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知事発言集・令和4年度本庁部課長・出先機関の長合同会議 知事訓示

ページ番号:0148311 更新日:2022年4月6日更新

 皆さん、おはようございます。

 令和4年度のスタートに当たり、本日は、今年度の県政運営に関する私の考え方について申し上げたいと思います。

 この合同会議は、コロナによる社会情勢の変化に対応して、新しい日常の定着を図る観点から、昨年度より、Web会議の方式で開催をしています。今、行政には、デジタル技術を活用して、業務の効率化を図るとともに、より利便性の高い行政サービスを提供することが求められています。皆さんには、デジタル社会に相応しい行政のあり方の確立に向けて、引き続き、取組を進めていただくことを、まずお願いをしたいと思います。

 その新型コロナウイルスについては、全国的な感染者数がピーク時の半数程度まで落ち着き、3月21日をもって、全ての都道府県でまん延防止等重点措置が解除されました。しかしながら、依然として新規感染者数が高止まりしている地域があることや、本県においても、クラスターが散発的に発生しており、未だ予断を許さない状況にあります。

 引き続き、県民の皆様の命と健康を第一に考え、業務に当たることを全職員の共通認識とした上で、今年度の県政運営について、私の考え方を申し上げたいと思います。

新たな未来に向けた県づくり

 コロナとの闘いが既に2年以上に渡って続いています。県民の暮らしや地域経済への影響が長期化をしています。県政最大の課題である人口減少、少子高齢化もその進行スピードが加速しており、我々は、引き続き、こうした困難に立ち向かい、山口県の確かな未来を切り拓いていかなければなりません。

 私は、知事3期目となる今後の4年間において、直面するコロナの危機から県民の皆様の命と健康を守り抜き、大きく傷んだ社会経済を再生させて、山口県の元気を取り戻し、そして同時に、その先を見据え、本県の新たな未来を創っていく取組をしっかりと前に進めていきたいと考えています。

 そうした県づくりを進めるに当たっては、本県が目指すべき将来像を示して、施策の方向性を定め、市町をはじめとする多様な主体と思いを共有し、連携・協働しながら、取組を計画的・戦略的に推進していくことが重要となります。このため、私は、3期目の県政運営の指針となる新たな総合計画を策定することとし、本年中を目途に取りまとめる考えです。

 この総合計画の策定に当たっては、コロナをはじめ、現下の課題に適切に対応すると同時に、未来に向けた県づくりを具現化する施策を構築していくため、多様な主体から御意見・御提案をしっかりとお聞きしながら、全庁挙げて議論し、検討を深めていかなければなりません。 

 さらに、国で検討が進められている「デジタル田園都市国家構想」や、先日、県議会からも提言のあった「脱炭素社会づくり」の取組など、新たな課題にも積極的に対応し、県としての考え方を計画に盛り込んでいく必要があります。

 職員の皆さんには、こうしたことを念頭に置いた上で、計画策定に積極的に関わり、コロナの危機を乗り越え、将来にわたって安心で希望と活力に満ちた山口県を必ず実現する、そうした思いを私と共有し、未来を見据えた県づくりに果敢に挑戦していただくことを改めてお願いいたします。

今年度の施策推進方針について

 次に、今年度の施策推進に当たっては、先程申し上げたように、「コロナの危機から県民の命と健康を守り抜く取組」、「長期化するコロナ禍や現下の感染状況による影響を踏まえた経済対策の実施」、そして、「新たな未来に向けた県づくりの推進」、この3つを大きな柱として、取組を進めてまいります。

1 コロナの危機から県民の命と健康を守り抜く取組

 まず、1つ目の柱は「コロナの危機から県民の命と健康を守り抜く取組」です。

 冒頭申し上げたとおり、本県の感染状況は依然として予断を許さない状況が続いています。今年度においても、引き続き、県民の命と健康を守ることが最優先との認識の下、感染拡大防止対策の強化と県民生活の安定確保の2点に取り組んでいく必要があります。

 「感染拡大防止対策の強化」については、引き続き、人口比で全国トップクラスの医療・療養体制と1日最大8,000件の検査体制の維持、ワクチン3回目接種の4月末までの完了に向けた支援などに取り組みます。

 「県民生活の安定確保」では、コロナ禍において様々な困難や不安を抱える方への支援の継続と相談体制の確保や、社会全体で結婚を応援する気運の醸成などに取り組みます。

2 長期化するコロナ禍や現下の感染状況による影響を踏まえた経済対策の実施

 2つ目の柱は、「長期化するコロナ禍や現下の感染状況による影響を踏まえた経済対策の実施」です。

 長期化するコロナの影響や、年明けからのオミクロン株の急拡大などにより大きく傷んでいる社会経済を力強く回復させるため、引き続き県内事業者の事業活動の維持・継続に向けた支援に取り組むとともに、これまでにない大規模な需要喚起策を実施していきます。

 1点目は、「県内経済の下支え」です。

 県制度融資の融資枠確保等による中小企業の資金繰り支援や、事業者の業態転換などの事業再構築を資金面で後押しするほか、安心して飲食店を利用できる環境づくりの推進、県内事業者のECサイト活用の促進などに取り組みます。

 2点目は、「消費需要の喚起」です。

 コロナによって落ち込んだ消費需要を取り戻すため、観光、飲食、県産農林水産物等において、予算総額100億円、事業規模300億円を超える大規模な需要喚起策を実施し、県内経済の再生につなげていきます。

 

3 新たな未来に向けた県づくりの推進

 3つ目の柱は、「新たな未来に向けた県づくりの推進」です。

 直面するコロナの危機を乗り越えることと併せ、その先にある山口県の新たな未来を創る取組にも力を入れていく必要があります。このため、感染拡大を契機とした人々の意識や価値観の変化と、デジタル化をはじめとする社会変革の動きをチャンスと捉えて、これまで取り組んできた「3つの維新」をさらに進化させ、より高いレベルの安心と成長を目指していきたいと考えています。

 1点目は、「より高いレベルの安心の確保」です。

 コロナとの闘いを通じて、命と健康が守られる安心感、このことが何よりも重要であると、誰もが実感しました。如何なる時にも県民の安心が確保できるよう、県立総合医療センターの機能強化に関する基本構想を策定することをはじめ、医療・介護や子育て支援等の一層の充実を図ります。

 2点目は、「より高いレベルの成長の実現」です。

 全国に先駆けて取り組んでいる「やまぐちデジタル改革」を加速させ、産業や交流、生活にわたる県政各分野でのデジタル技術の活用と社会実装を推進するとともに、昨年11月に開設した「やまぐちDX推進拠点Y-Base」を核に、県内各地域・各分野のDXの取組を支援し、地域課題の解決と新たな価値の創造に取り組んでいきます。

 また、県内企業等のイノベーション創出に向け、5G・AI等の導入・利活用を支援するほか、水中ロボット産業の育成を通じた県内産業の活性化や、公共施設における再エネ等の導入・活用の促進などに取り組むとともに、強い農林水産業の育成や、道路・港湾等の基盤整備の促進などにより、本県の産業力をより一層伸ばしていきます。

 3点目は、「新たな人の流れの創出・拡大」です。

 昨年度整備したテレワークとワーケーションの拠点施設を核に、本県への移住の促進や関係人口の拡大に取り組むほか、文化財を観光資源として積極的に活用していきます。

 4点目は、「新たな時代を支える人材育成」です。

 子どもたちの可能性を広げる「やまぐちスマートスクール構想」の充実や、「山口県新たな時代の人づくり推進方針」に沿った民間主体の人づくりの取組の支援などに取り組みます。

職員としての心構え

 以上、今年度の施策推進の方針を申し上げました。ここで併せて、皆さんが、今後仕事を進めていく上での心構えについて、3点、お願いをいたします。

1 綱紀の保持と県政に対する信頼の回復

 1点目は、「綱紀の保持と県政に対する信頼の回復」についてです。

 皆さんご存知のとおり、先月末に、公職選挙法違反事案により、関係職員の処分を行ったほか、庁内において政治資金パーティーの会費の支払いへの協力要請が行われていた事案が報道されるなど、公正・中立であるべき県政に対する信頼が大きく損なわれる状況となっています。

 言うまでもなく、県政は、県民福祉の向上や県勢の振興を第一義に、公平・公正を旨として運営されるべきものです。

 このため、私は、「今後、選挙を巡る組織的な勧誘やそれにつながる恐れのあることは一切なくす」、「仮に外部から求められたとしても、すべて断る」、この2つの宣言を県民の皆様にお約束し、「甘い認識を持たない」、「勧誘を受けても抱え込まない」、「今回の事案を忘れない」という観点で、再発防止に向けた5つの取組を定め、その徹底を職員の皆さんに既に伝えているところです。

 今回の事案を踏まえ、特定の政党や団体に偏ることなく、なお一層誠実に県政運営に取り組んでいかなければならないと考えていますので、管理職の皆さんにおかれては、全体の奉仕者としての意識をあらためて強く持ち、私とともに、県民の皆様の県政に対する信頼回復に向けて全力で取り組んでいただくようお願いします。

 加えて、先月は、土木建築部職員を収賄により懲戒免職する事案が発生しました。綱紀の保持を率先垂範すべき幹部職員であり、誠に遺憾です。

 法令を遵守して公正な行政を行うことは、県民の皆様の県政に対する信頼の基礎となるものであり、職員一人ひとりの注意と自覚を喚起していくことが極めて重要です。

 今後、コンプライアンスを徹底するための研修等を行うこととしていますが、各所属においても、職員に対し、公務内・公務外を問わず公務員として責任ある行動をとるよう、綱紀の保持について改めて徹底を図り、全力を挙げて再発防止に努めていただくようお願いします。

 また、この度の事案を受け、「公益通報制度」と「働きかけ対応制度」の見直しを行いました。仮に、今後、不当な働きかけがあったとしても、各所属において、組織として対応することを徹底いただくようお願いします。

2 幅広い主体との連携・協働

 2点目は、「幅広い主体との連携・協働」についてです。

 地域が抱える課題はますます複雑化、多様化してきており、こうした課題は、県の取組だけで解決することは難しく、市町はもとより、企業や大学、金融機関、民間団体、そして県民の皆様との連携・協働を一層強化していく必要があります。

 このことは、デジタル改革の取組を進める中で、改めて認識したところであり、今後とも、多様な主体と連携し、それぞれが持つ強みやノウハウ、ネットワークなどを最大限活かしながら、より大きな成果の創出につなげていくようお願いします。

3 危機管理の徹底

 3点目は、「危機管理の徹底」についてです。

 本県では、ここ数年、大きな自然災害には見舞われていませんが、今年に入り、1月には大分県で震度5強の地震が、そして、先月には東北地方で震度6強の強い地震が発生するなど、災害が頻発しており、本県でも、いつこうした災害が起こるかわかりません。

 また、自然災害以外でも、近年、大島大橋への貨物船衝突事故や、一昨年には上関大橋の損傷事故が発生し、島民の皆様の生活に大きな支障を及ぼしました。国際社会では、ロシアによるウクライナへの侵略、時を同じくして北朝鮮によるミサイル発射も頻発するなど、県民の平穏な暮らしを脅かしかねない事象も起きています。

 このため、職員一人ひとりが、常に緊張感を持ち、十分な心構えと、平素からの備えをしっかりしておくことが重要であり、また、災害等が発生した場合には、的確な初動対応が、被害の拡大防止や軽減につながります。

 改めて、このことを念頭に置き、それぞれの職務の中で、日頃から、不測の事態にも迅速かつ的確に対応できるよう、不断の準備をお願いします。

終わりに

 以上、県政運営に関する私の考え方を申し上げました。

 コロナの収束が未だ見通せない中、人口減少、少子高齢化の進行など、県政を取り巻く環境は大変厳しくなっています。

 その一方で、コロナを契機に人々の意識や価値観、働き方など、社会は大きく変化してきており、デジタル化の進展に伴って、都市にはない豊かな環境と暮らしを提供できる地方の方にこそ、多くの可能性がある時代を迎えています。

 我々の目の前には、多くの困難が立ちはだかっていますが、私は、山口県の新たな未来を創り、将来にわたって安心で希望と活力に満ちた県づくりを何としても実現していく、この強い決意で3期目の県政運営にチャレンジしていきたいと考えています。

 職員の皆さんにも、今年一年、私と同じ志を持って、積極果敢に挑戦を重ねていただくことを強く期待しています。

 この一年間、共に頑張っていきましょう。よろしくお願いします。