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やまぐちの野鳥・乃木浜
※本ページの情報は、平成16年のものであり、現況とは異なる可能性もあります。あらかじめご了承ください。
野鳥が集う瀬戸内海有数の大規模干潟・乃木浜
関門海峡の東側に位置する乃木浜一帯は、我が国でも代表的な干潟として、瀬戸内海では数少ない大規模な干潟として知られている。木屋川、神田川河口に発達した干潟で、下関長府から山陽町埴生に至る約20kmの海岸線と、最大3mの干満差によって干潟は沖合2kmに達し、干潟面積は754haに及ぶ。この干潟はシギ、チドリ、カモ類の渡来地として貴重な海域となっている。
以前、亀浜、千鳥浜に見られた塩基湿地は開発によって消滅し、乃木浜は市内に残された数少ない鳥類の生息地として、乃木浜総合公園の一画にヨシ原を中心とした湿地の造成を行い、野鳥公園が作られた。平成11年4月には乃木浜野鳥観察所が開館し、四季折々、野鳥の生態を身近に観察できる施設として、多くの市民に親しまれている。
乃木浜一帯には干潟、ヨシ原、農耕地など干潟を取りまく多様な環境があり、現在までに33科125種の鳥が確認されている。
冬枯れした乃木浜も3月に入ると、水辺のヤナギが一斉に芽を吹きはじめる。やがてツバメが姿を見せるようになる。越冬したシギ、チドリ、カモ、カモメ類は群れを大きくして北帰行を始める。
4月に入ると南からシギ・チドリ類が飛来し干潟は急に賑わいを見せる。ハマシギ、チュウシャクシギ、シロチドリなどの乱舞が見られるのもこの頃である。サギ類、バン、カイツブリ、カルガモ、オオヨシキリ、セッカ、ホオジロ、ホオアカのさえずりに満ちる。ホオアカの低地での繁殖は貴重であり、また、アオサギの地上営巣も珍しく、毎年7~10巣が確認されている。夏、ヨシ原はスズメ、ツバメのねぐらとなり騒々しい。9月下旬にはツバメは南に渡り、静けさを取り戻す。9月になるとシギ・チドリの渡りが始まり、10月上旬にはヒヨドリの群れが上空を通過する。小鳥類の渡りと前後して、タカ類の渡りが見られるのもこの時期である。
10月中にはほとんどの夏鳥は南に去り、コガモが姿を見せるようになる。カモメ、カモ類の飛来が本格化すると冬も近い。ヨシ原ではオオジュリン、ツリスガラ、背後の農耕地にはツグミ、タヒバリ、カワラヒワ、ホオジロ類が群れ、これらの小鳥をねらうノスリ、チュウヒ、オオタカなどが観察される。
乃木浜野鳥観察所内観
環境教育の場として利用されている
木屋川河口(シギ・チドリ・カモ類が多くみられる)
カルガモ撮影藤原
マガモ撮影藤原
コガモ撮影藤原
カイツブリ撮影保井
コチドリ撮影藤原
ホオアカ撮影藤原
セッカ撮影保井
オオヨシキリ撮影藤原
左:チュウシャクシギ撮影川元、右:ホオジロ撮影藤原