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公安委員会の開催概要(令和5年12月13日)
審議概要
本部長、警務部長、生活安全部長、地域部長、刑事部長、交通部長、警備部長、情報通信部長及び首席監察官同席の上、下記の報告を受けた。
児童相談所との連携の強化に向けた取組
生活安全部長から、「児童虐待事案の取扱状況であるが、警察から児童相談所への通告児童数は、全国では年々増加しており、山口県においても高止まりで推移している。令和5年11月末現在、通告態様別では心理的虐待が536人で最も多く、また、検挙件数は29件で、令和4年の19件を大幅に上回っている。児童虐待事案は声無き事案であり、事案が潜在化・長期化しやすい傾向にあるため、関係機関との連携した取組が重要となってくる。
児童相談所との情報共有・連携の強化に向けた取組であるが、3つの継続的な取組を実施している。
1つ目は、児童虐待の早期発見と被害の未然防止を図るため、平成29年に県健康福祉部こども子育て支援局と情報共有の在り方について協定を結んでいる。
2つ目は、児童相談所への警察官の出向で、平成31年に警部1人を中央児童相談所に新規配置し、令和4年には警部補1人を増員配置した。これにより、関係機関とより連携を図りつつ、児童相談所の職員とともに児童虐待事案に対応している。
3つ目は、合同研修・訓練の開催で、平成26年から継続的に取り組んでいる。本年は11月27日に開催、警察官、児童相談所及び自治体職員の合計約50人が参加した。実施内容は、立入調査や臨検・捜索等を想定したロールプレイング訓練、児童虐待事案における身体確認のポイント等に関する研修を行った。
また、新規取組として、児童相談情報管理システムの運用を開始する。これは全国でも数県しか導入しておらず、先進的な取組となる。運用開始は、令和6年1月9日を予定している。
今後の取組であるが、児童虐待事案における対処能力の向上を図るため、関係機関との合同研修・訓練を継続実施していく。更に、虐待容疑が認められる事案の早期事件化に向け、警察・検察・児童相談所等関係機関と連携した迅速な代表者聴取を実施していく。また、警察と児童相談所の業務の合理化・効率化を図るため、通告手続のオンライン化を目指している。」旨の説明があった。
大田委員から、「合同研修・訓練は、回を重ねることによって、それぞれの立場でより深く理解ができると思う。児童虐待事案の早期発見、未然防止に努めていただきたい。」旨の発言があった。
今村委員から、「合同訓練を視察したが、警察と児童相談所が立入調査や臨検・捜索を共に行う意義を考えた上で対応していかなければならないと感じた。また、警察と児童相談所では求めるものが異なり、警察は『人命を守ること』、児童相談所は『長期的な援助をすること』であるが、互いの立場でもう少しすり合わせが必要だと思う。警察官の出向について、中央児童相談所に2人の警察官を配置しているが、中央・東部・西部児童相談所のそれぞれに警察官1人の配置が理想という声が上がっていたので、ご承知おきいただきたい。」旨の発言があった。
弘永委員長から、「出向している2人の警察官が関係機関と連携を図っており、非常に意義があると感じている。子供たちの大切な命が失われることのないよう、引き続きお願いする。」旨の発言があった。
放置違反金滞納者に対する捜索差押えの実施
交通部長から、「駐車違反に伴う放置違反金の未収金対策として、再三の督促にも関わらず納付がなされない者に対しては、銀行口座を差し押さえるなどして滞納者の解消に努めてきた。しかしながら、銀行口座に残金がなく、訪問による督促においても手持ち金がないと支払いを逃れる者がいるため、今回、『逃げ得は許さない』という観点から県警察では初となる国税徴収法に基づく居宅の捜索差押えを実施した。
捜索差押えの実施状況であるが、交通指導課駐車対策担当以下4名の警察官と警察署の警察官1名が対象者方を訪問、対象者と面接した。しかしながら、対象者から任意納付の意思が認められなかったことから、国税徴収法第142条の規定により居宅内の捜索を行う旨を宣言、居宅内に立入り捜索を開始したところ、対象者が納付の意思を申し立て、放置違反金15,000円及び滞納金1,000円を差し押さえた。
今後の方針であるが、口座預金等の発見が困難であり、任意納付にも応じる姿勢のない悪質滞納者に対しては、引き続き国税徴収法の規定に基づく捜索差押えを念頭に、放置違反金の未収金対策を強力に推進していく。」旨の説明があった。
大田委員から、「捜索差押えまでの過程において、かなりの労力がかかっている。費用対効果から見れば合う話ではないが、対象者には徹底した請求があることを認識させなければならない。今回のような執行を念頭に置き、取り組んでいただきたい。」旨の発言があった。
今村委員から、「『逃げ得は許さない』という視点はとても大事だが、現役の警察官が対象者方へ何度も足を運ぶのは勿体ない。警察OBや徴収事務に携わったことのある人などにタスク・シフトするのも一つの手だと思う。」旨の発言があった。
弘永委員長から、「県内初ということに少し驚いた。今後も粘り強く取り組んでいただきたい。」旨の発言があった。
持続可能な交通規制の推進
交通部長から、「交通規制は、交通事故防止及び快適な交通の流れを確保する上で必要不可欠である。交通規制による交通管理は警察の重要な責務であり、県警察では交通事故の危険性や道路の新設等で必要性が生じた所には、遅滞なく交通安全施設の整備に努めている。一方、過去に設置した交通安全施設の中には、現状の交通環境に適合しなくなったものが数多く存在するのが実態である。
過去、交通戦争といわれた時代には潤沢な予算で信号等が設置されたが、それから3、40年が経過、老朽化がすすみ、倒壊のリスクを生じさせている状況にある。
近年、財政状況がひっ迫する中、当時設置した交通安全施設の全てを更新することは難しく、安全で円滑な交通環境を維持するために真に必要なものを適切に更新・維持し、必要性の低下した交通規制を廃止するなど、中長期的視点に立ったストック数の管理が必要となる。
これを踏まえ、県警察では令和3年3月に山口県警察交通安全施設長寿命化計画を策定し、交通安全施設の定期的な点検、診断、修繕、更新、メンテナンスサイクル等を規定し、計画的な維持・管理・更新に努めている。
推進状況であるが、平成30年度末と比較し令和4年度末は、信号機が97か所減少、信号機以外の交通規制が867か所減少している。これは、学校の統廃合や交通事故の発生状況等を勘案して見直しを行ったことによるものであるが、特に信号機は、一灯点滅式信号機を一時停止の規制に変えるなどの見直しを図った。信号機は単に廃止するのではなく、道路管理者による路面へのカラー舗装などの対策をとっている。
今後の方針であるが、必要な交通安全施設の維持管理のために予算を確保するとともに、警察庁が示した『実態に適合した交通規制を実施するための見直し』『コスト縮減のための交通安全施設等のストック数の削減』『必要性が低下した交通規制の廃止』を柱とする令和6年度から5年間の中長期計画を策定し、この計画を基に交通規制の見直しに努めていく。」旨の説明があった。
大田委員から、「厳しい財政状況の中、限られた資源を必要な場所に投入し、不要な部分を削減していくという見極めが大切になってくる。安全確保がなされるか十分に検討していただくとともに、地域住民の意見にも配意していただきたい。」旨の発言があった。
今村委員から、「最低限必要なものに逓減することは良いことである。」旨の発言があった。
弘永委員長から、「警察署協議会の会議の場で委員から交通安全施設に関する意見をいただくことがあるが、一般の方からの意見も速やかに警察に上がってくるような仕組みがあると良い。」旨の発言があった。
警察庁指定広域技能指導官による警備広報研修会の開催結果
警備部長から、「雑踏警備の現場等における警備広報について、その知識と技能の向上を図るため、県警察において初めて研修会を開催した。
研修会の指導者は警察庁指定広域技能指導官で、機動隊員、警察署警備課員及び管区機動隊員等が参加し、研修を受けた。
訓練概要であるが、警備広報時における留意事項、事前の心構え等について、指導官の経験談を踏まえた講義を行った。また、警備広報訓練では、雑踏警備や治安警備現場を想定し、指揮官車等を活用した実践的訓練を実施した。
参加者からは、『声の警備力と部隊活動の連携の大切さを認識した』『事前に広報内容をイメージしておくことが重要だと感じた』などの反響があった。
今後は、参加者が各所属でフィードバック教養を実施するとともに、実際の雑踏警備現場において警備広報を活用していく。」旨の説明があった。
大田委員から、「実践の場で警備広報を行い、経験を積んでいただきたい。警備広報に長けた警察官が多く育つと良い。」旨の発言があった。
今村委員から、「小さな雑踏が、大きな事故に繋がるような雑踏になることもある。相手を誘導したり、落ち着かせたりする『声の警備力』はとても凄い力だと思うので、今後も訓練を重ねていただきたい。」旨の発言があった。
弘永委員長から、「研修や訓練は重ねていくことが大事である。何人かを抜擢して場数を踏ませていくことも必要だと思う。できる者が育つと次に続く者が増えてくるのではないか。」旨の発言があった。
決裁・報告
課長等から下記のとおり説明を受け、決裁を行うなどした。
決裁概要
- 苦情の申出に対する調査結果及び回答
公安委員会会務官から、11月1日に受理の報告を受けた公安委員会宛ての苦情の申出について、地域企画課長から、11月15日に受理の報告を受けた公安委員会宛ての苦情の申出について、それぞれ調査結果の説明を受け、回答文を決裁した。 - 緊急の場合における援助の要求に係る公安委員会の意思決定の手続
公安委員会会務官から、緊急の場合における警察法第60条第1項の規定に基づく援助の要求等に係る山口県公安委員会の意思決定の手続について説明を受け、申合せを決裁した。 - 審査請求に係る弁明書の作成
運転免許課長から、11月15日に受理の報告を受けた審査請求について、弁明書を決定し、審査請求人に対する弁明書の送付及び反論書の提出要求について説明を受け、決裁した。 - 犯罪被害者等給付金の申請受理
警察県民課長から、11月28日に申請された犯罪被害者等給付金の申請について報告を受け、決裁した。 - 犯罪被害者等給付金の支給裁定
警察県民課長から、4月5日に報告を受けた犯罪被害者等給付金の申請について、給付金の支給を裁定し、決裁した。 - 五代目工藤會に対する第11回特定危険指定延長に係る集約結果
組織犯罪捜査管理官から、五代目工藤會に対する第11回特定危険指定延長に係る集約結果について報告を受け、決裁した。
報告概要
- システム障害発生を想定した訓練の実施
運転免許課長から、システム障害の発生を想定した運転免許事務に係る対処訓練の実施について、報告を受けた。 - 山口県公安委員会事務の専決状況
交通企画課長から、11月中の交通企画課関係の山口県公安委員会事務の専決状況について、交通指導課長から、11月中の交通指導課関係の山口県公安委員会事務の専決状況について、それぞれ報告を受けた。 - 監察関係業務報告
監察官から、11月中の非違事案について、報告を受けた。
協議
今後の公安委員会における運営について協議した。
(編集 総務課)