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米軍再編関係・岩国基地周辺における令和元年度の航空機騒音の状況
平成30年3月の空母艦載機移駐完了後、2年目の岩国基地周辺の航空機騒音の状況を山口県基地関係県市町連絡協議会(山口県、岩国市、柳井市、周防大島町、和木町で構成)として、以下のとおり取りまとめました。
1 概況
(1) 月別W値の推移
- 令和元年度は、平成30年度(移駐完了後初年度)と同様に4月と5月にW値が高くなったことに加え、9月及び11~2月もW値が高くなった。
- 4月と5月は、FCLP(空母艦載機着陸訓練)前後の訓練やCQ(空母着艦資格取得訓練)実施等の影響によりW値は高い値となった。
- 9月には年内2回目のCQが実施され、実施前に行われた訓練やCQ実施の影響により、W値は高くなった。
- 10月末に艦載機が岩国に帰還した後、その運用の影響により、11月から2月にかけてのW値は4月や5月とほぼ同じレベルの高い値を記録した。
(2) 過去の測定値等との比較
- 前年度(平成30年度)との比較
- 艦載機の岩国での滞在期間が長いことや、CQが2回実施されたことなどから、平成30年度と比べ、7割以上の測定地点でW値が増加した。
- 前年と異なり2回目のCQが9月に実施されたことや、前年よりも1か月早い10月末に艦載機が帰還したことなどの影響により、9月から1月までのW値の増加地点が多くなった。
- 地域別にみると、基地の西側・南東側などの測定地点のW値が減少する一方、基地の北側・北東側の飛行ルート近辺で増加した。
- 移駐開始前(平成24~28年度の平均)との比較
- 約8割の測定地点(23地点中18地点)でW値が増加しており、中でも基地滑走路近くの西側・北西側で増加した。 ※H30年度の状況:25地点中19地点で増加
- 沖合移設前(平成17~21年度の平均)との比較
- 9割の測定地点(10地点中9地点)でW値が減少した。
※沖合移設による新滑走路の運用開始:H22年5月
※H30年度の状況:12地点中10地点で減少
- 9割の測定地点(10地点中9地点)でW値が減少した。
- 騒音予測コンターとの比較
- 約9割の測定地点(26地点中23地点)で騒音予測コンターを下回っている。
※H30年度の状況:28地点中26地点で減少
- 約9割の測定地点(26地点中23地点)で騒音予測コンターを下回っている。
(3) 移駐判断時の検証結果との比較
- 令和元年度の年間W値は、移駐の判断基準としていた沖合移設前のW値と比べると、9割の測定地点(10地点中9地点)で下回るとともに、騒音予測コンターのW値と比べても、約9割の地点(26地点中23地点)で下回っており、当初の予測の範囲内であることを確認した。
2 航空機騒音への対応
空母艦載機移駐後の状況を踏まえた騒音対策については、平成30年度の騒音の検証結果を踏まえ、国に対し、昨年6月に特別要望を、8月には県市町連絡協議会要望を行ったところであり、引き続き、移駐後の実態把握に努めるとともに、国や米側において、要望した取組が進められるよう働きかけていく。
特別要望(令和元年6月)の内容(抜粋)
空母艦載機移駐後の状況を踏まえた騒音対策の推進
- 飛行運用に係る騒音軽減措置の実施
- FCLPの直前に行われる訓練のような集中的な飛行訓練について、岩国基地周辺での実施の緩和や訓練場所の分散など、騒音軽減措置の実施
- CQ実施時において、滑走路の時間外運用や夜間の離着陸を可能な限り控えるなど、運用時間帯への配慮
- 航空機の飛行方法等に関する岩国日米協議会の確認事項の遵守
- 住民の不安解消に向けた措置の実施
- 住民生活への影響が大きい訓練の事前通知や、空母艦載機の滞在状況等に関する十分な情報提供
- FCLPの予備施設指定からの除外
- FCLPの恒常的な訓練施設の早期整備
- 国による騒音対策の拡充
- 騒音測定器の増設など、移駐後の騒音状況の更なる実態把握
- 住宅防音工事の対象拡大など地域の実情に即した防音対策
- 第1種区域等の対象区域の拡大、事務所・店舗等への補助対象施設の拡大)
- 年間W値だけでなく、空母艦載機滞在時の騒音の状況に対応した第1種区域の見直し 等)
県市町連絡協議会要望(令和元年8月)の内容(抜粋)
1 騒音対策の強化
- 岩国基地における航空機騒音等の軽減
- 飛行運用に係る騒音軽減措置の実施(集中的な飛行訓練の実施の緩和など)
- FCLPの禁止(岩国基地の予備施設指定からの除外など)
- 飛行実態等に関する情報提供等(住民生活への影響が大きい訓練の事前通知など)
- 住宅防音工事等、騒音対策の充実
- 住宅防音工事対象の拡充(第1種区域の見直しにおける艦載機滞在時の騒音状況の反映)