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令和7年2月県議会定例会知事議案説明要旨

ページ番号:0292003 更新日:2025年2月25日更新

はじめに

 本日は、令和7年度当初予算その他の諸案件につきまして、御審議をお願いするため、お集まりをいただき、厚くお礼を申し上げます。

 議案の説明に先立ち、今後の県政運営に当たっての私の所信を申し述べさせていただき、議員各位並びに県民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げます。

県政運営の基本方針

  県民の皆様に、山口ならではの豊かさと幸せを実感していただけるよう、私は、「やまぐち未来維新プラン」に基づき、新たな県づくりへの挑戦を続けているところであり、これまでの取組により、半導体関連企業等の成長産業の集積や県産農林水産物等の輸出拡大、国際チャーター便の運航再開など、山口県の未来につながる様々な成果が生まれてきています。

 今後も、こうした成果を基盤に、本県が有する強みやポテンシャルを最大限活かしながら、県づくりの取組を一層加速し、本県のさらなる成長を目指してまいります。

 一方で、本県の最重要課題である人口減少は加速度的に厳しさを増しています。とりわけ、生産年齢人口の減少は、あらゆる分野で人手不足を深刻化させており、若者・女性の転出と少子化の進行に歯止めをかけることはまさに急務です。

 また、国においては、地方創生2.0として、地域の持つ潜在力を最大限に引き出し、新たな人の流れを生み出すとともに、一極集中を是正し、多極分散型の多様な経済社会を構築していくこととしています。

 これに伴い、全国各地で新たな地方創生の取組が進められ、今後、地域間競争は一層激化することが見込まれます。本県としても、これに勝ち抜き、将来にわたって持続可能な山口県を築いていかなければなりません。

 私は、人口減少とそれに伴う人手不足を克服していくため、国や市町とも連携を図りながら、若者や女性をはじめとする幅広い人材の確保・定着に向け、効率的な対策を迅速に進めていきます。

 また、昨年、抜本的に強化した少子化対策についても、若者が結婚、妊娠、出産など希望するライフデザインを実現していけるよう、取組を一層充実するとともに、人口減少下にあっても持続可能な地域社会を創っていくため、若者が求める利便性の高い地域づくり等にも積極的に取り組んでまいります。

 そして、いつどこでも起こりうる大規模自然災害から、県民の皆様の暮らしの安心・安全をしっかりと守り抜いていかなければなりません。能登半島地震の課題等を踏まえ、防災・減災対策や国土強靭化の取組を、ハード・ソフトの両面から、スピード感をもって進めてまいります。

 人口減少をはじめとした様々な行政課題に臨機応変に対応するためには、その取組を支える行財政基盤の一層の強化が不可欠です。このため、この度最終案をとりまとめた「新たな行財政改革推進方針」について、県議会の皆様の御意見をいただいた上で策定し、これに基づく取組を全庁挙げて推進してまいります。

 私は、県政が直面する諸課題に真正面から向き合い、これを乗り越え、若者・女性をはじめ、全ての県民にとって魅力あふれる山口県を何としても実現していくという強い決意を持って、引き続き、未来に向けた県づくりへの挑戦を重ねてまいりますので、議員各位並びに県民の皆様の、より一層の御理解と御協力をいただきますようお願い申し上げます。

令和7年度当初予算

 それでは、令和7年度の当初予算編成について、御説明申し上げます。

 まず、我が国経済は、雇用・所得環境が改善する中、緩やかに回復しているとされています。一方、先行きについては、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっており、また、物価上昇やアメリカの政策動向、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があるとされています。

 こうした情勢の下、国は、「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」を通じて、コストカット型経済から高付加価値創出型経済への移行を確実なものとするとしています。

 このような考えの下、国の令和7年度一般会計予算案は、経済対策に基づく令和6年度補正予算と一体として、賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現するとともに、直面する構造的な変化への的確な対応や、国民の安心・安全の確保のための予算として編成されました。その総額は、前年度に比べ、2.6パーセント増の115兆5,415億円となっています。

 

 次に、令和7年度の地方財政については、一般財源総額について前年度を上回る額が確保され、また、地方交付税総額は前年度を上回り、臨時財政対策債は平成13年度の制度創設以来、初めて発行額がゼロとなるなど、地方財政の健全化も図られたところです。

 また、人件費の増加や物価高が見込まれる中、地域のデジタル化や防災・減災対策、地方創生の推進等に必要な措置がなされるなど、地方の重点課題に即した対策が講じられた結果、地方財政計画の規模は、前年度に比べ、3.6パーセント増の97兆94億円となっています。

 

 こうした諸情勢を背景に、来年度予算の編成に当たったところですが、人口減少が一段と厳しさを増す中、「安心で希望と活力に満ちた山口県」を実現するためには、地域の課題や当事者のニーズに応じた人口減少対策を一層充実・強化することが必要です。

 誰もが将来に希望をもって暮らせる持続可能な地域社会づくりに向けて、「やまぐち未来維新プラン」に基づく施策を強力に推進し、安心や豊かさを県民の皆様に実感いただけるよう、成果を着実に積み重ねていかなければなりません。

 また、こうした県づくりへの挑戦やデジタル化・脱炭素化などの社会変革、様々な行政課題に的確かつ機動的に対応できるよう、本県の有する資源を質的に充実させ、行財政基盤を一層強化する必要があります。

さらに、国の総合経済対策に呼応し、現下の物価高に対する支援など、県民や事業者の実情に即した本県独自のきめ細かな対応が求められています。

 このため、来年度予算においては、「安心と豊かさを実感できる県づくりの推進」、「新たな行財政改革の着実な推進」、「国の経済対策に呼応した物価高等への対応」の3つの柱に沿って、予算を編成したところです。

 

 最初に、1つ目の柱である「安心と豊かさを実感できる県づくりの推進」について御説明します。

 大きく、「人口減少の克服に向けた取組の充実」と「将来に希望をもって暮らし続けられる地域社会づくり」の2つの方向で施策を推進してまいります。

 初めに、「人口減少の克服に向けた取組の充実」についてです。

 このうち、「人手不足が深刻化する地域産業の人材の確保・育成」については、人口減少や少子高齢化が進行し、生産年齢人口の減少が続く中、地域を支える産業のあらゆる分野で人材不足が深刻化しており、企業活動や県民生活などに大きな影響が生じています。

 こうした厳しい状況を踏まえながら、地域産業が持続的に成長・発展していけるよう、人材確保・定着に向けた施策をスピード感をもって強力に推進してまいります。

 まず、「若者の県内就職・定着支援の強化」については、人の流れの創出・拡大に向けて、本県からの転出超過が最も多い福岡県に移住と仕事の双方にワンストップで対応できる「やまぐち暮らし・しごと福岡支援センター」を設置します。

 また、若者の県外流出に何としても歯止めをかけるため、県内就職・定着に対するインセンティブ強化策として、インターンシップ等参加学生の旅費や、県外在住の新卒・第二新卒者が県内で行う就職活動に伴う交通費を実質的に全額補助するほか、若者の県内定着・還流を促進するため、住宅を取得する若者を対象にした住宅ローンの利子補給制度を創設します。

 さらに、こうした支援制度や就職情報などを、ターゲットとする若者等に効果的に届けられるよう、福岡県と広島県にキャリアコンサルタントを配置し、県外の大学や学生へのアプローチを強化するとともに、デジタルマーケティングの手法を活用し、訴求力が高い戦略的な情報発信を展開します。

 このほか、「ふるさと回帰に向けた取組」として、本県への継続的な来訪を促す体験型プログラムの開発や、若者の地域での交流・活躍の場となるサードプレイスのモデル創出などを行います。

 次に、「多様な人材の確保育成、若者や女性の希望する魅力ある就労環境の整備」についてです。

 まず、初任給や若年層の賃金について4%以上の引上げを実施する中小企業等に対して奨励金を支給するとともに、就業を希望する女性など多様な人々が働きやすい魅力ある職場づくりを支援するため、就労環境改善に対する支援や、柔軟な働き方導入に取り組む企業への専門家派遣などを行います。

 また、令和9年から新たな育成就労制度への移行が予定されていることから、全国的な増加が見込まれる外国人材の確保・定着に向けて、ベトナムやインドネシアに現地サポートデスクを設置するほか、受け入れに必要となる県内企業の環境整備や外国人材の地域定着の促進などの取組を強化します。

 さらに、若者の定着に向けた雇用の場として、デジタル関連企業の誘致や県内情報産業の経営力強化を推進するとともに、情報関連学部の開設が相次ぐ県内大学と企業の連携・交流を支援することにより、大学から輩出されるデジタル人材の県内就職・定着を促進します。

 県民の安心で豊かな暮らしを確保するためには、保育や介護・医療、公共交通など社会生活を支える分野の人手不足解消や生産性向上が重要であり、関連する施策を重点的に強化してまいります。

 まず、幼児教育・保育人材の確保に向けて、保育士試験に係る学習費の実質全額補助や対策講座を実施するほか、修学資金の貸付制度の拡充や幼稚園教諭の処遇改善等に取り組みます。

 また、介護・医療分野では、介護現場の人材確保と生産性向上につながるテクノロジーの導入・定着を促進するため、ICTやロボットの導入支援制度を大幅に拡充するとともに、医師の勤務環境改善に向けて医師派遣体制等を支援します。

 さらに、地域公共交通を担うバス・タクシーの運転士を確保するため、短時間勤務職員の第二種免許取得に係る事業者負担を国支援制度と併せて実質全額補助する制度を創設するなど、各分野における人手不足解消を進めてまいります。

 次に、「結婚、妊娠・出産、子育ての希望を叶える環境整備」についてです。

 少子化対策について、当事者である若い世代や女性のニーズを踏まえながら、希望するライフデザインを実現できるよう、結婚から子育てまで切れ目のない支援を一層充実・強化してまいります。

 まず、若い世代等の結婚の希望を叶えるため、結婚応縁センターの会員数増加に向けた会費無料化や認知度向上に取り組むとともに、大規模な婚活イベント等の取組を拡充します。

 また、産後4か月以上の母子を対象とした産後ケアの全県的な提供体制の構築やプレコンセプションケアの推進により、子どもや子育て世帯のウェルビーイングを向上させるとともに、周産期医療体制を確保するため、正常分娩から中リスク分娩まで幅広く妊婦を受け入れている産科医療機関を支援します。

 さらに、医療的ケア児の受入環境整備や、子どもの体験活動等に取り組む団体への支援、男女が共に家事・育児に取り組む社会に向けた行動変革の促進、親子関係の修復等をサポートする支援員の児童相談所への配置など、地域で安心して育児ができる環境を整備します。

 

 次に、2つ目の方向である「将来に希望をもって暮らし続けられる地域社会づくり」についてです。

 このうち、「成長のエンジンとなる産業力の強化」については、持続可能な地域社会の構築に向けて、雇用機会の創出や地域経済の活性化など、将来にわたり多面的な効果をもたらし、活力の源となる産業力の更なる強化を図ります。

 まず、本県産業の屋台骨であるコンビナートのカーボンニュートラルに向けて、将来の企業間連携が見込まれる研究開発・実証試験に対する補助制度を創設します。

 また、運転手不足による物流コストの上昇等に対応するため、複数企業による共同配送などの物流効率化モデルを構築します。

 さらに、戦略的な海外ビジネスの拡大に向けて、企業の取組段階に応じた補助制度を創設するとともに、ヘルスケア関連産業への県内企業の参入を支援します。

 農林水産分野では、集落営農法人の再編統合や経営力強化を支援するほか、農業DXの実装や県産麦の高品質化・均質化による生産拡大を推進します。

 また、県産材の取引拡大に向けた需給調整体制を構築するとともに、竹資源の循環利用に資する情報システムや流通拠点を整備します。

 さらに、新たな水産資源管理に即した生産体制への転換支援や漁業技術習得に対する支援制度の創設、肉用牛育成を通じた高校生と生産者との技術交流などを行います。

 次に、「活力と魅力にあふれる地域づくりの推進」についてです。

 若者や子育て世代等に選ばれる地域づくりに向けて、本県の活力を創出・発信する交流拠点の整備や大型観光キャンペーンを活かした交流人口の拡大、スポーツを通じた地域活性化などを進めてまいります。

 まず、山口きらら博記念公園の交流拠点化については、中国地方最大級となるフラワーガーデンの今春オープンを皮切りに、子どもたちの誰もが共に遊ぶことができる大型複合遊具も完成予定であり、親水広場やサイクリング・ジョギングコース、2050年の森、キャノピーウォークなどの整備に着手するなど、元気と活力を創出する拠点として公園の再整備を進めます。

 また、Mine秋吉台ジオパークのユネスコ世界ジオパーク認定や錦帯橋の世界文化遺産登録に向けた取組を市町と一体となって推進するほか、秋吉台と角島に立地する県ビジターセンターをアップデートし、新たな体験学習プログラムを提供します。

 さらに、本年開催される大阪・関西万博や来年秋の山口デスティネーションキャンペーンに向け、観光客のニーズを捉えた戦略的なプロモーションを展開するとともに、世界に誇る文化財や豊かな自然を活かした魅力ある観光コンテンツの開発、観光二次交通の充実強化等を通じて、交流人口の飛躍的な拡大を目指します。

 このほか、市町と連携したライフスタイルスポーツの普及や県立施設の環境整備に取り組みます。

 次に、「新たな時代の人づくりの推進」についてです。

本県の未来を担う人材の育成に向けて、教育DXを支える通信環境を整備するため、国の学術情報ネットワークを活用して、全県立学校の校内ネットワークの高速化を実現します。

 また、デジタル等を活用して探究的な学習の高度化を図るとともに、生成AIを活用した学習アシスタントアプリの県内全公立中学校への普及に向けた導入や、学校マネジメント力強化の取組により、学びの充実を図ります。

 さらに、喫緊の課題となっている児童生徒のいじめ・不登校を未然に防止し、早期発見・早期対応できる体制を強化するため、スクールカウンセラーによる相談体制の充実や、校内教育支援センターの設置促進、心の健康観察アプリの導入などを進めます。

このほか、トップアスリートと触れ合う機会の創出など、子どもたちのスポーツ参加の裾野拡大に向けた競技団体の取組を支援するとともに、高校生最大のスポーツの祭典「令和7年度全国高等学校総合体育大会」を中国ブロックで開催し、本県において6競技6種目を実施します。

 次に、「安心・安全で快適な地域社会の形成」についてです。

 人口減少下にあっても、県民が豊かで幸せに暮らすことができる社会を創るため、地域の維持・活性化につながる取組を充実・強化してまいります。

 まず、「安心して快適に暮らせ誰もが活躍できる地域社会の実現」については、県民の安心・安全の確保を図るため、本県医療の中核的役割を担う県立総合医療センターの抜本的な機能強化や病院隣接地に建設予定の環境保健センターの整備を進めるとともに、県内唯一の児童心理治療施設であるみほり学園の建替に向けた基本設計に着手します。

 また、各分野でのデジタル実装を推進するため、県内企業等が高度な業務に対応する生成AIを導入できるよう、Y-Baseによる支援を充実するほか、市町の行政DX推進に向けて、外部専門人材を活用した支援を行います。

 さらに、スマート社会の実現に向けて実証に取り組んでいる自動運転バスについては、来年度、無人運転の段階であるレベル4に向けて取組をステップアップするとともに、中山間地域での見守り活動等におけるICT活用モデルの実証に取り組みます。

 このほか、本県の死因別死亡率が全国より高い水準にあるCopdの対策強化や、障害者の文化芸術活動を支援するセンターの設置、やまぐち森林づくり県民税を活用した森林保全活動などを進めます。

 次に、「能登半島地震の課題を踏まえた防災・減災対策の強化」についてです。

 県の地震・津波防災対策検討委員会において検証した能登半島地震の課題等をしっかりと踏まえながら、体制、物流、避難などの分野ごとに、本県の災害対応力の強化に必要な防災・減災対策を進めてまいります。

 まず、災害発生時の通信環境の早期確保に向けて、全市町に配備可能な衛星インターネット機器を導入することにより、体制の強化を図ります。

 また、孤立集落などへの物流対策として、物資搬送ドローンを活用した緊急物資輸送体制の実証事業を実施します。

 さらに、本県の避難体制を充実強化するため、広域避難所の整備に向けた検討を進めるとともに、避難所の環境改善を目的とした資機材整備や、避難関連情報を一元管理できるシステムの構築を行います。

 このほか、災害発生時に精神医療を提供するチームの養成や災害支援ナースの研修、警察本部の総合指揮室の機能強化、中小企業の防災・減災対策を支援する融資制度の創設、低コストな住宅耐震改修工法の技術者育成を着実に進めます。

 また、ハード対策として、幹線道路網の整備や道路施設等の老朽化対策、河川改修などの国土強靱化の取組を着実に推進することにより、ソフト・ハード両面から防災・減災対策を強化し、県民の安心・安全の確保に万全を期してまいります。

 

 次に、2つ目の柱である「新たな行財政改革の着実な推進」について御説明します。

 人口減少の克服や新たな県づくりに挑戦するとともに、将来にわたって必要な行政サービスを持続的・安定的に提供していくためには、行財政基盤の一層の強化が不可欠です。

 このため、県が有する資源を質的に充実させることにより、組織的なレジリエンスを高めるとともに、その力を最大限に活用して、様々な変化や行政課題に臨機応変に対応できるよう、この度最終案を取りまとめた推進方針に基づき、来年度からの5年間で全庁挙げた取組を推進し、行財政基盤の強化を図ってまいります。

 来年度予算においては、「行政DX・新たな価値を創出する働き方改革」の取組として、収入証紙の廃止に伴う新たな手数料収納窓口の設置や県立高校入試におけるウェブ出願システムの導入等を通じて県民の利便性向上を図るとともに、職場環境等の整備として、学校や県民利用施設を含めた県有施設のトイレ洋式化などを進めます。

 また、持続可能な財政構造をより確かなものとするため、歳入・歳出両面から改革の取組を徹底するとともに、行政DXや県有施設の建替えなど、一定の財政需要を伴う取組については、必要な財源を基金として確保・活用することにより、取組の計画的な推進と財政の健全性の維持を両立してまいります。

 今後も収支均衡した財政構造を維持・向上することにより、「安心で希望と活力に満ちた山口県」の実現に向けた挑戦を下支えする行財政基盤の更なる強化に取り組んでまいります。

 

 次に、3つ目の柱である「国の経済対策に呼応した物価高等への対応」について御説明します。

 県は、物価高騰による県民や事業者への影響を緩和するため、今年度補正予算において、Lpガスや特別高圧電気料金に係る支援を実施してきたところです。

 こうした中、今後も物価の更なる上昇や高止まりが想定される現状を踏まえ、来年度予算においても、本県独自の物価高騰対策として、光熱費や食材料費の高騰対策支援、学校給食等に係る増加経費の支援、ECサイトの送料支援、肥料・配合飼料価格の高騰対策支援や酪農家への経営緊急支援などを実施します。

 また、令和6年度2月補正予算にも国の経済対策関連事業を計上し、福祉施設・医療機関の賃上げ環境整備や、産科・小児科など地域医療サービスの維持、私立幼稚園のICT環境整備などを、令和7年度当初予算と一体的に実施してまいります。

 

 以上、主な歳出について御説明申し上げましたが、これらの結果、一般会計の総額は、前年度当初予算に比べ、0.6パーセント減の7,398億4,000万円となったところです。

 

 一方、歳入予算のうち、まず、県税収入について、緩やかな景気回復を背景とした企業収益の改善により法人二税の増収等が見込まれることから、前年度当初予算に比べ、3.5パーセント増の1,938億4,700万円を計上しています。

 また、地方交付税については、地方財政対策に伴い、前年度当初予算に比べ、0.9パーセント減の1,803億円を見込むとともに、県債については、特別分である臨時財政対策債の発行額がゼロとなる一方で、公共施設の脱炭素化対策の推進等により、前年度当初予算に比べ、11.6パーセント増の458億5,900万円を計上しています。

 財源不足額については、人口減少の克服に向けた独自の新規施策を構築した一方で、編成過程における歳出削減や歳入確保等の取組により、最終的に35億円となったところであり、財源調整用基金の取崩しにより対応した結果、来年度末の基金残高の見込みは約147億円となりました。

 

 以上が、議案第1号に係る令和7年度一般会計予算の概要です。

 

 次に、議案第2号から議案第18号までは、特別会計及び企業会計に関するものであり、その予算規模は、母子父子寡婦福祉資金特別会計ほか16会計を合わせ、総額2,784億4,300万円となっています。

条例、事件議決

 議案第19号から議案第51号までは、条例の制定、改正及び廃止に関するものです。

 その主なものを御説明しますと、

 議案第19号は、児童福祉法の一部改正に伴い、一時保護施設の設備及び運営に関する基準を定めるため、条例を制定するものです。

 議案第20号は、刑法等の一部改正に伴い、改正を要する関係条例について、一括して整理等を行うものです。

 議案第21号から議案第50号までは、いずれも条例の一部を改正するものであり、やまぐち森林づくり県民税の適用期限の延長等を行うため、それぞれ関係条例の一部を改正するものです。

 議案第51号は、収入証紙の廃止等を行うため、条例を廃止し、関係条例の一部を改正するものです。

 

 議案第52号から議案第55号までは、工事請負契約の締結等に係る事件議決に関するものであり、それぞれ県議会の議決をお願いするものです。

 

 議案第56号及び議案第57号は、人事案件に関するものであり、

 議案第56号は、山口県日本海海区漁業調整委員会の委員の任命について、

 議案第57号は、山口県瀬戸内海海区漁業調整委員会の委員の任命について、

 それぞれ県議会の同意をお願いするものです。

 山口県日本海海区漁業調整委員会及び山口県瀬戸内海海区漁業調整委員会の委員各位におかれましては、来る3月31日をもちまして、その任期が満了いたします。

 つきましては、新しい委員の任命を要するのですが、私としては、配布しました委員候補者の各氏を最適任と考え、ここにお諮りいたします。

 なお、各氏の御経歴は、履歴書のとおりです。

令和6年度補正予算等

 議案第58号から議案第74号までは、令和6年度の各会計に係る補正予算に関するものです。

 

 議案第58号は、一般会計補正予算です。

 今回の補正予算は、国の総合経済対策に対応した事業の追加等を行うほか、県税収入等の歳入財源の確定見込み及び各事業の最終見込みにより、所要の補正を行うものです。

 まず、歳入予算のうち、県税収入について、企業収益の増加に伴う法人二税の増収等が見込まれることから、103億1,400万円の増額補正を行っています。

 また、地方交付税については、国の補正予算に伴う再算定等の結果、78億2,600万円を増額するとともに、国庫支出金及び県債等については、歳出予算との関連など、確定見込みにより、それぞれ所要の補正を行っています。

 次に、歳出予算については、国の総合経済対策に対応し、義務教育段階における1人1台端末の更新に充てるための基金の積増しを行うなど、合わせて59億9,300万円を計上しています。

 また、新たな行財政改革の取組を5年間の計画期間に着実に推進するため、山口県安心・安全基盤強化基金とデジタル実装推進基金に合わせて180億円を積み増すこととしています。

 このほか、災害復旧費における最終整理、その他事業の最終見込みによる所要の補正を行うとともに、地方財政法の規定に基づく令和5年度決算剰余金の積立など、年度間の財源調整を図るため、財政調整基金に128億3,700万円を積み立てることとしています。

 以上の結果、議案第58号に係る一般会計補正予算の総額は、39億700万円の増額となり、補正後の予算額は、7,766億9,800万円となっています。

 なお、建設事業等に係る繰越明許費については、国の補正予算への対応や用地補償交渉の遅延等により、9月及び11月補正予算での設定分の変更と合わせ、633億4,500万円を予定しています。

 

 議案第59号から議案第74号までは、特別会計及び企業会計に関するものであり、中小企業近代化資金特別会計ほか15会計について、いずれも最終整理による所要の補正を行うものです。

 議案第75号は、令和6年度に県が行う建設事業に要する経費の最終確定に伴い、市町が負担すべき金額を変更することについて、県議会の議決をお願いするものです。

その他

 この際、御報告申し上げます。

 訴えの提起をすること、訴え提起前の和解をすること及び交通事故等による損害賠償の額を定めることについては、専決処分により、処理をいたしました。

 また、地方独立行政法人山口県産業技術センターの常勤職員の数について、地方独立行政法人法の規定により、別添のとおり報告します。

 以上、提出議案等について、その概要を御説明申し上げました。何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。