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令和3年6月県議会定例会知事議案説明要旨
本日は、令和3年度一般会計補正予算その他の諸案件につきまして、御審議をお願いするため、お集まりをいただき、厚くお礼を申し上げます。
議案の説明に先立ち、御報告を申し上げます。
まず、新型コロナウイルス感染症の状況についてです。
今年度に入ってからも、感染症は多方面にわたり影響を及ぼしており、特に、5月の大型連休以降、感染力の強い変異株の影響等により、県内においてもクラスターが多発するなど、新規感染者数が急速に増加し、医療提供体制が逼迫する厳しい状況となりました。
このため、本県においては、5月18日から、感染拡大防止集中対策を実施し、県外との往来の自粛や外出機会の半減を広く呼びかけるとともに、高齢者通所施設等において緊急点検を実施するなど、感染拡大防止に向け、短期、集中的に取り組んできたところです。
こうした取組により、病床使用率などの指標は落ち着きを取り戻しつつあり、今月20日をもちまして、感染拡大防止集中対策を終了することができました。
この場をお借りいたしまして、関係機関をはじめ、県民の皆様の御理解と御協力に対し、改めてお礼を申し上げます。
現在、県では、国が感染対策の切り札と位置付けている、ワクチンの接種について、市町との協力の下、一日も早く進めていくことができるよう、全力を挙げて取り組んでいます。
一方、未だに新規感染者の確認は後を絶たず、クラスターも断続的に発生するなど、予断を許さない状況が続いており、引き続き、気を緩めることなく、感染拡大防止対策の徹底を図っていく必要があります。
また、事態の長期化に伴い、県内経済への影響が深刻さを増していることに加え、人と人とのつながりの希薄化など、新たな課題が顕在化しており、県民生活の様々な場面について、きめ細かな対策を講じていく必要があると考えています。
県では、感染症の状況等を見極めつつ、県内経済の回復のための需要喚起や質の高い経済社会の実現に取り組んでいるところですが、この度、現時点の状況を踏まえ、緊急に措置すべき経費について、「感染拡大の防止」や「県内経済の下支え」など、4つの柱に沿って、補正予算を編成したところです。
私としては、これらの取組を通じて、県民の皆様の命と健康を第一に、社会経済への影響を最小限に食い止めることができるよう、感染症対策の徹底と経済活性化の両立に向けて、全力で取り組む考えであり、今後も、必要な対策を適時適切に追加し、機動的に実施してまいります。
次に、最近の経済情勢についてです。
まず、我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止策を講じる中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待される一方、内外の感染拡大による下振れリスクの高まりに十分注意するとともに、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があるとされています。
また、県内経済については、感染症の影響により、なお弱い状況ながら、全体として持ち直しているものの、その動向が金融経済に与える影響について注視していく必要があるとされており、私としては、引き続き、今後の経済情勢等を踏まえながら、適切に対処していく考えです。
それでは、提出議案の概要について、御説明申し上げます。
令和3年度補正予算
議案第1号は、令和3年度一般会計補正予算です。
今回の補正予算は、新型コロナウイルス感染症対策関連事業のほか、当面緊急を要する経費について、所要の補正を行うものであり、補正総額は、241億3,100万円、補正後の予算規模は、7,770億2,400万円となっています。
まず、新型コロナウイルス感染症対策関連事業について、その主な内容を御説明申し上げます。
はじめに、「感染拡大の防止」についてです。
まず、新型コロナウイルスワクチンの接種について、本県では、概ね10月末までを目途に希望する県民への接種完了を目指し、集団接種会場の設置や医療従事者の派遣など、接種の加速化に向けた推進体制の確保・充実に取り組みます。
また、感染患者の受入病床について、平時は527床を、緊急時には627床まで確保できる体制を整えるとともに、軽症者等のための宿泊療養施設については、新たに県東部に開設することにより、県全体で480室を確保したところであり、今後の感染拡大に備え、更なる医療提供体制の整備を図ります。
さらに、短期集中的な行政検査の実施体制の確保に向け、自動遺伝子検査装置の追加整備や民間検査機関の活用を図り、1日当たり最大検査件数を約7,500件まで拡充します。
あわせて、ゲノム解析により、変異株を早期に特定できる検査機器を整備し、検査体制の更なる充実を図ります。
また、学校教育活動の安全な実施や学校における集団感染のリスクを低減する観点から、県外での部活動や修学旅行等から戻ってきた生徒や教職員に対して、臨時のPCR検査を実施できる体制を整備します。
次に、「県民生活の安定」についてです。
まず、感染症の影響が長期化する中、様々な困難や不安を抱える女性が、社会とのつながりを回復できるようにするため、NPO法人との連携の下、相談機会の提供や居場所づくりなど、女性に寄り添ったきめ細かな支援を行います。
また、コロナ禍において、若者の自殺件数が増加傾向にあることから、若者が頻繁に利用するSNS等におけるAIを活用した対策や、身近な相談相手となるゲートキーパーに対する研修の充実により、自殺防止対策を強化します。
次に、「県内経済の下支え」についてです。
本県では、感染拡大防止集中対策に伴い、県外との往来の自粛や外出機会の半減を要請したところであり、また、広島・福岡両県における緊急事態宣言等の影響が幅広い業種に及んでいることから、感染対策と事業活動の立て直しを両立し、県内経済を段階的に引き上げていくための支援が必要と考えています。
そのため、まず、コロナ禍以前と比較して30パーセント以上売上げが減少した県内中小企業者を対象として、法人には40万円、個人には20万円の「中小企業事業継続支援金」を給付し、事業活動の継続に向けた取組を支援します。
また、変異株による感染リスクの増加も懸念される中、飲食店の感染防止対策に関する本県独自の基準を定め、その基準を満たす場合に認証を行う第三者認証制度を創設し、応援金の給付等を通じて感染防止対策の強化を支援することにより、一層、安心して飲食店を利用できる環境づくりを推進します。
さらに、事業活動の停滞を余儀なくされた県内事業者が再び活動を活発化させるため、感染防止対策や新たな事業展開などに取り組む場合に必要な経費を補助するほか、中小企業者が県外との往来や商談等の事業活動を安心して継続できるよう、自主的なPCR検査の経費等に対して支援を行います。
また、今後の反転攻勢に向けた、意欲的な事業展開を後押しするため、厳しい経営環境にあっても、高付加価値化や収益力の向上等に取り組む宿泊事業者に対して、従来よりも補助率や補助上限を拡充して支援します。
さらに、公共交通機関の利用が長期にわたって低迷する中、地域の移動手段を維持し、利用者の不安解消を図るため、車両や船舶の維持経費や更なる感染防止対策に要する経費を補助し、公共交通事業者の事業継続を支援します。
さらに、「消費需要の喚起」についてです。
まず、県内店舗への資金支援と消費喚起を合わせて行うため、購入型クラウドファンディングの仕組みを活用し、前回を上回る水準で支援を行います。
また、感染症の長期化に伴い、大幅に落ち込んでいる観光需要を強力に喚起するため、国の地域観光事業支援を最大限に活用した宿泊料金の割引や地域限定クーポンの発行、未就学児に係る宿泊施設使用料の全額助成など、県民限定のキャンペーンを展開します。
さらに、地産・地消対策の推進により、更なる需要回復を図るため、外食需要の減少等の影響が著しい高級魚や日本酒のほか、花き等の県産農林水産物を対象として、「もっとみんなでたべちゃろ!キャンペーン」を実施します。
その他の経費としては、県議会議員補欠選挙の執行に係る経費等について、所要の経費を計上しています。
一方、歳入予算については、歳出との関連において、国庫支出金229億8,200万円を追加するほか、所要の一般財源について、財源調整用基金10億4,000万円の取り崩し等により措置しています。
以上が、議案第1号に係る令和3年度一般会計補正予算の概要です。
条例、事件議決
議案第2号から議案第15号までは、条例の改正に関するものです。
議案第2号は、過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法の施行に伴い、改正を要する関係条例について、一括して整備を行うものです。
議案第3号から議案第15号までは、いずれも条例の一部を改正するものであり、人事院規則の一部改正に伴う特殊勤務手当の加算措置の追加等を行うものです。
議案第16号から議案第19号までは、事件議決に関するものです。
議案第16号は、工事の請負契約の締結について、
議案第17号は、土地の売払いについて、
議案第18号は、物品の買入れについて、
議案第19号は、昨年7月の県消防学校での訓練中、防府市消防士が殉職されたことに係る損害賠償の額を定めることについて、
それぞれ県議会の議決をお願いするものです。
議案第20号から議案第22号までは、人事案件に関するものであり、
議案第20号は、人事委員会の委員の選任について、
議案第21号は、公安委員会の委員の任命について、
議案第22号は、収用委員会の委員及び予備委員の任命について、
それぞれ県議会の同意をお願いするものです。
まず、人事委員会委員 末永久大氏は、来る7月17日をもちまして、また、公安委員会委員 倉田惠子氏は、来る7月18日をもちまして、また、収用委員会委員 髙松惠子氏、高崎幸恵氏、磯中幸江氏は、いずれも来る7月12日をもちまして、その任期が満了いたします。
また、収用委員会委員 秋本泰治氏は、任期途中ではありますが、去る令和2年12月24日をもちまして辞任され、同予備委員 田中悟氏が同委員に就任されました。
つきましては、後任の委員の選任及び任命を要するのですが、私としては、収用委員会委員には髙松惠子氏、磯中幸江氏の再任をお願いするとともに、新たに人事委員会委員には中村友次郎氏、公安委員会委員には弘永裕紀氏、収用委員会委員には木村進氏、同予備委員には渡部学也氏を、それぞれ最適任と考え、ここにお諮りいたします。
なお、各氏の御経歴は、お手元に配付しました履歴書のとおりです。
その他
この際、御報告申し上げます。
令和2年度の一般会計ほか4会計につきましては、繰越計算書を調整しましたので、御報告いたします。
また、訴えの提起をすること及び交通事故等による損害賠償の額を定めることについては、専決処分により、処理をいたしました。
また、県が出資等を行っている法人の経営状況を説明する書類につきましては、別添のとおり作成しましたので、提出をいたします。
以上、提出議案等について、その概要を御説明申し上げました。何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。