本文
おもしろ統計・135日本の国際的給与水準
135日本の国際的給与水準(令和4年11月17日掲載)
急激な円安の進行等で、食料品や電気代等の値上げのニュースをよく耳にしますが、私たちの給与を円の通貨価値を通して見るとどのように変化しているでしょう? これが今回のテーマです。
ニュースなどで「1ドル〇〇円」というのを「名目為替レート」と言いますが、ドルだけでなく、ユーロや元など、他の幅広い通貨と比較して、さらに貿易額や物価水準を加味した通貨の価値を示す指標として、実質実効為替レートというものがあります。これを使って、日本の給与水準の変化を見ていきましょう。
2010年を100とした実質実効為替レートで、日本円の価値が最も高かったのは、12カ月の後方移動平均で1995年7月の139.18でしたが、今年8月は64.7でしたので、この間に円の価値は4割6分程度に下がっています。
一方、日本の賃金の動向について、「毎月勤労統計調査」によると、フルタイム労働者の賞与等を含む年間の現金給与総額は約500万円で、30年近くほとんど変わっていないことが分かります。
この二つの事実から、実質実効為替レートでこの年間給与総額の国際的な価値を評価したら、今の日本人の給与水準は、1995年当時の半分以下に下がったということになります。
現在、世界経済はロシアによるウクライナへの軍事侵攻や新型コロナウイルス感染症の影響などにより激動している状況です。より深く理解するために経済統計を眺めてみてはいかがですか。