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知事発言集・令和4年公務始め・知事訓示
皆さん、明けましておめでとうございます。
令和4年の公務始めに当たりまして、今後の県政運営に対する私の考えを申し上げたいと思います。
最初にお話しをしておきたいのは、昨年の公務納めの際にも申し上げた綱紀の保持についてです。
職員の皆さんには、これまでも法を遵守し、全体の奉仕者としての社会的使命感や倫理観を堅持するよう、注意喚起を行ってまいりました。
そうした中で、昨年、県庁内で公職選挙法に違反する行為があり、副知事が辞職するという事態となりました。二度とあってはならないことだと考えています。
昨年12月24日の記者会見で、私は、「県庁において今回のような選挙をめぐる組織的な勧誘は今後一切なくすこと」、そして、「仮に外部から依頼されたとしても、すべてお断りすること」、この2点を明確に宣言いたしました。
皆さんに対しては、この2つの宣言を必ず守っていただくとともに、県民の批判を招くような不祥事を決して起こすことのないよう、綱紀の保持の徹底を重ねて強くお願いします。そして、私と共に、県政に対する信頼の回復に全力を挙げていただくようお願いします。
県政を取り巻く諸情勢について見ますと、一昨年、世界中にパンデミックを引き起こした新型コロナウイルスは、周期的に危険な変異を繰り返し、今また、新たなオミクロン株が世界各地で急速に広がりつつあります。
我が国においては、ワクチンの効果もあって、現在、感染状況は低い水準で推移していますが、海外では、ワクチンの接種が進んでいても感染が拡大している例もあり、予断を許さない状況です。
これまでも、度重なる感染の拡大は、地域経済や県民生活に深刻な影響を及ぼしてきたところであり、今なお、私たちの暮らしは脅かされています。
再度の感染拡大の波を防ぎ、県民の命と健康を守り抜く。そして、暮らしの安定を確保し、地域経済を確かな回復軌道に乗せていく。この2つが目下の最重要課題です。今年も万全の対策を講じていかなければなりません。
一方で、この度のコロナ禍は、社会・経済はもとより、私たちの意識や行動、価値観にまで大きな影響をもたらしました。これを象徴するものの一つが、東京都で続く人口の流出です。
1都3県の「東京圏」としては、依然転入超過ではあるものの、その規模も僅かとなっており、長らく我が国の構造的課題とされ、地方創生の最大の目的であった人口の「東京一極集中」に明らかに変化が生じてきています。
さらに、国においては、成長戦略の柱に「デジタル田園都市国家構想」を掲げ、地方からデジタルの実装を進めることにより、地域の個性を活かした地方の活性化を目指すとしています。
デジタル技術の活用によって、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方が広まり、生活の利便性においても都市と地方の差が縮まる中で、今まさに、都市にはない豊かな環境やゆとりを提供できる地方の方にこそ、チャンスがある時代を迎えていると言えます。
本県としては、このチャンスを逃すことなく、国の政策としっかりと連携し、むしろ先んじよう、そうした気概を持って、活力みなぎる山口県の実現に向けて、産業維新、大交流維新、そして生活維新の「3つの維新」をさらに進化させていかなければなりません。
職員の皆さんには、今年一年、こうしたことを念頭に置いて、本県が直面する様々な課題の克服に取り組んでいただきたいと思います。
ここで、今後の県政の推進に当たり、対応していくべき3点について申し上げます。
まず1点目は、感染症への対応と経済活性化についてです。
新型コロナウイルスへの対応について、本県ではこれまで、医療が受けられない自宅療養者を決して出すことのないよう、医療提供体制や検査体制の強化に取り組んでまいりました。現在も、国が推計した感染者数を大きく上回る入院病床と宿泊療養施設を確保しているところです。
しかし、今、デルタ株よりも感染力が強いとされるオミクロン株が世界中で急速に拡大しつつあり、日本でも第6波への懸念が日増しに大きくなってきています。
何としてもこの感染拡大の波を防ぎ、コロナから県民の皆様の命と健康を守り抜く。そのためには、先手、先手で対策を講じていくことが肝要であり、皆さんには、このことを改めて強く意識していただきたいと思います。
また、傷んだ地域経済の回復も急務です。現在、県内景気には、ようやく本格的な持ち直しの動きが見られるようになってきました。しかしながら、その足取りは未だ不確かなものであり、再び大規模な感染拡大が起きれば、又しても回復の勢いを失いかねません。
経済の回復と活性化に向けては、これまでも、累次にわたって補正予算を編成するなど、機動的な対応に努めてきたところであり、今後も、必要に応じて追加の対策を講じていく考えですが、その際には、県民や事業者が今何を求めているかを的確に把握し、対策に反映させる必要があります。
そして同時に、従来の姿を取り戻すだけではなく、山口県の新たな未来に向けた発展的な再生を目指していくことが重要であると考えています。職員の皆さんには、こうした視点に立って、それぞれの業務に当たるようお願いします。
2点目は、デジタル化の加速についてです。
昨年、本県では、デジタル化がもたらす地域課題の解決と新たな価値の創造によって、県民一人ひとりが希望するサービスやライフスタイルを自由に選択でき、これまで以上の豊かさと幸せを実感できる、そうした社会の実現を目指し、全国に先駆けて「やまぐちデジタル改革」をスタートさせました。
現在、工場のスマートファクトリー化やドローン等によるインフラ点検、MaaSなど新たなモビリティサービスの構築、あるいはICTを活用した学びの充実など、県政の各分野において、デジタル技術の活用と実装が着実に前へ進んでいます。
今後は、この歩みを一層加速させ、県づくりの取組をより効果的・実効的なものへと高めるとともに、その成果によって、県政最大の課題である人口減少に何としても歯止めをかけていきたいと考えています。
そのためには、デジタルで何かをするという考え方ではなく、様々な課題の解決や目標達成のためにデジタルを如何に使うか、この発想とアイデアこそが重要です。デジタル化はあくまでも手段であり、それが未来を変えていく可能性は、県政のあらゆる分野に広がっています。具体化に向けては試行錯誤も必要ですが、積極果敢に挑戦を重ねていただきたいと思います。
3点目は、県民の安心・安全の確保に向けた危機管理の徹底についてです。
本県においては、近年、幸いにも大規模な自然災害がなく、今年もそうありたいと切に願っていますが、自然災害は年を追うごとに頻発化・激甚化の傾向を強めています。ここ1か月の間にも、山梨や和歌山、そして鹿児島で震度5クラスの地震が相次いで発生しており、本県でも、いつ何時、災害が襲ってくるか分かりません。
こうした災害や危機事象への対応では、平時から万全の備えをしておくことが重要であり、どのような事態が起こったとしても、迅速かつ的確に行動ができるように、日頃から必要な情報収集に努めるとともに、危機管理の徹底をお願いします。
以上、3点について申し上げました。
職員の皆さんには、それぞれの業務を通じて、本県が直面する課題にしっかりと向き合って、いかなる困難をも乗り越え、安心で希望と活力に満ちた山口県の未来を切り拓いていくために、一層御尽力をいただくよう重ねてお願いをしまして、私の年頭の訓示といたします。
今年もよろしくお願いします。