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知事記者会見録・令和4年2月22日実施分
日時 令和4年(2022年)2月22日(火曜日)
11時30分~13時02分
場所 県庁2階 記者会見室
発表項目
・令和4年度当初予算(案)について (PDF:5.68MB)
知事
本日は、令和4年度当初予算案について、ご説明をいたします。
このたびの知事選挙におきまして、多くの県民の皆さま方から温かいご支援をいただきまして、引き続き、県政執行の重責を担わせていただくこととなりました。今後の県政運営に当たり、この3期目は、まずは直面するコロナの危機を乗り越え、そしてその先に、山口県を安心で希望と活力に満ちた、そうした県へと高めていく、そのための重要な4年間であると考えております。来年度当初予算は、その最初の予算となります。私としては、3期目の県政運営を任せていただいた県民の皆さまのご支持とご期待にしっかりと応えていきたいと考えております。そのためにも、これからの県づくりにおいて、今なすべき取り組みに、来年度の当初予算から速やかに着手をしてまいりたいと考えております。
それでは、資料に沿って説明をさせていただきます。
初めに、予算編成の基本的な考え方です。新型コロナウイルス感染症について、感染力の非常に強いオミクロン株の急拡大を受けて、山口県において全県に適用されていたまん延防止等重点措置については、新規感染者数が減少傾向にあることなどから、予定どおり今月20日で終了し、これを踏まえた県の集中対策についても、併せて終了したところです。
県民や事業者の皆さまには、これまでの県の対策に多くのご理解・ご協力をいただきまして、心より感謝を申し上げます。しかしながら、全国的には新規感染者数が高い水準にあり、本県においても児童福祉施設や高齢者施設等でクラスターが確認されるなど、感染状況はいまだ予断を許さない状況にあります。従いまして、山口県にとって今やるべきは、直面するコロナの危機から県民の命と健康を守り抜き、暮らしの安定を確保すること、そして、長期化するコロナ禍、さらにはオミクロン株急拡大の影響により、大きく傷んだ社会経済を力強く再生させ、本県の元気を取り戻していくことです。
そして、コロナ禍がもたらした人々の意識の変化やデジタル化をはじめとする社会変革をチャンスと捉えて、より高いレベルの安心の確保と成長の実現を目指していく、このことで、新たな未来に向けた県づくりを前に進めていかなければなりません。これらの取り組みを通じて、コロナの危機を克服し、安心で希望と活力に満ちあふれた、そうした山口県を、コロナ前よりもさらに高く飛躍させていきたいと考えております。このため、来年度予算においては、次に申し上げます3点を基本的な考え方として、予算案を編成したところです。
まず、「コロナの危機から県民の命と健康を守り抜く取組」についてです。今なお私たちの暮らしを脅かす新型コロナウイルスの危機から県民の命と健康を守り抜き、安定した県民の暮らしを確保するため、検査体制の確保や医療提供体制の強化など、万全の対策を講じていきます。
次に、「長期化するコロナ禍や現下の感染状況による影響を踏まえた経済対策の実施」です。長期化するコロナ禍、さらにはオミクロン株の急拡大の影響により、大きくダメージを受けた社会経済を力強く再生させるため、事業活動の継続・活性化の支援や消費需要の喚起に取り組みます。
次に、「新たな未来に向けた県づくりの推進」です。コロナ禍がもたらした人々の意識の変化や社会変革をチャンスと捉え、コロナ前よりも、本県がより高いレベルの安心と成長を実現するため、県政の各分野で質の高いサービスを提供し、新たな未来に向けた県づくりをしっかりと前に進めます。
続いて、来年度一般会計の当初予算規模については、7862億円であります。本年度当初予算に比べて334億円、4.4%の増加となります。
それでは、予算編成の三つの柱に沿ってご説明いたします。
予算編成の一つ目の柱は、「コロナの危機から県民の命と健康を守り抜く取組」です。先に申し上げた通り、本県の感染状況はいまだ予断を許さない状況にあり、引き続き、気を緩めることなく対応していかなければならないと考えています。よって、来年度当初予算においても、県民の皆さまの命と健康が最優先との認識の下、感染拡大防止対策の強化や県民生活の安定確保の取り組みに必要な予算をしっかりと措置いたします。
最初の項目は、「感染拡大防止対策の強化」についてです。コロナの危機から県民の命と健康を守り抜くため、「検査体制の確保」「医療提供体制の強化」「ワクチン接種体制の確保」「学校、社会福祉施設等の感染防止対策」に、引き続き取り組んでいきます。
まずは、検査体制の確保についてです。環境保健センターや医療機関等で行うPCR検査等の実施については、オミクロン株並みの急激な感染拡大に備え、1日最大8千件の検査体制を維持していきます。また、感染拡大局面において、無症状者を対象とした集中PCR検査等の実施や薬局等で受けられるPCR検査等の費用を無料化し、誰もが簡単、そして迅速に利用できる充実した環境を整備します。また、医療従事者や介護職員などのエッセンシャルワーカーや企業の従業員に対し、安心して事業を継続するために県内事業者が自主的に行うPCR検査等の経費を支援します。また、自身のみならず胎児・新生児の健康に不安を抱えて生活している妊産婦が安心して日々を過ごせるようにするため、希望者に対し実施するPCR検査等について必要な支援を行います。また、安心・安全な学校教育活動を推進するため、部活動や修学旅行など県外への往来を伴う大会・行事等の際に、生徒・教職員等を対象にPCR検査を実施し、学校における感染防止対策を徹底します。
次に、医療提供体制の強化についてです。本県の医療提供体制については、これまで、感染状況を踏まえ適宜拡充してきたところであり、緊急分を含めた入院患者の受入病床691床、軽症者等の宿泊療養施設930人分など、全国トップクラスの現行体制については今後も継続確保いたします。加えて、今後オミクロン株並みの感染急拡大により自宅療養者が増加した場合にも安心・安全に療養していただくため、自宅療養者への健康確認や食事の提供をはじめとする生活支援の充実など体制整備を図ります。
次に、ワクチン接種体制の確保については、4月末までのワクチン接種の完了に向けて、スピーディーかつ円滑に実施するため、相談体制の整備や集団接種会場の設置、接種促進のための財政支援など、必要な体制を整えます。
最後に、社会福祉施設等の感染防止対策について、社会福祉施設や学校、県民が利用する県有施設等における衛生用品の購入経費のほか、特別支援学校の通学バスの増便や大型化等必要な感染リスクの低減対策にも、引き続き適切に対応していきます。
次に、「県民生活の安定」についてです。
まず、社会全体で結婚を応援する気運の醸成に向けて、コロナ禍にあっても、希望するカップルがためらわずに結婚式や披露宴等を行うため、感染防止対策を徹底した安心・安全な結婚式等に要する経費を支援します。この他、コロナの影響により、さまざまな困難や不安を抱える女性への支援や若者の自殺防止対策などお困りの方に寄り添った支援、コロナの影響による家計急変世帯への授業料等教育費の支援などには、今後もしっかりと取り組んでまいります。
続いて、予算編成の二つ目の柱「長期化するコロナ禍や現下の感染状況による影響を踏まえた経済対策の実施」です。長期化するコロナとの闘い、さらにはオミクロン株の急拡大により、大変傷んだ社会経済を力強く再生させるため、県内事業者の事業活動の継続・活性化に向けた支援や、予算総額100億円を超える大規模かつ実効性の高い消費需要の喚起策を実施します。
最初は、「県内経済の下支え」についてです。
まず、県の中小企業制度融資について、コロナの影響により中小企業の資金繰りに支障が生じることのないよう、経営安定資金について必要な融資枠を確保するほか、コロナ禍を乗り越え、今後の社会経済に対応していくため、業態転換や経営の多角化など事業再構築に取り組む事業者を対象とする「ビジネスモデル再構築支援資金」を新たに創設し、中小企業を資金面で後押しします。また、令和2年度及び3年度に実施した新型コロナウイルス感染症対応資金に係る利子補給や、返済計画の見直し時に追加で生じる信用保証料の補助についても継続実施します。
また、飲食店における感染防止対策の遵守を徹底するため、「やまぐち安心飲食店認証制度」において、認証・非認証に関わらず全店舗の見回りを行い、非認証店舗には認証取得を促すなど感染防止対策の充実を図り、安心して飲食店を利用できる環境づくりを進めます。
また、ポストコロナの新たな販売スタイルとして利用が拡大するEC市場において県内事業者の活用を促進するため、販路拡大と収益向上が期待できる大手ECサイト等を利用したやまぐちフェアの開催や販売力強化に向けたセミナーを新たに実施するほか、令和3年度に続き、県内事業者自身のECサイトで注文を受けた商品の送料支援を行います。
次に、「消費需要の喚起」についてです。コロナ禍により落ち込んだ需要を取り戻し、社会経済を再生させるため、観光や飲食、県産農林水産物等の消費需要を強力に刺激する、予算総額100億円、事業規模300億円を超える大規模な需要喚起策を実施します。
まず、観光事業者を支援するため、国の新たなGoToトラベル事業を活用した、全国規模の観光需要喚起策である「GoToやまぐち事業」について、安心・安全を確保し、平日への分散化対策等を講じた上で、旅行商品の上限20%割引やお土産等に使える上限3千円のクーポン券の発行について、これまでで最大の予算額となる72億円で実施することとしており、令和3年度補正予算で計上した「やまぐち観光振興支援パッケージ」と合わせて切れ目なく取り組むことで、県内事業者の反転攻勢を強力に後押しし、観光のV字回復に向けた好循環を創出します。
また、本県の飲食店や食材を提供する農林漁業者を支援するため、国のGoToEatキャンペーン事業の実施スキームを活用し、「やまぐち安心飲食店」等で利用できるプレミアム率25%の「やまぐちプレミアム食事券」の販売について、予算額12.5億円で実施し、飲食需要を大々的に喚起していきます。
さらに、消費の低迷が続き大きな影響を受けている県産農林水産物の需要回復・拡大を図るとともに生産者の経営安定化を応援するため、県産米の増量販売や、県産花き・日本酒・高級魚加工品について一定額以上の購入金額から割引販売するキャンペーンについて、予算額2.6億円で実施します。
また、県内店舗の資金支援と消費需要を喚起し、山口のお店を元気にするため、購入型クラウドファンディング「頑張るお店応援プロジェクト」について、目標支援金額をこれまでで最大となる20億円に設定し、予算額15億円で実施します。
以上の需要喚起策に取り組み、社会経済を早期に力強く再生させていきます。
また、コロナ後を見据えた観光産業の稼ぐ力の強化につなげるため、ビッグデータ等を活用した分析結果を踏まえ、マーケット志向に基づき、効果的なプロモーションと強力な着地整備を戦略的かつ一体的に展開することで、観光消費額の向上を図ります。
また、海外との往来再開後に回復が見込まれるインバウンド需要を確実に本県に取り込むため、韓国、台湾等重点5市場を対象に、マーケティング視点に基づくデジタル技術を活用した戦略的なプロモーションを実施し、本県の魅力を世界に発信します。
続いて、予算編成の三つ目の柱は「新たな未来に向けた県づくりの推進」です。
この度のコロナ禍により、私たちの日常生活には数々の支障が生じ、社会経済も大きく落ち込むなど、大変苦しめられてきているところです。これからの本県の再生においては、単にコロナの前の状態に戻すというだけではなくて、コロナで苦しみ、我慢を強いられた分、一層スピードを上げて、弾みをつけて、より高いレベルの安心の確保、そして成長の実現を目指していきたいと考えております。
その安心と成長の実現を支えるのはデジタル化です。コロナ禍で地方への関心が高まる中、テレワークの普及により、東京の好きな仕事をしながら山口で暮らすなど、人々の意識や働き方に変化が生まれてきています。そのように、デジタル化が進めば進むほど地方にとって有利であり、今までとは逆に、都市から地方への流れをつくることができる、そのような大きな可能性を持っていると考えております。
本県としては、コロナ禍を契機とした人々の意識の変化や社会変革という絶好の機会を逃さずに、コロナ前よりも、本県がより高いレベルの安心を確保し成長を実現するため、デジタル化をフル活用して、県政のあらゆる分野で質の高いサービスを提供し、新たな未来に向けた県づくりを前に進めていきたいと考えています。
では、各項目に掲げる主な取り組みの概要につきまして、これからご説明いたします。
まず、項目の一つ目は「より高いレベルの安心の確保」についてです。コロナ禍において、身近で切実に感じ、その必要性が再確認された医療や福祉の充実強化を図り、いざという時に大切な命や健康が守られる、そうしたこれまでよりも高いレベルの安心の確保を目指していきます。
最初は、「医療・介護の充実」についてです。まず、コロナ診療においても中心的な役割を果たしている県立総合医療センターについては、築後38年が経過をしていまして、施設・設備の老朽化や狭あい化が課題となっております。このため、将来にわたって本県医療の中核的役割を一層担えるように、より高いレベルの安心を目指した機能強化について検討して、基本構想を策定いたします。より高度で専門的な医療を提供し、また、へき地医療のサポート体制もさらに強化できるように、これからしっかり取り組んでいきたいと考えています。
また、デジタル技術の活用により、必要な医療を場所を問わずに遠隔実施できる環境整備を図るために、これまで取り組んできた5G環境での遠隔医療体制の構築に向けてさらなる実証に取り組むとともに、巡回診療時においてリアルタイムで専門的診療を行うため、高画質モバイル中継装置を活用した実証事業を県内の離島で新たに実施します。
また、新型コロナウイルスへの的確な対応に加え、今後のさらなる新興感染症への対応を見据え、感染管理により安心して暮らせる社会の実現を図るため、指導的役割を担うこととなる感染管理認定看護師の養成研修を山口県立大学で実施します。
また、業務の効率化やサービスの質の向上につなげるため、コロナ禍で負担が増加している介護事業所・障害福祉サービス事業所へのICT(情報通信技術)やロボットの導入支援については、セミナーの開催による導入に向けた普及啓発や導入経費の補助により取り組みを促進していきます。
次に、「子育て支援」についてです。まず、安心して妊娠・出産・子育てができる環境を整備するため、スマホとLINEを活用し、県民からの問い合わせに24時間365日対応できるシステム「子育てAIコンシェルジュ」について、令和4年4月からの本格運用開始以降、継続的にAI(人工知能)チャットボットの回答精度を高めていくとともに、全県での子育て支援の基盤として、多くの県民にシステムを知っていただくため、LINEでのお友達登録数の増 加を目指した広報活動の充実を図ります。
また、子育ての不安や育児疲れ、児童虐待、DVなどの問題の深刻化を未然に防止するため、これらに関する悩みをワンストップで受け付ける、SNSによる相談体制については令和4年1月から運用を開始しており、先ほどの「子育てAIコンシェルジュ」とも連携してさまざまな相談に対応してまいります。
また、周産期医療の技術向上等を背景に増加傾向にある医療的ケア児やその家族について、適切な支援により安心できる生活をサポートするため、「医療的ケア児支援センター」を開設し、専門相談窓口の設置による相談支援、市町相談員や保健師等の資質向上のための研修等を行います。併せて、保育所等における医療的ケア児の受け入れ体制を整備するため、市町が行う看護師の配置やガイドラインの作成等に対し補助を行い、家族の希望に応じた環境整備を支援します。
また、家事や家族の世話等を行うため、子どもらしい生活を送ることができないヤングケアラーについて、実態調査やシンポジウムの開催等を通じ、市町の支援体制の構築や関係機関の連携強化を図り、ヤングケアラーを早期に把握し、適切な支援につなげる体制整備を行います。
また、円滑な里親委託の推進により、本県における里親委託率を向上させるため、子どもと里親とのマッチング業務を効率化するためのICTを活用した支援システムを整備するほか、里親向けのスキルアップ研修を実施します。
次に、項目の二つ目は「より高いレベルの成長の実現」についてです。コロナ禍がもたらしたデジタル化による環境変化をチャンスと捉え、山口県全体のデジタル化を強力に進めながら、これを最大限に活用し、社会全体におけるより高いレベルの成長の実現を目指していきます。
最初は、「デジタル社会の実現」についてです。本県では、市町や民間などさまざまな主体と連携・協働するための新たな推進体制を整備し、官民一体となって県全体のデジタル化に向けて「やまぐちデジタル改革」を推進しています。昨年11月に開設した「やまぐちDX推進拠点 Y-BASE(ワイベース)」と「デジテックforYAMAGUCHI」を核に、県内の各地域、各分野のDXの取り組みをしっかりと支援し、ここから地域課題の解決と新たな価値の創造、これに向けたソリューション等を生み出していけるよう取り組んでいきます。こうした取り組みに加えて、来年度は、課題解決力を促進するため、県内外からエンジニアを集め、具体的な地域課題の解決をテーマとしたプロダクト開発に取り組むキャンプの実施や、最新技術を活用した課題解決に向けて、企業等との協働による実証活動を進めるほか、普及啓発を強化するため、国のイベントと連携した集中的なデジタルイベントを開催します。
また、次代を支えるデジタル人材の育成については、今年度の取り組みをベースに、DX活用の発想力・課題設定力を強化するため、デジタル技術の活用に必要なデザイン思考習得に向けて実践的な人材育成に取り組むとともに、高度人材の掘り起こしや育成の強化として、全世界を対象にAI開発コンペティションを実施し、優秀なAI人材の発掘や育成を行います。
また、誰ひとり取り残さないデジタル社会の実現を図るため、デジタル機器の活用に不安のある高齢者等がデジタルの楽しさや利便性を理解し、より豊かで便利な生活を実現できるよう、デジタルデバイドを解消するためのモデル事例の創出に取り組みます。
また、自治体行政のさまざまな分野で、行政サービスのさらなる向上や業務の効率化を図るため、県と市町が共同で導入するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の対象業務を拡充するほか、ウェブ上における県営住宅家賃等の口座振替受付サービスや電子署名等による契約サービスの導入、オンライン上での行政手続きの対象拡充などに取り組んでいきます。
次に、「中堅・中小企業のデジタル化」についてです。まず、県内中小企業のDXによる持続的成長を強力に後押しするため、企業のDXの取り組み状況に応じたきめ細かな支援を引き続き実施します。特に、取り組みの第一歩となるクラウドサービスの導入促進や定着に向けて企業の意識改革を図るため、専門家派遣を増やして企業の取り組みを支援します。
また、コロナ禍において、リアルとオンラインを併用したハイブリッド形式の展示・商談会が増加している中、こうした取り組みを県内中小企業に導入し、新たな時代における販路拡大を後押しするため、企業の新たなスタイルの展示・商談会出展に必要な経費を補助します。
また、大都市圏の企業を中心に採用活動のデジタル化が急速に拡大している状況を踏まえ、新卒者獲得に向けた採用活動のデジタル化支援を必要とする県内企業をしっかりとサポートするため、採用活動の各段階に応じたデジタル化の知識やノウハウを習得するためのセミナーやデジタルの円滑な導入に向けたアドバイザー派遣を実施します。
また、観光地が地域ぐるみでデータ分析・活用スキルを高め、稼ぐ力を身に付けられるよう、観光地経営におけるDXを促進するため、データに基づいた観光地経営の実践モデルとなる課題解決方法を検討・検証するワークショップを開催します。
次に、「建設DXの推進」についてです。頻発・激甚化する自然災害や進行する施設の老朽化等の課題に対応するため、本県の建設産業におけるDXを推進することで、建設現場の生産性向上及びインフラメンテナンスの高度化・効率化に取り組んでいるところです。
まず、建設現場の生産性向上については、測量・設計、施工、維持管理の各段階で、3次元の電子データである3次元モデルの活用を促進するため、来年度は、測量・設計業務において試行を行い、効果や課題を検証し、今後策定する活用ガイドラインに反映させることとしています。
また、インフラメンテナンスの高度化・効率化については、「日本一の安心インフラやまぐちの実現」に向けて、デジタル技術活用の取り組みを河川や橋梁以外の施設に拡大していくため、新たに、先行取り組み事例の調査やデータの活用に関する検討を行います。
次に、「スマート農林水産業」についてです。まず、熟練者が有する技術や知見等「匠の技」を次代に継承するため、最新のデジタル技術で「見える化」し、再現・創出することで、本県の地域特性に応じた「山口型スマート技術」を確立し、課題の解決や実装の加速を図ります。これは、令和5年度に供用開始する「農林業の知と技の拠点」における産学公連携プラットフォームの構築に先駆けて取り組むものであり、拠点の供用開始以降、新技術の速やかな展開を目指して取り組みを進めていきます。
また、コロナ禍にあっても県産農林水産物の輸出拡大を実現するため、商談成約の要でありながら、移動制限等から実施が難しい「産地招へい」について、バイヤーが遠隔地から産地をバーチャル視察できる「Web産地招へいシステム」を導入し、新たな販路の開拓・拡大を図ります。
また、国産小麦の需要の増加などを踏まえ、安定した品質や量が確保できる競争力のある麦産地を作るため、全国初となるAIによる穂数計測技術など、デジタルを活用した栽培管理や品質改善に取り組み、高品質で均質な県産麦の安定的な供給体制の確立を目指します。
また、資源の減少が懸念されているハタ類について、持続的な漁場・資源利用と漁業者の操業の効率化を実現するため、管理ルールの提言やデジタル技術を活用した操業支援システムの構築に向けた科学的な資源調査を実施します。
次に、「イノベーションの創出」についてです。まず、先進デジタル技術により県内ものづくり企業等を高度化し、生産性の向上や新たな付加価値の創出を促進するため、5G・AI等の導入・利活用、新たな製品・技術等の創出に向けた取り組みの一貫支援や高度デジタル人材の育成のほか、デジタル技術の実装に向けた補助制度を新たに創設し、ものづくり企業におけるDXのさらなる加速を図ります。
また、デジタル技術の発展によりさまざまな分野でロボットの活用が進む中、艦艇装備研究所岩国海洋環境試験評価サテライトの設置による本県の優位性を生かし、水中ロボット産業の育成を通じた県内産業の活性化を図るため、コンテストの開催等による気運醸成に加え、産業技術センターでの水中関連技術に関するセミナーや講座を開催し、水中ロボット産業への事業参入と研究開発にトライする県内企業を支援します。
また、EV(電気自動車)の蓄電機能を用いて再生可能エネルギーを有効活用するモデルを県内全域に展開するため、県岩国総合庁舎で取り組んでいるEVの遠隔制御モデルの実証事業を継続するとともに、再エネとEVを組み合わせて自動車移動の脱炭素化を図る取り組みであるゼロカーボンドライブの導入ポテンシャル調査等を、県下全域の県有施設において実施します。
また、今回のコロナのような事象にも強い研究開発基盤の構築を図るため、先端研究機器の遠隔利用等によるバーチャルラボの整備について、産学公連携のもとYSNを活用し、リモートデータ解析の実証、遠隔利用ソフトウェアの導入等を行います。
次に、項目の三つ目は「新たな人の流れの創出・拡大」です。コロナ禍を機に人々の意識・行動に生じた変化を的確に捉え、都市から本県への移住やスポーツ・文化の新しい取り組みを生かした誘客の促進など、関係人口の創出・拡大に向けた取り組みを加速していきます。
まずは、テレワークで人の流れを呼び込むため、昨年、県庁1階に開設した「地方創生テレワーク」のモデルオフィスである「YY!SQUARE(ワイワイ!スクエア)」の管理運営を通じて、都市部の働き手を積極的に受け入れる取り組みを実施し、国の地方創生移住支援事業も引き続き活用しながら、都市部テレワーカーの本県への移住を支援していきます。
また、都市部から本県への人の流れを創出し関係人口の拡大を図るため、休暇先など日常とは異なる場所でテレワークを行う「ワーケーション」の県内推進拠点として、昨年、山口宇部空港内に開設した総合案内施設「YY!GATEWAY(ワイワイ!ゲートウェイ)」を核として、プロモーションや情報発信等一体的な誘致活動を行います。
また、自然豊かな本県のポテンシャルを生かし、拠点となるキャンプ場にアウトドアスポーツを結び付けた、新しいスポーツツーリズムを引き続き推進するため、新たにキャンプとアクティビティを両方楽しめるツアーの造成を支援します。
また、後継者不足やコロナ禍での活動制限等により維持に苦しむ地域伝統芸能を次代に継承していくため、本年10月に山口市を中心に開催される地域伝統芸能全国大会を契機に、県指定無形文化財「鷺流狂言」をモデルとした魅力的な体験コンテンツをAIを活用して制作し、興味関心の薄い若年層をはじめ幅広く普及させ、文化振興や観光振興につなげていきます。
次に、項目の四つ目は「『新たな日常』を支える人材育成」です。本県の将来を担う子どもたちに対する教育活動を一層充実するほか、未来を切り開いていく若者たちが、困難な課題に果敢に挑戦し、乗り越えていく力を備えることができるよう、さまざまな主体と連携し、新たな時代に対応できる人づくりを推進します。本県では、全国に先駆けて整備したICT環境を効果的に活用して教育活動の一層の充実を図り、子どもたちの可能性を広げる「やまぐちスマートスクール構想」を総合的・計画的に推進しており、令和4年度もさらなる充実・発展を図ることとしています。
まず、「やまぐちスマートスクール運営支援センター」の設置やICT支援員の配置により、学校現場でのICTの日常使いを支援する体制を充実させるとともに、1人1台タブレット端末等を活用した主体的な学びの実践や教育データの活用促進、即戦力となるデジタル人材の育成を進めていきます。また、全ての高等学校等と海外とのオンライン交流に向けた実施校の拡大や全県合同でのハイレベル課外授業の実施、資格取得のオンライン講座の充実など、これまでの取り組みを前に進めるほか、学びの機会を引き続き創出するため、特別支援学校等での分身ロボット等の活用など充実した環境を最大限に生かしていきます。
また、特別支援学校の児童生徒にとって特に重要な、社会体験活動のさらなる充実や多様な学びの機会の創出に向けて、学校にいながら実施する社会体験学習と現場での活動を組み合わせることで、障害に応じた個別最適な学びの実現と児童生徒の「自立と社会参加」を促進するため、オリジナルの校外学習・職場体験用VR動画を作成します。
また、「新たな時代の人づくり推進方針」に沿った人づくりの取り組みを全県的に推進していくため、民間団体等が主体となって学校や企業等と連携・協働して行う人づくりの新たな取り組みに対し、活動費の助成やアドバイザーによる助言など立ち上がり支援を行い、子どもたちにより身近な場所で多様な学びを提供します。
また、子どもの創造力・表現力を伸ばし育てるワークショップを一堂に集めたイベントや、グローバルとローカルの両方の視点を兼ね備えるグローカルリーダーの育成については、引き続き実施します。
以上が、各項目における取り組みの概要になります。
次に、令和4年度当初予算における財源不足及び財源調整用基金の状況については、35ページをご覧ください。当初予算編成方針の公表時点における来年度の財源不足額は66億円と見込んでいましたが、検査体制の強化をはじめ、オミクロン株の感染急拡大を踏まえた対策の実施などにより歳出見込みが増加した一方で、地方創生臨時交付金の活用や予算編成過程における歳出削減、歳入確保等の取り組みにより、当初予算ベースの最終的な財源不足額は53億円となりました。
一方、令和4年度当初予算において経済対策を実施するにあたり、令和3年度の国補正予算により追加交付された地方交付税を財源として活用する等のため、58億円を財源調整用基金に積み立てるなどしたことから、最終的な令和3年度末時点の基金残高は、201億円となる見込みです。
その上で、令和4年度における最終的な財源不足への対応や経済対策の実施にあたっては、財源調整用基金を取り崩すこととしており、令和4年度末時点の基金残高は90億円となる見込みです。
次に、来年度当初予算における「プライマリーバランス」については、36ページをご覧ください。県債発行額を公債費以下とする、プライマリーバランスの黒字に着目した財政運営を継続することにより、一般分の県債のプライマリーバランスは平成13年度以降22年連続の黒字、県債全体でも平成24年度以降11年連続の黒字となる見込みです。
以上、当初予算案の概要をご説明いたしました。
この2年間、新型コロナウイルスとの厳しい闘いが続いてきました。これまで、県民や事業者の皆さまと一丸となって取り組んできたことにより、度重なる感染の波を乗り越えてきましたが、コロナはいまだ収まることなく、社会全体が脅かされ続けています。このような中、新しい任期を迎え、私は、安心は何にも代え難い、このことを心に刻んで、これからも全力でコロナと対峙し、この危機から県民の命と健康を守り抜き、そして大きく傷んだ社会経済を力強く再生させていく、このことに継続して、責任をもって取り組んでいく所存です。そして、コロナ禍がもたらした人々の意識の変化や社会変革を絶好のチャンスとして、本県の安心や成長のレベルを格段に引き上げていくため、立ちはだかるさまざまな困難から逃げることなく積極果敢に挑戦を重ねる、この強い決意の下で、今後の県づくりに取り組んでまいります。
私としては、来年度予算を通じて、国の政策とも積極的に呼応しながら、コロナ禍で身をかがめて耐えてきた分、これまでよりも増してさらに高く山口県を飛躍させていく、その新たな未来づくりへの挑戦を、速やかにスタートさせていきたいと考えています。
次に、令和4年度の組織の概要について、お手元の資料によりご説明いたします。
令和4年度組織については、簡素で効率的な組織体制の整備に努める一方、コロナの危機から県民の命と健康を守り抜き、傷んだ社会経済を発展的に再生させていくための取り組み等の主要課題については、重点的な職員配置を行い、組織力の強化を図ることとしています。
まず、1点目は、文化財保護事務の移管です。文化財を観光資源等として積極的に活用するため、教育庁の社会教育・文化財課が所管している文化財保護業務を知事部局の文化振興課へ移管します。
2点目は、山口健康福祉センターの改組です。山口・防府の2市を管轄する山口環境保健所は、県内で最も規模の大きな保健所であり、新型コロナに関しては、両市で同時に多数の感染者が発生する状況が生じたところです。このため、長期化する新型コロナへの対応や、今後の新興感染症への対応等も考慮し、県央部における健康危機管理体制を強化するため、防府支所を防府保健所として改組します。防府保健所には、医師の所長を配置し、意思決定の迅速化を図ることで、新型コロナ等の緊急事案により一層機動的に対応できる体制を確保することとしています。
3点目は、建設DX推進班の設置です。デジタル技術の活用による建設現場の生産性向上やインフラメンテナンスの高度化・効率化など、建設産業におけるDXを積極的に推進していくため、技術管理課に「建設DX推進班」を設置します。
以上が、令和4年度の組織の概要となります。
県としては、こうした組織体制の整備や主要課題への職員の重点配置を通じて、コロナの危機を克服し、安心で希望と活力に満ちた山口県をコロナ前よりもさらに高く飛躍させていけるように、全力で取り組んでまいります。
私からは以上です。
KRY(山口放送)
今回予算編成、ご自身の思い描いた予算ができたのでしょうか。その辺りをお願いします。
知事
はい。まず、今年度の予算は、何と言いましても、今、直面するコロナの危機から県民の皆さまの生命、また健康を守っていくということ、このコロナの危機を克服するということ、それから直面しているこの危機を乗り越えて、さらにその社会や経済を発展的に再生させていく、このことに尽きると思っております。そして、その発展的再生という点においては、単にコロナの前に戻すというだけではなくて、より高いレベルの安心を確保する、そして、より高いレベルの成長を実現する、このことをぜひ目指していきたいと思っています。コロナで2年間大変に苦しんでいる中にありますが、まずはこのコロナの危機を乗り越えて、そして、これまで苦しんだ分、より何倍も山口県を高めに持ち上げていく、押し上げていく、そのための取り組みをスタートさせていきたいと思っています。
KRY(山口放送)
今回の予算規模、過去6番目ということですけど、この点についてはどうなんでしょうか。
知事
そうですね。さまざまなコロナへのまず感染から県民の皆さまの命を守るという対策ももちろん多くのお金がかかります。それから、傷んだ社会経済を再生させていくために、今回はまず消費需要の喚起では、予算規模で100億円、また事業費ベースでいくと事業トータルで言うと300億円という、これまでになくしっかりとした規模の需要喚起策を講じることにいたしました。それに加えて、これから先のデジタル化ですとか、あるいはより高いレベルの安心の確保、こうしたことに向けましても、スタートさせるための予算を計上しています。そういう前に向いた取り組みも盛り込んだことから、規模としては大きなものになってきていると思いますけれども、しっかりとこのコロナの危機を乗り越えて、社会経済を発展的に再生させていきたいと思います。
KRY(山口放送)
歳入の中で県税の増収というのがありましたけれども、この点について知事は、1年前は、県税はかなり厳しいんじゃないかという話でしたけど、今回、この県税が増収したことについてはどう捉えていますか。
知事
そうですね。これは山口県だけでなく全国的な傾向として、地方税収の改善が見られるところであります。コロナで傷んでいる部分もありますけれども、その他、経済の面について動いている部分もかなりあるだろうということを感じておりまして、もちろん、そういった意味では、経済面での少し安心材料というか、全体が傷んでいるわけじゃなくて、しっかりと伸びている部分もあるというところの表れでもあると思いますし、また、財政面においてはもちろんこれによる増収という部分がありますので、これからコロナに向けても、しっかりとした対策を行っていく上で、大きな安心ではあると思っています。これがさらに継続をするようになればと思いますけれども、そのためには、やっぱりコロナを克服し、そして社会を正常化していくということを急いでいく必要があるだろうと思います。
KRY(山口放送)
先ほど言葉の中で、安心と成長の仕組みを支えるのはデジタル化だという思いがあるとおっしゃいましたけど、やはり、その先のことについては、やっぱりデジタルと何らかの、全て県づくりとしては連携していきたいという思いが強いんでしょうか。
知事
そうですね。デジタルがもちろん全てではないんですけれども、これは経済成長の面においても、あるいは生活の質を上げたり、安心を確保する上においても、デジタルというのは、大きな可能性を幅広い分野について持っていると思いますし、ここをしっかりと具現化していくことが重要だと思ってます。先ほどの説明でも触れましたが、デジタル技術をどんどん進めることによって、都市に負けない利便性を確保できる。山口のような豊かなところで暮らしながら、都市に負けない利便性を確保できる。そうした社会が実現できるだろうと思っています。特に産業面で言いますと、生産性や効率性を高めていく、あるいはイノベーションを起こしていくという面でもデジタルはすごく可能性を持ってますし、生活面で言っても、利便性を高めるですとか、より高いレベルの安心を実現していく、そうした面で大いに可能性を持っています。こうしたことを県の事業においても幅広い分野において実現をしていきたいと思っています。
産業面については、建設分野、それから農林水産業、またその他の中小企業、幅広い分野においてイノベーションを起こしたり、効率を高めていく、付加価値を高めていく、その取り組みを後押しをするデジタル化の取り組みを行っていきますし、また、生活面においても、例えば教育のICT環境、これ1人1台タブレットが整備されていることを通じて、より質の高い教育を実現する。あるいは子育てについても、きめ細かな情報提供や支援サービスというのを、デジタルを通じて行っていくということもスタートしておりますし、かつ今回は、医療の面におきましても、今の5Gを使って、へき地医療の支援を県総(県立総合医療センター)と結んでやっていますけれども、これもより対象を広げて実施をしていきますし、あと離島に可搬型の、鮮明な画像をやりとりできるような形で、離島に医師が行ったときに診察をする。これによって遠隔で専門的なサポートを受けながら、特に条件不利地域においても質の高い医療を受けられる、こうしたことがデジタルによって実現ができるわけですね。これは本当に全て経済の成長、また、人口減少等の厳しい中にあっても質を高めていくということにつながる取り組みでありますので、こうしたことを一つ一つ作っていくということが極めて重要だろうと思っています。
KRY(山口放送)
分かりました。あと最後、(財源調整用)基金残高は90億(円)というのは、知事の中ではこれで何とか抑えられたのか、もっと本当は上積みしたかったのか、その辺りはどうでしょうか。
知事
そうですね。やっぱり今、コロナ対応の中で感染防止対策、これも万全と医療提供体制、また検査体制、そうしたものをできるだけ充実をしていかなければいけませんし、また一方で、傷んでいる経済に対してはできるだけ措置をして、事業が継続できるように、需要喚起できるようにということを考えていくと、やっぱりお金がいくらあっても足りない状況です。そういう中で、将来のことも考え、どんどん基金を使っていくというわけにはいきませんので、そうしたところのバランスを見ながら予算を組んでいるところです。本来であれば、100億円という目標を持ってやってきましたので、これが達成できればと思っておりますけれども、国の財政、今言ったような状況の中で、なかなか貯めていくということをやっていく局面ではないというふうに思っています。
一方で、財政的にこれからも山口県が安定して財政運営できるようにしていかなければいけませんので、基金の取り崩しはできるだけ抑えていくという中で、今回90億円ということの残高になったということであります。引き続きこれからも、財政健全化の取り組み自体は、今、凍結をしておりますけれども、毎年毎年の予算では、このコロナが続く中にあっても、必要なことはしながら、一方で財政的には立ちゆかなくならないように、その辺のこの絶妙なバランスを取りながらやっていかなければいけないと思っています。
KRY(山口放送)
今、言葉に出たので最後聞きますが、行財政(構造)改革についてはどうですか。今後この4年間、2期目で先送りしてしまった課題だと思うんですけど、その辺りはどうなんでしょうか。
知事
そうですね。これはまずコロナの対応をしっかりしなければいけませんので、今凍結をしておりますけれども、その中で必要な対策は、これはしっかりと予算を組んで措置していかなければいけないと思っています。そのコロナの対策対応が終わった段階で、山口県の財政状況がどういう状況にあるのかというところをしっかりと見た上で判断をしていきたいと思います。まずは歳入面において、今回、税が思ったほど減らなかったというところがありますので、そうしたところは、予想外に落ちなかったという面はありますけれども、これがこのまま続くのかどうかというところもありますし、歳出面において、コロナが明けたからいろんな臨時的な支出がそこで終わってしまうのか、あるいは、まだ残るものがあるのか、その辺りもあると思います。
いずれにしても、将来に向けて安定した財政運営、これが行えるような財政を引き継いでいかなければいけませんので、その時点において必要な歳入歳出の改善、それを図るためにどのような対策が必要であるのかということをしっかりと考えていきたいと思います。
NHK
まず消費需要の喚起策についてなんですけれども、今回大規模に盛り込まれたということですが、この必要性、重要性、改めてどのように捉えていらっしゃいますでしょうか。
知事
はい。コロナとの闘いが大変2年以上続いているわけです。この間、感染拡大するたびに県内の経済は大きく傷んできました。さまざまな活動も止まっているところです。この事業を継続するために、これまでも措置を講じてきましたけれども、非常に苦しさというのは蓄積をしているだろうというふうに感じておりますし、そうした声を多くお聞きをします。
まず、この維持をしていくための措置というのも当然なんですけれども、より経済が回っていくような対策というのは積極的にやっていかなければ、なかなか事業の継続自体も難しい状況になってきているだろうと思います。実際、コロナ後に生活が戻ったときに、われわれが元の日常を戻せるようにするためには、やはり飲食もはじめ、観光もそうですけれども、そうした事業が引き続き頑張っていけるという状態にしていかなければいけないわけですね。そのためには、しっかりとした需要喚起というのを、コロナが落ち着いている局面においては講じていくということが極めて重要だと思っております。特にこのオミクロン株も、年明け以降ずっと続いているわけですね。これもだんだんと収束をしてきては、減ってはきておりますけれども、その勢いは決して強いわけではありません。そういった意味では長い間、苦しい時期が続くことになりますので、ここをしっかり乗り越えていくためには需要もしっかりつくっていかなければいけない、そのように思っております。
NHK
分かりました。そして、県立総合医療センターについてお尋ねなんですが、今回機能強化について検討を行い、基本構想策定というふうに資料の5ページの方に記載がありますが、この今現時点では、村岡知事ご自身、選挙期間中から建て替えについては強い意欲を示されてきたと思うんですけれども、現時点で県としては、この建て替えについては、これをもって決断されたということなのか、それとも、まだ検討段階の途中なのか、どのような認識で捉えればよろしいでしょうか。
知事
はい。今時点は、県立総合医療センターにおいて、中で調査検討が進められていますので、この検討結果が間もなく出ますから、これを待って県として判断をしたいと思っています。私自身は、建て替えは必要だろうというふうに現時点では考えておりますが、その報告を待ってから、最終的にどうするかということは決定していきたいと思っています。
NHK
間もなく県立総合医療センターの中の検討会の結果が出るということだったと思うんですけど、そうすると、今年度中には何らかのめどというのが示されそうなんでしょうか、いかがでしょうか。
知事
はい。その検討結果ももう間もなく出るというふうに聞いておりますので、できるだけ早くわれわれとしても判断をしていきたいと思います。とにかくこの医療センターの関係はできるだけ早く前に進めていきたいと思っています。このコロナで大変苦しんでる中で、やはりいざというときに命が守られるという安心、この安心が常にそばにあるということは、何にも代え難いものだというふうに思ってます。
県立総合医療センター、老朽化も進んでいますけれども、ぜひこれをより機能を強化する。特に県立総合医療センターは、県医療の中核を担うところでありますので、さまざまな高度な医療、これをより高度化をしていく、そしてまた、へき地を含め、県内全域の地域医療を支えていく、こうした重要な役割を担っています。ここをさらに強化をすることによって、将来にわたって多くの県民の皆さまの命を守っていく、そして、安心度をぐっと高めていく、このことをぜひ実現をしていきたいと思っています。ですので、報告が上がってきましたら、われわれは中で検討を行った上で最終的に判断をし、速やかに、より高度な、将来に向けて、山口県の医療、県民の皆さまの命を守っていくためにどのような機能を強化すべきなのか、どのような施設とすべきなのか、そのことを速やかに考えて、速やかに実行していきたいと思います。
NHK
分かりました。そして、県の直近のこの財政状況についてなんですけれども、新年度当初予算については2年連続の規模拡大ということで、過去10年では最も大きな規模になると思いますが、この県のお財布事情としてはどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。
知事
財布。
NHK
県の財政状況。
知事
そうですね。依然として収支は均衡していない状態にありますので、ここは最終的には改善をし、収支均衡して、将来にわたって安定した、安心できる構造に変えていかなければいけないという状況が続いていると思います。コロナ対応でさまざまな対応をし、県としても財政出動もしていますが、この間、一方で国の方からもかなり手厚い支援措置が講じられていますので、それによって何とかなっているという部分が正直ありますし、大きく財政状況を傷めることなく、コロナ対応ができているという状況だというふうに認識をしています。
来年度でコロナ対応がもし終わるとするならば、そう大きく財政構造的には悪化せずに、また次どうするかということを考えられるんだろうと思いますけれども、ここはこれから先、コロナがどのように推移をしていくのか、もっともっと強化をしなければいけない、あるいは県内経済が大きくダメージを受けるようなことがあれば、また大きくそこは財政状況にも影響してくることになってまいりますので、予断を許す状況にはありませんが、今現時点においては、コロナ前と比べて、構造自体が大きく悪化しているということでは、そういう状況ではないだろうというふうに思ってます。
NHK
コロナ前の時点では、行財政構造改革をされるなど財政状況としては厳しいというご認識だったと思います。新年度についても、財源不足が最終的に53億円で、(財源調整用)基金の取り崩しで賄われていると思います。そういった点からいきますと、県財政の状況としては、国の支援もありますけれども、やはりまだ厳しい状況にあるという理解でよろしいでしょうか。
知事
そうですね。それはもちろん県財政は厳しい状況にあります。財源不足が恒常的に生じている状況でありますので、厳しい中で、事業を、効果を最大限、少ない財源で最大限の効果を上げられるように、苦心をして予算編成をしているという状況です。
NHK
分かりました。引き続き、資料の43ページの方で、今後の財政収支の見通しの方、出されていますけれども、この3番の収支のところでいきますと、3番の最後の参考のところに、財源調整用基金残高の試算について、今後5年後まで記載があると思いますけれども、粗い試算とはなっていますが、このままの財政規模でいくと、やはり基金がいずれ底をついてしまうと出されていると思います。これまで以上に、やはりコロナ禍も踏まえて事業の取捨選択の見極め、より大変になってくると思うんですけれども、この点については、かじ取りを担う知事としてはどのようなご認識でいらっしゃいますでしょうか。
知事
そうですね。まず直面するコロナに対しては、とにかく万全の対応をしていく。県民の皆さまの生命と健康を守り、そして社会や経済も傷んでる部分をしっかりと回復させていくということが重要ですので、ここは何よりも優先してやっていかなければいけません。その上で、財政自体も将来に向けて、破綻をするような財政にしてしまってはいけません。もちろん収支が均衡して、将来に向けて安定した財政運営が行えるような財政にしていかなければいけませんので、当然、今の時点で、コロナ対応が終わったとしても、そこから歳入と歳出のこのギャップを埋める取り組みというのをスタートさせていかなければいけないと思っています。できる限りの財源の確保と、それから歳出についても、限られている財源の中でしっかりと絞って、財政を均衡させていくということを目指していかなければいけない、そのように思います。
NHK
分かりました。ありがとうございました。
防府日報
2点お伺いします。1点目は、先ほどあった県立総合医療センターの関係なんですけれども、基本構想を来年度中には取りまとめられるということですけれども、それと並行して、地元の防府市ではですね、この県立総合医療センターの近くに広域防災広場を建設するという計画がありまして、令和7年度までに事業完了するということで動いています。で、それにアクセスする道路を県道として整備するというのは以前の議会答弁でもあったと思うんですけれども、県がつくるその総合医療センターの基本構想と、それから防府市が進めているその広域防災広場の計画というのは、どちらもセットになっているような計画になってくると思うんですけれども、この両者の計画を今後どういうふうに整合性を保っていくように進めていくのかというのを、お考えをお聞かせ願いますでしょうか。
知事
そうですね。今の段階では、場所の検討というよりは、まず持つべき機能というのをしっかりと検討をして、それに必要な施設規模がどの程度あるのか、そうすると現地でいいのか、現地だと無理なのか、そうした検討をしていくというステップになりますので、その段階で、適当な場所の検討に入ってきている段階において、具体的にそれぞれの自治体、地元自治体の方との調整ということを行っていくことになると思います。ですので、ステップがそこに進んで行けば、個別に話をしながら、当然、県だけのことじゃなくて、周りの環境も整っていかなければいけませんので、地元の市の方とよく話をしていくと、そういうステップに入っていくんだろうと思います。今はまだ、機能自体をどうするかというところの検討を、まず最初に行っているという段階です。
防府日報
分かりました。それともう1点なんですけれども、保健所の関係なんですけれども、防府保健所を事実上復活させるという形になると思うんですけれども、狙いとしては説明された通りだと思うんですけれども、こちらも令和6年度にですね、今の防府市役所の新庁舎が完成した時には、防府市役所の福祉棟の中に支所が入るっていうことで調整を進められていると思うんですけれども、こういったいわゆる合築のですね、今回その機能強化を判断する一つのきっかけになったのかどうかっていうのをお聞かせ願えますでしょうか。
知事
それはあまり関連性としてはほとんどないのかな、ないですね。やっぱりこれは、今、コロナの対応している中で、山口市も防府市も非常に感染が多い中で対応していくのに、やはり一つだとなかなか厳しいなと、迅速にしっかりとした対応をするのは難しいなというところがある中で、やっぱり、きちんと保健所があって、意思決定も迅速に、もちろん体制もそうですが、意思決定も迅速にしていかなければいけませんので、そういった意味では、二つと言いますか、防府は防府で設けることが適当であろうと、そういう判断をしているということです。
防府日報
分かりました。ありがとうございます。
中国新聞
県の問題としては、人口減というのを1番最重要課題とされてますけれども、それに対する今回の予算で、ここを厚く付けたとか、知事の思いがあれば教えていただきたいです。
知事
そうですね。人口減に直そのものという施策というよりも、何と言いますか、一つはデジタル化のような形も含めてですけれども、産業力を高めていくですとか、より山口県の成長を高めていく、また安心を充実させていく、こうしたことは全て人口を留めたりとか、あるいは一旦外に出た人が山口に帰ってくることをやりやすくなることにもつながってくるだろうと思います。
直接的なもので言いますと、例えば、最後に触れましたけれども、テレワークとかワーケーションですとか、そういう拠点を今年度設けました。山口県内にも、県庁の中にもテレワークのスペースを、「YY!SQUARE(ワイワイ!スクエア)」を設けてますし、県内全体でも、テレワークやワーケーションが行える取り組みを展開をするようにしてまして、これをしっかりと来年度も続けていくということを行っていきたいと思います。
環境としては、だんだん、だんだんと言いますか、コロナ禍によって改善をしてきておりまして、まず一つは大きくデジタル化の流れがある。これはやはり都市の利便性に、地方の利便性をより近づけていくことにつながるというふうに思っておりますし、またコロナ禍の中で、やはり都市部に住むことのリスクの高さ、地方へ移り住んでいくことの関心の高さというのが具体的に出ています。例えば東京においても、流出超過をするという状況が出てきているわけで、山口県においても、ちょっとこれはこの間、記者会見でも言いましたが、例えば30代以上の男性は転出よりも転入の方が多い、転入超過になっております。20代は相変わらず転出超過なんですけど、これもこの2年間ぐっと減ってきているんですね。そういった意味では、都市から地方への流れというのはどんどん出てきています。
われわれも移住については特に力を入れてやってきてまして、東京とか大阪に拠点を設けて移住の促進をしてきました。この4年間で、年間の移住者数は2倍に増えてきております。そういったことで言うと、流れ的にはどんどんこの地方へ、都市部から地方へというところは強まってきているだろうと思いますから、ここをチャンスと捉えて、しっかりと呼び込みをしていかなければいけないと思っています。今言った、さまざまなテレワーク、ワーケーションの取り組みもそうですし、引き続き移住や魅力発信等そうしたことは行いながら、この流れをより大きなものにしていきたいと思います。
中国新聞
その移住について、またテレワーク移住っていうのが、今回も予算継続されて付けていらっしゃいますけれども、これは基本的に国が主導している予算だと思うんですけども、県独自で、何かこうやろうとかっていうのは、今回はなかったと。
知事
予算ということで言うと、例えば「YY!SQUARE(ワイワイ!スクエア)」を継続していくというのは、もちろんその中に予算としてはありますけれども、そういったことを発信をしていくとか、より多く伝えていく、これはテレワークとそれからワーケーションのセットですけども、ワーケーションの方も、民間企業と一緒になって、多くの都市部の企業に山口に来てもらって、実際にワーケーションを体験してもらうですとか、そういうプログラムを企業と連携して作ることも行っています。そのようないろんな手は、具体的に取り組みながら、多くの誘致につなげていきたいと思います。
中国新聞
今回新規事業が35件と、今までに比べたらかなり少ないかなと思ったんですけど、これはあえて県政継続というのがあるので抑えめになったのかというのを。
知事
そういう、まずその数を目標を立てて予算編成しているわけではないので、結果的にそうだということだと思います。基本的には新しいものって、今コロナに対応してやってること、さまざまな需要喚起策だったり、新しい成長なり、その安心の実現に向けた取り組み、今日ここで発表しているような内容ですけれども、それ以外のものは、あまり何と言うか、世の中がコロナの中でそう大きく動いてないというのがありますから、施策としては当然しっかりとしたものを継続してやっていきますけれども、もちろん新たな社会の変化とかニーズに応じてやるべきものは、盛り込んでやっていくということになりますけれども、ちょっと今、コロナ禍2年間続いている中で、世の中の動き自体が、コロナとその周辺を中心に、これに関係するものを中心に、いろんなニーズが起きていますけれども、それ以外のものと少しギャップがあるなというふうに感じておりまして、結果的にそのような新規の事業の数になったということだと思います。
中国新聞
最後に1点なんですが、財政が依然厳しい状況だと言われていましたけど、ただ昨日から再開された、県の農業試験場跡地の利活用とかありますけど、試験場、例えば選択肢として民間に売却されるとか、そういう選択肢も一つはあるんですか。
知事
そこは、今特定の利用方策を現時点で考えているものはありませんので、その検討をしているということはないです。あくまでも、今回市の方と一緒に基本構想を作るということにしましたが、市のいろんな、あそこの場所の、まちづくりを進めていく上での観点、また県央部として、広域的な発展につながる取り組み、どのようなことが考えられるのかということをまず考えていきたいと思います。
中国新聞
全く白紙で、白紙ベースで考えられるということですか。
知事
そうですね。今の時点で、その特定の方法を考えるということはないということですね。
朝日新聞
県債残高についてお尋ねなんですけれども、今回県債残高としては、年々、ここ数年は減っていっている一方なんですけれども、なおも1兆1700億円ありまして、県民1人当たりに換算すると88万円の借金を背負っているという考え方にもなりますけれども、これに関しては、どう評価していらっしゃいますでしょうか。
知事
はい。もちろん県債残高、将来に向けた負担になるものでありますので、これは徐々に減らしていかなければいけないというふうに思います。私、知事に就任してから、県債残高の減少は、ここは特に財政運営を行っていく上でも重要な点だと思って取り組んできています。実際に、平成26年からずっと減ってきていると思うんですけど、1兆2800億(円)から今1兆1700億(円)、だいたい1000億円ぐらい、1000億円超減っているということですので、この基調を継続していかなければいけないだろうというふうに思います。ただ一方で、この借金を減らすことをどんどんやっていくということは、当然その財源をそちらに充てるということになりますから、その他のサービスは抑えていくということになりますので、そこをあまり急激にやるということは、現在の県のサービス、大幅に損なわれることになる、それがさまざまな影響にもつながってきますので、そこはよくバランスを見ながらやっていかなければいけないだろうと思います。
朝日新聞
あと、県の財政運営の今後を考えていく上で考えなければいけないのが、高齢化に伴う社会保障関係費の増大という点があると思いますけれども、これに関しては、知事どのようにお考えでしょうか。
知事
そうですね。もちろん義務的な経費、特に社会保障の関係の経費は、高齢化が進むにつれて増えてきますので、ここはしっかりと予算措置をしていかなければいけない。その分、他の歳出について不要不急のものを見直す、あるいは財源をしっかり確保していく、こうしたことをやっていかなければいけないんだろうというふうに思います。ですので、引き続き構造的には厳しい前提条件がある中で、財政運営をどう改善するかという、そういう難しい課題に直面しているというふうに感じています。
朝日新聞
ちなみに来年度の予算編成において、最初、財源不足66億円というところで、それを減らして53(億円)にしたと思うんですけれども、これ、歳出削減と歳入確保の取り組みとしては、どういったことを行ってこられたんでしょう。
知事
それは説明(資料)ないのか。じゃあちょっと。
財政課長
新たに、予算編成方針の時には分からなかった臨時交付金(地方創生臨時交付金)が活用できたりだとか、予算編成方針の時には退職手当債を発行するというふうに考えておりませんでしたが、そちらを新たに手当てするようにしたとか、あと、細かい事業の中で言いますと、改修施設の改修の計画を後ろ倒しにしたなどで、財源不足の方を圧縮していったということです。
朝日新聞
最後に来年度の予算の中の事業に関することで、まだ話題に上がっていなかったと思うんですが、脱炭素に関する取り組みっていうのも今後加速させていかなければいけないと思いますが、来年度に関しては特に新規に当たる事業はなかったと思いますけれども、その点に関することと、どういったところに注力して来年度はやっていくかという思いを聞かせてください。
知事
新規がないかどうかちょっと分かりませんが、この中で言うと拡充の事業で、EVの活用というのは、これは、公共施設においてやっていくということは、全県的に展開するということで拡充をしてやっていこうということです。これは言ってみれば、県として主体的にやるものですけれども、やっぱり県内の脱炭素ということは、行政だけということじゃなくて、むしろ民間の方、こちらを脱炭素なりカーボンニュートラルの方にシフトしていくということを後押しをしていかなければいけないと思います。これは予算というよりは、むしろ県の産業戦略の方でも今行っておりますけれども、特にコンビナート企業等との連携をしっかりし、例えばイノベーションだったり脱炭素の取り組みについて連携する取り組みをしっかり後押しをしていく、そうしたことを県としてやっていくことが重要だろうと思います。
各企業の方も非常に危機感を持っておりますので、われわれとして、その中で行政としてサポートできる部分、あるいはその連携をすることを、われわれが後押しできる部分がさまざまあると思いますので、そうした、予算ではないですけど、そういう取り組みをすることが特に重要だろうなと思っています。
YAB(山口朝日放送)
新年度、結構デジタル関連の施策というのはかなり盛り込まれてまして、2期目からかなりデジタルの重要性ということを訴えて、かなり手厚く予算配分をしてきましたけれども、今回の予算配分を通じて、ご自身が描かれているデジタル社会がどのぐらい実現できるなっていう実感がありますでしょうか。
知事
そうですね。これはまだ手探りなところが非常にありますけれども、感じているのは、何か特定の分野というよりは、本当にさまざまな分野ですね。県内の事業者、あるいはその農林水産業の分野でも、AIを使ったり、衛星データを使って、生産管理を非常に効率的に効果的にできるだったり、あるいは建設の分野でも3Dで全部設計をして、その後の維持管理も非常にやりやすくなったりですとか、あるいはインフラも非常に老朽化していますから、県内でさまざまな事故も最近ありますけれども、しっかりと効率的にメンテナンスをする、そのために、AIやドローンを使ってより高度に監視をしていく、管理をしていくということができるようになってきています。これは技術がどんどん進めばさらにもっとできるようになると思うんですけれども、これをどんどんどんどん先取りしてやっていきたいというふうに思います。これによって産業力を高めていく、あるいは安心安全を高めていく、そうしたことが仕事あるいは生活、さまざまな面で踏み出すことができるだろうというふうに思います。
まだ、このデジタルの分野、日進月歩でありますから、これがどのように展開をしていくのか、あるいはどのような形で、われわれの生活をより改善してくれるのかということは、もっと進まなければ見えてこない部分もありますけれども、とにかく大きな可能性があることは間違いないですから、あらゆる分野において。ここをしっかりと県の事業で行うことによりまして、少しでも早くより質の高い生活だったり安心だったり、あるいは成長の実現、こうしたことにつなげていきたいと思います。
YAB(山口朝日放送)
今回そういった事業化できなくて、また今後こういう分野でもやっていきたいなみたいなイメージしている分野ってありますでしょうか。
知事
だいたい分野については、幅広くカバーをできているんだろうと思いますが、今やっている、特に医療の関係は、やはり安心安全に直結するというところでいうと、もっともっと実現できればいいなと思っています。5Gを使って遠隔で医療をサポートする、特に条件不利地域にお医者さんが少ないし、いても若い、技術的には専門性がまだ低いと言うか、これから力を付けていかなきゃいけない方々が多くいらっしゃる中で、しかし高齢化とか、お困りの方は条件不利地域にたくさんいらっしゃるわけですよね。ここをしっかりとサポートできるという意味では、今、5Gを使った実証も、まずは内視鏡から始めましたけれども、飲み込む、嚥下(えんげ)機能のリハビリですとか、それ以外の分野とか、どんどん拡大をしてやっていくことにしていますし、また先ほど言いました離島の関係でも、画像、高度な、高画質でやりとりができるようなものが実現をできることによって、よりその専門性の高い医療をより精度高くできるということになってきますと、これは、本当に県内全域で安心度がぐっと高まるだろうと思います。
デジタルと言うと、こう非常に、何と言いますか、特に高齢者の方は遠く感じられるかもしれませんけれども、ご自身が使うというんじゃなくて、皆さんをサポートする裏でデジタルがしっかりと働いているということによって、県内隅々に本当に安心が、高いレベルの安心が届けられる、実現できるだろうと思います。こうしたものは非常に分かりやすいし、非常に何と言いますか、直接、県民の皆さまの本当に困ってるところに手が差し伸べられる、助けられることだと思いますので、こうした部分で、より1日でも早くサービスが展開できるようにしていきたいなと思います。
YAB(山口朝日放送)
ありがとうございます。
NHK
予算のことではないんですけれども、まん延防止等重点措置が解除されて、どのように受け止められているかということを伺いたいです。ここ数日、前の週よりも、感染者数の発表が増えていたりですとか、1週間の比較で言うと1倍っていうところだと思うんですけれども、この状況をどう見ますでしょうか。
知事
そうですね。感染自体は2週間以上減少傾向が続いてきております。全国的にも減少傾向にありますので、大きなトレンドとしては減少していくという方向にあるだろうというふうに思います。その勢いがどの程度のペースで落ちていくかというところは分からないところはありますけれども、いずれにしても、まん延防止(等重点措置)自体は、飲食店の時短要請、ここは20日をもって解除しましたけれども、特に今回の感染において非常に多い、子どもたちの関係の施設だったり、あるいは高齢者の関係の施設、ここの対策はしっかりと行いながら、また先週発表しましたが、抗原検査キットもしっかり配って速やかに対処できるようにということも行っています。そういう努力をしながら、本当に急所のところはしっかりと抑えて、できるだけ感染を抑え込んでいきたいというふうに思います。これからどうなるかというところは、予断はもちろん許しませんし、具体的に予想することは難しいですけれども、感染自体はしっかりと抑え込んでいきながら、収束に向けた取り組みをしっかり継続していきたいと思います。
NHK
はい。先週発表あったというお話で、今の抗原検査キットを配るですとか、そういった発表されたような対策を行っていくことで、この減少していけるっていう予想というか、特に新たに何か、先週発表されたもの以外に何か新たにやるみたいな、そういうことは今のところは、特にないでしょうか。
知事
今のところ、新たに例えば早く検査、これも発表した内容ですけれども、薬局等で検査が速やかに受けられるように箇所数を大幅に増やしたりですとか、学校の対策自体はレベルを下げずにしっかりと継続をしたりですとか、そうしたことは行っていくのと、また、特に施設で起きたときにすぐに対応できるように、これは動画で、本当に手ほどきをして、こういうふうに起きたときには対処することによって感染が施設内で広がるのを抑えることができる。そのことをすぐに見られるようにするとか、考えられることはいろいろやってきているわけですね。これを行って全体的には減少傾向にありますから、ピーク自体は、山口県においても、全国においても越えてきたという局面に入ってきてるんだろうなと思いますので、この動きをできるだけしっかりとしたものにしていくということが重要だと思います。
NHK
ありがとうございました。
中国新聞
コロナ関連予算の話なんですけど、コロナ関連で大体875億円ぐらい、今回措置されたということで財政課の方にも伺ってたんですけど、今までにないぐらいしっかりとした予算を付けられたというところで、この全体、予算全体の規模を押し上げる要因の一つにもなったと思うんですけど、ちょっと改めて繰り返しになってしまうかもしれないんですけれども、これだけしっかり予算を付けたということの意図とか意義みたいなものというのを説明していただけますでしょうか。
知事
はい。まずコロナの、特にオミクロン株がそうですけれども、感染が非常に増えてきています。毒性というか、重症化するリスクは、これまでの株と比べたら少ないですけれども、感染者が非常に増えてきている中で、まずPCR検査はかなり大規模にやっていかなければいけません。しっかりと早く感染を把握して抑えるというためにはやっぱりPCR検査はとにかく大規模にできるようにしていかなければいけない。
それからあとは病床、それから宿泊療養施設、ここの確保も最大限していかなければいけません。やはりその医療がひっ迫するとやはり経済に大きなブレーキをかけなければいけなくなるわけですね。できるだけ、コロナが多少増えても、医療はしっかりと守られていく、一般医療にも支障がないという状態をつくるためには、医療や宿泊療養施設、ここの確保というのは非常に重要です。ですので、ここは最大限確保するということを、新年度予算においても継続して行うわけですね。これによって、当然、その歳出はこれまでよりも膨らんでくることになりますが、これはやはりコロナをしっかりと抑えていく、また県民の皆さまの安心をしっかりと確保していく、このために必要な予算だと思いますので、しっかりとした措置を行うこととしています。
中国新聞
コロナ以外にも、先ほど人口減少の話とかもありましたけど、県の課題っていろいろあると思うんですけど、それにどんどん充てたい施策みたいなものがあると思うんですけど、なかなか現状コロナでどうしても先送りだとか、見送らざるを得ないとか、そういった状況があると思うんですけれども。その財源確保の面でですね、先ほど、臨時交付金(地方創生臨時交付金)の話とかもありましたけど、具体的にどういう取り組みをしていって、財源を少しずつ確保していくかっていうようなところで、具体的なお考えが、今ありますでしょうか。
知事
そうですね。恒常的な財源となってくるとやっぱり税収を増やしていかないことにはどうしようもないですね。これはもちろん、県内の産業を成長させていくといったように、今苦しいところをもちろん維持していくというのももちろんですけれども、それ以上に、より成長を目指した取り組みということを後押ししていきたいと思います。
一つはデジタルですけれども、これによって生産性を高めたり、効率を高めたり、さらにはイノベーションを起こして付加価値を高めたり、そういったことができるわけですね。まずそういったところをしっかりと行っていくということもありますし、さらなる企業誘致だったり、産業の集積を生かして成長分野を伸ばしていく、こうした取り組みをすることによって、県内の成長をさらに進めて、これによる税収の増というのが結果的に出てくれば、これが財政のプラスの面に大きく働いてくるだろうと思います。
県内の産業、非常に何と言いますか、世界に対しても優れた競争力を持っていますし、今、今回のコロナ禍の中でも税収が維持できている、またさらに増えたりとかということというのは、そういうやっぱり山口県の産業力の強さがあるからだと思ってますので、ここをしっかりと伸ばしていくことを、これからさらに力を入れてやっていきたいと思います。
中国新聞
企業誘致の関係で、知事選の前なんかでも、実績をお話しされたりとかあったんですけど、今後の将来の目標というか、件数とか、雇用の人数、雇用をどれだけ増やすみたいな目標みたいなものがあるんでしょうか。
知事
そうですね。今のようなペースで続けられればいいなと思ってます。今大体、4年間で100件ぐらいのペースですね。前の4年間も、今この直近の4年間も、こんなペースできております。もっと増やせればそれに越したことはないですけれども、それに向けてさまざま環境を整えなければいけないこともあります。なかなか用地もどんどん、県有の誘致のための用地も埋まってきておりますし。一方で、そういう中で、かなり山口は災害も少なかったり、産業インフラが整っていたり、あるいは実際に来た企業からも、非常に、雇用した方が真面目に働くから本当に助かるという声も大変多くいただいて、そのことも誘致を検討している方々に伝えてもらったりもしているんですけれども。誘致においては、非常に優れている、優れた条件が整っていますので、かつデジタル化が進むことによって、より地方での事業活動がしやすくなってくる、この環境も整ってきているし、われわれもさらに整えていかなければいけないと思っていますけども。これは山口県にとって非常に持てる潜在力を生かして、山口県の成長につなげていける、そういったものが企業誘致だと思っていますので、これは継続的に私も力を入れてやっていきたいと思います。
中国新聞
分かりました。ありがとうございます。
山口新聞
今回の予算の中で確認したいことがあるんですけど、昨年の公選法(公職選挙法)違反で副知事が辞職されましたけど、今、調査チームが調査中だと思うんですけど、あの事件を受けて、綱紀粛正だとか、職員の意識改革だとか、そういうことに関わる予算というのは今回何かありますか。
知事
今この中にはそれはないです。というのが調査検討を今進めておりますので、これを、この報告を受けて、県としての対応は、そこから当然しっかりとしたものを考えていかなければいけないと思います。当然その中にはコンプライアンスを徹底するために、例えば職員にどのような研修するかとかいうようなことが入ってくるのだろうと思いますけれども、今時点でそこは確定できませんので、予算に反映しておりませんけれども、当然それをやるとなれば、予算、必要なものは当然執行していきたいと思います。それは予算化するのか、既定予算の中で何かできるのかは分かりませんけれども、いずれにしても、そうしたものは出てくるだろうと思います。
山口新聞
分かりました。ちなみに今、その調査の進捗は、知事はどのように報告を受けていますか。
知事
今、アンケートをして、あとはヒアリング等を行って、内容を整理しているというふうに承知をしております。
山口新聞
分かりました。ありがとうございました。
作成:山口県総合企画部広報広聴課