全化に向けた行財政構造改革の推進です。
私は、本県の未来をしっかりと見据え、チャレンジプラン等に基づく活力みなぎる県づくりを進めるため、それを支える持続可能な財政構造の確立に向けて、当面の収支均衡だけではなく、中長期的な視点での財政基盤の強化、立て直しに速やかに取り組んで、5年後をめどに、基金の取り崩しに依存しない自立した財政構造の確立を図りたいと考えております。
このため、歳入に見合った歳出構造への転換に向けた徹底した見直しや集中的な財源確保対策を強力に進めていく考えであります。これにつきましては、既に副知事をトップとして、全庁的な内部検討に取り組んできていて、今後、予算編成過程において、さらに具体的な内容を精査してまいります。
基本方針の二つ目は、「チャレンジプラン」の確実な実現と「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の着実な推進です。
29年度においては、計画期間の最終年度を迎えるチャレンジプランの目標達成や達成水準の一層の向上を図っていくこととともに、総合戦略に基づく地方創生の取り組みをさらに加速・深化させ、目に見える成果を上げていきたいと思っています。このため、「施策重点化方針」を示して、これらに必要な実効性の高い施策を重点的に推進することとしています。
具体的な編成に当たっては、達成すべき目標等を見据えた上で、現場のニーズ、実効性や費用対効果等を十分に考慮しながら、国の財源措置も最大限活用して、的確な施策の構築に取り組んでまいります。
私としては、人口減少・少子高齢社会の中で、活力みなぎる山口県を実現するため、土台となる財政基盤の確立にしっかりと道筋をつけるとともに、チャレンジプランの確実な実現と総合戦略の着実な推進が図れるように、職員と共に全力で取り組んでいきたいと考えています。
次に、資料はありませんけれども、「シンガポール・マレーシアでのトップセールス」についてご報告します。
今月14日から18日にかけまして、畑原県議会議長とシンガポール・マレーシアを訪問し、農林水産物の売り込みや観光客の誘致、中堅・中小企業の展開を図るため、現地でのトップセールスを行ってまいりました。
まず、フグの輸出ができる数少ない国でありますシンガポールでは、とらふぐの専門料理店であります「フク・ファイン・ダイニング」の塚本(つかもと)料理長や中華レストランの「四川豆花飯荘(しせんとうかはんそう)」のウィー・ウェン・リー執行役員にお会いして、フグの取り扱いの拡大などをお願いしました。
また、県産の水産物の輸出拡大に向けまして、全国漁業協同組合連合会がシンガポールで運営しております日本料理店で行われました、山口県産の水産物PRセミナーに出席をしまして、「ノドグロ」や「キジハタ」などをPRするとともに、シンガポール伊勢丹ジュロン店で試食・販売などの販促活動を行いました。
マレーシアでは、ジェトロの梶田(かじた)所長、また、マレーシア日本人商工会議所の外処(とどころ)会頭、そして、現地メディアでありますメディアプリマのアマ・イザム・オマールCEO、そして、日本食材輸入会社を経営されている鈴木(すずき)社長、さらにはマハティール元首相にお会いをして、山口県の紹介やPRを行うとともに、日本とマレーシアの交流拡大に向けた大変貴重な意見交換を行いました。
また、在マレーシア日本大使公邸では、宮川(みやがわ)大使を表敬訪問した後に、県内企業にも参加いただいて、本県の食や観光、元気な企業について総合的に情報発信するプロモーションを行いました。
会場は、バイヤーや観光事業者、政府関係者など120人を超す方々にお越しいただきまして、満員状態となって、試食提供した県産食材、地酒に大変な好評をいただくとともに、本県の観光や企業にも大いに興味をお持ちいただけたと思っています。
このように、今回のトップセールスは、山口県とシンガポール・マレーシアの経済交流の拡大に向けたネットワークづくりなどに大いに成果を上げることができたものと考えており、大変有意義であったと思っています。
また、今回の訪問を通じて、両国は非常に活気に満ちあふれ、ますます、経済成長が期待できる国であるというふうにも感じたところであります。
今後は今回の成果を生かし、両国をはじめとしたASEAN地域での県内企業の展開、観光客誘致、県産農林水産物の売り込みが一層進むように、しっかりと取り組んでまいります。
3点目は、本年5月に締結したJR西日本との連携協定に基づく取り組みについてです。
まず、「サイクル県やまぐち」の実現に向けた、サイクルスポーツ環境整備の一環として、11月5日、新山口駅に「サイクルピット」を設置し、「サイクルトレイン」を運行します。
「サイクルピット」は、自転車の組立等を行う施設で、新幹線などで県外から来たサイクリストに、ここで出発準備を整え、本県での自転車旅を気持ちよくスタートしていただきたいというふうに考えています。
また、「サイクルトレイン」は、私から特に実施をお願いしたものでありまして、今回、JR西日本による運行が本県で初めて実現することになりました。
自転車で走りにくい区間を列車で移動することで、初心者も気軽にサイクルイベントに参加できるなど、サイクルスポーツの裾野の拡大にもつながると思っています。引き続き、JR西日本と連携し、運行の拡大を図っていきたいと考えています。
県としては、今後も、市町や企業等と連携して、サイクルスポーツ環境の整備を着実に進め、サイクルスポーツを通じた交流人口の拡大に取り組んでまいります。
二つ目は、JR西日本などと連携して先週開催しました「幕末維新やまぐちデスティネーションキャンペーン 全国宣伝販売促進会議」の実施状況についてです。
全体会議当日には、国内外の旅行会社など、約700人が参加され、来年の山口DCに向けて、私自ら直接売り込み、本県への積極的な送客を呼び掛けたところです。
旅行会社やJRグループの皆さんからも、旅行商品の造成や送客に向けて力強いお言葉もいただき、来年のDC本番に向けて、まずは好スタートが切れたものと考えています。
また、会議翌日からは、現地視察を行い、県内各地の観光地や新たに開発した観光素材などを実際に体感していただきました。
全体的におおむね好評で、特に、視察希望の多かった「元乃隅稲成神社(もとのすみいなりじんじゃ)」は、海と鳥居とのコントラストで期待以上の絶景だったとの評価をいただきました。そしてまた、世界遺産の「松下村塾(しょうかそんじゅく)」の中に上がっていただいて宮司による特別講話なども評判が良かったというふうに聞いています。
今回の会議や現地視察での意見も踏まえまして、観光素材のさらなる磨き上げを図るとともに、JR西日本と連携して情報発信を強化するなど、DCの成功に向けて、引き続き、積極的に取り組んでいきます。
私からは以上です。
中国新聞
予算編成方針についてお尋ねしたいんですけれども、その前に、三笠宮さまのご薨去された関係で、一つ教えてください。知事がご就任されて以降、あるいは東京でのご公務も含めて三笠宮さまと直接接せられる機会はあったでしょうか。
知事
いや、私は直接接する機会はなかったんですけれども、山口県に来られた一番直近は平成16年ですね。3月19日から20日、錦帯橋の架け替えの完成記念式典に来られたものが最後、ちょっと今精査していますけれども、県として把握しているものは、それが一番最後ですね。来ていただいた。
中国新聞
次に、予算編成方針なんですけれども、まず今年の2月の新年度当初予算の発表の当時ですね、財源不足額が134億円という見積もりだったと思うんですけれども、今回180億円に増えていますけれども、この理由といいますか、どういったところにありますか。
知事
これはですね、退職手当債の関係なんですけれども、28年度の当初予算の時では、退職手当債の発行可能額を全額発行するとした場合に、29年度の財源不足額が134億円になるというふうに試算しておりましたが、一方、昨年10月の編成方針時、平成28年度の当初予算の編成方針時ですね、その時の財源不足では、退職手当債を発行しない場合を試算しておりますので、それと同じ条件で試算をする方がいいだろうということでありまして、それと同じ条件で試算をしますと、29年度の財源不足は約180億円になると、そういうふうに見込んだものであります。
中国新聞
今はじゃあ、退職手当債を発行しない前提で試算した影響というのは。
知事
それは、前回の1年前と同じようにそろえたんですね。
中国新聞
それに加えて、あとは国の概算要求等を反映させるという方針。
知事
そうですね、国の方の当初予算、地財(地方財政計画)の見通しとか、そういったものが示されているので、それを踏まえて収支の見通しを立てたものです。
中国新聞
今日のご発言の中で、5年後をめどに基金に頼らない財政構造を作るということで、これを歳入に見合った歳出を、毎年できる体制を整えていくということだと思うんですけれども、一方で今年度の予算でも70億円の基金の取り崩しがあったんですね、かなり難しいテーマだと思うんですけれども、知事の中でどういった道筋をですね、描いていらっしゃるんでしょうか。
知事
これはですね、従来、予算の時の話では常々言ってますけれども、山口県の財政構造、非常に歳入と歳出のギャップがあるわけですね。歳入に対して歳出が多いという状態が続いているので、これを埋めるために基金をずっと崩していかなければいけない、そういう構造にあるということです。ですから、これをどこかの時点で解消しない限りは基金が底をついて財政が立ち行かなくなるということになりますので、その構造自体を変えなきゃいけないという課題がずっとあるわけですね。これは、かなり前からそうなっているわけでありますけれども、一時的に経済対策等で基金が積めたら一時的に復活して、それからまた構造は変わらないからまた減っていっている状態で、底がつかない状態できてるから今のところ目立った影響といいますか、財政が立ち行かなくなるという状況には至ってないわけであります。ただ、今回も財源不足が180億円あると。他方で基金の残高というのは今年度末には100億円を切る見込みでありますので、そのままいけば、予算編成ができないということになるわけです。これは毎年毎年やりくりをしながら乗り切っているわけでありますけれども、そうはいっても基金はずっと崩している状態でありますから、この構造が変わらない限りはいずれ財政が立ち行かなくなる、ということになるわけです。ですから、構造自体を変えなきゃいけないということでありますので、毎年の予算編成作業の中でのいろんな見直しもそうですけれども、少し中期的に、腰を据えてやらないと見直せないものもありますので、そういったものを、今回一緒に考えていく必要があるものというふうに思っております。その中で、歳出の中でもさまざまな大きな項目についてどう取り組むのかとか、歳入の抜本的なやり方がないのかとか、ということをですね、5年間で収支が均衡するような形の道筋を描いていきたいと思っております。
ちょっと先ほど話で触れましたけれども、今年の当初予算が編成できた段階からですね、この構造的な問題というものをどこかで整理をして、その解消に、収支が均衡するように向けてですね、道筋を付けなければいけないという課題に直面しておりますので、今年の当初から、副知事の下、総務部中心に検討を進めております。8月には、副知事をトップにして各部局長をメンバーとする内部的な検討チームを立ち上げて、具体的な検討を進めているところでありますので、これを予算編成と並行して進めながら、来年度の予算の姿と共にですね、その辺の5年後をめどにした形も議論をしていきたいと思っております。
中国新聞
それに向けた一環として、今回ですね、予算編成方針の中で、シーリングを新規事業も含めて95%に設定されたと思うんですけれども、新規事業で設定されるのは、おそらく知事就任後初めてだと思いますが、そこの狙いについていかがでしょうか。
知事
まずその財政状況が非常に厳しいので、今言ったように180億円の財源不足がある、他方で基金は100億を切るという状況でありますので、歳出自体、もちろん歳入確保もするんですけれども、歳出自体を確実に抑えるということは、予算編成の中で特に意識してやっていかなければいけません。そういう中で、確実に一般財源総額の抑制を図るために、シーリングにつきましては、重点事業を含めて95%ということでですね、抑えていくということをしたわけでありますけれども、また一方で、中のやりくりは、これはしっかりとメリハリをつけてやらなければいけません。チャレンジプランの最終年度になるわけでありますけれども、そういった中で施策重点化方針を定めて、これに沿った事業に限られた財源を最大限有効に活用していく、そういった予算編成をしていきたいというふうに思っております。
中国新聞
直接今回の予算編成方針に関するものではないんですけれども、国が今年の8月末に地方財政の課題ということで資料を発表していて、その中で臨時財政対策債ですね、発行額が9,000億円ぐらい増えるという見通しを出してらっしゃいますけれども、地方交付税による財源措置との兼ね合いも含めて、今回この総務省の方針についてはどのようにお考えですか。
知事
これ、概算要求が示されて、私もその担当を、知事になる前にしていたので、どういうふうに進めていくのかというスケジュールはよく分かりますが、要求の段階は、機械的に試算をするわけですけれども、非常に厳しい状況なんですね。それで、これをまた折衝をしてできるだけ交付税を確保できるように総務省が要求して、財務省と折衝することになると思いますので、年末に向けてしっかりとまた折衝をして、できるだけその交付税を増やして、臨財債を減らすようにしてほしいと思っています。
この臨財債ができてからですね、非常にその残高というのは増えているわけですね。一般の、国全体でいうと、地方全体でいうと、臨財債のウエイトっていうのがかなり、全体の残高の中の半分くらいになったのかな、占めているわけでありまして、これの償還も臨財債でやると、臨財債の償還も臨財債でやるということになっていくと、どんどん増えていくと。これを解消するためには、抜本的に交付税の法定率ですね、要するに地方が財源不足をしている時に、地方税があったり、国庫補助金とかありますけれども、足りない部分については、今その国税5税の一定割合が交付税で入ってますけれども、その残りは、国と地方が臨財債と交付税の加算とで折半するというルールになっているんですね。だから、本来であればこの財源不足っていうのは、交付税の法定率をぐっと上げて、埋めるということをすべきだと思いますし、地方交付税法の中でも、財源不足が3年間以上続いた場合には交付税の法定率の見直しなど、抜本的な行財政対策を講じるということになっていますので、基本的にはその法定率の引き上げというのが想定されているわけですね。ですから、本来、地方がやるべき仕事っていうのは、国が法律で義務付けたりいろいろとあって、県の仕事なんていうのはかなりその法律に基づく事務なわけなんですけれども、その財源を保障するということで地方交付税制度があって、交付税の法定率が決められているわけですけれども、それが完全に実際の必要額と乖離(かいり)しているわけですね、法定率がですね。それを埋めるっていうことを抜本的にしないとですね、法定率を引き上げて、国税からの交付税原資への割合を増やしていかないと抜本的に解決しないので、そこは、私も知事会があれば必ず言いますし、知事会としても、そういったことを要求し、また私自身も直接総務省に、もちろん政府要望等でも言っておりますが、それをとにかく継続的にやってですね、国の方にそういった対応をしっかりとやっていただく必要があろう、というふうに思います。
中国新聞
臨財債の発行額が増えると、県債発行残高がどうしても増えてしまうので、県として残高を減らす、ここ2年減ってきていますけれども、そこへの影響というのが出てくるんじゃないかと思うんですけれども、それについてはいかがですか。
知事
それはありますね。だから今、県債残高を抑える、プライマリーバランスとこれ表裏になるんですけれども、目標の対象を、一般分の県債ということで、臨時財政対策債を除いたベースでやっている、つまり県としてコントロールできる部分ですね、ということで管理しているわけですけれども、おっしゃるように、臨財債っていうのが県債の中でも相当な部分を占めておりますので、ここが大きくなれば県債残高も全体が増えるわけですから、いくらその一般分を減らしても、特別分といいますか、臨財債の部分が増えると残高が増えるということは起こりえますし、これまで増えている部分は、基本的には臨財債が増えているということもあります。
ですから、これが雪だるま式に、臨財債の償還は臨財債でとなるので、どんどんどんどん利子分も含めて雪だるま式になるわけですから、これはいずれまた、さっきの基金の残高の話も一緒ですけれど、破綻するわけですよね。いずれ、どうするんですかっていう話になるんですから。ですから、そのためには、やっぱり国の方からしっかりと必要な保障をするということで、交付税率の引き上げとか、特例加算とか、いろいろなやり方あるんですけれども、部分的に臨財債によらずに、交付税、現金でですね、きちんと手当てをするということに変えてもらわないといけないので、そこは継続的に訴えておりますし、今年が特に心配なんですね。交付税のテクニカルな話になるといけないですけれど、法定5税だけじゃなくて、例えば、その国税が見込みよりも増えた場合に繰り越したりとかですね、それで交付税が増える部分とかもあったりするんですけれども、そういうのは国の税の見込みが思ったよりも入らなかったので、交付税の原資自体がぐっと減るということになっているわけですね。その分、臨財債が増えるということになっているもんですから、要求段階で総務省が減らしたというのは、機械的におろすとそうなるということですから、国の税収の見込みの段階でそうなっている部分があるわけでありますけれども、他方で、そのいっぺんに臨財債がバーンと増えると、県の債務の特別分ですけれども、それが借金残高が増えてきますし、またそれが将来の不安ということにもなってきますので、それはできるだけ抑えていただきたいと思いますし、そこは今、それぞれ各県の方でも心配をしていると思います。特に、今年の国の予算の中では、大変重要なポイントになると思います。
中国新聞
ありがとうございます。
KRY(山口放送)
財源不足の関係でちょっとお伺いします。退職手当債は、あえて発行しない前提で180億を見積もられているということなんですが、そうすると去年と比べると40億はある程度は状況としては改善したと、いかがでしょうか。
知事
そうですね。同じベースで比べると、去年220億で今年180億、そういう意味では40億円くらいですね、良くなっているということでありますが、その要因は、いろいろあるんですけれど、大きいのは公債費、償還計画上見込んでた公債費が34億円、前年度と比べると減るということがあります。そういった要因です。
KRY(山口放送)
あと、基金の関係なんですが、今後5年をめどに均衡を目指すということなんですけれども、来年度に関してはある程度手を付けざるをえないということでよろしいでしょうか。
知事
まあ、付けないでいけば一番いいと思うんですけれども、実際180億円の財源不足があって、それを今年一気に歳出の削減なり、何か特別な歳入の確保というものも、そうそうあるわけじゃないわけですね。
これから今年1年、もちろん春からいろいろ問題意識を持って検討しておりますけれども、まあ1年間ですぐにできるというもの、自ずと、いろんな影響を考えずにやれば、いろんなことができるかもしれませんけれども、やっぱり県民生活なりですね、県内の経済とか、いろんな影響も考えなければいけない中では、そういったことも配慮しながらやっていくとなると、なかなかこれを一気に解消するということは難しいのかなと思います。ですので、一定期間5年くらいをめどに収支を均衡させていくということを目標に、これから考えていきたいと思いますが、逆に言うとその間は、どうしてもそのギャップがあるので、基金を取り崩すなり何なりですね、何らかの臨時的な対応で進めていかなければいけないということにはなってくるかなと思っております。
KRY(山口放送)
今年度の予算の執行段階で、ある程度、節約できるものは節約していくということですが、その辺は、ある程度このぐらいできそうだというのはあったりするんでしょうか。
知事
そうですね。ちょっとそこは、当初予算を執行する段階で、ある程度できる限り不用なものは抑えていくっていうことも通知もして、徹底も図ってきておりますので、そういう趣旨でですね、執行もされていますが、これはまた予算編成の段階で、実際にどれだけの不用、不用というか執行しなくて済んだものが出てくるのかっていうのを、精査をして、またこれは例年そうですけれども、2月補正の段階で、その分は、使わなかった分は翌年度の財源に使うという処理をするので、そこでできるだけ出てくればいいなと思いますけれども、これはよく精査してみないと分からないところです。
KRY(山口放送)
もう一点、社会保障費が増加するということなんですけれども、対策としては特にこれに取り組むとかありますか。
知事
そうですね。ですから、もちろん医療とか、介護とか、そういったものが当然、高齢化が進んでいくと増えていくわけです。山口県、高齢化率も全国4位ということでありまして、全国よりも随分先に高齢化が進んでおりますので、財政の中で、その占める割合が高くなっていますし、またこれからもさらに伸びていきますので、その経費負担というのは当然増えていくということになろうと思います。ただ、いろいろと医療自体を、今、医療ビジョンとか作ってやっておりまして、少し全体の医療の形といいますか、入院とか、在宅とかありますけれども、そういったところを最適な状態にしていかなければいけないと思っております。
もちろんそれは、医療や介護も同じですけれども、それは適正に、必要なサービスがきちんと確保されるということは前提でありますけれども、そういう中でですね、今、国全体でも医療費なり、介護費用についての適正化も図っていこうという中で、そういう方向での県としての取り組みというのを着実に進めていかなければいけないと思っております。
もちろん、かかってしまったら、義務的経費ですから出さざるをえない、出すことになりますけれども、少しその辺のですね、県内の医療なり介護の資源を、適正な形での配分といいますか、形を作っていくことは必要なことと思います。また、例えば薬でも、ジェネリックとかいろいろありますけれども、そういったことも、もちろん国も進めている中で、県としても一緒に、その辺は進めていくことも必要だろうと思います。
TYS(テレビ山口)
予算編成方針について伺います。再来年の2月で、知事の今の任期を終えられるわけですけれども、平成29年度の予算というのは、常に言われている成果を出すという意味での大事な予算になるのかなと思うんですが、そういった中で、財源不足がかなりの足かせになっているというふうにお見受けするんですが、その辺り率直にどのように感じられますか。
知事
まあ正直、山口県の財政っていうのは、全国と比較しても大変厳しいんですね。財政分析をよくやってる人に話を聞くと、山口県大変ですねって、すぐに言われたんですよね。全国の中でも下から3番ぐらい、悪いグループ。彼が言うには1番悪いグループの3番ぐらいです、ということでしたが、要するに何が問題かというと、社会保障がもちろん増える、これは全国的な傾向ですけどね、公債費がみんな軒並み減っている中で、山口県は高止まりしているという状況で、歳出が減るような見込みがない。構造的に言うとですね、なさそうだということがあるわけですね。
私も地方財政を、マクロで、総務省にいる時にやっていましたが、社会保障とか伸びても公債費が減るから、収支はそんなに歳入変わらなくても、歳出が増減要因があるから、そんなに何て言いますか、やり繰り上問題ないという、国全体の地方を見たときには、そういう形になっているんですけれども、個別に山口県について見るとそういう状態ではなくて、社会保障は増えているけど、公債費も相変わらず高いまましばらく続くということがあると。
それから基金の残高もですね、今、実は地方財政トータルでみると基金残高は過去ないぐらい増えているんですよ。すごく残高が伸びていて、それを財務省からいうと地方は金が余っているじゃないかというわけですね。だから、交付税をもっと減らしてもいいじゃないかということなんですけど、山口県は、数少ない基金が減っている県なんですよね。県全部比べてもらったら分かりますけれど、ほとんどの県というのは基金が増えている状態、減っている県というのはごくごく限られた県だし、残高もここまで少ないというのはなかなかないわけですね。
だから、そういう意味で言うと、本当に大変ですねっていうことを財政分析している人から言われて、よく分かってらっしゃるなと思ったんですけれども。
だからそういう意味じゃあ、大きな、思い切った額で何かやるっていうのはそれだけの体力はないっていうのは正直なところですね。もちろん経済を伸ばしていくとか、いろんな県民の皆さんの安心・安全の確保のためには、もっともっとお金があればできることはたくさんあるわけですけれども、そういったのはなかなか今できづらい状況にありますから、そういう中で、しかし、その今の課題にはしっかり対応しなきゃいけないということを、どう知恵を出して、あるいはその県内のいろんな関係先と連携しながらやっていくかということが重要だろうと思います。
だから、子育ての関係でも、この間市長会とかにも行ったんですけど、もちろん予算的な措置をいっぱいして、どんどん充実するっていう方向にできればいいんですけれども、なかなかそれができない中で、他方で県内にいろいろとその子育て関係でも支援をしようという方がいらっしゃるんですね。
例えば、子育てが終わったシニアの方とかに協力してもらって、子育て関係のいろんな人材、足りないところをうまくつないでいく、子育てのサポーターバンクを作ったりとか、あるいは、寄付もどんどんもらっています。企業の方から寄付をもらって、企業が出してもらった分だけ県が同じ額だけ出して、子育てファンドを作って、県内の今、さまざま、NPOでも大変素晴らしい取り組みをしているところが多いわけですね。子育て関係の環境整備、あるいは子ども食堂とか、いろいろこの間も交付しましたけれども、その基金からいろんな活動に対して、資金面でのサポートをするという、この辺はそれぞれの団体は本当にちょっとしたお金だけでずいぶんと活動が充実できるということがありますから、そういった形で企業のご厚志もいただきながら、うまくつなげていくといったようなことを、あとは三世代の同居・近居とかでも、民間の引っ越し会社とか、工務店とか、不動産会社とかに協力してもらって、少し割引をしてもらうとか、そういったさまざま県内の思いを持っている人とか、企業とか、団体の力をうまく結び付けながら、山口県で子育てしやすい環境づくりをしていくということも、今やっているわけです。そういった形で、事業というのは、もちろん予算があれば済むこともありますけれども、それがないときに他の工夫でいろいろと改善できるとか、環境を充実するということができるわけでありますから、その辺をうまく知恵を絞ってやるっていうことを、ぜひ職員にも求めていきたいと思います。
チャレンジプランが最終年度になりますので、今順調に進んで、もう既に目標に達成しているものもあれば、まだまだ届いてないものもありますけれども、いずれにしても目標を達成して、達成しているものはそれをさらに伸ばしていくということを、ぜひ最終年度に向けてやっていきたいと思いますので、これは各部局は悩ましいと思います。予算は削られるのに、取り組みは成果を上げろということで厳しいんですけども、そういう厳しい状況にある山口県の中で、しっかりと山口県の将来を見据えて、これからの山口県が伸びていって、また皆さんが安心して暮らせる地域にするために、そこはわれわれが苦労して、知恵を絞って、汗をかいてやらなければいけない、特に重要なところでありますから、各部局も大変だと思いますけれども、しっかりとそういう思いを持って取り組んでほしいと思ってます。
TYS(テレビ山口)
もう1点なんですが、以前、財源確保の実施本部というか、本部、今、内部的には検討チームを作られているということでしたが、組織を改めて作られたりすることは過去にはあったかと思いますが、お考えというのはありますでしょうか。
知事
そうですね。先ほど言いましたように、来年度の当初予算の編成の中で、予算編成もそうですけれども、中期的な財政構造を収支均衡させるようなバランスが取れた財政構造にしていくということも並行して庁内で検討しておりますから、まずそれを当初予算編成過程でしっかりと検討していきたいと思いますし、それをできた先には、それをしっかりと推進していくとかいうことをやっていく必要があると思いますので、その時点でまた体制等については考えていきたいというふうに思います。
山口新聞
先ほど、報告の中でマレーシア・シンガポールでのトップセールスがあったと思うんですけれど、先ほどから目に見える成果を出していかなきゃいけないということをよく言われていると思うんですけども、先ほどネットワーク作りで成果があったとおっしゃってましたけど、今後の具体的な展開につながるような成果があったのかその辺りを。
知事
そうですね。まず、シンガポールの方でいきますと、これは既にフグが輸出できるので、フグの取り扱いをどんどん増やして、それを拡大していこうという中で、ジェトロとかにも協力してもらって、ジェトロがうまくつないでもらって、向こうの中華料理の店でフグのメニューを作って、これからやっていくということになったりしてます。ぜひ、それを継続してほしいという話で、向こうの方もですね、私もレストランでやられている社長さんだったりとか、あるいは料理を実際作られた、企画をされた方とかに会って話をしましたけれども、非常にフグに関心が高くて、これをぜひ、さらに伸ばしていきたいという思いも持っていただいているので、本当に心強く思いましたけれども、まあその辺は、しっかりと伸ばしていければなと思いますし、そういう意味では、ジェトロとしっかり、シンガポールにも事務所もありますけれども、連携した取り組みを一緒にいただいておりますので、これを継続してやっていきたいということと、あとは触れませんでしたが、シンガポールに山口県人会というのがあって、2年前に設置されているんですよ。そこの会長さんも非常に、観光関係とかをやられているんですが、フリーペーパーとか作って、日本の観光の紹介とかしてくれているんですけれど、山口のことも積極的に取り上げていきたいというふうにも言っていただいて、2年前にできたシンガポール県人会が、全漁連の日本のお魚を使ったレストランみたいなのがあって、そこで山口フェアをやったんですけども、そこもですね、シンガポールの山口県人会の方が皆さん来てもらって、応援してもらったんですが、非常にいろいろとそれぞれの分野で活躍されている方もいるので、その辺のうまくネットワークづくりもできたと思いますし、それをさらにいろんな形で展開ができればなというふうに思っております。
それから、またシンガポールの方も、今回マレーシアのテレビでメディアプリマ、テレビ9チャンネルというのがあるんですね。そこにも行ってきて、そこは何かというと夜の9時から10時ぐらいに日本の旅行番組をやっているんですよ。このチャンネルで、ゴールデンタイムにやっているんですよ。それが山口県に取材に来てくれたんですよ。それをこの11月から放送してもらうということで、そのお礼と、引き続き山口県を取り上げてくださいって、お願いをCEOにしてきたんですが、それを実はうまくつないでくれているのも、シンガポールの県人会の方だったりして、かなり山口県の方が、もともとわれわれ自体のネットワークというとシンガポール・マレーシアは、実はそんなに今まで対象じゃなかったですから、そんなに太い何か関係があるわけじゃなかったわけでありますけれども、一つはジェトロとか既存の機関、それからシンガポールの県人会っていうのもかなりいろんな形でサポートしてもらっているので、そういった部分も大変心強く思いますし、また、マレーシアの方は、鈴木さんという方ですね、向こうで日本の食品とかの輸入とかいろんな手広くやられているんですけれども、この方が非常に現地でもすごく有名な方で、いろいろな業者、例えば、伊勢丹とかあるんですけど、そことも非常に深いつながりがあって、その辺で山口の食材もうまく展開できればなと思いますし、マハティールさんとも関係も非常にあって、そこにも一緒に、そういうセッティングをしていただいたりするんですが、その方は、そもそもおじいさんが山口なんですよ。宇部興産の中安(なかやす)社長さんのお孫さんなんですけど、山口を何とか自分が役に立てることがあればしたいという思いを非常に持っていただいているので、マレーシアでの大使との関係も非常にいいし、素晴らしい人脈を持った方なんですよね。だから、そういったところをうまくこれから、ありがたいことに、大変、山口県のために役立ちたいという思いを持っていただいているので、そこをまた足掛かりと言ったら、ちょっと表現が悪いですけれども、いろんな展開ができたらいいなと思ってます。
観光についても、日本への観光意欲が非常に高いですし、またいろいろとデパートとか行っても、日本の食材というのが、けっこういい値段ですけども、かなり取り扱われている。日本の食にここも大変関心が高いということもありますので、チャンスとしては大いにあるなと思います。伸びていくところでもありますし、しっかりと今回作ったネットワーク、また大使館でも100人以上集めてやりましたので、そこでも関係もできてます。これは、県だけじゃなくて、(株)ヤナギヤとか(株)井上商店も行きましたし、フグの関係の方も行かれましたので、個別にも関係を作られていることもあると思いますけれども、そういうことが、さらに今回の訪問と活動を契機に広がっていけばいいなと思うし、そういったことを進めていきたいと思います。
山口新聞
すいません、もう一点。昨日、国勢調査の確定値が出ましたけれども、今回は、山口県人口、140万4千人でしたけれど、国調を基にした人口移動統計調査では、9月1日時点で140万人を割って、139万人台になっていると思うんですけれども、140万人を割っているという現状をどう受け止めていらっしゃるかというのと、人口減少に今後、改めて、どう取り組んでいかれるのかというのを聞かせていただけますか。
知事
国勢調査自体は、140万を何とか踏みとどまったということでありますけれども、ただ、言われるとおり人口減少自体はずっとこう続いているので、1万人強ですね、毎年こう減っているっていう状態が続いているので、この140万を切るっていうのも当然直近のデータでは出てくるわけですね。国調が140万人だったから、多少印象としてはいいかなというのはありますが、ただ、構造自体は人口減少が続いておりますし、もっと言うと社会減なんかはこうさらに広がっているわけですね。加速化しているということです。山口県の社会減、人口の流出超過ですね、これが直近では、前の年よりもさらに伸びていることになります。逆に東京圏の人口集中というのは続いているんですよね。今、政府の方で、地方創生の中で長期ビジョンも作って、東京圏の転入、転出というのを均衡させるということを目標に持っているんですけれども、それが均衡どころか、逆に東京への転入超過というのが毎年増えている状態が続いているので、真逆に行っているわけですよね。
だから、そこはもちろん県として、まずは県として、今回、人口ビジョンを地方創生の総合戦略を作ってますけれども、いろんな県内の産業の活性化、それから企業誘致とか働く場所を作っていく、あと、また大学とか教育機関とも連携して、県内の進学とか定着というのを伸ばしていくということですね、いろんな分野にわたりますけれども、しっかりとこれをやっていかなければいけないと思います。
それはそれで限られた財源でありますけども、しっかりとした取り組みをしていかなければいけない大変重要なところだと思っております。他方で、山口県だけじゃない、全国皆同じ問題があるわけですよね。それをそれぞれの県で頑張ってくださいというんじゃなくて、国の方としても、しっかり人の流れを首都圏から地方にということをやっていただく必要があります。これは、いろんな企業移転の税制とか、さまざまな取り組みを国としてもやってるということではあるんですけど、われわれとしては、まだまだ足りない部分が相当あると思います。
もっと抜本的に東京圏への人の流れを食い止めて、移転を促すような企業でも大学でも、促すようなことを抜本的に講じてもらわないと、なかなかそれぞれ地方が頑張れば最後は均衡するというものではないんじゃないかと思いますので、これは、また秋に知事会もあって、政府に対してもいろんなことを求めていく中でも主張していかなければいけないことだと思いますし、個別にも、これからまた政府要望もありますけれども、そういった中でも特に重点を置いて、働き掛けをしていかないといけない切実な問題だと思ってます。
防府日報
予算の話に戻るんですけれども、先日人事委員会が職員給与の引き上げの勧告を出されましたけれども、2年前に給料表を2%平均改定されて、その後の経過措置とかあって、それ自体で給料が増えるのか増えないのかって、なかなか数字のマジック的なところがあると思うんですけれども、引き続き180億の財源不足が見込まれる中でですね、例えば、期間限定とかでですね、職員給与のマイナスっていうところに踏み込んでいくというお考えがあるのかどうか、というのをお尋ねよろしいでしょうか。
知事
まず、人事委員会の制度というのは、制度的にですね、労働基本権が制約されている中での代償的な措置としてあるわけでありまして、基本的には尊重していかなければいけないということになると思います。他方で、県財政を見たときに、当然人件費というのはかなり大きな、財政の中でですね、ウエイトを占めているわけでありますから、そこ全体をどうするかということは、当然考えていかなければいけません。ただ、これは、給与水準ということだけじゃなくて、例えば、定員とかいろいろな要素がありますから、そういった中で検討していかなければいけないというふうに思っておりますので、そこも、人件費全体をどうするかということはしっかりと頭に置きながら、やっていこうと思います。具体的にどんな形を、方法、どんなことをですね、対策をするのかっていうことは、これからちょっと検討をして、全体の予算の姿、あるいは中長期的な形をどう描くかという中で考えていきたいと思っておりますので、今時点でどうしたいということはありません。
時事通信
予算編成のことでお伺いしたいんですけれども、副知事トップの内部の検討チームなんですが、確認させていただきたいんですけれど、来年度予算編成のその歳出改革というものと、あと5年後の自立した財政構造を確立するための何か対策を考えていく、この二つの役割があるというふうに考えてよろしいですか。
知事
主として5年間のですね、取り組み、抜本的なものをどうしていくかということを考えるっていうことが中心ですね。その中で、今年どうする、来年度予算どうするということはですね、中で出てくるので、分離というよりはそういう形で一体的になっているということですね。もちろん各部局で、今回シーリングの中で、いろいろと個別にやってもらうのは、それはそれでやってもらいますけれども、全庁横断的にはそういった考え方で取り組んでいこうということです。
時事通信
できることかどうかよく分からないんですけれども、5年後の自立した財政基盤の取り組みに向けた行程表みたいのを作る感じなんでしょうか。
知事
そうですね、そういったことは当然検討の中で考えていかなければいけないと思います。最終的にどういった形でお示しすることになるのかっていうのは今の段階で見通しが立っていない、これから検討になりますので、今段階で確たることは申し上げられませんけれども、当然5年という中でこういったことはやっていくということは描きながらやっていかなければいけないと思っております。
中国新聞
上関の原発の問題についてなんですけれども、県が中電に求めた補足説明およびその回答文書の全容が情報公開請求の方でほぼ全面開示というふうになりました。それを受けて、専門家の方が、大学教授等なんですけれども、黒塗りにそもそもしなければならない内容とは言えないんじゃないかとかですね、県の情報公開条例では、県民の知る権利というのを第1条に明記しているんだけれども、それを尊重する発想が弱かったのではないかと。7回目の中電の回答ですが、誰もが入手できる上関町の総合計画まで、なぜ黒塗りにしたのかとか、そういったものは公開して県民に意見を募ってもよかったのではないかとかですね、5回目から7回目については、地点の指定ということでしたけども、1回のやりとりで1年を要したということで、時間稼ぎじゃないかというような、わりかし厳しい意見が出ていましたけれども、これについて、知事の口から、県側のそれに関する言い分というか、思いというものをちょっと伺えればと思いまして。
知事
審査途中のものについて、一部非開示になるということが制度の中であるわけでありまして、公開することでいろんな混乱が生じること、そういったことを避けるという趣旨だというふうに理解をしております。そういう中で、出せるもの出せないものというものを峻別(しゅんべつ)をしてやったということであります。
全部今回審査が終わりましたので、基本的には全部オープンにしているということだと思いますけれども、われわれ特に、そういった意味では情報公開条例なり、関連するいろんな規則とかルールに基づいて、適切に審査中の段階、それから審査後の今の段階でですね、やったというふうに思っております。ですが、その情報公開の審査請求と公文書の開示の関係はそういうふうにやっていますが、会見でもいろいろと審査段階でいろいろとどうなっているのかということもありますので、われわれとしては毎回補足説明とかをする際には、特にその主要な部分といいますか、どの辺にわれわれは審査を、対象の主たる部分はどこなのか、どこが分からないから再照会しているのか、どういうことをさらに聞いているのかということは、重要電源開発地点に指定された上関原発の国のエネルギー政策上の位置付けは変わらないかどうかということを確認しているんですよ、ということを中電の了解をもらいながら、それぞれその補足説明等を出す段階で、私の方から説明させてもらったと思っておりまして、そういう意味では情報公開請求の手続きは手続きにのっとってやっておりますけれども、コアな部分といいますか、そこは中電の了解をもらいながらできるだけ私としては説明をしてきたつもりです。
実際、情報公開を全部してみて実はこんな重大なやりとりをしていたのかというのは多分、あんまりなかったんじゃないかと思うんですよね。コアな部分は、審査中だったけれども、相手方の了解をとって示したつもりでありますので、そこはルールにのっとってやる部分と、できるだけその説明をするということは、意識してやったつもりではあるということですね。
それから、もう一つ期間がかかりすぎじゃないかということ。毎回毎回中電から回答が来て、補足説明を求めてということを繰り返してやってきたわけでありますが、その都度、一定の情報整理に期間が必要だということで、あれは第5回目かな、前の山本知事のときに1年間ということでやられて、それでまた回答があって、それでまた不十分だからまた聞いてということを重ねてきたわけですけれども、その前に1年間ということをやっているので、同じように1年間ということで重ねてきたということではあります。一定情報整理をする上で、期間が必要だろうということで求めてきたわけでありますけれども、もちろん早く工事をしたい中電からすれば1年を待たずに出してくれれば、別に1年待たないと受け付けないわけじゃなくて、それはいくらでも早く出せるわけですから、どんどん出してもらってもいいわけですけれども、一定期限としては1年というのを設けてやってきている中で、なかなかわれわれとしては、これで土地需要ありというふうに判断できるだけのものがなかったので、それを重ねてきたということですね。最終的に出てきたものが、出てくるのが遅いじゃないかということについては、これは中電の方で資料を整えるために、そういう時間を要したということだと思いますので、そちらの方で聞いてもらうしかないかなと思います。
中国新聞
関連して。確かにコアな部分はですね、開示になってですね、ここが知りたいんですよという県側の主張というのは確かにそのとおりな部分がかなり多かったと思いますけど、だったら逆に出してもよかったんじゃないかという意見もあるんですがそこら辺は。
知事
そこは公文書の開示というのが情報公開の中でのルールというのがあるので、そこは、それはそれということでルールにのっとって、われわれとして条例に基づけばこの公文書の公開というのはこういった形だという判断でやっているので、それはそういうことで、対応をしているということですね。
中国新聞
黒塗りが続いて、4年近くかかったということ、逆に遅れれば遅れるだけ、県民の知る権利というものが損なっているんじゃないか、という意見もあって、1条で、国の情報公開の方ではそれをうたってないんですが、県の情報公開では、県民の知る権利というのを、1条に明記している関係上、そこら辺がちょっと県民の知る権利が損なわれているんじゃないかという意見もあるんですけど、そこら辺について思いを。
知事
もちろん知る権利というのが掲げてあって、当然われわれもそれにのっとって、できるだけ情報の公開っていうのをするということは、基本だということは間違いないと思いますし、そうであるべきだと思います。他方で、審査中のものというのについては、やっぱり一定その、非開示情報というのがあるわけですね。それはそれなりに理由があって、開示をするということの公益性よりも、保護すべきものがあるという場合には、一定その開示をしないということになる、その辺のバランスだと思うんですよね。だからそういった中で、両方の要請がある部分をどうしてもそういった形で全部公開じゃなくて、基本的には公開だけれども、かえって開示をすべきではないというものについては、できないということになりますので、そこは両方あるわけですね。そういった中で、適正な形で判断をしているということだと思います。
中国新聞
上関町の総合計画というのは、やっぱり塗らにゃいけんようなものなんですかね。ホームページで誰でも見れる。
知事
そこは個別にまた担当課の方で、なぜそこがっていうのは少し考え方があると思いますので、聞いていただきたいというふうに思います。
中国新聞
知事はもちろん見られてはいられますよね、上関町総合計画がついた7度目の回答書は。
知事
回答書は見ていますよ。情報公開の請求は、決裁権者は課長になると思うんですけれどね、判断はそこでやってると思いますけど、当然、私たちは条例なり関連する規則にのっとって適切にされているものと思っています。
中国新聞
3日の許可を出してから、その後に県議会の本会議等でもいろいろ質問、9人くらいの議員ですかね、されましたけれども、いまここに至ってですね、知事さんとしては県民に対して、今回許可した経緯、理由、いろいろ言われていますけども、きちんと説明できているというふうにお考えでしょうか。いま現在に至っても。
知事
今回特に、皆さま方に発表する資料でも、普段はないけど、きちんとこうペーパーで考え方を説明した、そこを、私の方からもちゃんとやらないと分からない、考え方が分からないじゃないかということで指示をしたということもありますけれども、できるだけ、関心も高い中でですね、他方でこれは法律に基づく処分ということでありますから、なぜこういう処分をするのかということは、きちんと法律との関係、あるいはその解釈とかということと、それから中電の回答というのをうまく対応させながら、こうだからこういう判断に至るんです、っていうことを説明をする、そこは丁寧にしっかりやろうという思いでやってきましたので、資料なり、あるいは私もできるだけいろんな場面で丁寧に丁寧に説明するように、県としてのですね、今回の処分に至ったその考え方、それはその法律の仕組みなり解釈なり、中電からの回答と事実ベースの話を照らし合わせてこういう判断です、っていうことを、できるだけ丁寧にやっているつもりではあります。議会でも繰り返し答弁もさせていただいたところでありますけれども、そういったことでこれからも臨んでいきたいなと思います。
中国新聞
じゃあ、わりかし理解はしていただけたという認識はありますか。どうでしょう。
知事
それはあの、理解といいますか、われわれとしては、われわれの判断は自信を持ってやっていますし、当然法律に照らして申請内容を当てはめた時には、こういう判断になりますということは丁寧に説明をしているということをですね、だから相手方が理解されるかどうかということは、もちろん理解してもらえるように私は期待をしていますが、そこはそれぞれ受け止めは違うかもしれませんけれども、われわれとしての姿勢としては、そこは法律に照らして適切な判断だというですね、そういう自信を持ってやっておりますので、求められればそこは丁寧に、引き続き説明していきたいと思います。
中国新聞
ちょっと長くなって申し訳ない。許可の経緯ですね、法律に基づき、公有水面埋立法に基づき許可せざるをえないということで、誰が知事でもこういう結論になるというようなことを3日の時におっしゃられたと思うんですけれども、一方で、ということは裁量が法律に基づいて、そうせざるをえないということでしたけれども、一方で要請文を出されていますけれども、これはどちらかといえば、公有水面埋立法では、法に基づいて知事の裁量というのがあるないという議論がいつもありますけれども、そういう中で、要請文というのは完全に知事の思いというか、裁量だと思うんですけれども、一方でアクセル踏んで、一方でブレーキを踏んだようなイメージを持つ人もいるんですけれども、そこら辺についてちょっと説明があれば。
知事
そこはですね、そう思われる方もいるかもしれませんが、まず法律に基づく許可というのは許可としてやって、これは許可不許可、要するに、引き続き埋め立てをするということを認めるかということをですね、これは土地需要があれば許可ということになるわけですね。要求を満たしていれば、知事はその許可をする、そういう法律の拘束があるんだというのが国の見解でありますから、土地需要があるということを確認すれば、それは許可不許可ということであれば、許可をしなければならないということで、許可をするわけですね。ですから、法律上の対処はそうだということですね。他方で要請というのは埋め立て、法律上の許可とは別のフェーズと言いますか、埋め立てていいとか悪いじゃなくて、許可はしているけれども、時期については、今、原子力施設の本体の方は、審査が止まっている状態であるわけですね。上関の中電の計画の中でも、スケジュールについては未定とされている中で、埋め立ての工事を進めるとなると、未利用のままですね、土地がただあるという状態が生じることになるわけで、それは避けるべきではないかというふうに思っております。ですので、免許という意味では許可はするけれども、実施の時期については、本体の着工時期の見通しがつくまでは工事は行わないように要請をしたということで、一見すると分かりにくいような気がしますが、われわれとしては許可本体、認める認めないというレベルと、いつやるかというところでの要請っていうのは、また違ったものだと思っています。
中国新聞
ありがとうござました。
YAB(山口朝日放送)
岩国市長がですね、F35-Bについて視察して帰ってこられてですね、その後は知事は、岩国市長と何かお話したりとか、スケジュールというか、今後の予定なんかあれば。
知事
それは、実際まだ話していませんし、まずは岩国市の方でこれは今回、これまでも国の説明等ですね、あったわけであります。それに加えて、今回市長自らが、ユマに行って、現地に行っていろいろと見たり、話を聞かれたりされたということであります。ですので、それをですね、まずはその、議会なり市の方で判断をするということをこれからされていくんじゃないかと思います。その上で、また市の意向を踏まえて、他の町もありますけどね、地元の市町の考えというのをしっかりと踏まえて、われわれとしてまた判断することになりますので、今段階でスケジュールについて申し上げるということはありません。
毎日新聞
関連で、福田市長が現地で見られて詳細情報を得られたというのは話にもありましたけれども、今、現時点で、岩国市の方から視察での得られた情報だったりとか、そういったものを県の方に連絡があったりとか、そういったものはありましたでしょうか。
知事
私は、特には聞いてないですね。また市長の方で整理されて、発表なり出されるんじゃないかなと思いますので。それはそれを待ちたいと思います。
毎日新聞
知事もこれから、今後、その情報把握に努めるというふうなお話もありましたけれど、やっぱりそういうのを今後、岩国市に改めて聞いていくという。
知事
そうですね。もちろん岩国市長が確認された話は、私も知りたいと思いますし、どういったことを確認されたのかというのは知りたいと思いますので、それはまた、いずれかの段階で市長の方でスケジュールがあるでしょうから、説明したり、議会にやったりとかあるでしょうから、そういった中で、私の方もそういったことに触れることがあるんじゃないかなと思います。
時事通信
今のF35-B配備計画に関することの質問なんですけど、市長視察を終えて、11月の全員協議会の方で何らかの市の方針を表明するようなんですけれども、県としては、中間取りまとめっていう状況で配備計画の方をまとめられていると思うんですが、最終取りまとめの時期と、あと今、知事も、市町の考えを踏まえて判断していくということをおっしゃられましたけど、県として何らかの表明というのはされる予定なんでしょうか。
知事
それはします。ですから、これから最終取りまとめをまずするということと、それと併せて地元の岩国市長をはじめ、市長さん町長さんのですね、ご意向を伺った上で、どうするかという判断をしますが、当然それは国から投げられているので、国に返さなければいけないわけですからね。そこは県と市町の方でこういったことでっていうことで、最後は判断を決めて、国に返していくということになります。
時事通信
防衛省の方では、年内にも地元、県も含めて、市町の意向を伺いたいという話をしているようなんですけれども、県としては、その表明はいつごろになりそうなんですか。
知事
スケジュールは、今段階では言えないですね。市や町の方で、どんな議論がこれからあるのかも分かりませんのでですね。それを待ってからということになると思います。
中国新聞
上関の件で2点だけ。一つは先ほどの質疑の中で、先延ばしという批判があるという説明をさせていただいたと思うんですけれども、そういう批判があることに対して県としては、そういう認識、どういう認識だということ。
知事
いろいろとご意見をいただいたりとか、こういう質問があるので、そういった声があるというのは認識しています。
中国新聞
そういうことをしたという。
知事
先延ばしをしたということですか。それは認識ないですね。
中国新聞
それともう1点、7度のやりとりの中で、特に知事が関わられている6回目、7回目は質問数が少なかったり、当初の分から比べてやりとりが少なくなってきていて、見る人によっては、県が許可に向けて誘導していったんじゃないかとか、そういった指摘をされる方もいらっしゃいますけれども、その指摘に対しても、そういう意図があったかどうかについて伺います。
知事
当然、細かい質問というのは最初の段階にあってですね、でもそれはそれはとして必要だったことだと思いますけれども、一番コアな部分というのは、やっぱり許可するかしないかの判断は、土地需要があるかどうかなんですよね。それは、何度も言ってますけれども、重要電源開発地点に指定された上関原発の国のエネルギー政策上の位置付けが変わらないかどうかということに尽きるわけですので、そこにとにかく絞ってというか絞られてきたわけですね、おのずといろんな照会をしていく中で。そこを聞き続けていったということです。
中国新聞
許可するために。
知事
許可不許可の判断をするために聞いたということです。
作成:山口県総合企画部広報広聴課