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知事発言集・令和5年度本庁部課長・出先機関の長合同会議 知事訓示

ページ番号:0205364 更新日:2023年4月7日更新

 皆さん、おはようございます。令和5年度がスタートしました。

 今日は、それぞれ本庁の部課長・出先機関の長の皆さんの会議ということですが、新年度になって、これまでのポスト継続の方も、新しく就かれた方もいらっしゃると思いますけれども、ぜひ、皆さん、一人ひとりに今年一年、おおいに力を発揮していただきたいと思います。

 今年度は、特に昨年末に策定しました「やまぐち未来維新プラン」、これに基づく県づくりを本格的にスタートさせていく重要な年です。

 そのスタートにあたりまして、今日は、今年度の県政運営に関する私の考え方について申し上げたいと思います。

新たな未来に向けた県づくり

 これまでの3年間、8つの波にわたるコロナの感染拡大によって、県民の皆さんの暮らし、また地域の経済も大変大きな打撃を受けています。県づくりの我々が進めている取組も、その一部が足踏みを余儀なくされてまいりました。ようやく昨年の秋頃から、長く停滞をしていました社会経済活動が再開をして、来月の8日からは、コロナの感染症法上の分類が「5類」になる予定でありまして、本格的なウィズコロナの段階に入っていきます。

 コロナの感染は、収まってきていますが、決して無くなったわけではありませんし、引き続き、必要な医療提供体制を確保して、県民の皆様の命と健康を守っていく、このことに取り組んでいく必要はあります。これはこれでしっかりとやっていかなければいけません。

 しかし、同時に、これからは、コロナ禍の3年間で生じた、様々な環境の変化、これにしっかりと対応して、単にコロナの前に戻すということではなくて、様々な社会変革の先にある新しい未来に向けて、本県の経済、そして、暮らしを、より高いレベルに押し上げていく、そうした「発展的再生」を目指していきたいと思っています。

 職員の皆さんには、ぜひ、そうした考えを共有していただいて、新たな未来に向けた県づくりの取組に、積極的に挑戦をしていただくことをまずお願いした上で、今年度の施策推進の方針について、私の考えを申し上げたいと思います。

今年度の施策推進方針

 今年度の施策の推進に当たっては、「新たな未来に向けた県づくりの推進」、そして「物価高騰等の直面する課題への対応」、この2つを大きな柱として、取組を進めていきます。

1 新たな未来に向けた県づくりの推進​

 まず1つ目の柱は、「新たな未来に向けた県づくりの推進」ということです。

 コロナ禍によって、人々の意識、価値観、行動が大きく変わってきています。そして同時に、デジタル化、脱炭素化等の社会変革、また、ウクライナ情勢を発端とした物価高騰が起きるなど、県政を取り巻く環境は大きく、そして、急速に変化をしています。

 こうした変化を踏まえて、県民誰もが、山口ならではの豊かさと幸福を感じながら、未来に希望を持って暮らせる「安心で希望と活力に満ちた山口県」の実現に向けて、取組を進めていきたいと思います。

 このため、今年度の当初予算では、「やまぐち未来維新プラン」に掲げた4つの視点、「安心・安全」、「デジタル」、「グリーン」、「ヒューマン」を踏まえ、これまでの取組を未来志向で再構築をし、そして、コロナ禍等で生まれた新たな課題や、深刻さの度合いが増した課題、これらに重点的な予算配分をしました。

 県民の皆様に、取組の成果を実感していただけるように、しっかりと実行していくことが必要です。

 まず、「安心・安全の確保」に向けましては、県民の命と健康を守る取組の充実・強化を図るために、本県の医療提供体制を一層強化することにしています。

 特に、県立総合医療センターについては、将来にわたる本県の感染症医療、高度専門医療等の拠点として、その中核的な役割を一層果たしていけるように、今年度、基本計画を策定し、抜本的な機能強化に向けた取組を着実に進めていきます。また、昨今の世界的な半導体不足は、企業の生産活動に大きな影響を与えています。生活・経済に必要不可欠な物資を安定供給することの重要性が改めて認識されました。

 こうしたことから、国におけるサプライチェーン強靭化の動きに呼応して、最大50億円となる企業立地促進補助金を新設をして、本県への企業誘致を強力に進めてまいります。

 さらに、県産の小麦や飼料の生産拡大を図り、農畜産物の供給体制を強化をし、また、頻発化・激甚化する自然災害等への備えとして、引き続き、橋梁の耐震補強、河川改修等の洪水対策等を進めます。

 次に、「デジタル実装の加速化」に向けては、これまで全国に先駆けて取り組んでまいりました「やまぐちデジタル改革」をさらに進めて、多くの県民の皆様に成果を届ける、このために、取組を次のステージへと押し上げて、デジタルの実装に向けて大きく踏み出していきたいと思います。

 今年度は、DX推進拠点「Y-BASE」を核に、様々な主体へのDX支援のさらなる強化、そして、広域展開、実践的なDX推進人材の育成など、取組の高度化・深化を図っていきます。

 また、より多くの県民や事業者の皆さんがデジタルの効果を実感できるように、地域の社会課題の解決や新たな価値の創造に資するデジタル実装のモデル創出を図り、交通空白地対策としての新モビリティサービスの導入、商業エリアの賑わい創出に向けたデータ利活用の支援、県内企業の魅力をメタバースで発信するなど、県政の各分野、そして、各地域におけるデジタル実装を、重点的・集中的に進めていきます。

 さらに、実装に向けた人材育成として、「農林業の知と技の拠点」において、デジタル技術の活用方法の習得など実践的な学修体制を整備し、農業DXの即戦力人材を育成するほか、女性を対象としたプログラミング講座を開設し、IT企業等への就業を促進します。

 次に、「脱炭素社会の実現」に向けては、昨年の12月に「2050年カーボンニュートラル宣言」を表明しました。先月には「地球温暖化対策実行計画」を改定をし、新たに「産業脱炭素化戦略」を策定をしました。企業や県民の理解と積極的な参加を促して、総力を挙げて地球温暖化対策を推進していきます。

 そして、今年度、産業分野においては、コンビナート企業等のCO2排出削減や、次世代燃料・素材の供給基地化につながる設備投資・研究開発を強力に支援をし、また、徳山下松港における港湾脱炭素化推進計画の策定に取り組んでいきます。

 また、自動車関連産業の電動化等への対応については、サプライヤーの業態転換や新技術・新製品開発に向けた支援等を行っていきます。

 さらに、民生分野においても、再生可能エネルギーや電気自動車の普及促進、ZEHの導入支援などの取組を積極的に進めるほか、県民総参加による脱炭素社会の実現に向けたキックオフセレモニーの開催、ぶちエコアプリの利用者に対して商品券等のインセンティブを付与することなどによって、自発的な行動変容を促していきます。

 さらに、「人づくり、新たな人の流れの創出」については、地域の活力を創出し、これをさらに高め、本県の未来を確かなものにしていく上で、大変重要なテーマであり、取組を強力に進めていきたいと思います。

 まず、コロナ禍で加速している少子化に歯止めをかけるために、結婚から妊娠・出産、子育てに対する切れ目のない支援の充実、若い世代等の結婚の希望を叶える環境づくりを進めるとともに、多子世帯への支援も充実していきます。

 さらに、私立の保育所等において、障害のある子もない子も、誰もが等しく育ち学べる、そして、遊べる環境整備を支援をするなど、子育て環境の整備を支援をするほか、新たな未来を切り拓く人材の育成として、経済的な理由で修学が困難な学生が自らの志に基づいて学びを追求できるように、県内で活躍する人材を確保する観点も踏まえ、新たな奨学金返還補助制度を創設します。

 また、3年に及ぶコロナ禍で、子どもや高齢者の屋外での活動時間が減少し、心身への影響が懸念されます。また、人と人とのつながりや人と地域のつながりの希薄化、これが大きな課題です。

 このため、山口きらら博記念公園を、そのポテンシャルを活かして、様々な世代が集い、のびのびと活動することで、豊かさや住みよさを実感できる「交流拠点」として、そしてまた、アウトドアフィールドとして県外からも人を呼び込める「集客拠点」として再整備するため、今年度、その基本構想を策定することとしています。

 さらに、秋に予定している「ゆめ花マルシェ」に併せ、スポーツや文化・芸術活動等が体験できるイベントを開催するなどにより、山口の元気を取り戻していきます。

 これらの取組に加え、県内に設置した地方創生テレワークとワーケーションそれぞれの拠点施設を核として、テレワーカー等の一層の受入促進を図るとともに、テレワーク移住者に対する移住支援金の対象を拡大するなどにより、本県への新たな人の流れの創出・拡大を図っていきます。

2 物価高騰等の直面する課題への対応

 2つ目の柱は、「物価高騰等の直面する課題への対応」です。

 長年にわたるコロナ禍で、本県の社会経済は大きく傷んできました。さらに、そこからの回復途上において、エネルギー価格や物価の著しい高騰が加わり、県民の暮らしや事業者の事業活動に大きな影響が生じています。

 このため、現下の物価高騰への対応として、厳しい状況にある県民や事業者の負担を軽減するため、医療機関や社会福祉施設等に対する光熱費高騰に係る支援金の支給や、学校・保育所等における給食の材料費等に係る増加経費の支援、中小企業者等に対する省エネ機器等の導入補助等の緊急対策を講じたところです。

 これらに加えて、県内店舗の資金支援と消費需要喚起のための購入型クラウドファンディングの実施や、日本酒・花き等の需要拡大キャンペーンも実施していくこととしており、これらの対策を通じて、県民生活の安定と傷んだ社会経済の再生に取り組んでいきます。

 さらに、先月、国において、追加の物価高騰対策がとりまとめられました。これを踏まえて、今後、県としても追加の対策を講じていきます。

 また、国においては、急速に進む少子化への対応として、「次元の異なる少子化対策」の検討が進められ、先般、その試案が示されました。県としても、これに呼応して、国や市町とも連携して、さらなる取組の充実を図っていかなければなりません。

 今後、国におけるこれらの政策の具体化を踏まえて、これまでの取組の枠に捉われることなく、それぞれの所管で何ができるのか、何をすべきか、県民の声をしっかりと聞いた上で検討して、その声に応える、より良い施策の構築を、ぜひ行なっていただくよう、よろしくお願いいたします。

職員としての心構え

 以上、今年度の施策推進の方針を申し上げました。

 ここで、皆さんが、今後仕事を進めていく上での心構えについて、3点、お願いをさせていただきます。

1 確かな成果の追求

 1点目は、「確かな成果の追求」ということでありますが、本県におきまして、ご案内のとおり、人口減少が進行して、全国的な問題でもありますが、とりわけ少子化が深刻度を増しています。また、デジタル化、脱炭素化をはじめ、大きな社会変革がまさに今起きていて、対応が求められています。まさに今こそが、将来の山口県の姿を左右する、大きな分岐点に我々は立っていると考えています。皆さんには、まずこのことを、しっかりと認識をしていただきたいと思います。

 その上で、「やまぐち未来維新プラン」に描いた「山口ならではの豊かな未来」を実現するために、県づくりの取組を本格化していきたいと思います。その実施にあたりましては、何よりも、県民の皆様に取組の成果を実感していただくことが重要です。成果を重視して、職員一人ひとりが、確かな成果を追求する、そうした姿勢でぜひ取り組んでいただきたいと思います。

 また、我々を取り巻く社会環境は、絶えず、そして急速に変化をし続けています。その時々の状況に応じて、機を逸することなく的確に対応していく必要があります。これからの県づくりにおきましては、特にこうした変化が起こること、常に起こっているということを念頭に、予め考えていた事業内容や実施手法を、見直していく、そのことを恐れることなく、常に、県民の視点に立って、「より良い成果に結びつけていくためにはどうするべきなのか」を、常に考えて、課題意識を持って取り組んでいくことをぜひ心掛けていただきたいと思います。

 新しいことをしていくということ、あるいは、今までやってきたことを変えていくということは、大変な困難を伴ったり、あるいは、新たな課題に直面することもありますけれども、そうしたことに臆することなく、その解決に向けて積極的にチャレンジをしていっていただきたいと思います。

 その一歩で、山口県が一歩進んでいきます。自分のチャレンジが、それこそが、山口県の未来をつくっていく、その先にこそ、山口県の未来がある、そうした気概を持って、ぜひ、取り組んでいただきたいと思います。

2 幅広い主体との連携・協働

 2点目は、「幅広い主体との連携・協働」についてです。

 我々、地域が抱えている課題は、本当に複雑化して、多様化をしています。県が求められる役割、これは一層拡がっているわけですけれども、そうした中で、限られた人的資源で、県民の期待に応えていかなければいけません。

 そういう状況の中で、困難な課題に対応していくためには、市町はもとより、企業や大学、金融機関、民間団体、そして県民の皆様との連携・協働を行ない、それぞれが持っている強み、ノウハウ、そして、ネットワークを最大限に活かして、様々な環境変化の中でもフレキシブルに対応しながら、解決に向けて取り組んでいく必要があります。

 そのため、各部局においては、今後、目指す目標を色んな多様な主体と共有をして、県づくりの様々な取組に自主的・主体的に参画してもらえる機運を醸成していくですとか、参画を促進する仕組みづくり・場づくりを積極的に進めて、連携・協働、さらには共に創り上げる、共創の取組を一層強化していくことで、より大きな成果につなげていただくようによろしくお願いします。

3 危機管理の徹底

 3点目は、「危機管理の徹底」についてです。

 本県におきまして、ここ数年、大きな自然災害は発生しておりませんし、豚熱で殺処分に至る事案、また、鳥インフルエンザの発生もありませんでしたけれども、近年、自然災害は激甚化・頻発化をしています。毎年のように大規模な水害が発生していますし、今年2月には、我が国と同じように複数のプレートが複雑に入り組む地形を持っている「トルコ・シリア」で大地震が発生をしました。そうした災害は、いつでもどこででも起こりうるものです。

 また、北朝鮮が頻繁に弾道ミサイルを発射をしています。そのうち、いくつかは我が国の排他的経済水域内に着弾する、そうした事象も起きています。

 こうした危機事象が発生した場合には、的確な初動対応が、被害の拡大防止、また、軽減に大きくつながることになります。そうした認識をしっかりと持った上で、職員一人ひとりが、常に緊張感を持って、十分な心構え、そして、平素からの備えをしっかりとしておくことが大変重要です。

 改めて、このことを念頭に置いて、それぞれの職務の中で、日頃から、不測の事態にも迅速、そして、的確に対応できるように、不断の準備をお願いいたしたいと思います。

終わりに

 以上、県政運営に係る考えを申し上げたところです。

 冒頭にも申し上げましたが、長く、大変コロナで苦しんだ中で、社会が平常化していく出口がようやく見えてきました。大きく傷んだ社会経済の回復はまだ途上にあります。県民の皆様の生活の安定、そして、社会経済の再生に、優先的にしっかりと取り組んでいく必要があります。

 そうした中で、人口減少、そして脱炭素、デジタル、様々な環境変化をしっかりと受け止めて、そうした変化の中で将来の山口県をさらに伸ばしていく、そのために今の変化にどう向き合っていくべきなのか、どのように対応していくべきなのかをしっかりと考えて、我々が道筋を付けていく必要があります。

 このように、大変多くの課題がありますし、様々な困難がありますけれども、本県の新しい未来を創って、将来にわたって「安心で希望と活力に満ちた山口県」を実現していく、この強い決意で、今年一年しっかりと取り組んでいきたいと思います。

 職員の皆さんにも、ぜひ、今年一年、同じ思いを共有をしてもらって、この重要な一年間、しっかりと成果に結びつく取組をしていきたいと思います。皆さんの頑張り、そして、挑戦に、大変期待をしているところです。

 今年一年間、共に頑張っていきましょう。よろしくお願いします。