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知事発言集・知事就任訓示(令和4年2月24日)

ページ番号:0123226 更新日:2022年2月24日更新

はじめに

 職員の皆さん、こんにちは。
 昨日、3期目となる、私の新しい任期がスタートしました。今日は、新たなスタートに当たり、職員の皆さんに、これから4年間の県政運営について、私の考えを述べたいと思います。

県政を取り巻く状況

 私は、知事に就任して以来、2期8年間にわたり「活力みなぎる山口県」の実現に向け、県政の最重要課題である人口減少の克服と地域活力の創出に全力で取り組んできました。
 その結果、200社を超える企業誘致を実現し、これによる5,000人を超える新規雇用を創出するとともに、本県への移住者数も、ここ4年間で2倍に増えました。
 また、明治改元から150年の節目を迎えた平成30年には、「山口ゆめ花博」の開催により、本県の新たな魅力と活力を全国に向けて力強く発信し、また、開催の成果を活かした地域づくりの取組が、県内各地で活発化するなど、様々な分野で、着実に成果が挙がってきたところです。
 一方で、この2年間は、新型コロナウイルスの出現による、100年に1度と言われるパンデミックが、国内外に大きな影響を及ぼしており、県づくりの取組も足踏みを余儀なくされました。
 こうした中で私は、これからの4年間は、直面するコロナの危機から山口県を守り抜き、社会経済を再生させる、そして同時に、コロナを乗り越えた先の、山口県の新たな未来を創っていく取組をしっかりと前に進めていきたいと考えています。
 このことを、まず申し上げた上で、今後の県政運営に当たって、私から3点お願いしたいと思います。

新型コロナウイルスへの対応

 はじめに、新型コロナウイルスへの対応についてです。
 本県では、年明けからオミクロン株が猛威を振るい、これまでの5回の波とは比較にならない規模とスピードで感染が拡大したことから、1月9日に、初めて、まん延防止等重点措置が適用されました。
 現在、ピーク時に比べると、1日あたりの新規感染者数は減少してきており、まん延防止等重点措置は解除されましたが、本県は引き続き「レベル2」の状況にあり、全国的にも完全にピークアウトしたとは言えないため、決して楽観できない状況が続いています。
 「コロナの危機から県民の命と健康を守る」、私はこのことを県民の皆様に繰り返し訴えてきました。
 今後とも、的確な医療提供体制や、きめ細かな自宅療養支援などを通じた誰一人取り残さない療養体制の確保、PCR検査等の検査体制の充実に努めるとともに、3回目のワクチン接種についても、4月末の完了を目指し促進を図っていきたいと考えています。
 職員の皆さんのこれまでの献身的な対応により、本県のコロナ対策は全国的にも高い評価を得ています。引き続き、一丸となって取り組んでいきたいと思いますので、皆さんの御協力をよろしくお願いします。

地域経済・暮らしの再生

 それと同時に、地域経済と暮らしの再生にも力を入れていかなければなりません。
 2年余りにわたるコロナとの闘いの中で、本県の経済や県民の暮らしは大きな影響を受けています。その上に、年明けからの感染拡大が積み重なり、飲食店をはじめ、様々な業種の皆様は、事業の継続や雇用の維持など、今なお大変なご苦労をされています。
 このため、県では、資金繰り支援をはじめ、業種を問わない県独自の支援金の給付、新たな事業展開への支援などにより、事業活動の維持・発展を支援しています。特に、深刻な打撃を受けている観光分野については、昨年秋に策定した「山口県観光V字回復プラン」に基づき、需要喚起や設備投資への補助など、切れ目のない支援に取り組んでいるところです。
 しかしながら、この度の感染の第6波は未だ収束の兆しが見えず、長引く感染拡大の影響はこれから顕在化してくると考えられます。職員の皆さんには、こうしたことを念頭に、引き続き、地域の実情や県民、事業者のニーズ等をきめ細かく把握し、適時適切な支援につなげていくようお願いします。

山口県の新たな未来を創る

 直面するコロナの危機を乗り越えることと併せて、その先にある、山口県の新たな未来を創る取組にも力を入れていかなければなりません。
 本県の最重要課題である「人口減少」は、一昨年に行われた国勢調査では、人口の減少数・減少率がともに過去最大となり、近年は、毎年1万人を超える減少が続いています。こうした状況を克服し、何としても山口県の元気を取り戻す、そのためには、「3つの維新」の取組をさらに進化させ、安心と成長のレベルを高めていくことが必要です。
 コロナとの闘いを通じて、命と健康が守られるという安心感、このことが何よりも重要であると、誰もが今、感じています。今後は、選挙で訴えてきた県立総合医療センターの機能強化をはじめ、医療と福祉をしっかり充実させ、県民の安心の更なる確保に努めていきます。
 次に、成長支援に関しては、企業誘致をさらに進めるとともに、IT関連企業やサテライトオフィスなど、若者にとって魅力的な雇用の場づくりに取り組みます。同時に、県内産業の成長やイノベーションの創出支援、強い農林水産業の育成、道路や港湾等の基盤整備の促進などにより、本県の産業力をより一層伸ばしていきます。
 さらに、全国に先駆けて取り組んでいる「やまぐちデジタル改革」の取組を加速させ、行政サービスはもとより、産業や交流、生活にわたる県政各分野でデジタルの実装を進め、県民一人ひとりが豊かさと幸せを実感できる社会の実現を図っていきたいと考えています。
 職員の皆さんには、コロナ以前の姿を取り戻すのではなく、コロナ禍で生じた社会経済の変化を的確に捉え、安心や成長をより高いレベルで実現し、発展的再生を図っていくために、どのような手法や工夫が必要なのかを、それぞれの担当分野でしっかり考え、取り組んでいただくようお願いします。

職員としての心掛け

 次に、今申し上げた県政運営を進めていくに当たり、皆さんに心掛けていただきたいことを、3点申し上げます。

現場主義の徹底

 1点目は、現場主義の徹底です。
 このたびのコロナ禍で、県の施策に対する県民の皆様の期待は、これまでにも増して大きくなっており、皆さんもそのことを肌で感じておられると思います。
 その期待に応え続けていくためには、何よりも、現場の声に耳を傾け、そのニーズに対応した施策の実施に努めていかなければなりません。
 今はコロナの影響で叶いませんが、今後、感染状況が落ち着けば、私自身も、地域の方々と意見交換する場を設けたいと考えています。
 職員の皆さんも、これまで以上にきめ細かく現場の声を聞いていく、このことを改めて肝に銘じ、それぞれの業務に当たっていくようお願いします。

様々な主体の力の結集

 2点目は、市町や関係団体、企業、大学などとの更なる連携の強化です。
 これまで私は、市町はもとより、関係団体や企業、大学、県民の皆様とともに、総力を結集して県づくりの取組を進めてきました。
 昨年のコロナワクチンの接種では、市町や医療関係団体と早い段階から連携を図りながら取組を進め、全国トップレベルのスピードで2回目の接種を終えることができました。デジタルの分野でも、今、市民エンジニアやスタートアップ企業等と協働しながら、地域や行政課題の解決につながる取組を進め、その成果は着実に現れています。
 今後の県づくりにおいても、様々な主体との連携をさらに進め、より大きな成果につなげていく、こうした視点で、取組を進めるようお願いします。

危機管理の徹底

 3点目は、危機管理の徹底です。
 近年、自然災害は年を追うごとに頻発化・激甚化の傾向を強めています。年末から年明けにかけて、全国各地で震度5クラスの地震が相次いで発生しており、いつ何時、本県にも災害が襲ってくるかわかりません。
 また、災害以外にも、近年では、大島大橋への貨物船衝突事故や上関大橋等の損傷事故が発生しました。さらに、我々がまさに今、対峙しているコロナこそ、極めて重大な危機事象であると考えています。
 こうした事態に迅速かつ的確に対応できるよう、皆さんには、日頃から万全の備えをしておくようお願いします。

おわりに

 以上、3期目のスタートに当たり、私の考えを申し上げました。
 先日、東京圏への転入超過が大きく縮小し、本県からの転出超過も改善していることが明らかになりました。
 コロナを契機として、人々の意識や価値観、働き方が変わりつつある今、都市にはない豊かな環境と暮らしを提供できる地方にこそ、チャンスがある時代を迎えています。
 国においても、地方からデジタルの実装を進め、地方と都市の差を縮め、都市の活力と地方のゆとりの両方を享受できる「デジタル田園都市国家構想」の議論が進められており、東京一極集中の流れが、確実に変わろうとしています。
 この機を捉え、山口の元気を取り戻し、山口の新たな未来を創っていかなければなりません。
 私は、これからの4年間、県民の皆様に一刻も早く平穏な日常生活を取り戻していただけるよう、コロナ対策に全力を尽くすとともに、より高いレベルでの安心と成長を目指し、将来にわたり安心で希望と活力に満ちた山口県の実現に取り組んでいく決意です。
 職員の皆さんにも、ぜひ同じ思いを持って、積極果敢に挑戦し、努力を重ねていかれるようお願いして、新たな任期に当たっての私の訓示といたします。
 よろしくお願いします。