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公安委員会の開催概要(令和4年1月12日)
審議概要
警務部長、生活安全部長、地域部長、刑事部長、交通部長、警備部長、情報通信部長及び首席監察官同席の上、下記の報告を受けた。
メンタルヘルス対策の推進状況
警務部長から、「県警察におけるメンタルヘルス不調による長期休務者の推移は、平成28年度以降、増加傾向にあり、令和元年度が最多となっている。メンタルヘルス不調は一度発症すると、繰り返し発症する事例が多く、新規発症者をいかに防止できるかが課題となる。
メンタルヘルス不調による休務日数は、全体休務日数の7割を占め、令和2年度は人数換算で11人分のマンパワーが欠けたこととなる。
現在講じている対策は、予防的な対策として
〇 身近な同僚による支援(ピアサポート制度)
〇 ストレス耐性を高める運動習慣の意識付け
〇 ストレスチェック集団分析による改善対応
〇 長時間勤務者の把握、保健師による健康指導・産業医による面接
〇 メンタルヘルス相談利用券による個別相談
を、発症後の対策として
〇 要支援職員の指定による組織的な支援
〇 保健師による相談対応
〇 段階的な職場復帰訓練
〇 復職可能判断に当たってのメンタルヘルスアドバイザーの活用
を、そのほか、ヘルスアップ研修会・管理監督者会議を開催するなどしている。
現在、体制としては、産業医2名、保健師4名であるが、産業医2名については、県警本部のみならず、知事部局、教育庁も担当している。継続的な課題として、知事部局に対して、産業医・保健師の体制強化を要望している。」旨の報告があった。
今村委員から、「警察業務は、職務執行そのものが県民の権利、利益に直結するためストレスの高い職務で、知事部局や教育庁とはメンタルヘルスの質が違うように感じている。また、全体休務日数に占めるメンタルヘルス不調者の休務日数が7割である状況等を踏まえると、県警本部に専従の産業医が必要であり、その産業医が保健師を指導できる体制をきちんと構築することが重要と考える。なお、警察独自の産業医が配置となれば、毎月開催することとなる衛生委員会において、メンタルヘルス対策に関する情報共有が進むものと思われる。予防的な対策として、メンタルヘルス相談利用券を全職員に配布しているとのことであるが、メンタルヘルス不調者にとって、医療機関にファーストタッチできるチャンスを増やすという意味で、良い取組と考える。また、ストレスチェック集団分析を実施しているとのことであるが、分析結果は管理者側に対策のために必要なヒントを与えてくれるものであり、組織で共有し、問題点があれば改善に向けた流れを作っていくことが重要である。さらに、発症後の対策として、段階的な職場復帰に向けた取組を実施しているとのことであるが、再発症事例が多いという状況を踏まえると、メニューを策定する際に、産業医等の専門的知見を反映させるなど、復帰のための取組に力を入れていく必要があるものと考える。」旨の発言があった。
弘田委員長から、「県警独自に産業医がいることは重要と考える。体制強化に向けた働きかけを継続して実施してもらいたい。ストレス集団分析結果についても組織でしっかり共有していただきたい。」旨の発言があった。
人身安全関連事案の取扱状況(令和3年中)
生活安全部長から、「昨年は、改正ストーカー規制法の部内外への周知、児童虐待事案に関する市町等関係機関との連携強化等の施策を推進した。
令和3年中、ストーカー事案は、相談件数が308件(前年比-8件)で若干減少したものの、4年連続300件を超えた。対応状況については、ストーカー規制法違反で11件、他法令違反で16件検挙している。配偶者暴力事案は、相談件数が954件(前年比-44件)で減少したものの、4年連続900件を超えた。対応状況については、配偶者暴力防止法違反で2件、他法令違反で23件検挙している。児童虐待事案は、通告児童数が676人(前年比-59人)で減少したものの、前年に次いで2番目の多さであった。このうち、傷害、殺人で8件検挙している。行方不明事案は、受理件数が912件(前年比+7件)で、種別では福祉犯の被害に遭うおそれのある行方不明者が増加し、過去最多となった。また、自救無能力(認知症等)の行方不明者は前年に次いで2番目の多さとなった。
今後の対策として
〇 被害者等の安全確保を最優先とした対応の推進
〇 児童虐待危険度判定チェック票の活用
〇 改正ストーカー規制法等各種法令を適用した検挙・行政措置の徹底
を図ることとしている。」旨の報告があった。
弘永委員から、「報道等で児童虐待事案を見聞きするたびに、児童相談所の積極的な関与により事件を防ぐことができなかったものかと感じる。警察としても児童相談所との連携強化を図り、事件防止に努めてもらいたい。」旨の発言があり、生活安全部長から、「警察としても児童相談所と積極的に情報共有するなど、連携強化に努めていきたい。」旨の説明があった。
今村委員から、「行方不明事案について、どの程度解決しているのか。」旨の発言があり、生活安全部長から「昨年中は、898件を解決している。」旨の説明があった。
弘田委員長から、「人身安全関連事案は大きな治安課題であり、今後ともしっかり対応していただきたい。」旨の発言があった。
交通事故発生状況(令和3年中)
交通部長から、「山口県の交通事故発生状況は、発生件数2,458件(前年比-183件)、死者数34人(前年比-8人)、負傷者数2,947人(前年比-214人)で、いずれも減少した。物損事故件数は、34,704件(前年比+980件)で増加したが、交通量が極端に減少した前年を除くと過去最少であった。発生件数(人身事故)は22年連続、負傷者数は21年連続、重傷者数は4年連続の減少となり、死者数は統計を取り始めた昭和26年以降で最少を記録した。また、第11次山口県交通安全計画(令和3年~令和7年)の目標は、死者数36人以下、重傷者数390人以下のところ、死者数については目標を達成した。
全国の死者数は2,636人(前年比-203人)、中国5県の死者数は190人(前年比-20人)であった。
県内の交通死亡事故の特徴は
〇 年齢層別では、高齢者が19人(全死者の56%、前年比-4人)
〇 原付以上の車両の運転による死者33人中、高齢運転者によるものが14人(全ドライバー事故死者の42%、前年比+7人)
〇 状態別では、自動車乗車中が16人(全死者の47%、前年比+2人)、歩行中が12人(全死者の35%、前年比-2人)
〇 事故類型別では、車両単独が17人(全死者の50%、前年比+4人)
であった。」旨の報告があった。
弘永委員から、「交通事故発生状況は減少傾向にあり、県警察の御努力に感謝する。今年から、道路交通法が改正され、高齢ドライバーの免許更新が厳しくなるとのことであったが、どのような改正がなされるのか。」旨の発言があり、交通部長から、「一定の違反歴がある75歳以上の高齢者を対象に、運転技能検査(実車試験)が義務化されることになる。」旨の説明があった。
弘田委員長から、「高齢者の中には、交通違反歴がなくとも運転技能の衰えを自覚しないまま運転している方もおられる。全国的に、高齢者によるブレーキとアクセルの踏み間違いによる交通事故が発生しているところであり、重大な交通事故を起こす前に運転免許証を返納させる取組に努めてもらいたい。」旨の発言があり、交通部長から、「高齢ドライバーに対してはドライブレコーダーを貸し出し、その映像を見ながら個別指導するなどの取組をしている。また、通報や家族からの相談により運転技能の衰えが認められるドライバーを認めた場合は、自主返納に向けた助言もしているところであり、今後もこうした取組を推進していきたい。」旨の説明があった。
当面の警備情勢
警備部長から、「令和4年1月5日と11日、北朝鮮がミサイルと推定される飛翔体及び弾道ミサイルの可能性があるものを各1発発射した。北朝鮮は、平成5年5月以降ミサイル発射を繰り返しているところであり、当県警察では、北朝鮮に対する制裁措置の実効性を確保する観点から、平成18年以降、不正輸出入事件7件を検挙している。ミサイル発射に伴う警察の対応として
〇 自治体、海上保安庁、公共交通機関等と連携した関連情報等の収集・分析
〇 政府関連施設等に対する警戒警備
〇 国民保護計画に基づく現場措置等の徹底
に努めることとしている。」旨の説明があった。
弘田委員長から、「関係機関と連携し、しっかり対応していただきたい。」旨の発言があった。
その他の決裁・報告
課長等から下記のとおり説明を受け、決裁を行うなどした。
決裁概要
- 運転免許の行政処分
運転管理課長から、運転免許の行政処分に係る意見の聴取・聴聞への出席者1人からの聴取結果について報告を受けるとともに、処分理由等の説明を受けた後、審査の上で処分を決定した。欠席者10人については、運転管理課長から処分理由等の説明を受けた後、審査の上で処分を決定した。
また、運転免許拒否処分に該当する事案について説明を受け、処分を決定した。 - 意見の聴取・聴聞の主宰者指名
運転管理課長から、2月2日に開催する意見の聴取・聴聞における主宰者の指名について説明を受け、決裁した。 - 苦情の申出の受理
公安委員会会務官から、公安委員会宛てになされた苦情の申出について要旨の説明を受け、苦情として受理した。 - 警察署協議会委員からの辞職の申出
公安委員会会務官から、下関警察署協議会委員から辞職の申出があった旨の説明を受け、辞職を承認した。 - 特定交通安全施設等整備事業を実施すべき道路の指定に対する意見
交通規制課長から、特定交通安全施設等整備事業を実施すべき道路の指定について説明を受け、国家公安委員会及び国土交通大臣宛ての当該指定に対する意見を決定した。
報告概要
- 山口県公安委員会事務の専決状況
運転管理課長から、12月中の運転管理課関係の山口県公安委員会事務の専決状況について、公安委員会会務官から、12月中の交通企画課関係及び警備課関係の山口県公安委員会事務の専決状況について報告を受けた。 - 刑事部関係業務報告
刑事部長から、公職選挙法違反事件について報告を受けた。 - 警察署長会議の開催要領
総務課長から、1月19日に開催予定としている警察署長会議の開催要領について説明を受けた。 - ストーカー規制法に基づく禁止命令等の実施状況
人身安全対策課長から、12月中のストーカー規制法に基づく禁止命令等の実施状況について報告を受けた。 - 令和3年度留置施設実地監査実施結果
留置管理課長から、令和3年度留置施設実地監査の実施結果について報告を受けた。 - 山口県監査委員による定期監査の実施結果
会計監査官から、令和3年度上半期における山口県監査委員による定期監査の実施結果について報告を受けた。 - 取調べ監督管理関係業務報告
取調べ監督管理室長から、監督対象行為容疑事案を認知し、今後調査する旨の報告を受けた。 - 監察関係業務報告
監察官から、12月中の非違事案及び第3四半期の監察実施結果について報告を受けた。
協議
今後の公安委員会における運営について協議した。
(編集 総務課)