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やまぐちの野鳥・八代
※本ページの情報は、平成16年のものであり、現況とは異なる可能性もあります。あらかじめご了承ください。
本州唯一のナベヅル渡来地
特別天然記念物「八代のツル及びその渡来地」
八代は山口県東、周南市の東部に位置し、四方を連山に囲まれた海抜320mの小盆地である。盆地には水田が開け稲作を中心とした農業が営まれている。
ツルは毎年10月の下旬に渡来し、この八代で越冬して翌年の3月上旬に生まれ故郷のシベリアへ渡去する。
野鶴監視所
ツルに危害を加えるものを監視する人の詰所。ここは観光客のツル見学所でもある。
つるいこいの里交流センター
交流センターには展示室が設けられ、ツルに関する多くの資料が展示してある。
ナベヅルの生態
ナベヅルは体が灰黒色で、首から上が白く、頭頂が黒く見えるが皮膚は赤色である。身長は約90cm、翼を広げた長さは約180cm、くちばしは10cm、体重は約4kgである。幼鳥の体は茶褐色で首は黄色、つがいは、1羽か2羽つれていることが多い。郷のシベリアへ渡去する。
上記写真の撮影者は左上から右下にかけて、竹林、河村、竹林、竹林
ナベヅルの1日の様子
ねぐらは山間の湿田にあり、夜明けとともに餌場に出て一日過ごし日暮れとともに入る。餌は稲田の落穂、草の芽や根、畦の昆虫、湿田のドジョウやタニシなどを食べる雑食性である。自然の餌が無くなるともみ、麦やドジョウの給餌も行っている。
ねぐらを目指して
採餌しているツル
上記写真の撮影者は、竹林
保護のための活動
毎年秋「ツルを愛する会」を中心に地域内外の人々が協力してねぐらの整備を行っている。また、八代小学校の子供達は、エサまきの手伝いをしたり、ツルの生活をくわしく観察して「つるの日記」を作っている。
ねぐらの整備
子どもたちによる観察
ツルによせる思い
明治28年頃、他所者の猟師に撃たれたツルが飛べなくなった。八代の農民・瀬来幸蔵はそのツルを自宅につれて帰り看病したが、死んだので手厚く葬り、自分で墓を刻み裏山に建てた。その後、市に改葬され、それからも八代で死んだツルを葬り、毎年慰霊祭を行っている。
鶴之墓
ツルの慰霊祭
渡来数の減少と保護
明治からの住民の手厚い保護により、昭和15年には355羽になった。しかし戦中戦後の混乱期から減少しはじめ、平成元年には65羽、14年には12羽の危機的状況になった。保護対策としてデコイによる誘引作戦などが行われている。
ツル誘引のためのデコイ
ナベヅルの家族(右端と左から2番目が幼鳥)
昭和30年代100羽以上飛来していた