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公安委員会の開催概要(令和5年2月8日)
審議概要
本部長、警務部長、生活安全部長、地域部長、刑事部長、交通部長、警備部長、情報通信部長及び首席監察官同席の上、下記の報告を受けた。
サイバー空間の脅威に関する現状と対策(令和4年中)
生活安全部長から、「サイバー関係の相談受理状況であるが、令和4年中は4,468件(前年比+501件)であった。主な相談としては、偽ショッピングサイトに係る詐欺被害や宅配業者等を騙った不審なSMSの受信に関する相談があった。
次に、検挙状況であるが、令和4年中のサイバー犯罪の検挙件数は118件(前年比+31件)であった。主な検挙事件としては、クレジットカード情報を悪用した電子計算機使用詐欺や偽ブランド品を販売した商標法違反があった。
サイバー空間の脅威への対策の推進状況であるが、産学官民と連携した被害防止対策については、情報発信ネットワークの拡充、企業・自治体・団体等との連携、サイバー防犯ボランティアの拡充と活動支援を推進した。組織の対処能力向上対策については、警察職員に対する教養等の充実、捜査支援ツールの拡充を推進した。今後の取組として、高度なサイバー犯罪や社会的反響の高いサイバー犯罪の検挙、犯罪手口・傾向を踏まえた各種被害防止広報、警察職員の対処能力の向上のための取組を推進していく。」旨の説明があった。
弘永委員から、「県警と民間団体等との連携については、マスコミを通じていろいろと目にすることが増えてきた。こうした取組は、被害を防止していく上で重要なので、今後も一層広げていってもらいたい。一方で、相談件数がかなり増えているが、その反面、検挙件数は前年に比べて増えているものの、まだ十分とは言えないように思う。サイバー犯罪は、匿名性が高く捜査が難しいだろうが、検挙につながる取組を進めてもらいたい。」旨の発言があった。
大田委員から、「サイバー犯罪者は、手口をいろいろと変えてくるので、常にそれを上回る備えが必要な分野である。当県は、刑法犯認知件数が20年連続で減少し、犯罪率も全国で上位に位置しており、治安は良い方に分類されるようだが、県民感覚として体感治安が良くなっているとは言えない。認知件数や相談件数の数値だけに一喜一憂することなく、取締りと抑止の両面から業務を進めてもらいたい。」旨の発言があった。
今村委員長から、「捜査支援ツールの拡充とはどういった取組か。」旨の発言があり、生活安全部長から、「警察庁を中心として、全国警察と捜査支援ツールに関する情報交換をしており、都道府県警察が独自に開発した捜査支援ツールを提供し合うなどして合理化を進めている。」旨の説明があった。また、刑事部長から、「当県においても、犯罪捜査支援に役立つ捜査支援ツールを作っており、各県が開発したものは警察庁で集約し、それを全国警察に紹介する仕組みがある。」旨の説明があった。さらに、本部長から、「開発に予算がかかるものや1つ作れば全国警察でシェアできるものなどについては、警察庁が調整を行っている。」旨の説明があった。
可搬式速度違反自動取締装置の運用状況(令和4年中)
交通部長から、「可搬式速度違反自動取締装置は2台管理しており、令和4年中は、県下91箇所において323回運用した。取締り件数は、523件である。運用効果であるが、取締りを実施した場所の一部においては実勢速度が5km/h以上低下した。付近の住民からは「これからも続けてほしい」などの好意的な声が多く聞かれている。また、当該装置によって、正確な測定と客観的証拠による確実な立証が可能となり、高度な取締りが実現した。加えて、少数の警察官で取締りができるため、取締り活動の合理化にもつながっている。なお、違反告知までの処理日数は平均14.4日、最短2日、最長233日であった。処理が長くなったのは、運転手が県外居住者であったなどが理由である。
この装置の運用は、県民の理解と共感が得られるものと認識している。取締りの高度化や交通事故抑止の面からも高い効果を発揮しているので、引き続き通学路や生活道路における取締り、重大事故現場での集中運用など、取締りの必要性や緊急性が認められる時間帯、場所において効果的に運用していくこととしている。」旨の説明があった。
弘永委員から、「スピードを出す車が多いので取り締まってほしいなどの住民からの要望があった場合、その声を反映して実施することがあるのか。」旨の発言があり、交通部長から、「委員のおっしゃるとおり、住民からの要望に沿った形で警察署員と本部員が合同で取締りをしている。取締要望が多いのは、通学路である。なお、この装置は、交通指導課で管理している。」旨の説明があった。さらに、弘永委員から、「取締りをしているとの認識があれば、ドライバーは速度を抑制すると思う。取締り場所を限定せず、幅広くやってもらいたい。」旨の発言があった。
大田委員から、「全国では、通学途中の子供の列に車が突っ込むなどの痛ましい事案が発生しており、そういったおそれのある場所で取締りをすることが必要だと思う。通学路は、広い道路ばかりでなく、狭あいな道路もあるので、そういった場所での取締りは非常に有効だと思う。ただ、保有台数が2台というのは、少ないように思う。予算の問題もあるだろうが、各署に1台ずつ配分し、見せる活動を含めて、いろいろな場所で取締りをして事故の防止に努めてもらいたい。」旨の説明があった。
今村委員長から、「前年までの当該装置の運用状況はどのようになっているのか。」旨の発言があり、交通部長から、「この装置は、1台目を令和2年11月に、2台目を令和4年4月に整備した。令和2年の運用は27回、取締件数31件、令和3年の運用は176回、取締件数530件、令和4年の運用は323回、取締件数523件で、合計すると運用回数526回に対し、取締件数1,084件である。装置の取扱いには訓練を要するが、その取扱いにも慣れてきて、運用回数が増えている。この装置は、取締りだけでなく、いわゆる見せる活動として運用しても大きな効果を発揮しており、例えば、交通死亡事故の発生現場に一定期間設置して車両速度の抑制を図るなどしている。したがって、必ずしも、運用回数の増加に伴って、取締件数が増えるものではない。」旨の説明があった。
山口県警察と自衛隊による共同実動訓練の実施状況
警備部長から、「この訓練は、県警と自衛隊の共同対処が必要な事態発生を想定し、両部隊の連携要領を確認するとともに、対処能力の向上を図ることを目的として、1月31日に陸上自衛隊山口駐屯地において実施した。参加人員は、県警と自衛隊を合わせて99人である。今後の方針であるが、武力攻撃や重大テロへの備えやG7広島サミット警備等に万全を期すべく、関係機関等との連携強化と各種訓練を行い警察部隊の対処能力の向上を図ることとしている。また、情報発信を通じて、テロ防止に向けた気運の醸成と県民の理解と協力の確保に努めていく。」旨の説明があった。
弘永委員から、「武力攻撃や重大テロなどは、以前なら絵空事のようだったが、ここ1、2年は身近に感じるようになった。こうした訓練を重ねて有事における体制を整え、県民の安全・安心に努めてもらいたい。」旨の発言があった。
大田委員から、「この対応は、内閣総理大臣が自衛隊に治安出動を下命することが前提となるのだろうが、そこに至るまでの県警の活動についても、こうした訓練を現実的なものとして捉えなければならない情勢にあり、十分に検討していってもらいたい。」旨の発言があった。
今村委員長から、「この訓練の様子をニュースで見たが、自衛隊が活動するうえで、警察が道路の安全を確保することは重要だと改めて思った。また、報道機関を通じて、こうした活動をきちんと広報することで県民の理解も得られるはずである。今後も、報道機関と連携しながら活動を続けてもらいたい。」旨の発言があった。
決裁・報告
課長等から下記のとおり説明を受け、決裁を行うなどした。
決裁概要
- 運転免許の行政処分
運転管理課長から、運転免許の行政処分に係る意見の聴取・聴聞への出席者6人からの聴取結果について報告を受けるとともに、処分理由等の説明を受けた後、審査の上で処分を決定した。欠席者23人のうち20人については、運転管理課長から処分理由等の説明を受けた後、審査の上で処分を決定し、3人については、権利放棄により決定した。また、1人については、再呼出しとした。 - 審査請求に係る弁明書の作成(3件)
運転管理課長から1件、刑事企画課長から2件、1月18日に受理の報告を受けた審査請求について、弁明書を決定した。また、審査請求人に対する弁明書の送付及び反論書の提出要求について説明を受け、了諾した。 - 運転免許の事後取消処分
運転管理課長から、運転免許の事後取消処分について報告を受け、処分を決定した。 - 意見の聴取・聴聞の主宰者指名
運転管理課長から、2月22日に開催する意見の聴取・聴聞における主宰者の指名について説明を受け、決裁した。 - 審査請求の審理
人身安全対策課長から、令和2年5月13日に受理の報告を受けた審査請求について、審理経過の説明を受け、裁決書を決定した。 - 審査請求に係る山口県情報公開審査会への諮問
警察県民課長から、令和4年11月16日に受理した審査請求について山口県情報公開審査会に諮問する旨の説明を受け、了諾した。 - 特例施設占有者の指定
会計監査官から、株式会社マルハンから遺失物法施行令第5条第5号に規定する指定を受けることについて申請があった旨の説明を受け、了諾した。 - 警察職員の派遣に係る援助要求
警備課次長から、島根県公安委員会からの「竹島の日」記念式典に伴う警備の援助要求に関し、派遣期間等の説明を受け、了諾した。
報告概要
- 業務説明
本部長から、人事案件について説明を受けた。 - 留置管理課関係業務報告
留置管理課次長から、留置管理課関係の業務について説明を受けた。 - 運転免許課関係業務報告
運転免許課長から、運転免許課関係の業務について説明を受けた。 - 総務課関係業務報告
総務課長から、総務課関係の業務について報告を受けた。 - 令和5年度警察費当初予算(案)の概要
会計課長から、令和5年度警察費当初予算(案)の概要について説明を受けた。 - 警察本部産業医の新設等に係る令和5年度当初予算(案)の概要
厚生課主幹から、警察本部産業医の新設等に係る令和5年度当初予算(案)の概要について説明を受けた。 - 指定射撃場の廃止
生活安全企画課長から、指定射撃場の廃止について説明を受けた。 - 山口県公安委員会事務の専決状況
警備課次長から、1月中の警備課関係の山口県公安委員会事務の専決状況について報告を受けた。 - 監察関係業務報告
監察官室長から、2月県議会で報告する損害賠償事案及び1月中の苦情処理状況について、監察官から、1月中の非違事案について、それぞれ報告を受けた。
協議
今後の公安委員会における運営について協議した。
(編集 総務課)