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山口県希少野生動植物種保護条例について
条例の概要
1 目的(第1条関係)
- 県内に生息し、又は生育する野生動植物が、生態系の重要な構成要素であるだけでなく、自然環境の重要な一部として県民の豊かな生活に欠かすことのできないものであることにかんがみ、山口県環境基本条例(平成7年山口県条例第35号)の基本理念の下に希少野生動植物種の保護を図る。
- これにより、生物の多様性が確保された良好な自然環境を保全し、現在及び将来の県民の健康で文化的な生活の確保に寄与する。
2 定義(第2条関係)
- 「希少野生動植物種」とは、その個体が県内に生息し、又は生育する野生動植物の種であって、種の存続に支障を来す程度にその種の個体の数が著しく少ないこと、その種の個体の数が著しく減少しつつあること、その種の個体の主要な生息地又は生育地が消滅しつつあること、その種の個体の生息又は生育の環境が著しく悪化しつつあることその他のその種の存続に支障を来す事情があるものをいう。
- 「指定希少野生動植物種」とは、希少野生動植物種のうち、知事が指定するものをいう。
3 財産権の尊重等(第3条関係)
この条例の適用に当たっては、関係者の所有権その他の財産権を尊重し、県民の生活の安定及び福祉の維持向上に配慮し、並びに国土の保全その他の公益との調整に留意しなければならない。
4 希少野生動植物種保護基本方針(第4条関係)
希少野生動植物種の保護のための基本方針を定める。
5 指定希少野生動植物種の指定(第5条関係)
知事は、希少野生動植物種のうち特に保護を図る必要があると認めるものを、指定希少野生動植物種として指定することができる。
6 個体等の取扱いに関する規制(第6条~第11条関係)
(1)個体の所有者等の義務
指定希少野生動植物種の個体の所有者又は占有者は、指定希少野生動植物種を保護することの重要性を自覚し、その個体を適切に取り扱うよう努めなければならない。
(2)捕獲等の禁止
- 指定希少野生動植物種の生きている個体は、次に掲げる場合を除き、捕獲等をしてはならない。
ア 知事の許可を受けて捕獲等をする場合
イ 人の生命又は身体の保護等やむを得ない事由がある場合 - この規定に違反して捕獲等をした指定希少野生動植物種の個体又はその器官は譲渡し、譲受け等をしてはならない。
(3)捕獲等の許可
学術研究又は繁殖の目的等で指定希少野生動植物種の生きている個体の捕獲等をしようとする者は、知事の許可を受けなければならない。
(4)措置命令
許可を受けた者に対し、飼養栽培施設の改善等必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
(5)立入検査
許可を受けている者に対して報告を求め、又は指定希少野生動植物種の個体の捕獲等に係る施設に立ち入り、飼養栽培施設、書類等を検査することができる。
7 生息地等の保護に関する規制(第12条~第21条関係)
(1)生息地等保護区
知事は、指定希少野生動植物種の保護のため必要があると認めるときは、その個体の生息地又は生育地及びこれらと一体的にその保護を図る必要がある区域であって、その個体の分布状況及び生態その他その個体の生息又は生育の状況を勘案してその指定希少野生動植物種の保護のため重要と認めるものを、生息地等保護区として指定することができる。
(2)管理地区
- 知事は、生息地等保護区の区域内で指定希少野生動植物種の保護のため特に必要があると認める区域を管理地区として指定することができる。
- 管理地区の区域内においては、知事の許可を受けなければ、建築物の新築、宅地の造成、水面の埋め立て、木竹の伐採等の行為をしてはならない。
(3)立入制限地区
- 知事は、管理地区の区域内で指定希少野生動植物種の個体の生息又は生育のため特にその保護を図る必要があると認める場所を、立入制限地区として指定することができる。
- 知事は、指定をしようとするときは、その場所の土地の所有者又は占有者の同意を得なければならない。
(4)監視地区
生息地等保護区の区域で管理地区の区域に属さない部分(監視地区)の区域内において建築物の新築、宅地の造成、水面の埋め立て等の行為をしようとする者は、あらかじめ、知事に届け出なければならない。
(5)措置命令
生息地等保護区の区域内での行為規制に違反して行為をした者がその行為によって指定希少野生動植物種の生息地又は生育地の保護に支障を及ぼした場合には、これらの者等に対し、原状回復を命じ、生息地又は生育地の保護のため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
(6)立入検査
生息地等保護区の区域内において、許可等を受けた者の所有し、又は占有する土地に立ち入り、その行った行為の実施状況について検査等をすることができる。
8 保護増殖事業(第22条~第25条関係)
(1)保護増殖事業計画
知事は、保護増殖事業の適正かつ効果的な実施に資するため、保護増殖事業計画を定める。
(2)認定保護増殖事業等
- 県は、指定希少野生動植物種の保護のため必要があると認めるときは、個体の増殖の促進、その生息地の整備等の保護増殖事業を行う。
- 国の機関及び市町村は、その行う保護増殖事業であってその事業計画が保護増殖事業計画に適合するものについて、知事のその旨の確認を受けることができる。
- 国の機関、県及び市町村以外の者は、その行う保護増殖事業について、その者がその保護増殖事業を適正かつ確実に実施することができ、及びその保護増殖事業の事業計画が保護増殖事業計画に適合している旨の知事の認定を受けることができる。
9 推進体制の整備等(第26条・第27条関係)
(1)推進体制の整備
県は、市町村並びに事業者、県民及びこれらの者の組織する民間の団体との協働により、希少野生動植物種の保護に関する施策を積極的に推進するための体制を整備する。
(2)指定希少野生動植物種保護員
知事は、希少野生動植物種の保護に熱意と識見を有する者のうちから、指定希少野生動植物種保護員を委嘱することができる。
10 雑則(第28条~第31条関係)
知事は、野生動植物の種の個体の生息又は生育の状況、その生息地又は生育地の状況その他必要な事項について定期的に調査をし、その結果を、この条例の適正な運用に活用するものとする。
11 罰則(第32条~第36条関係)
第8条~第11条、第15条~第20条に罰則を設ける。
施行期日
この条例は、平成17年12月1日から施行します。
ただし、第1章(第1条~第5条)、第26条、第28条及び第31条の規定は、公布の日(平成17年3月18日)から施行します。