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精神保健福祉センター・災害と心の健康(基礎編)
体と心におこること
体と心の健康のために
被災者へ対応されるとき
支援者のメンタルヘルス
体と心におこること
災害など、命に関わるような出来事を体験したり、目撃した後には、体と心にいろいろな反応や症状が現れます。
体と心におこる反応や症状
これらは「正常な反応」で、多くは一時的なものですが、症状をこじらせてしまうことがあります。
(岩手県資料をもとに作成)
子どもの場合
子どもの場合、「物音におびえる」、「暗がりを恐がる」、「一人になりたがらない」、「子どもっぽく甘える」、「場違いに元気にはしゃぐ」、「発熱、頭痛、腹痛などの体の症状が出る」などがよく見られます。これらは正常な反応ですから、しかったり、突き放したりせずに、安心できる大人がそばについてあげることが大切です。支援者の方は、家族の負担が少しでも軽減されるようにサポートしてください。
※CRTが保護者向けリーフレットを提供しています。くわしくはこちら(別ウィンドウ) <外部リンク>
体と心の健康のために
被災者の方に知っていただきたいことをまとめてみました。
からだとこころの健康のために
被災後、避難所での生活や、日常生活の困難、後かたづけや今後の生活の心配のために、心身ともに疲れやすくなります。からだとこころの健康を保つために以下のことに注意してください。
- できるだけ身体を休めましょう
眠れなかったり、やるべきことが多くて心も体も疲れてきます。するべきことは多いでしょうが、疲れを感じたら横になるようにしてください。
- 水分をこまめにとりましょう
思うようなものが食べられなかったり、普段と違う生活のために食事が不規則になりがちです。特に高齢者と子どもは脱水状態になりやすいので、こまめに水分を補給してください。
- 心配や不安を一人でかかえずに、まわりの人と話しましょう
被災後、心配が増えたり不安になるのはあたりまえのことです。一人でかかえこまずに安心できる人(家族や友人、近所の人、支援者など)と話しましょう。話すことで気持ちが少し楽になると思います。心の健康電話相談を利用されるのも一つの方法です。
- お互いに声をかけあいましょう
特に、お一人の方や心身の調子が悪そうな人に声をかけてみてください。自分からはなかなか相談しにくいかもしれませんので、まわりの人が気にかけて声をかけてあげてください。もちろん、無理のない範囲でお願いします。
(新潟県資料をもとに作成)
こんなときは早めの受診を
以下の状態が続くときには、早めに受診してください。
- 疲れているはずなのに眠れない
- 食欲がなく体重が減少している
- 考えが堂々巡りになり先に進まない
※眠れないからとお酒に頼るのは禁物です。お酒は睡眠の質を落とし、すぐに効かなくなります。夜よく眠れないなどの症状が続く場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
被災者へ対応されるとき
被災者へ対応される支援者へのアドバイスをまとめてみました。
注意していただきたいこと
安易な励ましや助言は、被災者を傷つけてしまうことがあります。もちろん、受けとめ方は一人ひとり異なるのですが、例えばつぎのような言葉は被災者を傷つける可能性が高いため、できるだけ使わないほうがよいと言われています。
× 命が助かっただけでもよかったじゃないですか。
× もっと大変な目にあっている人だっているのですよ。
× 過去のことは忘れて、前向きに考えましょう。
× あなたが落ち込んでいると、亡くなった人が悲しみますよ。
× 元気を出して下さい。
× 思ったより元気そうで、安心しました。
体や心の健康状態が心配な方がいらっしゃれば、適切な支援につながるように、関係者で情報交換してください。医療が必要な方は、早めに受診できるようにお願いします。
被災体験についてたずねるとき
被災体験についてたずねる時には注意が必要です。つらい体験を無理に聴き出すと、もう一度その場にいるような経験をさせてしまう危険性があるからです。支援のためにたずねる必要がある場合には、つぎのような配慮をしてみてはどうでしょうか。
- できるだけプライバシーの保たれるところで聴く。
- 同じ内容をいろんな人から何度もたずねられなくてすむように配慮する。
- 途中で、「このままお話を聴いても大丈夫ですか?」と確認しながら話をすすめる。
もちろん、被災者が被災体験を話そうとしているときはしっかり聴いてください。被災者自身の意志で話す限りにおいて、これは回復に役立つからです。
支援者へのメンタルヘルス
職員をはじめとする支援者の方々も程度の差こそあれ様々な影響を受けています。自ら被災された方もおられるでしょう。
支援者の受けるストレス
- 少しでも役に立ちたいと思ってついつい無理を重ねてしまいがちです。気持ちがハイになることもありますが、体は確実に疲れがたまっています。逆に自分のしごとに不全感を感じたり、被災していない支援者が罪悪感を感じることもあります。
- 被災体験を聴き、つらい気持ちに共感することで、まるで自分が被災したかのような経験をしてしまうことがあります。これを「代理受傷」といいます。自ら被災されている場合はとても強いストレスになります。
- 現場で対応されたレスキュー関係者や施設職員の方々などは、そのときの瞬間映像や物音、におい、強い感情などが、その後も勝手によみがえるという「トラウマ」反応に悩まされることがあります。
- 持病などをお持ちの方もおられることでしょう。お互いの健康状態をよく理解し、無理が続かないようにしましょう。
支援者へのアドバイス
支援者が倒れてしまっては被災者への支援ができなくなってしまいます。自分自身と同僚の健康管理にも目を向けましょう。
- 休憩と食事
みんなが大変なときには休憩をとりにくいかもしれませんが、意識して休憩をとりましょう。自宅にいるときには、仕事のことを考えない時間を作ることも大切です。食欲がない時、時間がない時には、少量にわけて食べましょう。水分補給もお忘れなく。
- 睡眠
不眠不休では体が持ちません。睡眠時間の確保に気をつけましょう。しかし、眠ろうとしてもなかなか眠れないときがあります。眠れないからとお酒に頼るのは禁物です。お酒は睡眠の質を落とし、すぐに効かなくなります。夜よく眠れないなどの症状が続く場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
- 体を動かす
少し体を動かすと、体の緊張がほぐれ、血行がよくなります。深呼吸・ストレッチ・入浴などでリラックスしましょう。
- 話をする
自分ひとりで抱え込まないため、とにかく意識して互いに話すようにしましょう。できれば集まって、その日経験したことや気持ちを話す機会を持ちましょう。ルールは、他人への批判をしないことです。もちろん、ひとりになる時間も大切です。