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令和5年9月定例会 請願 使用済核燃料「中間貯蔵施設」の上関町への誘致に反対することを求めることについて
件名
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請願第1号
使用済核燃料「中間貯蔵施設」の上関町への誘致に反対することを求めることについて
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請願者
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上関原発用地埋め立て禁止住民訴訟の会 事務局長 小畑 太作
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紹介議員
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木佐木 大助、藤本 一規、河合 喜代、中嶋 光雄、井原 寿加子
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要旨
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8月2日、中国電力は上関町に対して、原発の使用済核燃料の「中間貯蔵施設」を関西電力と共同して建設するための調査を申し入れ、西哲夫上関町長は8月18日、調査実施を容認し、中国電力に伝えた。山口県議会は、次の理由により「中間貯蔵施設」の建設と、そのための調査に反対すべきと考える。
1 危険な施設であること
事故が起きた際の影響は上関町だけにとどまらず、県内はもとより、瀬戸内、西日本、日本全体に影響する。これほど重要な問題を上関町だけで判断することは許されない。
使用済核燃料から出る放射能は10万年もの管理を要し、その間、安全に保管できる保障はない。
上関町・長島は橋1本でつながった「島」であり、南海トラフ地震が近い将来に予想される中、自然災害時の住民の避難・救助計画は最重要課題と言える。このような地理的条件下で、「中間貯蔵施設」に由来する放射能による被曝や環境汚染の危険を増やすべきではない。
2 見通しがないこと
「中間貯蔵施設」は、使用済核燃料の再処理、核燃料サイクル計画を前提にしている。現在、核燃料サイクル計画は実現するめども立たず、事実上破綻しており、一旦使用済核燃料の貯蔵を受け入れれば、中間ではなく「最終貯蔵施設」となる可能性が高いと言える。
3 重大な自然破壊行為であること
上関町には貴重な自然が残り、近年はこれを生かした原発に頼らないまちづくりが行われてきた。この方針は、2023年3月31日に閣議決定された「生物多様性国家戦略2023-2030~ネーチャーポジティブ実現に向けたロードマップ~」とも軌を一にするものであり、さらにはその背景には「自然と共生する世界」を目指そうとする世界の趨勢がある。なおかつ、2016年に環境省が抽出した「生物多様性の観点から重要度の高い海域」の270の沿岸域中でも当該海域はトップクラスである。その海域を破壊することは、国際社会において日本を環境後進国とし、山口県を環境後進県とすることでしかない。
またこのことは当然、次世代に対する暴力行為と言うべきものであり、世代間差別そのものである。
よって、下記のとおり、決議を採択されるよう請願する。
記
中国電力及び関西電力による上関町での「中間貯蔵施設」の計画は、上関町住民はもとより、周辺自治体、山口県、瀬戸内海、西日本の住民の安心・安全を脅かすものである。上関町や瀬戸内海の美しい自然を残して住民が安心して暮らせる生活環境を守り、次の世代に手渡すことこそ、「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本」とする地方自治法にかなうものである。
よって山口県議会は、次のとおり決議する。
1 山口県議会の総意として、上関町での「中間貯蔵施設」の調査・建設に反対する。
2 山口県議会の総意として、山口県知事に対し、上関町での「中間貯蔵施設」の調査・建設に向けた手続に同意しないよう求める。
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