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おもしろ統計・168 「実質賃金」って何だろう
168 「実質賃金」って何だろう(令和7年8月21日掲載)
昨今の物価高の中で、「物価上昇を上回る賃金上昇を目指す」というニュースをよく耳にしますが、私たちの住む山口県(山口市)の状況はどうでしょうか。
本県が公表している、毎月勤労統計調査結果から賃金の動向をグラフで見てみましょう。
まず、「名目賃金」とは、労働者が実際に受け取った賃金のことですが、この額から物価上昇の影響を除いて導き出されるものが「実質賃金」であり、「名目賃金÷物価上昇」により算出され、実際の購買力の実態を示す指標となっています。
グラフは、近年の名目賃金と実質賃金の前年比(指数値)を比較したもので、両者は概ね連動した動きとなっていますが、令和4年以降は名目賃金に比べ実質賃金が大きく低下していることや、名目賃金は前年同月比プラスの傾向であることに対し、実質賃金は令和4年以降マイナスとなっていることが読み取れます。
これは、賃金が増えても、物価の上昇率が大きく、実質賃金が伸び悩んでいる状態であり、家計への圧迫感をデータで示したものとなります。
私たちの生活水準の維持・向上には、本来の意味で賃金が増える実質賃金の増加が必要ですね。
なお、本県の賃金水準が伸び悩んでいる他の要因として、パートタイム労働者比率の上昇がありますが、これについては、次回で紹介します。
県では、「毎月勤労統計調査結果」をホームページで公表し、過去からの長期時系列データを掲載していますので、どうぞご利用ください。