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「山口県で南十字星が見えた!」写真パネルを県立山口博物館で展示します。
山口県は、みなみじゅうじ座(一般的には南十字星)を確認できる最北端に位置しています。残念ながら十字の形全体は見えませんが、十字の一番北に位置する「ガクルックス」という名前の星は、水平線まで雲がなく、空が澄んでいること、月明かりがないことなどいくつもの好条件が重なってはじめて見ることができます。県内でも撮影事例はごく少数です。
このたび山口博物館では、周防大島町の嵩山(だけさん)山頂にて「ガクルックス」の撮影に成功しましたので、常設展示室にその写真を展示します。
1 展示場所
山口県立山口博物館 2階天文常設展示室
2 展示資料
天文常設展示室の「天文ニュース」コーナーにて展示を行う。
みなみじゅうじ座のγ星「ガクルックス」 展示パネル
(中央の赤い点がガクルックス)
3 概要
(1)南十字星について
みなみじゅうじ座は、一般的に南十字星と呼ばれています。南十字星は、みなみじゅうじ座の中で十字の形をつくる明るい4つの星を指します。みなみじゅうじ座は、全天88星座の一つで、最も小さい星座です。十字の形全体は、沖縄県南部まで南下すれば春から初夏の日暮れどきの水平線上にその姿を見ることができます。山口県からは4つの星の北に位置するγ(がんま)星「ガクルックス」という星が見え、理論上最北端に位置します。地球の歳差運動という変化の影響で、みなみじゅうじ座の見える高さが年々低くなっており、近い将来、山口県から見ることが困難になります。
(2)撮影に至る経緯
当館では2022年度に「やまはくの天体望遠鏡」展を開催し、山口県から見えるすべての星座(76星座/全88星座中)を写真撮影して展示することにしました。撮影を進める中で、アマチュア天文家から「県東部で南十字星が見える」という情報をいただき、撮影にチャレンジをしました。山口県から見える時期は、1月~5月の毎日30分程度の限られた時間です。学芸員は、天気予報や月などの諸条件をチェックして、3年間に20回以上遠征してようやく撮影に成功し、県内から見えるすべての星座の撮影が完了しました。今回の撮影は周防大島町の嵩山(だけさん)山頂で、県内から見える場所のほぼ北限に位置します。
(3)山口県からの観測事例について
南十字星の観測事例は、高知県、大分県、佐賀県などで報告(新聞記事等)が多くあります。山口県での報告は、1990年1月8日の読売新聞記事やWeb上で撮影事例が1件あります。
4 観覧料
一般150円(団体120円) 学生100円(団体80円)
18歳以下及び70歳以上、高等学校・中等教育学校・特別支援学校等に在学する生徒は無料。団体は20名以上。
5 問合わせ先
山口県立山口博物館 学芸課主査 岩村 和政(いわむら かずまさ)(天文担当)
〒753-0073 山口市春日町8-2 Tel 083-922-0294