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公安委員会の開催概要(令和5年7月26日)
審議概要
本部長、警務部長、生活安全部長、地域部長、刑事部長、交通部長、警備部長、情報通信部長及び首席監察官同席の上、下記の報告を受けた。
うそ電話詐欺被害防止対策の推進状況(1~6月)
生活安全部長から、「上半期におけるうそ電話詐欺被害防止対策の推進状況であるが、被害認知状況は、認知件数37件で前年同期比12件の減少、被害額1億1,146万円で前年同期比1,141万円の減少となった。減少の主な理由は、架空料金請求詐欺の大幅な減少に加え、還付金詐欺が減少したことによるものである。また、1,000万円を超える高額被害は4件認知しており、うち3件は独居の高齢女性である。
被害の特徴であるが、手口別でみると、架空料金請求詐欺の占める割合が多く、オレオレ詐欺、預貯金詐欺、キャッシュカード詐欺盗が少ない。また、交付形態別でみると、電子マネー型の割合が際立っており、犯人と被害者が接触しない形態が多く、金融機関やコンビニにおける水際阻止対策が重要と言える。次に、高齢者被害の状況については、全体の70%が高齢者被害であり、そのうち65%が固定電話への架電によって騙されるという形態が多い。
被害防止対策であるが、金融機関やコンビニと連携した水際阻止対策の更なる強化、固定電話対策としてNTT西日本の無償化サービスに関する周知・支援、特別警戒警報の発令・県下一斉広報活動を実施していく。
今後の取組として、NTT西日本山口支店と連携した無償化サービス体験型イベントを開催し、高齢者に無償化サービスの利便性を周知するとともに申込手続をサポートする。また、コンビニが加盟する日本フランチャイズチェーン協会と連携した「声掛けチェックシート」の作成により、水際阻止対策の強化に努めていく。さらに、山口県老人クラブ連合会、山口県自治会連合会と連携した広報活動を通じ、高齢者に対する防犯指導の向上を図っていく。」旨の説明があった。
弘永委員から、「金融機関やコンビニの協力的な対応により、水際阻止対策が功を奏していると感じる。NTT西日本の無償化サービスは、高齢者だけでなく、その家族に対する働きかけも効果的と思う。」旨の発言があった。
大田委員から、「被害防止対策は、被害に遭われる高齢者、金融機関・コンビニに対するPRに加え、一般に対するPRも重要なので、今後も継続していただきたい。」旨の発言があった。
今村委員長から、「水際阻止対策がポイントだと感じる。関係機関への強力な働きかけを引き続き行っていただきたい。」旨の発言があった。
夏期の水難事故・山岳遭難対策の取組状況
地域部長から、「コロナ禍明けの今夏は、レジャーによる水難事故や山岳遭難等の事故の増加が懸念されることから、初動対応にあたる地域警察官の救護能力の向上を図るとともに、事故防止に関する広報啓発活動や関係機関との協力関係の構築を図っている。
水難事故の発生状況であるが、令和元年のピーク後、新型コロナの影響もあり減少したが、今年は増加に転じる状況にある。水難事故防止対策として、県下の地域警察官を対象とした救急法実戦塾を開催し、水難者の救助要領や実戦的な想定訓練を実施した。
また、メルマガ等による広報啓発や学校等関係機関へ協力依頼し、水難事故防止を呼び掛けた。
次に、山岳遭難の発生状況であるが、例年10人前後の遭難者が発生しており、今年はやや多いペースで推移している。山岳遭難の多くは、高齢者が単独又は2人で登山したものの、日没や経験不足等により道に迷ったものである。
登山者には、遭難時に迅速的確に救助するために登山計画書の提出をお願いしているが、届出件数は低調で、これまでの遭難者の誰一人として届出されていない現状を鑑み、昨年、登山地図会社『コンパス』『ヤマップ』と協定を結び、警察が登山者情報を共有できるようになった。
今後の取組として、8月11日の山の日に合わせ、防府市の右田ヶ岳登山口において登山届の提出促進に関する広報啓発活動を行う。また、各警察署においても登山口や商業施設等で広報活動を行うほか、本部員によるラジオ出演での広報も実施する。
引き続き、水難事故や山岳遭難を未然に防止するため、地域警察官に対する実戦的な訓練のほか、関係機関・団体との緊密な連携による広報啓発活動を継続的に実施していく。」旨の説明があった。
弘永委員から、「実戦的な訓練は、警察官の能力向上が期待できる。全国的には子供の水難事故も多く発生しているので、学校に対する働きかけも引き続き行っていただきたい。」旨の発言があった。
大田委員から、「実戦塾で習得した技術や知識をいざという時に使えるようにしておかなければならないが、一方で使える機会はそうはない。得られた技術や知識を維持するために、反復・継続した訓練をお願いする。」旨の発言があった。
今村委員長から、「登山届の提出について成果は上がりそうか。」旨の発言があり、地域部長から、「昨年の登山届は『コンパス』が63件、『ヤマップ』が171件であったが、今年は6月末現在で『コンパス』が103件、『ヤマップ』が1,024件でかなり増えている。今後も登山者への広報を継続していく。」旨の説明があった。
山口県の犯罪情勢(1~6月)
刑事部長から、「上半期における山口県の犯罪情勢であるが、全刑法犯の認知件数は、前年同期と比較して70件増加しており、窃盗犯の増加が顕著である。
重要犯罪の認知件数は、前年同期と比較して7件減少している。検挙率は104.2%となっており、全国第5位である。
重要窃盗犯の認知件数は、前年同期と比較してほぼ同数で推移している。検挙率は79.2%となっており、全国第7位である。
特殊詐欺の認知件数及び被害額は、前年同期と比較して減少しており、オレオレ詐欺、還付金詐欺の検挙件数が増加した。検挙件数が増加した理由は、組織犯罪対策の体制強化により機動的捜査が展開できたことが挙げられる。
暴力団犯罪の検挙人員は21人であり、今後も徹底して検挙していく。
薬物犯罪の検挙人員は前年同期と比較して減少している。」旨の説明があった。
弘永委員から、「最近の報道から強盗や窃盗が増えている印象を受けるが、山口県は好成績で推移しており心強い。引き続き、安全・安心な山口県を維持していただきたい。」旨の発言があった。
大田委員から、「体制強化により、特殊詐欺の現場において警察の即応体制が実現できたことは非常に良かったと思う。引き続きお願いしたい。」旨の発言があった。
今村委員長から、「重要犯罪と重要窃盗犯の検挙率が高い理由は何か。」旨の発言があり、刑事部長から、「捜査員一人一人の意識の高さに加え、4月に発足した捜査支援分析課の存在も大きい。」旨の説明があった。さらに、今村委員長から、「今後は、システム化による情報の一元化も大事になってくる。」旨の発言があった。
山口県の交通事故情勢(1~6月)
交通部長から、「上半期における山口県の交通事故情勢であるが、交通事故の発生状況は、人身事故が1,120件で前年同期比8件の増加、物損事故が17,525件で前年同期比1,473件の増加となった。コロナ後の行動緩和で人や車の動きが増えたことなどにより、交通事故総数は9%増加しているが、人身事故はほぼ横ばい、死者数も前年並みを維持している状況である。
人身事故の推移であるが、人身事故件数は5年前と比較し43.2%減少した。また、死者数も20%減少した。
死亡事故の特徴として、年齢層別死者の状況であるが、65歳以上の高齢者の死者数が全体の56.3%を占めている。依然として高い水準にあるものの、5年前対比で35.7%減少しており、現在推進している各種高齢者対策の成果が出ているものと考えている。一方で、55歳から64歳の中高年の死者数は5人で全体の31%を占めており、そのうち3人は夜間歩行中の被害となっており当面の課題である。事故類型別死者の状況であるが、歩行者が被害に遭う比率が全体の37.5%を占めており、過去5年と比較しても高い。対策として、ドライバーに対しては、ハイビームのこまめな切り替え等による歩行者の早期発見、横断歩道等の歩行者優先の再徹底、また、歩行者に対しては、横断歩道以外での横断、横断歩行者による信号無視、飲酒した状態での道路横断等について注意喚起を行っていく。
例年、下半期は上半期よりも交通死亡事故が増える傾向にあり、特に9月以降は歩行者被害が増える傾向にある。過去5年間の下半期における歩行者被害の死亡事故では、17時から20時の発生が約半数を占めており、年末に向けて厳しい情勢が予想される。
これを踏まえた今後の取組であるが、高齢者の総合的な交通事故防止対策をはじめ、コロナ後の行動緩和により増加が懸念される飲酒運転や速度違反の指導取締りの強化、道路横断中の事故防止に向けたドライバーと歩行者双方に対する広報啓発・指導を重点として、SNSなども活用しながら取組を推進していく。」旨の説明があった。
弘永委員から、「歩行者優先ルールも浸透してきたと感じる。地道な広報が必要だと思うので引き続きお願いする。」旨の発言があった。
大田委員から、「死亡事故について加害者の年齢層はどうか。」旨の発言があり、交通部長から、「ドライバーの年齢層は幅広く分布しており、それぞれの年齢層で特徴がある。」旨の説明があった。さらに、大田委員から、「年齢層ごとに特徴があるのなら、それに応じた策を講じていただきたい。」旨の発言があった。
今村委員長から、「横断歩道で停止する車が増えたと感じており、成果が上がっていると思う。高齢者の運転免許の返納については、『返納する』『返納しない』『サポカー限定』などいろいろな選択肢があることが大切だと思う。」旨の発言があった。
決裁・報告
課長等から下記のとおり説明を受け、決裁を行うなどした。
決裁概要
- 運転免許の行政処分
運転管理課長から、運転免許の行政処分に係る意見の聴取・聴聞への出席者4人からの聴取結果について報告を受けるとともに、処分理由等の説明を受けた後、審査の上で処分を決定した。欠席者20人については、運転管理課長から処分理由等の説明を受けた後、審査の上で処分を決定した。また、他3人については、再呼出しとした。 - 次回開催する意見の聴取・聴聞の主宰者指名
運転管理課長から、8月9日に開催する意見の聴取・聴聞における主宰者の指名について説明を受け、決裁した。 - 審査請求の審理
交通規制課長から、令和4年6月8日に受理の報告を受けた審査請求について、交通企画課長から、令和4年9月21日に受理の報告を受けた審査請求について、それぞれ審理経過の説明を受け、裁決書を決裁した。 - 犯罪被害者等給付金の申請受理
警察県民課長から、7月13日に申請された犯罪被害者等給付金の申請について報告を受け、決裁した。 - 審査請求に係る山口県情報公開・個人情報保護審査会への諮問(3件)
警察県民課長から、5月10日に受理の報告を受けた審査請求3件について、山口県情報公開・個人情報保護審査会に諮問する旨の説明を受け、決裁した。 - 風俗営業等に係る処分基準の改定
生活安全企画課長から、刑法の改正等に伴う処分基準の改定について説明を受け、決裁した。 - 猟銃の教習資格認定の不認定
生活安全企画課長から、3月1日に申請された射撃教習を受ける資格の認定について、調査結果の報告を受け、不認定通知を決裁した。
報告概要
- 山口県公安委員会事務の専決状況
運転管理課長から、6月中の運転管理課関係の山口県公安委員会事務の専決状況について、運転免許課長から、6月中の運転免許課関係の山口県公安委員会事務の専決状況について、交通企画課長から、6月中の交通企画課関係の山口県公安委員会事務の専決状況について、交通規制課長から、6月中の交通規制課関係の山口県公安委員会事務の専決状況について、生活安全企画課長から、6月中の生活安全企画課関係の山口県公安委員会事務の専決状況について、警備課次長から、6月中の警備課関係の山口県公安委員会事務の専決状況について、それぞれ報告を受けた。 - 犯罪被害者等早期援助団体に関する規則に基づく報告
警察県民課長から、山口被害者支援センター事業規程の変更及び役職員等名簿の変更について報告を受けた。 - 「山口県警察特定事業主行動計画」の実施状況及び女性の職業選択に資する情報の公表
企画室長から、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等に基づく「山口県警察特定事業主行動計画」の実施状況及び山口県警察における女性の職業選択に資する情報の公表について報告を受けた。 - 犯罪抑止対策の推進状況
生活安全企画課長から、1~6月における犯罪抑止対策の推進状況について報告を受けた。 - 生活環境課関係業務報告
生活環境課長から、生活環境課関係業務に関する報告を受けた。 - 捜査第一課関係業務報告
捜査第一課長から、捜査第一課関係業務に関する報告を受けた。 - 監察関係業務報告
監察官室長から、監察関係業務について、監察官から、令和5年度第1四半期における監察実施状況について、それぞれ報告を受けた。
協議
今後の公安委員会における運営について協議した。
(編集 総務課)